※本編の第四章第九十三話のBAD ENDルートです。
思いっきり死にネタとなっておりますのでご注意下さい。
読み比べてみると、面白いかもしれません(笑)
伸びてくる手。
無遠慮に伸ばされたそれに、が怯えの瞳を向ける。
ゃ、と小さく声をあげ、彼女は自分の肩を抱いた。
『来ないで・・・来ないで・・・!!』
懇願するように叫ぶ彼女の体は、また闇に沈んでいく。
ハレルヤが焦り彼女の肩に触れようと手を伸ばすが、何故か物凄い力に弾かれた。
固い床に体を打ちつけながらも、!と彼女の名を呼び、体を起こす。
体を震わせ、自身を抱き締めるように腕を回した彼女は「いや、いや、」と震える声を漏らす。
『・・・怖いの、もういやなの・・・!』
だから、
「お前らなんかああああああああぁぁっ!!!」
ルットーレから放たれた砲撃が、GNフィールドを張ったセラヴィーを押す。
そのまま前進させ、セラヴィーを隕石に押し付ける。
((ティエリア!))
頭にまた男の声が響く。
全てを覗かれているような感覚。
は不愉快で仕方なかった。
震える手で操縦桿を握り、荒い呼吸を繰り返す。
((止めるんだ!!))
アリオスがルットーレに突っ込んでくる。
セラヴィーを押しのけ、其方に向き直る。
「あっちに行け・・・!こっちに来るな!!」
そう言い、新たに追加された新武装のファングを放つ。
ファングは素早いアリオスを追うが、中々命中させる事は出来ない。
苛立ちながらクローアームからビームを放つ。
((ぐああっ!!))
命中し、バランスを崩したアリオスに追撃をしようとルットーレを動かす。
あいつは落とさないといけない、あいつが私を不愉快にする、あいつが!!
それだけを思いはファングで追撃をしようとする。
直後、ルットーレに大量のミサイルが命中した。
途中から其方に向き直り、攻撃を防ぐ。
「ッ・・・!何だ!?」
見ると、GN−XVと交戦をしながら此方にも攻撃を仕掛けて来ている緑の機体が視界に入った。
あれか、と思いつつ砲口を開く。
光を吸収するそれに、ケルディムが戸惑った様子を見せる。
((!ロックオンまで・・・!))
「・・・ロ、ックオン・・・?」
狙撃の機体、緑、ロックオン、
言葉に突っかかりを覚えながらも、は砲撃を放つ。
GNビットで防ぎながら後退したケルディムは無事なようだったが、それと交戦していたGN−XVは巻き込まれて爆散した。
は舌打ちをし、砲撃を放ったまま機体の向きを変える。
ケルディムを追撃するルットーレに、アリオスがGNツインビームライフルを放つ。
((!!!))
「・・・お前はぁ!お前が頭に・・・!!!」
苛立つ。
頭の中がざわざわしているような、不快な感覚。
気分の悪さも覚え、はクローアームを振るった。
ひらりとかわしたアリオスが、ビームサーベルを振り下ろす。
は舌打ちをし、ルットーレをMA型からMS型に変形させる。
巨大なビームサーベルでそれを受け止める。
レグナントとは違い、細身の巨大MSとなったそれはどちらかというとデストロイと似た形をしていた。
背には円形のファングを収納する箇所を背負い、クローアームは腕の部分に収まっている。
((MS!?))
「私がやってやる!お前なんか!!」
切り結んだ後、腕を振るってアリオスを吹き飛ばす。
そのままはビームサーベルを振るい、追撃に移った。
アリオスと数回切り結んだ後、ふ、と息を吐いては操縦桿を強く握った。
倒さないといけない、何故、だってそう命令されたから、私は兵器だから、戦う為だけの存在だから、
だから、敵は倒さないといけない、私を傷付ける奴ら、怖い奴ら、倒してやる、倒さないといけない、
だって、だって、敵を倒さないと私を、私を殺しに来る、私が、私ががんばらないと、しぬ、しんじゃう、
誰が、私が、私だけ?誰かも一緒に?どうだったっけ?私が守っていた?誰を?守られていた?誰に?
ごちゃごちゃする。
はそう思い操縦桿を思い切り引いた。
分からない。
分からないんだ、全部が、記憶なんて、無い。
分からないけどある、記憶があった、でも、もう記憶がない。
「もう、分からないなら、いらない・・・!」
いらない!全部!!
((!!))
アリオスが迫る。
ビームサーベルを振るう。
それを避けたアリオスを、ファングで追撃をする。
「・・・全部、全部もういらないから・・・!」
壊す・・・!
そう言い砲撃を放つ。
間一髪で避けたアリオスだが、ファングが迫る。
((ぐああああああああああ!!!))
ファングがアリオスの脚部を抉る。
この調子ならいける。
あれを落とせる。
はそう思いビームサーベルを構える。
「落とす・・・!お前なんかあああぁぁぁ!!」
((!!・・・僕だ、アレルヤだ!!))
