『―我を求めよ―』
轟音を立ててバルガスに襲い掛かった雷。
其れにバルガスは直撃を受けて吹っ飛んでいった―。
残ったのは、唖然とする皆。 そして重い沈黙。
「・・・ぁ・・・・・・・・あ・・・・・・」
やってしまった、またやってしまった・・・・・・!!
また見放される!!
頭の中に嫌な単語ばかりが浮かぶ、
『嫌だ・・・何今の』『ヒッ!こっちへ来るな!』『う、うわあああぁぁぁ!化け物がああああぁぁ!』『近寄らないで!』
記憶の奥底の箱に仕舞っていたのに、蓋が開いて勢い良く中身が溢れ出てくる。
『体の中に恐ろしい化け物を飼っているそうよ・・・』『もうあいつも化け物だぞ!』『あいつの居た村もあいつが滅ぼしたんじゃないか?』
知らずの内に身体が震える、必要とされなくなる恐怖に唯、身体が震える。
パリッ。
まだ、身体が放電している―。
「――――え?」
其れは誰の声だったか―――。
「・・・・・・・・・? 今のは、貴女が・・・?」
ティナが蹲るにゆっくりと歩み寄った。
そして手を伸ばし、彼女の肩に触れようとしたがエドガーがティナの手首を掴んで止めた。
動けない状態だったが、無理をして来たのか。エドガーは自分の状態などお構いなしにティナを後ろへ下げてを見た。
ロックも二人の後ろから近づいてくる。
―パリッ、
またの周りに静電気が走る。
其れを見てエドガーは眉を潜めてしゃがんみ、俯いているの顔を覗き込んだ。
「・・・・・・君がやったのか・・・?」
「・・・・・・」
「・・・」
は立ち上がったが先ほどバルガスに攻撃された腹部を抑えながら一歩一歩後退して行った。
表情は俯いているせいで伺えない―。
そんなにロックが近づく。
「、別に言いたくないならいいんだ」
「・・・しかし、ロック・・・」
「俺は」
何か言いたそうなエドガーの言葉を遮ってロックは強い口調で言った。
しかし視線はに真っ直ぐ向けている。
―そして一呼吸してから続けた。
「・・・・・・俺は、言ったんだ。待つって、何時かが話す時が来たら話すって言ったから・・・待つんだ・・・。
、きっと今のは帝国に狙われる理由だろ? ・・・俺は待つよ」
ロックはそう言い片手をの前へ差し伸べた。
其れをは俯きながらも視線を向けた。
大きくて、温かそうな、掌、
「・・・ホラ、怪我の具合も見なきゃいけない。 」
「・・・・・・ロック・・・」
がロックの名前をポツリと呟くとロックはにかりと笑った。
其れを見ても少しだけ笑うと「まったく・・・」と呟いて少しだけ躊躇してから手をロックの手の上に重ねた。
そして、
「ほんと、お前はお人よしだな・・・」
そう言い泣き笑いの表情をした。
「・・・・・・、私も待つわ」
ティナがそう言いに一歩近づいた。其れに微笑んでいるエドガーも続く。
が二人を少しだけ不安の色の混じった瞳で見るとティナはにゆっくりと手を伸ばしての傷を癒しつつ微笑んで言った。
「私は、と一緒に居たいから」
「先はすまなかった・・・。
レディを急かせるつもりは無いさ。 だから其処のドロボウに向けるだけじゃなくて私達にもその美しい笑みを向けてくれないか?」
「ティナ・・・エドガー・・・」
は無意識の内に微笑んでいた。
自分の力の、今の破壊力を見て人々は畏怖した。
人々は恐れ、自分を化け物だと罵り、離れていった。
けれども彼等は違った。
自分のあの力を見ても、恐れなかった。
ティナの魔法よりも、威力はあった筈なのに、
―心の中が、温かくなった―。
「・・・・・・ん?待てよエドガー。俺はドロボウなんかじゃないって何時も言ってるだろ?!」
「流したかと思っていたんだがな・・・」
「俺はトレジャーハンターなんだっ!」
ロックとエドガーがぎゃあぎゃあと言い合いを始めたので其れをティナと笑いながら見ていたが彼等の背後に影が見えてはハッとして叫んだ。
「ロック!エドガー!避けろ!」
「「!!」」
「オラァ!」
の声に反応して二人は各々違う方向へ飛んで攻撃を避けた。
攻撃を仕掛けて来たのは先ほど雷の直撃を受けたバルガスだった。
「ま、未だ生きてたのか!しぶといな!」
ロックが驚きつつそう言い腰に挿してあった短剣を抜いて構える。
ティナは早くも魔法の詠唱に入っている―、は銃をバルガスに向けた。
「諦めろ。お前では私達には勝てない」
「・・・チィ!小賢しい!!纏めてあの世に送ってやる!!」
「・・・!?」
バルガスが何かの構えを此方に向けて構えた。
―何か大きいものが来る・・・!
と思い防御の体制を取ろうと考えていたら―、
「やめろっ!!バルガスっ!」
達四人の前に大きな影が現れた―。