※スパロボZ破界篇の25話がベースの話です。
 『太陽と守り人』設定の登場人物設定となっています。









「結局、あの3機のガンダムも紅いダンクーガも謎だらけって訳かよ」

「守秘義務って言葉を出されたらそれ以上は突っ込まないのが、この部隊のルールのようなものだからね」


ZEXISは別行動をしていた。
国連の平和維持理事会に協力する者たち。
そして宇宙にあがる者たち、エリア11に戻る者たちとなっている。
S.M.Sの戦艦であるマクロスクォーターのブリーフィングルームに皆集まっていた。
先日現れたスローネというガンダム。そして紅いダンクーガ。


「とりあえず分かったのは紅いダンクーガはトリニティの連中にとっちゃ外様扱いだって事くらいだ」

「そのトリニティは以前の貴方たちと同じように武力介入をするそうね」

「それって、紛争の現場に乱入して、双方を殲滅する事ですよね・・・確かに理屈では、戦闘に参加する者全ての戦力を奪えば紛争は終結しますが・・・」


ロックオンの言葉の後にくららとルカが続く。
ルカの言葉を聞いたアルトが眉を潜め、口を開いた。


「今の世界の状況じゃ、軍を潰された国には他国が襲い掛かるぞ」

「それだけじゃない。インベーダーや獣人のような敵に対抗する力さえも失う事になる」

「だから、俺たちはそっちの方を叩くのを優先し、武力介入は状況に応じて行う方向に転換したのさ」

「じゃあ、そいつらに言ってやれよ。状況を見ろってな」

「残念な事に言って聞くような連中じゃねえな、ありゃ・・・」


苛立ったアルトの言葉にロックオンが肩を竦めて言う。
彼女は別かもだけどな。と言うロックオンに習って視線がに集まる。
当の本人は椅子に座りながらぼんやりとするだけだったが。


「あのヨハンって奴、に携帯端末渡してたもんな」

「ありゃ相当お熱だったぞ、いいのかアレルヤ」


朔哉が問うとアレルヤは銀の瞳を細めて「良い訳無いでしょ」と低い声で言う。
普段とは違うアレルヤの様子に、ルカや朔哉がぞっとする。
それを紛らわすかのように、朔哉が声をあげた。


