辺り一面、焼け焦げた匂い。
酷い匂いの中ケフカは嬉々として大声てこう言った。
「素晴らしい!!!」
喜びを身体で表現する様に両手をバッと広げたケフカを気にせず、シャドウはの下へ駆けた。
倒れている身体をゆっくりと抱き起こす。
またパリッ、と静電気が走ったがシャドウはポケットからハイポーションと取り出すとに使った。
「シャ、ド・・・・・・」
「平気だ。俺達は」
「私・・・・・・また・・・っ・・・」
眉を寄せるにマッシュも近付く。
心配そうに自分を見てくるマッシュには笑って「平気だ」と言いシャドウに礼を言ってから立った。
そして嬉しそうに笑っているケフカを見やる。
「こんなに素晴らしい威力だとは知りませんでしたよ!素晴らしい!」
「生憎だが、お前達の為にこの力を使う気は微塵も無い!」
「如何でしょうか?まぁ何れは貴女の力を私のものにしてみますよ!
―――おい!後はお前達が何とかしろ!!」
ケフカはそう言うと走って逃げて行った。
川の方角に―。
しまった!と思った時はもう遅く、敵兵に行く手を阻まれた。
急いで三人で敵をなぎ倒していくがケフカが去って行った方向へ行き、川が見える位置に行く。
其処にはケフカの姿はもう無く、代わりに目に入ったのは・・・・・・。
「・・・あ・・・」
毒は川の中に瓶ごと落ちていてその中からじわり、と紫の液体が流れていく。
それは物凄い速さで広がり辺り一面の川は紫色に変色した―。
慌ててドマの方角を見ると、結構離れているこの帝国の基地にまでも人々の悲鳴が聞こえてきた。
「・・・・・・くそっ!」
マッシュが苦々し気に短く悔しさの声を上げて俯く。
ケフカの姿ももう無いし・・・、
この場に何とも言えない重い空気が流れる。
―暫くの間そうしていたが妙に基地の中が騒がしくなった。
何だ?と思い其方に耳を傾けてみると「敵だー!全員配置に着けー!」という声が聞こえた。
他にも慌しく騒ぐ声が聞こえる。
「・・・敵?」
「・・・行ってみるか?」
シャドウにそう言われとマッシュは頷いた。
騒ぎの方へ行って見ると・・・、一人の男が帝国兵相手に奮戦していた。
あれは何処の誰だ?とは少し考えたが一人で刀を振るい奮戦している男の表情には深い怒りと悲しみの色があった。
まさか、と思った時に、男が口を開いた。
「拙者はドマ王国の戦士カイエンでござる!」
そう名乗りを上げ、怯んだ帝国兵に切りかかる。
奮戦している男の声に反応してマッシュが走り出した。
彼はドマの生き残りか・・・!
「おっと、俺にも少し手伝わせてくれよ!」
「俺等、だろう?」
カイエンというらしい男の横に立って言うマッシュにとシャドウも習う様に行き構える。
其れにカイエンは最初は警戒の色を見せたが直ぐに味方に付いてくれると理解したのか表情を少しだけ緩めて言った。
「何処の誰かは存ぜぬが、かたじけないでござる!」
そう言いカイエンは刀を構える。
そして次々と集まってくる帝国兵を次々と薙ぎ倒して行った。
「うおおおーっ!!なかなか手強いでござるぞ!!」
カイエンが数名の帝国兵に苦戦するがシャドウが速い攻撃を何度か繰り返すと彼等は倒れた。
・・・さすが、腕は落ちていないな。
はそう思い自分に寄って来た帝国兵を蹴り飛ばした。
「うおおおーっ!!毒を流したのはどいつじゃーっ!」
「よーし、こうなったらまとめて面倒みてやろうじゃないか!」
「合点でござる!!」
マッシュとカイエンは敵兵に突っ込んで行き次々と敵を倒していった。
強いな・・・。
「私達の出る幕が無いな」
「そうだな・・・」
はシャドウと一緒に片付くまで二人の奮戦を眺めていた―。
「真に忝いでござる」
頭を下げるカイエンにマッシュが笑顔で答える。
「礼には及ばん。俺はフィガロ国のマッシュ。 此処は一先ず逃げよう」
「しかし・・・拙者は家族や国の者たちの仇を・・・!」
「ちょっと待った。このままでは多勢に無勢。ぐずぐずしてたら、また敵の大群が・・・・・・」
マッシュが其処まで言いかけると帝国兵の声が聞こえてきた。
「いたぞー!こっだー!!」
「そら、おいでなすった。俺に良い考えがある。とにかく向こうへ行くぞ!」
テントの影からも奥のほうからも先ほどより沢山の帝国兵が出てきた為急いで三人はマッシュの後を付いて行った。
どんな良い考えなのだろう?
は少しだけ期待をしながら前を走るマッシュの背を見詰めた。