伸びを思い切りしてはごろり、と横になった。
此処は青空の下に広がる草原。
頬にあたる草の感覚にくすぐったさを感じながらは真っ直ぐに青空を見詰めていた。
少し前までは、暗雲が立ち込めていて雷光が走っていた空。
だが今は、本来の美しい青空だ。
綺麗な空気をいっぱい吸い込んでは頭の後ろで腕を組んで、瞳をゆっくりと閉じた。
かけがえの無い事をいっぱい学んだし、いっぱい失った。
そんな戦いの最中ではこんなにのんびりする事なんて出来なかったな、とは思い温かな日差しを受け、段々と睡魔に身を委ね始めた。
其の侭夢の中へと意識を沈めようとした彼女の耳に、微かな声が聞こえてうっすらと金色の眼を開く。
鬱陶しげに目を擦った後、上半身を起こして伸びをする。
欠伸を一つ「くぁ、」と声を漏らして零した後、はまた目を擦りながら声のした方を見やる。
少し離れた所から此方に向けて片手を上げつつ、近付いてくる影が一つ。
は彼を見つつ、また欠伸を一つ零した後近付いて来た彼を見上げた。
そして口の端を意地悪く吊り上げながらこう彼に問うた。
「・・・で? お宝情報はあったのか?」
がそう言うと小走りで近付いて来た男―ロックは、うぐ、と息を詰まらせ視線を彷徨わせた。
そんな彼の様子には、くすりと微笑み「やっぱり」と言ってまた草原に寝転がった。
草原に寝転がって気持ち良さそうに瞳を閉じた彼女に、ロックはわざとらしい溜め息を一つ零して言葉を発す。
「・・・、お前意地悪くなったよな・・・」
「これも何処かのお人好しのお陰だ。感謝している」
「否、お礼言われても・・・、・・・って言うか、何か可笑しくないか!?何で意地悪くなるのが良好みたいに言ってるんだよ!!」
は少しだけ五月蝿そうに彼の反論を聞いていたがおもむろに片手を伸ばして彼の羽織っているジャケットを引っ張った。
其れに驚いた彼は「うわ!」と声を上げ膝を折って草の上に座る形になった。
瞳を丸くして此方を見ている彼には、くすりとまた笑みを零して伸ばしたままの手をロックの手に重ねた。
綺麗に微笑み優しく握られる手。
其れを意識した途端、何だかくすぐったさがこみ上げてきた。
ロックはそう思うと何だか緊張してきた自分に少しだけ恥ずかしさを感じ、其れを誤魔化す様に自分も、きゅ、との手を握り返した。
暫く二人は無言だった。
ロックは暫くを見詰めていたが、彼女は瞳をまた閉じてしまった。
彼女の整った顔を見ていたロックだが、次第に視線は彼女の髪へと移る。
―太陽の光を受け、輝く金色の髪。
彼は無意識の内に空いている手を伸ばし、彼女の髪へ、そっ、と触れた。
サラリ、と指と指の間を通り抜ける髪は、とても触れていて気持ちが良かった。
少しの間そうしているとが身じろぎをしたのでロックは慌てて手を引っ込めた。
慌てたロックには瞳を閉じたままクスクスと笑った後、ゆっくりと瞳を開いて微笑んだ。
「くすぐったい」
「あ、ごめん、つい・・・、」
「・・・ロック、」
「・・・ん?」
微笑んだままのに優しい声色で名を呼ばれ、胸の内が温かくなるのを感じながらロックは返事をした。
が、は答えず、少しだけ頭を起こして草の上に腰を下ろしているロックの膝の上にコテンと頭を乗せた。
そんな彼女の突然の行動に「!?」と驚きの声を上げるロック。
膝を枕にして気持ち良さそうに瞳を閉じているはそんな事お構いなしに言葉を紡いだ。
ごく自然に、ごく当たり前のように、言葉を紡いだ。
「しあわせだな」
以前では決してありえなかった事態。
こんなにのんびりとした時を過ごす事も、"幸せ"だと思う事も無かった。
でも今は違う、
苦悶を乗り越えた仲間が出来て、世界も愛しく感じ、愛する人が隣に居る。
これを幸せと言わずになんと言うのか。
はそう思いクスクスと笑みを零し、ロックを見上げた。
彼も自分を見下ろしてきていて、優しく微笑んで地に着いていた手を伸ばし、彼女の両頬を包んだ。
「・・・そうだな、しあわせだな」
「うん・・・、 ねぇ、ロック、」
は微笑んでロックにある言葉を言おうとしたが、それは彼に口を塞がれた為に音としては出ずに終わった。
彼からの優しい口付けに酔いしれながら、心の中では其れを言葉にした。
お前と会えて、お前を好きになってよかった。
甘い口付けの後、「俺も」と言い彼は微笑んだ。
*END*
うざあま!(コラ)
相互サイト様の光陰の軌跡の管理人の深さんが当サイトの8181キリを踏まれましたのでキリ文として捧げさせて頂きます。
リクエストはロック夢で『二人の未来』(長編設定)というものだったのですが・・・・・・!
な、なっているんだかなっていないんだか(爆)
唯イチャこいてるだけみたいな感じになってしまいましたが深さんへ差し上げます!
もう煮るなり焼くなりお好きにどうぞです(*´v`*)
※深さん以外無断転載禁止です※