「んんんん、悩みますね・・・」


ガーデン内の食堂で顎に手を当てて、じっ、と唯一心に雑誌を眺めている女性、・オルコット。
熱心にファッション雑誌を見ている彼女は、一見普通の女性だがガーデンが誇る精鋭傭兵部隊、SeeDの中でも上位の方に居る者だ。
武器はハンドガンが二丁。魔法と掛け合わせて強力な攻撃を放つのだが長い髪に華奢な身体からは決して想像が出来ない事だ。

は「むむむ!!」と言い雑誌の見開きページの上の方に折り目をつけてチェックを入れた。
そうした後に雑誌をテーブルの上に置いて頬杖をつき、溜め息一つ零す。

そんなの前に座っていた同僚であり友達でもある女性、シュウが「どうしたの?」と問うた。

は「否ね、大した事じゃないんだけどね・・・」と言い溜め息交じりにシュウへ視線を向けた。


「・・・そろそろ給料が入るの」

「あ、そういえばそうね」

「そこで。新しい服を買おうと思ってるんだけどね・・・」

「季節も良い感じに変わり目だからね、良いんじゃない?」

「・・・迷ってるの!! これと、これ!!」


はそう言い雑誌をガシリと掴み素早くシュウの目の前に広げてページを捲りながら指差した。
シュウはの指す服を見ながら、よく見てないのに此処まで正確にページも開けて欲しい服が指せるわね、と思ったが色々と横槍を入れると会話がこじれそうなのであえて黙っておいた。

「どれどれ・・・」と言って再度見比べる為に雑誌をパラリと捲る。

一つは淡い色合いで可愛らしいフリルの着いたスカート。
上着にはこれからの暑い季節に向けての涼しげで可愛らしいキャミソールに其の上に羽織れる薄い上着もある。

もう一つはこれからの暑い季節に合いそうな短パンに、可愛いようで格好良さも兼ね持つ模様の描かれたTシャツがある。
ついでにそれらに合う良い感じの帽子までもがあった。

なるほど、こりゃ迷うわ。とシュウは思いを見やる。


「・・・どっちも似合うと思うよ?」

「・・・だから迷ってるの・・・、ね。シュウはどっちが良いと思う?どっちもは無しね!!」

「どっちか・・・ねー・・・」


シュウがそう言い「うーん」と唸り考え始めた時、達のテーブルの近くに誰かが近付いてきて立った。
とシュウが其方を見やると、今年度SeeD試験で合格し、晴れてSeeDになった少年、スコール・レオンハートが居た。
シュウは実地試験で彼の事を知っていたので「やあ、スコール」と軽く挨拶をした。
もスコールとは幾度か会話をした事があったのだが、どうにも彼を前にすると変に緊張してしまう。
スコールの整った顔に見詰められると、真っ直ぐ彼を見返す事が出来無いのだ。動悸だって変に早くなる。

俗に言う"恋"という物なのだが、は其れに気付かない振りをしつつ彼を見てきた。

はにこり、と微笑んで「こんにちは、スコール君」と言って彼を見上げる。
スコールはシュウとに挨拶を軽く返し、を見やった。


「学園長が呼んでいます」

「おろろ?って事は任務?君と一緒に?」

「・・・多分」


は瞳を丸くしてスコールを見上げて言う。
彼女の問いにスコールはそれだけ返し、チラリとテーブルの上にある雑誌に視線を移した。


「(ファッション雑誌・・・)・・・さん、最近気が緩んでるんじゃないんですか?」

「え?」


冷めた目で雑誌を見下ろしているスコールの言葉に、は短く声を上げる。
だが直ぐに眉を吊り上げ、スコールを見返し反論の声を上げた。


「・・・確かに、ここ一週間任務が無くてのびのびとしている様に見えたかもしれないけど、私だってやる事はやってるもん!」


実技訓練をしたり、G.F.訓練だってやっている。
この現状を見ただけでそう結論を出されるのはは嫌だった。
それは当然誰にでも。だが、は密かに淡い想いを抱いているスコールにはそう思って欲しくは無かったのだ。

頬を膨らましてそう言うとスコールは口の端を少しだけ吊り上げ、「俺は先に学園長室に行っています」と言い去って行った。
今、絶対馬鹿にした。とは思いつつストローに噛り付いて一気にカフェ・オレを飲み干した。