「そ、そいつらが武力介入って事でインペリウムも叩き潰してくれりゃ、こっちも楽なんだがな」

「何よ、クロウ。この間から随分とテンションダウンしてるじゃない」

「俺は出来れば、楽して勝ちたい主義なんでな。トリニティが奴等を叩いてくれるんなら、それはそれでOKだ」

「お前の事だ。どうせ、そう簡単に事が運ぶとは思ってねえんだろ?」


ご名答、さすが凄腕スナイパー。
軽い声色で言ったロックオンへクロウは茶化した声をあげた。


「あの破壊の王ってのはトンデモな力を持っている。あれとやり合うってんなら、規格外の戦力が必要だ」

「トリニティではインペリウムに勝てないという事か・・・」


刹那の言葉の後に、はトリニティのヨハンという者に突っかかりを覚えていた。
携帯端末を手渡してきた男。
彼は、どこか違和感を感じた。





「あ、やっぱり」

「何かな?」

「ヨハンって、さっきスメラギさんの回答には予行練習でもしてきてたの?」


の一言にヨハンは瞳を丸くし、ミハエルは「はぁ!?」と声をあげた。


「兄貴がそんな事する訳ねぇだろ!」

「じゃあなんであんなメモ読んでるみたいな・・・」


そこまで言ってヨハンをまた見てみると、彼は驚いているのか、ずっと目を丸くしていた。
どうしたんだろう、とが思っていると彼は口元に手をあてた。


「・・・、貴女は・・・」

「ん?」

「・・・不思議な女性だ」





、私は貴女に興味を抱いた」

「へ?」


私に?
がそう言うとヨハンは頷いた。


「貴女は一瞬で私の本質を見抜いた。それに貴女の瞳はとても澄んでいて美しい」





本質。
ヨハンはそう言った。

しかし本当に恥ずかしい事をさらっと言う人だった。


「インペリウムが破壊の王を呼び寄せたなら、こっちも別世界からの助っ人を味方にするってわけか」


ZEUTHという言葉。
別世界から飛ばされてきた人間というのに、は心当たりがあった。
顔を俯かせたに、葵が気付く。


「・・・そういえば、貴女やけに反応してたわね。別世界の事に関して」

「わ、私は・・・別に・・・」




が言葉を濁していると、遮るようにティエリアが声をあげた。
別世界からも来た、という事実を知っている彼が気を遣ってくれたのだろうか。
丁度その時、スクランブル警報が鳴った。
ラムの出撃の準備を、と言う放送も響く。


『前方に次元境界線の歪曲を確認しました。転移を伴うレベルの次元震・・・時空振動の可能性があります!
 本艦とプトレマイオスは調査のために時空振動の発生ポイントへ向かいます』

「時空振動・・・もしかすると、そこには・・・」

「ああ。新たなお客さんが来ているかもな」


アルトとクロウの会話を聞きながらは立ち上がった。
もし、流れ着いたのが知っている人だったら、否、たとえ知らない人でも自分と同じ境遇に捨て置ける訳が無い。
それに、今はテロリスト扱いされているガンダム。
もしガンダムに乗った人たちだったらOZに狙われてしまう。
それに次元獣だって、インベーダーだって居る。危険が多すぎる。

直ぐに出撃準備に取り掛かろうとしたの腕を、優しくアレルヤが掴む。


「あまり急ぎすぎないで。大丈夫、僕たちも居るんだから」

「・・・アレルヤ・・・」

「一人で無茶しないで」


心配なんだ。
そう言われている気がして、は少しだけ笑んだ。


「・・・うん。でもやっぱり、寂しい気持ちになるから、知らない場所って・・・」

「・・・


いい雰囲気の二人を、ミシェルたちがほくそえみながら眺めていた。
若いっていいね、と言うクロウにロックオンが溜め息を吐いた。










時空振動が発生した宙域に着いた頃には、既に戦闘が始まっていた。
ミカエルに搭乗し、出撃したはそこにある機体に思わず息を飲んだ。


『ガンダムだと・・・!』

『ヴェーダのデータに無い機体・・・あれもトリニティの仲間か?』

『否、もしかすると、例のZEUTHの連中かもしれないぜ』


刹那、ティエリア、クロウの声が通信越しに聞こえる。
それでもはそれどころではなかった。

体が震える。

見覚えの在る機体が、すぐ、そこに、いる。

白と青の、羽がある機体、あのガンダムは、


『別の世界の人間もガンダムを使ってるって言うの!?』

『どこの世界でもお湯を沸かすのはヤカンを使う。ガンダムもそういうものかもしれねえぜ』

『納得できるような、納得できないような説明だね・・・』


通信を開いているせいか、相手の方も反応する。
味方が動かない中、の機体だけが動き出す。
それに気付いた刹那が「ミカエル?」と呼ぶが止まらない。


『あの人たち・・・ガンダムと言った?』

『よく分からないけど、こっちの世界にもガンダムが存在するみたいなんだ』

『どうします、ジェフリー艦長。彼らは異世界からの転移者の可能性もありますが・・・』

『相手は次元獣だ。彼らの素性を確かめるよりも、あれの迎撃を優先するべきだろう』


ジェフリーの言葉にスメラギが了解です、と返す。
直後、進んでいたミカエルに、次元獣が襲い掛かった。
思わず全員が息を飲んだが、ビームサーベルを引き抜いたミカエルは一瞬で次元獣を切り裂き、ビームライフルで倒した。


