パチパチと火が燃える音が響く。
俺は火が消えない様に拾い集めてきた薪を投げ入れ、一息吐いて辺りを見渡す。
今森の中で野宿をしているので、見張りをしている。
魔物だって出る訳なので、当然の事なのだが。
他の皆はテントで眠っているが――、
其処まで考えていると、近くでカサリと草を踏む音が聞こえた。
其方に目を向けて見ていると、暗闇から金が浮かび上がってきた。
やっぱり、と思い「お帰り」と言って予め用意しておいたホットミルクを手に持って掲げる。
それに視線を向けたは「魔物は居なかった」と言うと背に背負っていた銃を下ろし、俺の横に腰を下ろしてホットミルクを受け取った。
夜の森は冷える。
そんな中見回りに行っていたのだ、身体が冷えて当然だろう。
はホットミルクを一口飲み、ほうっと息を吐いた。
「ありがとう、ロック」
「いや、こっちこそありがとな。寒かっただろ?」
俺の言葉に「別に、平気だ」と、は返して再度ホットミルクを傾ける。
強がっちゃいるけど、やっぱり寒かったらしい。
俺は少しだけ横にずれて「こっち、」と言って火に当たりやすい所を譲る。
それには少しだけ迷った素振りを見せた後、「すまない、」と言って身を寄せてきた。
微妙な、10cmくらいの距離。
間近にを感じて思わずドキリとしたけど、表には出さない様にして俺はそっと腕を回した。
「・・・ロック?」
の肩に出来るだけ優しく手を置いて、おずおずと引き寄せる。
思いの他は簡単に引き寄せられて、ぽすんと軽い音を立てて彼女は俺の肩に頭を乗せた。
持っていた毛布もついでにかけてやると、間近にある綺麗な顔が笑みに変わった。
「・・・何か珍しいな・・・、こんな風にして来るなんて」
はそう言ってくすりと笑みを零す。
確かに、何時も傍には居るがこうしてベタベタくっ付いたりはしていなかった。
(そのせいで今結構緊張しているんだが、)取り合えず、「あぁ・・・」と返しておいた。
そんな俺の様子に気付いたのか、はまた笑みを零して俺を見上げた。
「身体、ガチガチだぞ?」
「・・・に、触れてるからじゃないのか?」
「・・・そうだったら、少し嬉しい・・・かもしれない」
はそう呟いてゆっくりと瞳を伏せた。
長い睫毛が何処か楽しげに揺れる―。
どうしてこんなには可愛くて、綺麗なんだろう。
今の照れ隠しの様な言葉も、寄り添ってくる動作も俺から見たら凄く可愛らしい行動でしかない。
そんな事を思っているとがそっと瞳を開けて「・・・そろそろかな」と呟いた。
何がそろそろなのか?と、俺は首を傾げるがはそんな俺を気にせずポケットから時計を取り出した。
時計? と、思ってそれを覗き込もうとした瞬間―――、
かちり、という針が動いた音が静かな空間に落ちたかと思うと、ぐいっと襟を強く引かれた。
それと同時に、唇に柔らかな感触―。
間近にある長い睫毛。
月光を浴びながら輝く金色の髪。
触れている、甘い唇。
その全てを意識した瞬間、頬がカッと赤くなったのに気付いた。
最後にちゅ、とわざとらしいリップ音を立てるとは離れていった。
そして悪戯っぽく、仄かに頬を朱に染めながらは「真っ赤」と言って笑った。
「・・・だって、赤いじゃないか・・・」
「お前ほどじゃない」
はそう言うと少しだけ視線をずらし、また時計を見た。
そして時刻を確認すると、視線をずらしたまま「ロック、」と言う。
「・・・誕生日、おめでとう」
何処かぶっきら棒に、でも、頬を赤くして、照れるようには言った。
ああほら、可愛いんだよ。
そう思って、気付いたらを抱き締めていた―。
終われ・・・!
間に合わなかったorz;;;;;;しかし、愛はあるんだ、愛は(はいはい)