そして空のグラスをダン!と音を立ててテーブルの上に置くと「ごちそーさま!!」と言い席を立った。

机に広げていた雑誌を手に取り、丸めるにシュウは「?」と声をかける。
は雑誌をグルグルと丸め、手でポンポンと打ちながら「任務らしいから、学園長室行って来るね」と言い去って行ってしまった。



元々SeeD服を着ていたは其の身のまま学園長室に向かう為にエレベーターのボタンを押した。
エレベーターを待っている間、は腕を組んで俯き、はぁ。と溜め息を一つ零した。


(・・・私、スコール君に嫌われてるのかな・・・)


そう思い、丸めたせいでグシャグシャになってしまったファッション雑誌をちらりと一瞥する。


(こーゆーの、他の誰かが見てても大して何も言わない癖に・・・私の時だけ意地悪ばっかり言ってくる・・・)


実らぬ想い、なのかな?

が思いまた溜め息を吐いた時、エレベーターが来た。
中に入って、閉まるのボタンを押した時、エレベーターは扉を閉めかけたが、誰かの手が扉を掴み、エレベーターの扉が閉まるのを止めた。
が瞳を丸くしていると、エレベーターの中に学園の問題児、且つ風紀委員長のサイファー・アルマシーが乗ってきた。

サイファーの姿を視界に留めたは片手を上げて「こんにちは、サイファー君」と言い笑って挨拶をする。
サイファーは「何だ、か」と言いエレベーターの中へ入ってきて閉まるのボタンを押した。


「・・・サイファー、二階?」

「あぁ。 お前は三階に行くって事は任務か?」

「当ったりー」


そう答えた後、はある考えが頭に浮かび、サイファーを見やる。


「そういえばサイファー君ってスコール君と仲良かったよね?」

「何処を如何見ればアイツと仲良しさんに見えるんだ?」

「スコール君って何であんなカリカリしてんの?ていうか先輩を敬いなさいよあんた達!」

「オレが知るか」

「今全部纏めたでしょ・・・答え・・・」

「アイツに直接聞けよ」


サイファーの横顔を暫く見上げていたが、ふい、と顔を逸らし、は「冷たいんだね」と呟いた。
少しだけ俯いたをサイファーは一瞥し、小さく息を吐く。

そして、「オラ」と言うとの頭を小突いた。


「酷い顔してんぞ。今のお前、ブサイクだ」

「・・・元から酷い顔ですよーだ」

「そんな風になんならさっさと告れ。そんで玉砕してスッキリしろ」


そしたら、風紀委員で慰めてやるよ。

そう付け足してサイファーはそう言い、の頭の上にある手をぐしゃりと丸めた。
指の隙間を細い髪が通り、くしゃりと丸まる。

は口の端を吊り上げ、「酷い人だね、サイファー君」と呟いた。


チン、と音が鳴りサイファーが二階で下りる。
は微笑み、片手を上げて彼に別れを告げた。


少し経って、着いたのは学園長室。

チン、と音が鳴りエレベーターの扉が開かれる。
・オルコットです。失礼します」と言いコツコツとわざと靴音を響かせて室内に足を踏み入れる。
中にはシド学園長と先程食堂でを呼びに来たスコールが居た。

やっぱり彼と一緒の任務か。とは思いながらシドに向き直る。



彼から言い渡された任務は貴族の令嬢の護衛だった。

と、言っても派遣される達の少数部隊は令嬢の近辺護衛では無い。
街の外に居る令嬢を狙う者達の撃退だった。
万が一、街の中に相手が入っていっても良い様に令嬢の周り等に護衛が付いているらしいが此処で取り逃がしたらSeeDのプライドに傷がつく。

絶対に全部殲滅してやる。はそう思いながらシドから渡された命令書を見ていた。


「班長はです。サポートとしてスコール。他の部隊を率いて下さいね」

「「了解」」


シドの言葉にとスコールは敬礼をして了承の合図を送った。


目的地へ行くのには列車を使う必要がある。
取り合えず精鋭部隊を率いてバラムへ行き、は人数分の列車のチケットを購入していた。
その背後で、靴音が響く。


さん、大丈夫なんですか?」

「・・・何が?スコール君」


人数分のチケットを受け取り、枚数を確認した後スコールにその一枚を渡しながらは言った。
スコールは無表情で其れを受け取り、言葉を続ける。


「一週間のブランクです。幾ら訓練をしていたと言ってもブランクがあった後にAランク級の任務のリーダーを行き成り受ける事が」


スコールの言葉にはピクリ、と片眉を動かすが直ぐに何時もの笑顔を浮かべ、髪を掻き揚げた。
甘い香りが舞う中、はスコールを見返して口を開いた。


「其処はSeeDの意地ってモンよ」

「変に意地張って失敗だけはしないで下さいよ」

「・・・可愛くない子」


は最後にそう呟き、他の皆が待つ方へと踵を返して行ってしまった。

そんなの後姿を見ていたスコールは、誰にも気付かれぬよう舌打ちをし、拳を握り締めた―。
























































「でも好きなんですよねー!」


はああぁぁぁぁ。と大きく溜め息を吐きながらは一人愚痴る。

何て可愛くない後輩なんでしょう!スコール・レオンハート!!