「・・・やらなきゃ、やられちゃうから・・・やらなきゃ、やられちゃう、から・・・!」


呼吸が荒くなる。
そうだ、あの機体は、わたしを、


『そちらのガンダムパイロットへ。私は国連のZEXIS所属、ジェフリー・ワイルダー大佐だ。
 まずはそちらを援護する。無論、それは君達が我々を受け入れてくれるならの話だが』


わたしを、





!大丈夫だ!ステラもみんな無事だから!』

『―――ぁ、』

『約束しただろ・・・みんなを守るを、俺が守るって!!
 君は俺が!俺が守るからあああっ!』





まもる、だれが、そうだ、





『・・・シン?』

・・・?』

『っ・・・シン!!』


思わずベルトを外して立ち上がる。
コックピットの切れ目から顔を覗かせ、出来る限りインパルスに向かって手を伸ばす。

ただ、ただ、必死に、

顔を出す際にメットが邪魔だったので、其れを取り外し、顔を出す。


『シン!シン!!』

!』


インパルスのコックピット内に居るシンも、嬉しそうに笑った。
お互いに嬉しそうに笑い合い、見詰め合う。
徐々に此方に近付いてくる機体。

シンが来る。

それが嬉しくて、も微笑んで手をシンに伸ばした。


『シン!約束!』


思い出した!


『私を守ってくれるって!』


確かに言ってくれた!

みんなも無事。
私も帰らなきゃ、シンのところへ。

片手を懸命にシンへ伸ばす。


『連れてって!シン!!』


私を、連れてって!

そう言うとシンは強く頷いて、インパルスの手を伸ばしてきた。

―その時、


『・・・!!!!!』


デストロイの背後に一気に近づいてきたのは、白と青の機体。
急に近付いてきて攻撃態勢に入ったそれに驚く。


((そうだな。が守ってくれないと、怖い敵がきて俺もステラも、みんな殺されちまう))


ネオの声が頭に響く。
そう、私が守らないとステラもネオも殺されてしまう。

そんなのは、だめ。


((そうだ。だから、は怖い敵を倒さないといけない))


そうだ。だから私は、戦うんだ。
咄嗟に構えようとするけれど、それより相手の方が速かった。
ビームサーベルで思い切り切り付けられ、デストロイが爆発を起こす。


ーーーーー!!!!!』


愛しい声が響く。
ばちばちとコクピット内までスパークが走る。


『・・・よかった・・・シンと会えて・・・』

・・・!』

『・・・シン、守ってくれて、あり、がと・・・』

『・・・守られてたのは、俺の方だ・・・!』

『ううん・・・シン、ずっと、守って、くれて・・・た・・・』

・・・!』


目の前までインパルスが迫る。
ああ、だめ。このままじゃ巻き込まれちゃう、だから、


『シン・・・だいすき・・・ありがとう・・・』


そう言って、デストロイの大きな手でインパルスを押しやった。





――――――っ!!



思い、出してしまった、

上手く呼吸が出来ない。

そうだ、あそこに居る、機体が、


「わたしを、」


ビームライフルを構える。
照準は、白と青のあの機体。


「お前が殺した!」

 何だ!?』


しかし攻撃が避けられる。
戸惑った様子の他の三機の真横を通り白と青の機体、フリーダムに切りかかる。
ビームサーベル同士が切り結び、火花が散る。


何だ!?

