アーモリーワンで機体を強奪した際、ステラたちのバックアップを行った。
既存の機体を乗り、ステラたちを援護した際に交戦した新型。

セカンドステージシリーズのMSがまだあったなんて。

そんな事を思いながら交戦をした記憶はは持っていた。
ゆりかごで眠っているステラ、アウル、スティングを横目で見つつ、はネオの話に耳を傾けていた。


「以降、は俺と一緒にステラたちのサポート役だ」

「・・・」

「精神状態は、大丈夫か?」

「だいじょうぶ」


ネオの質問には頷いて小さく笑った。
そんな彼女を安心させるように、ネオは頭を撫でる。

ネオに撫でられるのは心地良い。
先ほどまでコックピットの中で感じていた恐怖や震えが吹き飛んでいくのを感じていた。


「ネオ、ネオ」


は嬉しそうに笑いながらネオの軍服の裾を引っ張った。
それに彼は優しそうに「ん?」と小首を傾げて耳を傾けてくれる。

ネオはとても優しい。
仮面で素顔は見れないけれど、優しい瞳で見守ってくれている事が分かる。

えへへ、と笑いは口を開いた。




















































「がん・・・ばるから・・・」


ん、と声を漏らして目をゆっくりと開く。
どうやら眠ってしまっていたようだった。

体を起こすと、そこはソレスタルビーイングの母艦であるプトレマイオスの一室だと気付く。
そういえば昨日はソレスタルビーイングのメンバーと顔合わせをしたんだった。
そう思いながらベッドから降りて身嗜みをぱっと整える。


「・・・ネオ、」


それにしても懐かしい夢を見た。
あれはザフト軍基地アーモリーワンでセカンドシーズンの機体を奪取した後のことだった。

前の世界の夢を見るとなんだか落ち着く。

今でも正直コックピットの中に居ることは怖い。
戦いは怖い。相手に命を狙われるのだから。

けれども、ソレスタルビーイングに入った以上武力介入を行うしかない。
この世界へ落ち、王留美に拾われた。
他に頼れる人も、一人で生きていく術も無いのだから仕方ないといえば仕方ない。

それに、


「・・・私には、戦う事しかできないから」


私は、エクステンデッドだから。

はそう思い胸の前で手を合わせた。

球連合軍第81独立機動群ファントムペインに所属していたMSパイロット。

一回の戦闘を行った後は、ゆりかごに入って眠り、精神を安定させる調整を受ける必要があったけれど、それはには無かった。
そして同時に、命令を行う側にとって余計な記憶も消去さる。
未完成なものなので、印象強い記憶を消去し続けたり長い間消去しなかった記憶を消去すると記憶に空白が生まれる。
それが原因で情緒不安定に陥る事や、印象強い記憶は、何らかのきっかけで思い出す場合がある。
時折暴走を起こすため、それを制御するブロックワードと呼ばれる特殊な暗示が施されている。
たとえ偶然発せられたものでもそれを耳にしてしまうと、激しい恐慌状態に陥る。


私は記憶を消される事も無かったけれど、それは実験台にされていたからだって知っている。
もしこれがステラやアウルだったら耐えられなかっただろう。
スティングはまだ落ち着きがあったが、出来ることならさせたくはない。


そう思いながら、は赤いリボンがついたワンピースを見にまとい、ドアを開ける。
ちなみに今は宇宙に上がっているので無重力の影響が艦の中にもある。
ミニのワンピースの下にはちゃんとスパッツをつけているので問題は無いはずだ。

壁際にあるレバーを使い、移動をする。
とりあえず朝食を頂こう。
そう思い食堂へ移動をしていると、横から声が聞こえた。
「あ、」と短く声を上げたのは、長い前髪が印象的な、


「アレルヤさん、」

「アレルヤでいいよ」


ガンダムキュリオスのパイロット、アレルヤ・ハプティズムだった。
そう言われたのでは遠慮なく「アレルヤ」と呼ぶ。


「おはよう」

「うん、おはよう、


お互いに挨拶を交わすと、アレルヤが微笑んだまま「食堂?」と聞いてきた。
うん、と返すと彼は「丁度良かった」と言って食堂の方向を指した。


「一緒に行こう。僕も丁度食堂に行くところだったんだ」


うん、と笑顔で返すとアレルヤはホッと息を吐いた。
人見知りか、それとも私が女だから気をつかっているのか。
そんな事を思いながらは彼に近付く。

真横に並んだ彼女に、アレルヤが思わず体を硬くする。


ふ、ふわふわしてるなぁ・・・


こんな女の子があのガンダムに乗ってるなんて。
そう思いながら自分より小さく、華奢な体のを見下ろす。
背まである金色の髪は低重力の中、ふわふわと舞っていた。あと、スカートも。


・・・スカート!?


視界の端に入ったものに、アレルヤはぎょっとした。
低重力の中でスカートだなんて!
思わず頬を赤らめるアレルヤの視線に気付いたは「ふふっ、」と声を上げて笑う。


「大丈夫、ちゃんとスパッツ履いてるから」

「あ、いや、その、ごめん、じろじろ見て・・・」

「そうだぞーえっち」

「えっ!!!」


更に顔を赤くするアレルヤに耐え切れず、はぷっと噴出す。
「ごめんね」と言いはアレルヤを見上げる。


「ごめんね、私スカートしか持ってないの」

「そ、そっか。なら今度買出しの時にちゃんとズボンも買うといいよ」

「うん、そうする」


話をしている間に食堂に着いたようだった。
食堂には昨日会ったクリスティナとラッセ、刹那が居た。
挨拶をしてきたクリスティナに挨拶を返し、ランチの説明を彼女から受けた。
アレルヤは、と思い振り返ると、彼は何やらぶつぶつと呟いていた。
「否、だめだよ、ちゃんとしなきゃ」と言い頬を赤らめていた。

小首を傾げながらも、クリスティナからAランチを受け取る。
アレルヤを見ていると、刹那が「気にするな」と言ってきた。


「あ、刹那」

「アレルヤの事は、気にしなくていい」


機密事項、というものだろうか。
そう思いながら、は一度小さく頷いて刹那の横に腰を下ろした。




二話目。
刹那はこの後ごちそうさまして出て行っちゃいますよ。