でも何て輝いて見える存在なんでしょう!スコール・レオンハート!!


恋した相手って、たとえどんな欠点があったとしても其処さえ愛せちゃうんだよね。
は思いまた溜め息を吐く。


ちなみに今は見回りをしている。
街の中に敵を入れない為に、街の入り口付近、そして外もSeeDを張らせてある。
リーダーであるは最終的なチェックをする為に見回っていた。

怪しい物なら先程のチェックで結構見つけて片付けておいたが、念には念をだ。

またが溜め息を吐こうとした時、歩を進めているの背後で、ガサリという音が微かだが聞こえた。
は咄嗟に片足を軸にして身体を反転させて、腰のホルスターに入っていた二丁銃を手に収め、一点にピタリと狙いを定めた。


「誰、其処に居るのは」


答えなさい。と言おうとした瞬間、バァンという発砲音が響いた。
は咄嗟の事で身を屈めてかわし、自分もその一点に向けて発砲した。

ガゥン、ガゥン!という騒音が響き、草むらで何かが倒れる音がした。
が、はその場を動かず辺りの気配を伺う。


恐らくだが、囲まれている―。


考え事してるからかな、迂闊だった。とは思いつつインカムのスイッチを入れて口を開く。


「此方。Aの第二ポイントで敵と接触。応援部隊は移動。防衛部隊は警戒しなさい」


口早にそう言いは地を転がる。
すると、先程までが立っていた場所に銃弾が走る。
連発で来たので相手はマシンガンか、とは予測し木の陰に隠れる。

銃の弾を補充しながら、休み無く飛んでくる銃弾にどうしようか、と暢気に思考を巡らせる。
取り合えず髪を結っておいて良かった。とどうでも良いような事を考え、は銃をこっそりと動かす。
そして真横に向けて発砲し、隠れて此方を狙っていた相手を仕留める。
もう片方の手に握られた銃ではマシンガンを撃ってくる者を狙った。
取り合えず止めれれば良い。と思い撃ったら思いの他良い箇所に当たったようだ、銃撃が止んだ。

は其の隙を見逃さず、すぐにボロボロになった木から躍り出るとマシンガンを再度構えようとしていた男に飛び蹴りを喰らわせた。
苦しむ男の顔面に足は当たり、男は呆気無く吹き飛んでいった。
「いっただき!」と言いはマシンガンを拾い上げ、構えて此方を狙っていた者達へ向けて乱射する。

悲鳴が聞こえる中、は(やっぱマシンガンは扱いづらい)と思っていた。
そんなの背後でザン、という何かを斬る音が響いた後、の背に誰かの背が付いて来た。


「各防衛ポイントにも敵が出現した様子です」

「・・・うん。でも大丈夫なんでしょ?」

「敵は素人ばかりです」

「つまりは囮って事ね」


背後から淡々と告げられる現在の情況を聞きながら、は弾の無くなったマシンガンを投げ捨てて二丁銃を再度構えた。


「で、スコール君。敵さんの本命はー?」

「街に入ろうと地下から動いている様子です、下水道辺りに今斥候をやってます」


スコールの言葉には「そっか」と返し此方の様子を伺っていた相手を撃ち倒す。
二丁銃を手の中でクルクルと回しつつ、は背後で同じように敵を倒したスコールを見やる。


「下水道って事はまだ街の外だもんね、こうなりゃ意地でも入れさせないわよー!」


行くよ、スコール君!と言い走り出したにスコールは短く「了解」とだけ言い彼女の後を追った。

下水道付近にも防衛ポイントとしてSeeD部隊を配置していた筈だが、どこまで食い止めてくれているか、とは頭の隅で考えながら走る。
邪魔しにかかってくる敵を倒しつつも難なく下水道へと辿り着いたとスコールは其処で倒れているSeeDの青年へと近付く。
が彼の呼吸と脈を取った後、ケアルをかけて傷を塞ぐ。
そうすると彼は瞳を開け、口を開いた。