『何やってんだおい!』

『ちょっと!?味方じゃないの!?』


各々から戸惑いの声が聞こえる。

ミカエルは力押しをし、ビームサーベルを振るいバルカンで威嚇射撃をする。
離れたところから再度ビームライフルを構えたところでキュリオスとエクシアに抑えられた。


『何をしている!』

『僕たちの敵は次元獣だ!彼らじゃない!』


「うう・・・怖い敵だ・・・あいつは!だめなんだよ!!倒さないと、また、また・・・!わ、わたし・・・!!」


完全に錯乱した様子のに各々が戸惑いの声をあげる。
スメラギが「いけない!」と声をあげる。


『アレルヤ!すぐに彼女のフォローを!』

『どうしたんだよ、あの娘』

『普段と違いすぎるぜ!』


ミシェルと朔哉の声が響く。
アレルヤは苦い表情をし、ミカエルを引く。


『落ち着いて!どうしたんだい!?』

「怖い敵だ・・・!
お前えええええっ!!」


キュリオスとエクシアを振り払う。
ミカエルはそのままフリーダムに再度攻撃を仕掛けようとするが、気付いた時には真正面にフリーダムが迫っていた。
ひゅ、と息を飲む。

あのときと、いっしょ、


い、いやあああああああああああ!!!!!!


言いようの無い恐怖を感じ、絶叫をする。
直後、フリーダムはインパルスに真横から体当たりをされて止められる。


『ルナマリア!?』

『落ち着いて、止めて下さい!』


何かを叫んでいる。
は未だに恐怖によって動けずに居た。
コクピットの中で自身を抱き締めるような腕を回す。
そうしている間に目の前にデスティニーが舞い降りた。

ミカエルの頭と、デスティニーの頭がぶつかる。


『――なんだろ!?』

「・・・ぇ、」


不意に、響いた声に瞳を丸くする。
顔をあげると、通信モニターに懐かしい顔が映っていた。

彼は泣き笑いの表情を浮かべると、震える声で再度彼女の名を呼んだ。


『・・・なんだよ、こんな所に居たのかよ・・・』

「・・・シ、ン・・・?」

『ああ。俺だよ・・・シンだよ、


シンだ!
そう理解した瞬間、とても嬉しい気持ちで心がいっぱいになった。


「シン、シンなんだね・・・!来てくれた・・・?」

『ああ・・・やっと会えたね・・・』


ふふ、とが笑みを零す。
嬉しい。
素直にそう思える。
デスティニーの横に並んで次元獣に向かって構える。


『・・・

「アレルヤ・・・みんなも、取り乱してごめんなさい。きっともう、大丈夫」

、後で全部ちゃんと話すから』

「・・・うん」


心配げなアレルヤにそう返し、ミカエルで次元獣を攻撃する。
ビームサーベルで攻撃した後、変形して飛び掛る。


「戦いを生み出す存在ならば!」


グリフォン2ビームブレイドで次元獣を真っ二つにする。
別方向から角を飛ばしてきた次元獣の攻撃は、デスティニーがフラッシュエッジで切り払う。


を狙うなんて・・・こいつ!!』


アロンダイトで次元獣を撃破する。
ミカエルの前に守るようにデスティニーが出る。


『大丈夫だ、!俺が守るから!』

「シン・・・ありがとう。でももう、私も守られてばっかりじゃないんだから!」


そう、私はソレスタルビーイングのガンダムマイスター。
ミカエルのパイロットなんだから。

そう思いながらはさり気無く援護してくれているキュリオスとデスティニーと共に次元獣を撃墜していった。

その後に現れたバジュラも無事に撃破し、デスティニー、インパルス、ジャスティス、フリーダム、Z、メタスを収容した。
転移者たちも全員マクロスクォーターへ集まっていた。

格納庫に集まったシンたちが其々の見の振り方を話す。


「やはり、俺たちは時空振動で別の世界に跳ばされてきたのですね」

「君達の話と周辺の状況からもそう判断するのが妥当だろう」

「僕たちの居た世界とは別の多元世界・・・」


ジェフリーの言葉にキラとアスランが悩ましげな表情を見せる。
その場のZEXISのメンバーはジェフリーとスメラギと彼らの護衛の意味を込めてミシェルとロックオンが居た。
格納庫の入り口で、マクロスクォーターへスメラギたちと一緒に移って来たとアレルヤも居たが。


