「グズグズしている暇は無い。すぐナルシェへ向かうぞ」


少し遅れて行ったマッシュとにそう言いバナンは結構下にあるレテ川に浮かぶ筏を指す。


「あれでナルシェへ向かうぞ」


なかなか無茶を言う。

は深く思ったがこれ以外に手は無いので黙って従い上のリターナー本部の出口から飛び降りて筏に着地した。
其れにマッシュも続き、最後にはバナンも飛び降りた。(結構度胸あるおっさんだな)


「レテ川には魔物も出ると聞く、注意して行こう」


はそう言い全員が居る事を確認して筏のロープを切っり、銃を準備する。
其れと同時に自分の髪を下ろした儘だった事に気付いたはしばし如何しようかと悩んだが手に握られていたロックに渡されたバンダナを見て暫し迷った後其れで髪を一つに結わいた。


(・・・ロック、無事で・・・)


今頃渡したリボンは彼の腕にちゃんと在るのだろうか?

そんな事も思いつつ、離れていくリターナーの基地、そして見え無いサウスフィガロの方向へ視線を向けた―。















特に難なく敵を倒しつつ進んでいく。
結構進んだので恐らくそろそろナルシェへ着くだろう。

と、皆が思っていたら前方の川から何かにゅるんと紫色の長いものが現れた。

敵かと思い全員の顔に緊張が走り、戦闘態勢に入る。
川の中から出てきたのは―――・・・、


「うひょひょー! 此処はとおせんぼ!とおさないよー! イジワル?イジワル?」


なんだコイツ。


先ほどの紫の物体は足だったのか、川の中からは紫色の気味の悪いタコがザッパーンという水音と共に出てきた。
喋り方が正直うざったい。
そう思いは銃をタコに向けるとタコは危険を察知したのか筏を二本の足で掴み揺らした。
其れに皆が立っていられなくなり座り込んでしまう。


「地震だよー地震! イジワル?イジワル?」

「うざったい・・・」


が苛つきながら大型のバズーカ型の銃を組み立ててタコに向けて放つ。
其れは見事に正面から顔面に命中して「ゲブン」という謎な声を上げてタコは筏から離れた。
其の隙にティナがタコに魔法を放つ。


「ファイア!」

「アッチッチー!!ゆでだこ!?ゆでだこ!?」

本気でうざったい


何でか少し楽しんでいるタコにの銃撃とエドガーのオートボウガンが命中する。
其れにまた「グゲェ」と謎な声を上げてタコは暴れた。
暴れた足の一本がとエドガーの上に振り下ろされる。


「「!」」

「兄貴、!危ねぇ!」


だが其れはマッシュの拳のお陰でとエドガーに命中する事は無かった。
エドガーは此の位置に留まる事が危ないと感じたのか、同じ事を思い後退しようとしていたを抱き上げて後退を始めた。


「なっ!何だ!私は別に手を貸されなくても・・・・・・!」

「急いで退避した方が良いだろう?この方法が一番効率が良い」

「とか言っておるが・・・役得とも思っておるんじゃろう?」


バナンの横まで戻った時に彼に痛いツッコミを受けエドガーは「う、」と短い声を出した後ふい、と目を逸らした。

図星かお前・・・。

そんな事を思いながらもはエドガーの顔を押しのけて先ほど自分達が居た位置に居てタコと対峙しているマッシュを見た。

―タコは自分の足を殴ったマッシュを目に留めると顔を顰めた。


「筋肉モリモリ・・・・・・きらいだー!」

「うお!?」


謎な発言をした後今度はマッシュに蛸足を振り下ろす。
其れを今度はが体術の蹴りで狙いをずれさせる。
そしてティナの隣に降りて銃を再度構える。

タコは今度はとティナを見た後ポッと頬(?)を赤らめた。


「可愛い女の子ら。 わいの好みや・・・・・・
ポッ


ズッガアアアアアアァァァァン!!


タコがそう言った瞬間雷がタコに直撃した。
皆がを見るとは耐え切れなかったのか片手をタコに向けて突き出していた。
その手からはパリッ、と静電気が発生している。


すまない、思わず

否、正しかったと思うぞ?


マッシュがそう言う後ろでエドガーは親指をグッと立てていた。
バナンは雷が直撃したタコを未だに警戒しつつ見ていた。


「グェグェ・・・ガボガボガボ・・・」


攻撃が効いたのかガボガボ言いながらタコは沈んでいった。


「やったのか?」

「さあのう・・・・・・」


水面を覗き込むマッシュにバナンが言う。
エドガーもも警戒しつつ水面を覗き込んでいた。 その時。


にゅるん


「えっ!?」

「! !」


ティナの前で水面を覗き込んでいたの身体に紫の蛸足が絡み着いてを水中へと引きずり込んだ。
ざっぱんという水音が辺りに響き渡る。

水中に引き摺りこまれたはゴーグルのお陰で目を開けていられた。
頬を赤らめているうざったいタコという余計なモノまで見えてしまったが。

隠し持っていたナイフで自分を捕らえているタコの足を思いっきり刺して横になぎ払う。
するとにやけていたタコは突然痛がり出して拘束を緩めた。
その隙には急いで水上へ上がり顔を出す。


「ぷはっ!」

!大丈夫か!?」


水上に上がると筏から皆が心配そうに見ていた。
バナンに声をかけられは頷いて其方に向かって泳ぐ。


「あぁ、大丈―――っ!」


あと少しで筏、という所で再度水中から引っ張られる。
思わず条件反射的な行動で救いを求めて両手を筏に向けてしまう。
其れをマッシュが掴んだ。


!待ってろよ、今助けてやる!」


マッシュはそう言いの手を掴んだまま水中へ入ってきた。

待て、引っ張り上げてくれるんじゃないのか・・・!?

そんな事を思っていたら一層強い力で引っ張られ水中に逆戻り。
マッシュは水中に居るタコを発見すると拳を強く握ってタコの顔面を思いっ切り殴った。
よし、いいぞマッシュ。 とか思っていたら凄く痛かったのだろう、タコが大暴れし始めた。


「「えっ?」」


眼前に来た蛸足に気付いた時にはもう時、既に遅し。
其れは思いっ切りとマッシュに命中して二人を水上へと押し上げた。
・・・落ちる先は、ナルシェと反対方向の川。
何やらぼやいているエドガーが見えた。
其の後にティナの叫び声。


ーーーー!!」

「マッシューーーー!後は自分で何とかしろよーーー!を守るんだぞーーー!」


エドガーの声も段々と遠くなって行き、とマッシュは再度川へ落下した。





結構悩みましたが……結局、ま、マッシュルートで(長そー…)