達はベクタを離れてアルブルグに向かって歩いていた。
途中出てくる魔物を倒しつつだが、順調に進んだせいか、案外早めにアルブルグへ辿り着く事が出来た。
街に入ると人々の安心した様な顔が目に付いた。
あちらこちらから「これで平和がやってくる」だとか「港ももうじき解放されてこの街にも活気が戻る」等等。
街の人々の声を耳に入れつつも達はアルブルグの港へと歩を進めた。
港へ足を進めると、一隻の大きめな船が目に入った。
其処には帝国兵が慌しく船から街へ行ったり来たりをしていた。
船の上で帝国兵に指示を出している男をは目に留めた。
(彼は帝国軍基地で見た人だ・・・・・・)
レオ将軍、
と心の中で彼の名前を付け足しては彼へ向けて歩を進めた。
それにロックとティナも続いて歩く。
レオは達に気付くと「待っていたぞ」と言い笑みを浮かべて此方に歩み寄ってきた。
「私と同行するのは帝国の将軍と街で雇った男一人だ」
街で雇った、という言葉にはピクリと反応し彼の後ろに目を向けた。
足音が二つ、近付いてくる。
彼は「紹介しよう、」と言い身体を反転させて船から出てきた二人の人物に目を向けた。
「セリス将軍とシャドウだ」
其処に居たのは魔導研究所で別れてしまったセリスと、バレンの滝で別れたシャドウだった。
ロックは強張った表情を浮かべた。其れに気付いたティナが小首を傾げるがセリスについて聞いたのだろう、
直ぐにある考えが思い当たって俯いた。
其れに気付いたレオが「如何かしたのか?」と聞いてきた。
直ぐにが二人より一歩前へ出て首を振った。
「否、何でもない。 ・・・シャドウ、久しぶりだ」
がそう言うとシャドウは視線をに向けてコクリと頷いた。
は次に「セリス、」と名を呼んでセリスを見た。
だが彼女は視線を合わせようとはせず、何処か下を向いている様子だった。
次にロックが「セリス・・・」と彼女の名前を呼ぶ。
しかしそれでも彼女は此方を見ずにくるりと踵を返して船内へ入っていってしまった―。
「・・・・・・」
沈黙。
はそんな雰囲気に溜め息を吐いて何処か寂し気にセリスが入っていった船の入り口を見た。
そんな一行の不穏な空気を感じたのか、レオが口を開いた。
「さて、出発は明日だ。君達の為に宿を取っておいた。今日はゆっくり休んでくれ」
「ありがたい。さぁその宿へ行こう」
「え!? あ、おい・・・・・・!?」
「・・・!」
はレオにそう礼を言うと両脇に居たロックとティナの腕をガッシリと掴んで街へ向けて歩き出した。
急に引っ張られた二人は瞳を丸くしてを見たがはそんな二人を無視して大股に歩いた。
宿に着いて其々が部屋に入る。
部屋に入っては荷物を椅子の上に置いてはぁ、と溜め息を吐いた。
「準備が出来たら直ぐ行きたいと言っていた癖に・・・あちらにも用意という物があるだろうに・・・
早く来てもあまり変わらなかったな」
「・・・それは今日のちょっと急いだ進み具合に対する文句を俺に言っているのか・・・?」
眉を下げつつ苦笑して言うロックには暫く視線を送ったが「否」と言い首をゆっくり振った。
「疲れたと思っただけだ」
「だから言ってるんじゃないか・・・・・・!」
「一日中歩いていた様なものだからな・・・・・・はぁ。」
「わざとらしい溜め息もセットにどーも」
ロックはそう言うと一つだけ離れたベッドにぼふっという音を立ててダイブした。
はそんな彼に「子供か」と言う。
すると直ぐに「いいんだよ俺も疲れたから」と返事が返って来てはくすりと笑みを零す。
ティナはベッドに座ってをちらりと見やった。
「、疲れたなら早めに休んだ方が良いわ」
「分かっている。元よりそうするつもりだったしな」
はティナにそう言いティナの横に腰を下ろした。
そしてごろりと布団の上から寝転んだ。
金の髪が真っ白なシーツの上に散らばる―。
其れにティナが見惚れているとが「ありがとう」と呟いた。
「・・・ティナも疲れているのだろう? 休んだ方が良い」
「・・・えぇ、そうするわ」
ティナはにこりと微笑んでそう言った。
はベッドで仰向けになっているロックに視線を向けて「お前も安めよ」と声をかけて伸びをした。