「・・・、彼とは知り合い?」

「・・・うん。シンっていって・・・私の大切な人」

「大切・・・」


アレルヤは銀の瞳を細めて彼らの話している様子を見やる。


「あの次元獣やバジュラみたいな怪物はともかく、こうやって話をしているとあまり実感が無いってのが本音です」

「そうだな・・・それは、この世界にもガンダムが存在しているせいだろう」

「類似の事象が存在していたという事は貴方達の世界と我々の世界は近しい並行世界のようね」

「だからって、そう簡単には下の世界に帰るのは出来ないんですよね・・・」


シンとカミーユの言葉にスメラギが返す。
腕を組んで眉を顰め、ルナマリアが小さく零す。
そんな彼女へ視線をやりながら、スメラギも口を開く。


「私たちの世界は大時空震動から20年が経過しているけれど、人類が次元の壁を突破する方法は確立されていないわ」


インペリウムを除いては。
そう思いながらスメラギが言うとファが「そんな、」と言い表情を歪ませる。
そんな彼女を慰めるようにキラが「元気出して」と言う。


「まだ帰れないと決まったわけじゃないから」


優しく微笑んで言うキラにファも苦笑気味でも笑顔を返した。
次にジェフリーが彼らにZEUTHの事を尋ねる。


「まだ状況ははっきりしていないけれど、貴方たちと同じくZEUTHの人間の兵器の転移が複数確認されているらしいの。
 その内の何名かは私たちの仲間が現在、保護しているわ」

「貴方たちの仲間・・・?」

「先に話した通り、我々は国連・・・この世界の人類の意思統一機関に所属する部隊だ。無用の混乱を避ける為にも我々の方でも君たちを保護したい」


ジェフリーの言葉に突っかかりを覚えたシンが「でも、」と言葉を発する。
ZEXISと会う前にガンダムはテロリスト、と言い襲い掛かってきた敵。
その言葉が真実ならば、


「貴方たちのガンダムは・・・」

「シン!」

「何か?」


何か言いたげなシンを遮ったアスランに、スメラギが問う。
しかしアスランは「いえ、何でもありません」と返すだけだった。


「俺たちを最初に襲った部隊の話が本当なら、ガンダムを所持している組織はテロリストって事になる」

「この人たち・・・公的機関の人間だって言ってるけど、部隊構成を見ても、正規の軍とはちょっと違う雰囲気なのよね・・・」

「此方の世界の事情はよく分からないが、警戒を解くのはまだ早いだろう・・・」


シン、ルナマリアの小声で話すものに反応したアスランが返す。
三人が後ろで話している間に、前に出ていたキラがジェフリーと話をする。


「我々は君たちの意思を尊重するつもりだ。君たちの納得のいく対応をしたいと思っている」

「ありがとうございます、ジェフリー艦長。当面、お世話になります」


三人で話している間に決定打を打ったキラにアスランが詰め寄る。
咄嗟に肩を掴んで「キラ!」と彼の名を呼ぶが、それに反してキラの表情は穏やかだった。


「アスラン、この人たちは僕たちを助けてくれたんだ。
 話も聞かずに攻撃を仕掛けてきた人たちよりも、信頼できると思うよ」

「俺もキラさんに賛成です。この先、どう動くにしても先ず状況を確認する事が必要だと思います。
 ZEUTHのメンバーの動向を知るためにも、この人たちの保護を受けるのが最善でしょう」


