※再生篇18話「アッシュフォード・ラプソディ」ネタです。
気まずいままの二人ですがちょっといちゃいちゃしてます。
キューピッドの日。
アッシュフォード学園で開催された祭りに京都へいきたい一行も参加する事となった。
イベントがスタートしたら学園の敷地内に居るお目当ての相手の額にタッチをする。
タッチされた人はタッチした人と強制恋人になるという。
尚、オープンイベントなので学園外からの飛び入り参加も歓迎されるようだ。
学園内で女子に人気の高いルルーシュはみんなから逃げている。
アルトは男女に人気で、モデルである葵は男子から人気。
お姉さんに人気な正太郎も、なんだかんだで楽しんでいる様子が伺える。
斗牙はいまいちルールを理解出来ていないようだが、仲間内と楽しんでいる。
甲児とさやかのやり取りや、クロウを追いかけるエスター。
青山とロックオンは声をかけられているし、シンとルナマリアも仲睦まじく寄り添っている。
「そんな事しなくても・・・俺たち、もう恋人同士だろ・・・」
「そうね・・・そうよね!」
頬を赤らめて嬉しそうに微笑むルナマリアは見ていて心が和む。
柱に寄りかかって仲睦まじい二人を見ていると、あの、と背後から声をかけられる。
小首を傾げて振り返ったは、そこに居る名も知らない男子生徒を見つめた。
あの、と口をもごもごと開閉させる様子に疑問を持ったは「何か?」と問う。
「そ、その・・・よろしければ、僕と・・・!」
「え」
これはまさかキューピッドの日のお誘いだろうか。
額にタッチされたら強制的に恋人となるので、相手は誰でもいい。
は小さく息を吐いて、彼に向き直る。
「ごめんなさい、私なんかに声をかけてくれて嬉しいんだけど・・・」
「もしかして、もう既に・・・?」
言い募ろうとする彼には申し訳ないが、ここは嘘をつかせてもらう事にした。
は言葉には出さずに、無言で肯定の意を返した。
基本、紳士なのだろう。貴族の子息が多い学園だ。
彼は一礼するとそのまま去って行った。
恋人。
その言葉がの心にのしかかる。
シンとルナマリアを見ていると、とても幸せで、あたたかいものに感じる。
けれども、恋という感情は自分の中では醜く、暗いものだった。
アレルヤにはマリーが居た。
私へ感じていた感情は、本来マリーへ向けられる感情だった。
分かっていたはずなのに、彼が与えてくれる甘い感情が手放せなくて。
(駄目だな、私)
そう思い項垂れるの視界に、影が入った。
また誰か来たのだろうかと思い顔をあげた彼女の前には、
「・・・ア、レルヤ・・・」
ソレスタルビーイングの制服を身に纏ったアレルヤが居た。
制服を着用していない自分が別の場所の存在にまで思えて、は思わず視線を逸らした。
そもそも、どうして彼が此処に居るのだろうか。
本来ならマリーと共に楽しくキューピッドの日を満喫しているはずなのに。
その問いを口にしようとがアレルヤを見ようとした瞬間、
「・・・え?」
「あ、」
視界に大きな手が入り込んできて、思わず体を動かした。
反射的に避けてしまったので、アレルヤの手は行き場を失くして宙に浮いたままとなっている。
何してるんだろう、と思いながらが小首を傾げると、彼は力なく笑った。
「・・・やっぱり、嫌かな」
「え、」
何が、とは聞かなかった。
眉を下げ、金と銀の瞳を悲しげに細めたアレルヤは手を下ろす。
力なく笑った彼を見たは空色を大きくする事しか出来なかった。
今、間違い無く彼は自分の額にタッチしようとした。
「・・・どうして?」
マリーが居るのに、とが瞳を瞬かせていると、アレルヤは一歩彼女に近付いた。
(彼女が刹那に心惹かれている事は分かっている)
(アレルヤはマリーが好きなのに)
(けれど、僕は君を諦める事が出来ない)
(分かっているのに、私、だめだ、)
(せめて・・・)
一日だけでも。
アレルヤの願いと、目の前の誘惑にが折れそうになる。
頬を仄かに染めてまるで期待するように自分を見上げるに、アレルヤの顔にも熱が集まる。
可愛い。純粋にそう思った。
短くなった金色がふわりと風に舞う。
小さく咳払いをしてから、ご無礼、と呟いてアレルヤはの額に軽くタッチした。