「・・・班長、」

「敵さんは?」

「下水道に入っていきました・・・。僕以外に居た仲間が後を追っています」

「OKOK。 じゃ、ちゃっちゃと片付けて来ますから貴方は此処で待機ね」


まだ怪我は完全に塞がったわけじゃないから。
そう思いつつは彼に言い下水道の入り口へと近付く。
無造作に開け放たれたマンホールに近付くと、中から下水独特の臭いが漂ってきて思わず顔を顰める。


「・・・終わったらシャワー浴びる、コレは決定事項ね」

「好きにすればいいじゃないですか・・・」


梯子に手をかけて下に下りると戦闘の跡が壁に残されていた。
辺りを見渡しつつ下り切ったが歩を進めると、行き成り前から銃撃された。
突然の事に驚いたは横に居たスコールの頭をガシリと掴んで地に倒させる。
当然自分も地に伏せる形となったのだが、

床に伏せて銃撃を避けた二人だが、銃撃はまだ追ってくる。
二人は床を転がってそれを避けて己の武器を構える。

床を転がりながらは片方の銃を構え、此方を狙っている相手を狙撃する。
それは見事に命中し、銃撃が止んだ。


「うへ、きったない・・・」


下水道の床を転がったせいでついた汚れを見つつはそう零す。
まぁ、下水の中に落ちなかっただけマシか。と思いは銃を両手に持ったまま進む。

黙って進む中、はそうだ、と口を開く。


「スコール君、さっきは大丈夫だった?」

「・・・先輩が余計な事をしなければもっと上手く避けれたんですがね」


何処か苛立った様子でそう言うスコールにはムッと眉を寄せる。
助けてあげたんでしょ、と言えば彼は頼んでいないと言ってくるだろうからあえてそれは言わず。
はスコールを見上げて「あのねぇ」と言う。


「ありがとうも言えないの?」

「・・・・・・」

「・・・スコール君って、さぁ。 私の事嫌いでしょ。其れは君の態度見れば分かるんだけどさ、
 普通助けて貰ったらお礼くらいは言わない?」

「・・・別に、嫌ってはいない」

「(そーは見えないんだけどね) ・・・無愛想なところも君らしさかもしれないけどさ、何時までもそうしてると寂しい人になっちゃうよ?」

「アンタには関係無い」


スコールは口早にそう言うとを見下ろす。
その瞳はとても冷たい色を宿していて、暗に「俺に近付くな」と、「関わるな」と言ってきているようだった。
それに対し、は負けじとスコールを睨む。


「関係無くは無いでしょ、私達は仲間なんだから」

「仲間だからって勝手に他人に深く干渉されても困る」

「・・・でも、知りたいと思う事はいけ無い事になっちゃうよ、それじゃあ」


「私は、」と言いは瞳の色を変えた。
それは酷く寂しげで、不安に揺れているような儚げな色をした瞳―。

彼女のそのような瞳の色を初めて見るスコールは微かに目を瞠りながら彼女を見下ろす。

もスコールを見上げ、言葉を紡いだその瞬間―、




バァン!!と、一発の銃声が響いた―。




其れと同時に崩れる目の前の身体、


衝撃のせいか、解けた長い髪が彼女の倒れる後を追う様に舞う。


ズシャ、という人が倒れた音を耳にした瞬間、スコールはハッとして下を見やる。


彼が見た先には、



長い髪を無造作に床に散らばらせ、力無く倒れているの姿があった―。



じわじわと広がる鮮血の水溜り。

其れを見た瞬間スコールは瞳を大きく見開き、無意識の内にガンブレードを強く握り直していた。
そして、これもまた無意識の内に駆け抜け、此方を銃撃した人物を斬り付ける。
ザン、という斬撃の音が響く中、次に其処の近くに居た他の敵の仲間を切り裂く。

無我夢中で敵を斬って斬って斬って斬って斬って斬って、

残り一人となった所で構えを直す。
真っ直ぐに刃先を相手に向けて、冷たい瞳で其れを見下した。

余りに呆気なく事切れていった仲間達を見て恐怖を抱いたのか、敵の残り一人の男は腰を抜かし、それでも逃げようとする。
待ってくれ、と命乞いをしてくるがそんな言葉は耳に入らないとでも言う様にスコールは剣を容赦無く振りかざす。
ヒッ!と男が喉の奥から悲鳴を上げた其の時、


