駄目、いけない、駄目、駄目、駄目・・・!
「っつ・・・・・・はぁ・・・はぁ・・・・・・」
一気に走って来たは川の辺に来ていた。
走りつかれて前屈みな姿勢になっている為に水面を見詰める形となる。
「・・・・・・だめ・・・」
はその場に座り込んで水面をじっと見詰めていた。
目に入るのは、自分の冴えない表情。
其れを見て深い溜め息を吐いた。
「・・・いけないんだ、私は・・・心を人に許しては、いけないんだ・・・」
そう自分に言い聞かせる様には何度も何度も呟いた。
きゅ、と瞳を強く閉じて両手を地に着いて水面の上に顔を持ってきて冷たい空気を感じる。
―こうしていると、少しは落ち着く。
そう思い早く心を静めようとしていただが、背後に人の気配を感じて銃を手にバッと振り返った。
「わ!」という驚いた声と共には瞳を丸くした。
最後に会っていたのはエドガーだったからてっきりエドガーだと思い銃を突きつけてしまったが其処に居たのは彼では無く―・・・、
「ロ、ロック・・・・・・、如何して此処に・・・?」
「や、あの、其の前に銃を下ろしてくれないか?」
ロックにそう言われは「すまない」と言ってから銃を下ろして脇に置いた。
は立っているロックを見上げ再度「如何して此処に?」と聞いた。
「否、が走っていくのが見えてさ。如何したんだ?エドガーに口説かれでもしたか?」
「・・・・・・まぁ、そうしておく・・・」
「なんなんだよ」
ロックはそう言いの横に立っての顔を覗き込んだ。
ロックの突然の行動にはどきりとして思わず顔を背ける。
「? 如何した?」
「五月蝿い・・・・・・用が無いのなら帰れ」
「・・・一人にはさせないさ」
居座る気のロックには表情を歪めバッとロックを見、其れと同時に叫ぶ様に言った。
「戻って!一人で居たいんだ!」
「放ってはおけない」
「放っておいてくれ!」
はそう言い立ち上がりロックが去らないのであれば自分が去ろうと足早に歩を進めた。
が、ロックが彼女の手を掴んで止めた。
「はっ―・・・・・!放せ・・・・・・!」
「今のは放っておけない。それに・・・・・・、何度言わせるんだよ、」
ロックは真剣な表情の後少しだけ笑って言った。
「守るって、言っただろう?」
守る、離れない。
ロックはそう目で訴えつつを正面から見据えた。
は彼の視線から逃げる様に俯いてポツリと呟いた。
「・・・ずるい・・・」
「え?」
「放っておいて、欲しい・・・。私は・・・・・・私は如何すればいいんだ・・・・・・」
は俯いた儘言葉を途切れ途切れに紡いだ。
「――依存、してしまう、かもしれない・・・、私には、温かすぎて、一人に帰れなく、なってしまうかもしれない・・・・・・」
「それでいいんだ」
ロックは俯いているの頬に手を添えて微笑んで言った。
俯いた儘、は聞く。
「いいんだ、それで。 一人になんて戻らなくていいんだ、これからは俺らが居るから・・・」
「・・・・・・未来なんて、行き成り変わるものだ・・・」
「良い方向に変えてやるさ、だから。大丈夫だ」
何を根拠に、とは思ったが言葉としては出せなかった。
心の何処かでその根拠の無い事を信じたいんだ、
如何してかロックが大丈夫と言うと心が落ち着くんだ、
(嗚呼、もう・・・・・・、)
複雑な表情の儘、は顔を上げた。
視線に入ったのは、月明かりを浴びながら微笑むロックの顔。
(―既に、私は・・・・・・)
依存、しているのかもしれない。
そう思うと嬉しい様な悲しい様な、言葉に表せない感情に襲われた―。
私は彼等と一緒に居て本当に良いのだろうか―・・・・・・?
の心の中の蟠りは完全には解けなかった。