キラに続いてカミーユも彼に賛同する。
アスランたちの言いたい事も分かる、とキラが続ける。


「でも、此処で闇雲に動き回ったら、またあの怪物に襲われるかもしれない」

「・・・分かった。まずは安全を確保し、これからの事はそれから検討しよう・・・」


肩を下ろしたアスランが言う。
そして、改めてジェフリーとスメラギに向き直る。


「聞いての通りです、ジェフリー艦長。貴方方の保護の申し出を受けさせていただきます」

「了解した。改めて君たちの意思を尊重し、最大限の協力を約束しよう」

「ご配慮に感謝します」


アスランが頭を下げるとシンたちも続いて頭をさげる。
そんな彼らを制したのはスメラギだった。
いつもの明るい笑顔を見せて口を開く。


「刺激的な体験の連続で疲れたでしょう。先ずはリラックスしてね」

「ありがとうございます」

「もしかして、ついてたのかもね、この人たちに出会えて・・・」


ファとルナマリアも落ち着いた表情を見せた。
他のみんなも無事だと良いんだけど、と言いシンが俯いていた顔をあげる。


「あの・・・聞いてもいいですか?」

「ん?どうぞ」


ずっと聞きたかった事であろうに、我慢していたのだろう。
スメラギはそれを感じながらシンに向き直る。


「あの、赤と白色のガンダムのパイロットは・・・」

「知り合い、だった様だけど先に関係を聞いても?」


腕を組んで言うスメラギ。
彼らの様子を入り口で見ていたとアレルヤも、スメラギの傍に居るロックオンもシンに注目する。


「・・・シン、」


シンの隣に立っていたルナマリアが気遣わしげな視線を向ける。
それに彼は「大丈夫だよ、ルナ」と言い柔らかい笑みを向ける。
アスランも、カミーユもシンを見、キラは瞳を伏せた。


「・・・は、元々俺たちの居た世界の人間なんです。
 戦場とは違う場所で出会ったんですけど・・・でも・・・俺・・・」

「・・・彼女の個人情報だろ?いいのかい?」


ロックオンの問いかけにスメラギは「構わないわ」と言い小さく息を吐く。


「マイスターの個人情報はSレベルの秘匿義務があるけれど、彼らは元々の事を知っているし・・・」


何より本人の意思もあるもの。
そう言いスメラギが入り口に視線をやる。
スメラギにつられるように其方に視線が集まったので、がアレルヤと一緒に出て行く。


!」


そんな彼女に嬉しそうにシンが駆け寄る。
シン、と彼の名を呼びながらは微笑む。

ミネルバでステラと一緒に保護された
は記憶の改竄はされていなかったのでシンの事は覚えていたので、彼の所属している場所という事で落ち着いていたが、ステラは違った。
風見も言っていた通り、特殊薬品、催眠療法で精神の平衡を保っていたステラは、普通に過ごす事なんて出来なかった。
ロザミアたちが居なくなった後だったから、尚更。





『いやぁ・・・ネオは・・・?ネオを呼んで・・・!』

『ステラ・・・私が居るわ、ステラ・・・』

、怖いの、怖いの、私・・・!』





ステラは私が守らないと。
それだけのためにずっと戦っていたは、ステラを支え続けた。
自分自身も、薬物の投与が無い間は体が衰弱していくにも関わらず。

でも、シンはずっと支えてくれた。
会った時に言ってくれた、守るという約束をずっと守ってくれていた。
しかし、ファントムペインのラボに戻った後はも精神操作を受け、全てを忘れてデストロイに搭乗した。
記憶の根底にあったシンの記憶を思い出し、彼と分かり合えたのだが、最期はフリーダムの攻撃を受けて機体は大破した。

