翌日。
宿で休んだ達はレオの居る港へと足を向けた。
挨拶を済ました後、早速出航する。
レオの話だと明日の朝までには大三角島へと着くらしい。
其れまで暇な時間を皆は手にしたのだった―。
は甲板に居た。
丁度温かい光が一番当たる場所に座っていたら、膝上にインターセプターが甘い声を出しつつ頭を乗せてきた。
「バレンの滝以来だから・・・久しぶりだな、インターセプター」
そう言い頭を撫でてやるとインターセプターは嬉しそうに鳴いた。
は優しげに其れを見詰め、そっと瞳を閉じた。
―幻獣と和解、か。
ガストラ皇帝、帝国軍が望んでいる事、
すんなりと決まるだろうか?
ふう、と溜め息を一つ吐いては雲一つ無い快晴青空を見上げた。
悩みは一つでは無い、 勿論セリスともまた以前の様に話がしたい。
けれどもセリスは魔導研究所での事を思っているのか、中々自分達に近付いてくれない。
また一つ溜め息を落とした時、何処からか呻き声が聞こえた。
インターセプターの耳がピクンと反応して其方の方向を見やる。
其れにも続いて見て、瞳を丸くした。
「・・・ロック・・・、何をしている?」
「うえええええ・・・、酔った・・・船に、酔っちまったみたいだ・・・」
「・・・・・・」
口元を押さえ、顔色が真っ青なロックがフラフラと此方に向かって来るのを見てははぁ、と軽い溜め息を落とした。
インターセプターの頭を一撫でしてから立ち上がり、しゃがみ込んでしまったロックに近付いて背を摩ってやる。
「こういう時は吐いた方が楽になるんじゃないのか?」
「・・・・・・意地でもそれはしない・・・!」
「変に意地っ張りだな、お前」
は苦笑してロックに楽な体制を取らせてインターセプターを見た。
「シャドウの所に戻っていろ、後でまた構ってやるから」
そう言うとインターセプターは「ワン」と一度だけ鳴いて少しだけ空いたドアの隙間から中へ入っていった。
其れを見送ったは再度ロックに向き合う。
「・・・で、本当に大丈夫か?」
「うぅぅ・・・」
「・・・駄目そうだな」
唸り声を上げ続けるロックには肩を竦め、彼の顔を覗き込んだ。
顔色は物凄く悪い、かなり酷い船酔いらしかった。
は少し考えた後、「私は居ない方がいいか?」と唸ってるロックに問うた。
ロックは「あー・・・」だとか「うー・・・」等と言葉を濁した後、すまなそうにを見上げた。
そんなロックには微笑んで「早く良くなるといいな」と言い片手を上げて船内へ入った。
入った途端前を見て、は瞳を丸くした。
「・・・あ」
「・・・・・・! ・・・」
船内に入った瞬間、先ほど考えていた相手、セリスが目の前に居たのだ。
罰が悪そうにして俯いてしまったセリスにはゆっくりと近付いた。
「セリス、」
「・・・・・・」
「魔導研究所では、ありがとう」
「・・・・・・え?」
が礼を言うとセリスは瞳を丸くしてを見た。
そんなセリスには笑い、「だって、」と言い言葉を続けた。
「ケフカから助けようとしてくれただろう?」
「・・・で、でも、私は・・・!」
「セリスが助けてくれなかったら私は今頃ケフカの手中に納まっていただろう。
だから、ありがとう」
「・・・・・・・・・」
両の手を胸の前でぎゅ、と握り俯くセリスにはまた一歩近付いてポンと肩に手を置いた。
其れにセリスの肩がビクリと跳ねるがは気にせず口を開いた。
「恐れないで、セリスは今も前と変わらない。 私達の仲間だ」
大きく瞳を見開いた後、段々と潤ってきた。
セリスは其れを隠す様に俯いた。
はもう一度だけセリスの肩に手をポンと当て、彼女の横を通り過ぎた。
最近の自分は甘い。
以前なら如何だった?
人を信用する事なんて、無かった。
所詮、皆この力目当て。
所詮、皆自分を利用しようとしているだけ。
警戒を怠るな、警戒を怠るな、
ずっと自分に言い聞かせてきた言葉。
誰一人信用してはいけない、
心を許してはいけない。
だったのに、
ふ、と笑みを零しては与えられた部屋のベッドに腰を下ろした。
そして腰にある小銃を取り出して手の中でクルクルと其れを回し、其れを唯見詰めた。
以前から思っていた。ずっと前から、
自分は仲間意識を持った。其れはずっと前から分かっていた事。
唯、日に日に信頼度が増していっている・・・。
(・・・変わっているって、こういう事なのかな・・・、)
もしそうだとしたら、影響はきっと、
(・・・ロック・・・)
彼を想うだけで胸が熱くなる、
ボスン、と音を立ててはベッドに横になる。
ぼう、と視線を彷徨わせていて瞳は虚ろだ。
とんでもない事を考え始めている自分が心の片隅に居る。
自身、其れに今は気付いていなかった―。
うーん、船の上長い(笑)