「モーグリたち・・・恩にきるぜ!」
ナルシェのガードを全て撃退して戻っていったモーグリ達を見、ロックはそう言いティナを背負い、を見て手を差し出した。
其れには首を傾げるがロックが「手!」と言うので言葉に従いロックの手を見たが、未だ分からない。
首を傾げるにロックは苦笑しての手を掴むと一気に引き上げて立たせた。
そして突然の事できょとんとしているの腰に腕を回した。
足が行き成り地から離れ、身体が宙に浮いた事には更に瞳を丸くしていたが状況を理解するとハッとして声を上げた。
「お、下ろせ!!」
「嫌だね!お前だってかなりの怪我してるんだ、歩かせられない」
「コレ位・・・唯の掠り傷だ!」
「いや、何処がだよ・・・」
強がるに少し呆れつつもロックは軽い少女二人を抱えた儘坑道の中を進んだ。
歩を進めている最中もは何やら言っていたがロックは軽く流していた。
でも「名前は?」等と話を逸らそうと話題を変えるところりと乗ってくる、お陰でロックは彼女の名前がである事を知れたのだが、また彼女は話題を戻す。
ロックは色々な意味で面白いな、等と思っていたらある場所へと着いた。
とティナをゆっくりと下ろしてロックは「確かこのスイッチで、」と言いつつポチリと何かを押した。
すると背後の坑道の壁が左右にゆっくりと開き、外の雪景色が目に入った。
どうなっているんだこの坑道は・・・等とは思っていたら横から「ん、」というティナの声を聞き直ぐに彼女を見た。
見たと同時に彼女も此方を見たのか、目が合った。
「ん? 気がついたのか」
「私・・・助かったの・・・?」
近づいてきたロックを見上げつつ、の手をきゅ、と握りながらティナは虚ろな目の儘そう尋ねた。
其れにロックが頷いてモーグリ達が手を貸してくれてナルシェのガードを撃退してくれた事を説明する。
「モーグリ達に感謝するんだな」
「うっ・・・ はっきりと思い出せない。 その前も・・・ずっと前のことも・・・・・・」
「ティナ、大丈夫。きっと直ぐ思い出す」
「記憶が無いのか!?」
ティナの一言にロックは大きく反応してティナをじっと見詰めた後、拳をギュ、と強く握った。
「でも時間が経てば戻るって・・・」
「記憶が・・・・・・安心しろ。 俺が必ず守ってやる!必ずだ!!」
ロックは拳を強く握りながらそう言いティナを見た。
そんな彼にティナは疑問符を飛ばすだけだが、彼は其れでもう決定した様だった。
「記憶を無くした・・・・・・俺は・・・見捨てたりしない・・・必ず・・・必ず守ってやる!!」
そう言う彼をは唯じっと見ていた。
先ほど彼は一瞬何処か遠くを見詰めていた、この「守る」という言葉は、彼にとっての何なんだろう?
其処まで考えては自分には関係無い事だと言い聞かせて思考回路を切断した。
「何処に行くんだ?」
坑道を出て一人歩き出したにロックが尋ねる。
は振り返らずマントのフードを被りつつ、言った。
「私は此処からは一緒に行けない」
「どうして・・・?」
の一言にティナが不安そうに瞳を揺らしながら尋ねる。
は空を見上げ、振り続ける雪を見詰めながら、口を開いた。
「依頼内容はナルシェの中だけだ」
「そんな・・・」
「じゃあ俺から依頼しようか」
落胆するティナの横でロックが指をパチンと鳴らしつつ言った。
そんなロックを横のティナが少し期待を込めた目で見る。
ロックはの処まで歩いていくと手を差し出した。
「俺等と来てくれ、依頼だ」
「・・・・・・私と居ても、良い事なんて無い」
「本当はそっち気にしてたんだろ? そんな事無いって!」
「だけど・・・帝国は私を・・・」
「帝国?」
帝国という単語に反応したロックにはハッとし首を振った。
「・・・何でも無い。 兎に角、今はナルシェのガードからも、帝国からも逃げるのだろう?
私が行っては、邪魔になる・・・」
「帝国に狙われているのか?」
「・・・・・・」
「無言は肯定と見なすぜ」
ロックはそう言いの前へと回り込んで彼女の両肩に手をかけた。
其れにお互いが驚いた。
は突然肩を掴まれたから、ロックは思った以上に細く、小さい肩だったから。
こんな肩で、あの銃を使っているのか?
等と思いつつもロックはを正面から見詰めた。
「大丈夫、も俺が守るから!」
「っつ・・・!!」
「」
ティナが近づいてきて横からを見た。
「お願い・・・私、何だかと離れたくないの・・・だから・・・・・・」
二人に頼まれて、は一度息を吐いた後、二人を見た。
「厄介者を抱えたいとは、変わっている」
「厄介者なんかじゃないだろ?」
「・・・・・・もう、好きにすればいいわ」
はそう言いぷいっ、とそっぽを向いてそう言った。
そんな彼女にロックとティナは笑った。
笑っている二人を見ない様には二人に背を向けて「それで?」と言った。
「何処へ行くんだ?」
「ははっ・・・・・・あ、あー、フィガロだよ、フィガロ」
「フィガロ? ・・・あそこは帝国と同盟を結んでいる国だぞ?」
「大丈夫なんだな、コレが」
ロックがにんまりと笑ってそう言う。
は少し疑っているが、依頼を受けてしまった以上彼等と共に行かなければならない。と自分に言い聞かせて「分かった」と言った。