暫くゴーストやら幽霊やらよく分からないものを倒しつつ
(同じじゃね? byマッシュ)(五月蝿い by
達はあまり難なく進んでいたが途中で全員複雑な表情をして止まった。

二つ目の車両を出た所で、ある声が聞こえたからだ。


―に、が、さ、ん―


「・・・・・・幻聴」

「では無いだろう」


がポツリと呟くとシャドウがスッパリと言った。
背後から聞こえた不気味な声。
其れに思わず全員足が止まる。

否な汗が背を流れる―。

そんな中マッシュが横目で皆を見つつ口を開いた。


「・・・せーので振り向かないか?」

子供かお前は。 一人で振り向いて確かめれば良いだろう」

「じゃあ年長者のカイエンが・・・」

「せ、拙者でござるか!? 言い出しっぺはマッシュ殿でござろうが!」

「分かった分かった!じゃあせーので!」

「結局其れになるのか」

「行くぞ・・・・・・、・・・、・・・、 せーの!


バッ!!!


結局マッシュの掛け声と共に全員で勢い良く振り返る。(シャドウまで・・・!)
其処に居たのは、大量のゴースト達。


「「「「!!!!」」」」


しかも数が半端無く多い。
今四人が通ってきた道にびっしりとゴースト達が埋まっていた。
其れを見た瞬間全員無言の儘走り出す。
だが其れを簡単に逃がしてくれる筈も無く・・・。


―に、が、さ、ん―


「っ!! きゃあ・・・!」

「! !」


の長い金の髪をゴーストの一人が勢い良く引っ張った為は体制を崩して後ろに倒れてしまった。
其れに気付いてマッシュが慌てて戻ってくるがは次は他のゴーストに腕を強く引かれ、後ろへと引っ張り込まれていく。


「待ちやがれ!」

「っ、痛っ!」


シャドウとカイエンも急いでルナを助ける為にゴーストを倒していくが半端無いゴーストの数のせいで中々の下へ辿り着けなかった。


「は、離せ・・・!この・・・!離してっ・・・!!」


引く力に抗おうと身体を捻らせるが何の効果も無くゴーストはを引っ張ったまま進んでいく。
其の時の身体からパチリ、と電流が走った。


(こうなったら・・・魔法で・・・!)

!」


上級魔法を放てばなんとかなるかもしれない、と思い魔法を放とうとしていただったが其れもする事無く終わった。

ドガン、という音がしたと思ったら自分を引っ張っていたゴースト達が倒れている。
何だと思い思わず唖然としていると今度はゴーストの其れとは違う温かい手に引っ張られて身体が宙へ浮いた。


「えっ、 あ、マッシュ・・・!」

「悪いな、少し手間取った!戻るぞ!」


マッシュはを抱えると勢い良く走り出した。
シャドウとカイエンも其れに続いて二つ目の列車をやっと出る。
外の風が気持ちよく当たる三両目とニ両目の間ではマッシュに下ろされた。


「あ、ありがとう・・・」

「あぁ。 にしても、何だったんだ、一体・・・」

「・・・・・・・・・さぁ・・・?」


マッシュのボヤキには少しだけ考えたが無駄だと分かり首を傾げる。
そんなを見てマッシュは何故かにこりと笑った。
それにはだけでなくカイエンもシャドウも首を傾げた。


「何だ・・・?」

「否、何て言うかさ。 って外見はかなりの美人なのに口調とか男らしいなって思ってたんだがよ、
 さっき幽霊に捕まった時の悲鳴は女の子っぽかったな、って思って」

・・・・・・は・・・?

「そういう風にしてればもう男は皆骨抜きだな」

・・・はっ!?


待て待て待て、何でこういう話になっている!?