気付いた時には、此方の世界に来ていた訳で。

はシンを見上げて微笑んだ。


「・・・会いに来てくれた?」

「勿論。約束しただろ・・・君は俺が守るって」


シンも嬉しそうに微笑む。
頷いたが、スメラギに向き直る。


「ファントムペインに所属していた頃、敵であったZEUTHのシンと会って・・・でも、私にも守りたいものがあったから、敵対する道を選び続けたの」

「前に話してくれた、惨劇が関係しているのかい?」

「・・・そう、巨大MSに乗って無差別に攻撃していた私を、シンは止めてくれた」

「その後に気付いたらこっちの世界に居たって・・・」


アレルヤの言葉にが頷く。
思い出したのか、自分自身を抱き締めるように腕を回す。
そんな彼女に寄り添い、アレルヤが肩に手を回す。


「・・・、」

「・・・コクピットの中、ばちばちして、でも、シンを巻き込みたくなくって・・・私・・・!」

「もういいよ、


無理しなくてもいい。
アレルヤはそう言い彼女を抱き寄せた。
彼の胸に頭を預ける形となったは空色の瞳を揺らがせた。


「・・・あの、機体・・・」


そこにある機体が、私を、
肩を震わせたに、シンが近付く。
「大丈夫だよ、」と言い彼は安心させるように微笑む。


「キラさんは・・・もう君を傷つけない」





「ごめん・・・チラムでの戦いの事、アスランから聞いたよ。君の大事な人を僕が傷付けたって・・・」

「・・・悪いのは、貴方だけじゃありません・・・戦争なんです・・・」


メサイアから脱出した後、キラと話をした。
アスランやルナマリアたちが見守る中で、初めて話を。


「俺だって、戦う事で誰かの命を奪ってきました・・・自分のやってきた事が、絶対の正義なんて思ってません・・・。
 でも、俺・・・色んな事が分からなくなって、だから、議長の言葉に縋って・・・」

「私もだよ、シン・・・私も同じだから・・・」


ルナマリアも表情を歪める。
俯いた二人に声をかけたのは、カミーユだった。


「でも、お前は戻ってきたじゃないか」


また俺たちと一緒に戦うんだろう?
優しい声で言うカミーユにシンの表情がくしゃりと歪む。


「・・・分からないんだ・・・今のままの俺じゃ、また誰かの言葉に縋って生きていくしかないから・・・!」


目じりに涙を溜める彼に、カミーユが口を噤む。


「俺、メサイアでお前達の声を聞いた時、ZEUTHに戻りたいと思った・・・でも、それじゃあ、俺が今までやってきた事やレイの戦いを否定する事になっちまう・・・!」


言葉を掛けられないカミーユの後ろから、アムロが前に出る。
彼は「それでもいいんだ」と言いシンの前に立った。


「人は過ちを繰り返す・・・人類全体でも、個人でもな。だが、それに気付けばやり直す事が出来るはずだ」


違うか、キラ?
そう言いシンの横に立っていたキラに視線を向ける。
シンに見られたキラは小さく頷いて、アメジストの瞳を柔らかく細めた。


「僕も、一緒なんだよ・・・シン」

「え、」

「僕もアスランも何度も間違ってきた。オーブを脱出してからの戦いも、決して正しいなんて言えない。
 だから僕はアスランやここに居るみんなと探したいんだ。どうすればいいのかを」

「キラ・・・さん・・・」


シンは驚いたように深紅色の瞳を大きくし、キラを見つめた。


「・・・貴方も、人間だったんですね・・・」

「え・・・?」

「俺やカミーユや、みんなと同じように、傷付きながら戦っていたんですね・・・。
 あの時の貴方は悲しそうな目をしていました・・・きっと俺と同じように・・・・・・」


スーパーコディネーターである自分を一人の人間として認めてくれた。
傷付いて、悩んで、当たり前の事。
驚いているキラに、シンは言葉を続ける。


「不思議ですね・・・戦っている時は分からなかったけど、こうやってちゃんと言葉を交わせば貴方の事が理解出来ます」

「人は分かり合える。それは幻想かもしれないが、その努力もしないのなら、俺たちは滅んでも仕方の無い生物かもしれない」

「はい・・・こうして言葉を交わす事で僕も皆さんが近くに感じられます」


アムロの言葉に頷いたキラに続いて、シンも「俺もです」と言い口元を緩める。
そんな彼に向き直り、キラも表情を柔らかくした。


「シン・・・君はオーブで会った時、人は綺麗に咲いた花を何度も吹き飛ばすって言ったね。
 僕たちは一緒に花を植えよう。どんなに吹き飛ばされても、何度でも・・・」





「俺たちは、理解し合う事が出来たんだ」


シンの言葉にが空色を丸くする。
相手をよく知りもしないのに勝手に決め付けてはいけない。
そうか、そうだよね。
はそう思いながら、アレルヤとシンを見た後に、改めてキラを見やる。
おずおず、と言った様子で彼に近付く。