「待って!スコール!!」


スコールの腰に何か温かいモノが飛び付いて来た。
其れに反射的に振り下ろす刃を止めてしまったスコールは、驚いて其方を見やる。

自分の腰に腕を回してきていたのは、先程銃撃されただったからだ。
どうして、と思っているとどうやら先に敵を追って入ってきていたSeeD部隊がを治療したようだった。
彼らは今、残り一人となった首謀者らしき男の身柄を捕らえ、連れて行っている。

行き場の無くなった刃を降ろすスコールに、はやっと離れて彼を見上げる。


「駄目でしょー、首謀者は殺しちゃ! 情報が入手出来なくなっ―・・・!!」


腰に手をあて、少し困った様子でそう言ってくるを見ていると、何だか身体の力が全て抜け落ちる感覚に見舞われ、スコールは彼女の方へと身体を傾けた。
突然倒れこんできたスコールを驚きながらも支えるは、「ど、どうしたの!?」と声をかけてくる。

怪我でもしているのだろうか、とスコールの様子を看るに彼は口の端を吊り上げた。

そして、彼女の背へ腕を回した。


突然のスコールの行動には「ひゃっ!?」と短く驚きの声を上げると、彼を見やる。


「・・・ス、コール君・・・? どうしたの・・・?」

「・・・・・・・った、」

「え?」


何?聞こえなかった、もう一回、とがスコールの背をあやす様にポンポンと叩きつつ言う。
子供扱いされているような行動だったが、今は何故か反論も、拒む気も起きずにスコールは彼女の身体を唯抱き締めていた。


「・・・アンタが、死んだのかと思った・・・」


耳元で、ハッキリと彼の声を聞いたは彼の言葉に目を瞠ったが直ぐに顔に笑みを浮かべ、スコールを安心させるように抱き締めた。

そうされたスコールは、直で感じる彼女の心音に耳を傾けていた。

トクントクン、と規則的に動く鼓動、それは何より彼女が此処に居る証だった。


安心しているスコールとは裏腹に、は一人でドギマキしていた。


彼はどうしたのだろう、自分嫌われてなかったっけ?あ、でも嫌ってはいないって言ってくれたけど、この状況って一体?

そんな事を思っていると耳元で「」と名を呼ばれて思わず肩を跳ねさせる。


「アンタは俺を、もっと知りたいと言ってくれた・・・何故だ」

「え? そりゃあ、あれだよ、スコール君」


君が私の想い人だからですよ、と言えればどんなに楽だろう。

はそんな事を思いながら少しだけスコールから離れて彼の顔を見やる。


見てから、後悔した―。


真っ直ぐに空色の瞳で見詰められては、抑えが効かなくなってしまうから、

でも、いいか、玉砕だろうが違う風に取られようが、もう、なんでもいいや。

だってサイファーだってそう言ってたしね、うん。


と、はポジティブに考え微笑んでスコールを見詰めた。


「好きな人の事、知りたいっていうのは当然の事でしょ?」


そう、仄かに頬を朱に染めて言うにスコールは「そうか、」とだけ返した。
え、それだけ?と呆気に取られただが、直後に頬を彼の手で触れられる。

何だろうと思い彼を見上げると至極真面目な様子のスコールと目が合う。
其れに小首を傾げると、彼は口を開く。


「じゃあ、アンタの事を教えてくれ」


彼の言葉を聞き間違いかと疑ってしまったのは私だけじゃないはず。
(え、それはつまり、どういう事でしょうか、自惚れても良いという事でしょうか!?)



Teaching you because you come to like it.
(あなたのことを教えて下さい、そうしたらもっとあなたが好きになるから)




「シュウー!! 私・・・私・・・!」

「どうしたの??」

「茹蛸で死にそう・・・・・・!!」

「・・・分からないけど、大体分かった。 取り合えず任務お疲れ様」

「あい・・・」




【END】

大変お待たせ致しました・・・!(土下座もんだよ!)
当サイトのキリ番の8888を踏まれました紫織様に捧げます、遅くなってすみませんでした><;
しかも結構カオスな内容となってしまいました、あんまり甘くな・・・;;;

リクエストはFF8で年上のヒロイン。
前からヒロインが片想いでSeeDとして同じ任務に就いてそこで一波乱あり両想いへーな事だったのですが・・・添えていますでしょうか?

もう煮るなり焼くなりお好きにどうぞです!返品だって可ですとも!(笑)


※紫織様以外無断転載禁止です※