『なんだろ!?乗ってるの、!!』
「!!!!!!」
ビクリ、と体を震わせる。
頭に響く声と、別の声が重なる。
これは、記憶の中の、声?
『!!』
誰、誰なの、私を呼ぶのは。
『大丈夫だから、!!』
((!!!))
もういや、と思い思わず自身を抱き締めるように腕を回す。
記憶も何も、分からない事ばかりなのに、もう、いや。
腕や足、頭に刺されたコードが絡まる。
それさえも気にせず、は自身を抱き締めた。
その時、腹部のあたりに何か違和感を感じた。
何か入れてたっけ、と思いそこに触れると、固い感覚。
『!大丈夫だ!ステラもネオも無事だから!』
ここにあったものは、何?
携帯、端末?
ツキンと頭が痛み、は瞳を細める。
『約束しただろ・・・みんなを守るを、俺が守るって!!』
ま、もる、
『俺が君を守るから!!』
『僕が、君を守るよ』
『俺もしょうがねぇから守ってやるか』
『俺が、お前を守ってやる!!』
誰が、私を、
『―――』
浮かんだのは、"彼"。
震える手から離れた携帯端末は、無重力のコクピット内を舞った。
は唇を震わせ、ゆるゆると首を振った。
「・・・ぁ、や・・・」
((!!))
「だ、だめ・・・!」
ビームサーベルが振るわれる。
勢いは止まらない。
ファングが今度はアリオスの腕を抉る。
頭に悲鳴が響く、そうだ、"彼"の悲鳴、今なら倒せる、頭の中で五月蠅かった、"彼"を、
「・・・これが・・・、」
砲口がパカリと開く。
体制を崩したままのアリオスに、照準を合わせる。
((・・・・・・!!))
操縦桿にあるスイッチを押す。
そうすれば、アリオスは砲撃によって爆散する。
不愉快なこれも、きっとなくなる。
それなのに、
「・・・これが、私のしたい事?」
そう呟いて、スイッチを押そうとした瞬間、
「―――――ぁ、」
巨大なルットーレに、トランザムライザーが直撃した。
((!!!!!!!!!!))
頭に"彼"の声が響く。
暗闇の中に居た自分が、一気に引っ張られる感覚を覚える。
が、あ、と思った時には視界がぐるりと回った。
暗闇の中で、焦り顔の"彼"だけが輝いていた。
ダブルオーライザーが二機の間を通り過ぎる。
GN粒子が舞い、辺りの宙域が量子空間となった。
ふわふわとする意識の中で、腕を引かれる。
ゆっくりと瞳を開けると、そこには揺れる金と銀があった。
((・・・僕は・・・僕は君を・・・!))
((・・・わたし、ね・・・何度忘れても、心の底ではずっと引っかかってたの・・・))
え、と彼が瞳を瞬かせる。
は柔らかく微笑み、彼の頬に触れた。
((ずっと私を呼んでくれてたから、また、答える事が出来たんだよね))
((・・・・・・))
ね、アレルヤ。
名前を呼んだを堪らなくなったアレルヤが抱き締めた。
アレルヤの背に手を回し、彼の肩に頬をくっつける。
((あったかいね。いつだって、貴方の隣は心地良かった))
((・・・それは僕もだ・・・君が好きだから、君の傍に居ると・・・酷く心が安らいだんだ・・・))
だから、これからも、
そこまで言い、彼は表情を歪めた。
彼の目じりに溜まった涙を指ですくい、は微笑んだ。
((こんなに想ってもらってるのに、疑っちゃって・・・馬鹿だね、私・・・))
((お前のせいじゃねぇだろ・・・))
眉を寄せるハレルヤ。
はゆるゆると首を振って彼の胸に頭を預けた。
((・・・すれ違いもあったけど、私たちは分かり合えたよね・・・?))
((当たり前だろ・・・当たり前さ・・・!だから、!))
は穏やかに微笑むと、顔をあげた。
よかった。
そう言い彼に顔を近付けて口付けをした。
((・・・だいすき、よ))
そう言った直後、空色から透明な雫が零れ落ちた――――――。
ルットーレは左腕を振るい傍に居たアリオスを押しやった。
最後の力を使った事により、左腕が爆発して吹き飛ぶ。
ノイズの混じったモニターに映る、遠ざかっていくアリオス。
はそれを見て少しだけ微笑んだ。
「・・・貴方に会えて、良かった・・・」
零れ落ちた涙がコクピット内に舞う。
直後、ルットーレは大爆発を起こし、大破した。
「う・・・ぁ・・・!ーーーーーーーーー!!!!!!!!」
アレルヤの慟哭が宇宙空間に響き渡った。
最初はこんな終わりでした(最低だw)
もしこうなったらアレルヤとハレルヤと撃った刹那はどうなってしまうか・・・。
いきるのってむずかしいね・・・!
拍手ありがとうございました!