は瞳を大きくしてマッシュにずい、と詰め寄った。
其れと同時にマッシュのタンクトップの胸元の部分をがっしり掴んだ。


「何の話だ行き成り!」

「それとって本当はおばけ怖いんだろ?」


話を聞いてやれよ。

カイエンとシャドウはそんな事を思いながら豪快に笑って「いやー可愛いよな、お前!」と言うマッシュと絶句してしまったのやり取りを見ていた。
マッシュに頭を撫でられてはハッとしてマッシュの胸倉を思い切り上へ上へと掴み上げた。


「ぐぇ、ちょっと苦しいって・・・」

 黙 れ ! 別に怖くない!得体の知れないものだから警戒していただけだ!変な勘違いをして変な印象を植え付けるな!」

「く、く、苦しいって!」


マッシュの胸倉を掴み上げた儘ブンブンと其れを振るにマッシュは笑いながらもそう静止の声をかける。
「何処が苦し気だ・・・!」と言いは続けていたがその手はある声によって止まった。


―に、が、さ、ん―


「・・・は・・・・・・」

「まさか・・・」


―に、が、さ、ん―


「またでござるか・・・?」

「・・・ん? げっ!追って来やがった!」


振り返ったマッシュが瞳を見開いて言う。
通ってきた所、というか奴等を蹴散らしてきた所からまた数多くのゴーストが迫ってきていた。
ルナは再度鳥肌が立ったのを感じ、両腕を摩りながら声を張り上げた。


「戻る必要は無いんだ!逃げるまでだろう!」

「・・・やっぱ怖いんじゃねぇ?」

「う・る・さ・い! 今はそんな話をしている場合か!?」


は未だ何かを言ってくるマッシュにそう言い前方へ進む。
が、其の侭進んで背後のゴースト集団から逃げ切る事は叶わなかった。

前方からも数多くのゴースト集団が迫ってきていたからだ。

止まり、は銃を構える。
そんなの前にはカイエンとシャドウが立ち構えを取る、後ろではマッシュも構えている。


―逃がすな・・・逃がすな・・・逃がすな・・・―


「とか言っているが・・・?」

「逃げるしか無いだろう!何処かに何か無いか・・・・・・・・・」


警戒の態勢を崩さぬ儘は素早く辺りに目を走らせた。
こんな嫌な死に方なんて御免だ。

そう思っていると梯子が目に入った。
は「これに」と短く言い其れを掴み列車の上に上がった。
其れに皆続いてくる。


―逃がすな・・・逃がすな・・・逃がすな・・・―


其れには当然、ゴースト達も着いて来る訳で、
梯子の方にはゴースト集団、下の道もゴースト集団。


「しつこい奴等め!」


そんな奴等にマッシュが悪態を吐く。
其れにはも無言で頷き同意した。
そうしていると何時の間にか先頭に居たカイエンが前方を見て声を上げた。


「行き止まりでござる!」

「・・・飛び移れればいいんだが・・・無理か?」

「飛び移るか・・・ 良いな其れ!


がポツリと呟くと耳敏く聞いていたマッシュが笑顔で同意した。

・・・え?

は自分の発言を激しく後悔しつつ、マッシュに尋ねた。


「・・・本気で飛ぶ気か・・・?」

「おうよ!」


笑顔いっぱいで返されてしまった。

こうなったら仕方ないか、とは思い少しだけ屈伸を繰り返した。
そしてシャドウとカイエンを見やる。


「今こそ修行の成果を見せるとき!行くぞ皆! 
うおおおおお!」


マッシュは声を張り上げて助走をつけてから今の車両から別の車両へと飛び跳ねた。
見事に着地し、彼は此方を振り返る。


「おおーい、早く来いよ!奴等も来ちまう!」

「言われなくても・・・」


も助走をつけて一気に飛び、マッシュの横へ着地した。
それにカイエンとシャドウも続く。

案外楽に出来た・・・

そうは思いながら「まだこの位置だと駄目だ」と言い一人、また先の車両へ飛び移った。
それに皆も続く。マッシュに関しては「何だ、余裕じゃないか」と言い軽々とに追いついた。

ニ車両位跨いだだろうか。

それくらいの位置に来てもう大丈夫だろうと思い達は止まった。が、


―に、が、さ、ん―


「本当にしつこい奴等め!」


未だゴースト達は追ってきていた。
其れには表情に思い切り不快の色を表す。
そんなを横目で見ながらシャドウが何かを思いついたのか、梯子を使わずに下へ降り立った。
何をするのか、と思い三人で見ていたら彼は車両の中へ入っていった。
暫くすると、車両を繋いでいた連結の部位がガコン、という音を立てて離れた。

ゴースト達が居た車両はみるみる内に小さくなっていった―。


「車両を切り離したのか」

「これならもう追って来れないな」

「これで安心して進めるでござるな」


上に残っていた三人は下に降りつつもそう口々に言いシャドウに礼を言った。