「えっと・・・・ルーシェです・・・」

「あ、キラ・ヤマトです」

「こらこら、お見合いじゃないんだから」


ロックオンが息を吐きながら言う。
お互いに頭を下げた二人を、シンとアレルヤは見守る。


「ごめんね・・・僕は君を傷付けた・・・君とシンは分かり合えていたのに・・・」

「過ぎた、事だから・・・それに、怖いこともあったけど、こうして今此処に居る事が出来るから・・・」


いいんです。
そう言いは空色の瞳をキラに向けた。
キラは「ありがとう、」と言いと握手を交わした。

シンは「良かった」と言い改めてに近付く。


「それにしても・・・あんなに戦いを怖がっていたのに・・・」

「ソレスタルビーイングに、拾ってもらって・・・私の価値なんて、戦う事だけだから」

「それって、本当は戦いたく無いって事?」


の言葉にシンが瞳を鋭くさせる。
良く分からない、と言い彼女はアレルヤを見上げる。


「でも、守りたい人が居るから・・・黙って見ているなんて、できないし」

「・・・そっか」


シンはそう言い、彼女と同じようにアレルヤを見た。
「この人は、の・・・?」と問うシンに各々複雑な表情をする。


「えっと、アレルヤは、私の・・・」

「いい感じな二人、だよな」


言葉を濁すに代わってロックオンが言う。
それに頬を赤くするとアレルヤにシンが「ああ、」と納得したような声を出す。


「それでも、俺は変わらずにを守るよ。約束もあるし」

「シン・・・私もシンを守るね!」

「うん、ありがとう、


それでもいいですか、とアレルヤに問うシン。
アレルヤは銀の瞳を細めて口を開く。


「シン君、だっけ。僕はそれでも構わないよ」

「はい。・・・えっと、」

「僕はアレルヤ。アレルヤ・ハプティズム。よろしく」

「シン・アスカです」


各々に自己紹介を済ます。
アレルヤは気まずげに視線を彷徨わせた後、シンに問いかける。


「えっと、君はその・・・とはどういう関係だったのかな?」

「俺にとっては大切な存在です」

「シン、アレルヤは恋愛的な意味で君と彼女の関係を聞いているんだと思うよ?」


キラの言葉にシンが「そうなんですか?」と瞳を丸くする。
以前も彼女の口から零れたシンという名前。
恐らくはこの彼の事だろう。
アレルヤはそれがずっと気懸かりだった。


「えっと・・・何ていうか。そもそも俺、恋人居ますし・・・」


な、ルナ。
そう言いシンは少し離れた位置に居たルナマリアを見やる。
ファと一緒に居た彼女は菫色の瞳を瞬かせて近付いてくる。


「だから安心して下さい。俺は彼女を守りますけど、二人の間の邪魔はしませんから」

「そっか・・・それを聞いて安心したよ」


アレルヤが微笑むとシンも笑みを返した。
異性として意識するよりも、親愛の情がどうやらシンとは強いようだった。

そんな二人の様子に、アレルヤは安堵の息を零した。






長くなりましたしこれで一旦・・・!
スパロボZ破界篇の25話のシンたちがこっちに来る話がベースです。
私自身シンルナ推しですし元々アレルヤ夢という事もありましてあまりギスギスした感じにはならないようにしたんですけど・・・!
一番空気なアスランも再世篇で当サイトの夢パロで出て来ている歌姫と再会させてみたかったりもします。
そんな事言ったらキラもなんですがねw

書いてて楽しかったです!
追々またあげるかもしれませんが・・・需要あるのかな?www

どうでもいいけどの精神には必ず愛が入りそうだwww

拍手ありがとうございました!