どれくらいの時間が経っただろう。

兎に角迫り来る炎を避けつつ視界に入るドアを隅から隅まで開けて確認をした。

だが、リルムの姿は見当たらなかった。

まさかもう既に。 という嫌な考えも浮かんだが雑念を払う様に首を振り、は視界に入ってきたドアを蹴破った。


途端、物凄い熱気が中から溢れ出て来た。

だがは其れを気にせず、室内へと急いで入った。


部屋の真ん中で倒れているリルムの姿を見つけたから―。


背後でストラゴスが「リルム!」と叫んでいる声を聞きつつ、はリルムに手を伸ばそうとしたが、ハッとしてバックステップを踏んで手に持っていた銃を構えた。

先程までが居た所に、炎の魔物・フレイムイーターが真横から凄い速さで飛んできたからだ。
避けなければ今頃全身が炎に包まれていただろう・・・。

行き成り現れたフレイムイーターにロック達も戦闘体制を取る。

ナイフを構えながらロックはの真横に移動する。


「火を放ったのはこいつか!?」

「その様だな・・・。  ・・・来る!」


がそう言った途端、フレイムイーターはガパリと大きく口を開けて炎を吐いてきた。
だが其れは達を狙ったものでは無く、小さなフレイムイーター・・・、バルーンを呼び出す為のものだった。

三体のバルーンが炎で攻撃を仕掛けてくる中、は避けながら「ストラゴス!」と声を上げた。


「先程の水の魔法をやってくれ!ティナも魔法を頼む! 時間は私達が稼ぐから!」

「分かったゾイ!」

「えぇ!」


がサンダーを放ちながらロックと一緒にバルーンとフレイムイーターの気をひきつける。

バルーンの動きが素早くて、一体がの後ろに回りこんだ。
だがは背後は気にせずに、前から向かってくるバルーンを至近距離で銃で撃った。
至近距離で撃った為に消滅したバルーンを横目に、はやっと気を後ろに向けた。

そしたらに襲い掛かろうとしていたバルーンを倒したロックがバックステップを踏んでと背を合わせた。


「結構ヒヤヒヤするんだが!」

「すまなかったな。 だがお前が倒したから問題は無いだろう?」

「・・・まぁ、気付いてるって分かってたけどさ・・・」


唇を尖らせるロックにはくすり、と笑みを零す。

はバルーンにサンダーを放った後、銃で撃ち最後のバルーンを倒した後にフレイムーターの攻撃を飛んで避けた。
当然ロックも同じように避ける。


(当然、お前だから任せられたんだ)


はそう思いフレイムイーターに視線を向けた。

そろそろ、だな。

がそう思った瞬間、ティナの放ったブリザラとストラゴスの放ったアクアブレスがフレイムイーターに襲い掛かった。
フレイムイーターは抵抗するように暫く悶えていたが周りの炎に倒れこむ様に入っていった。

また何処かから攻撃してくるかもしれない。とは思ったが逃げたなら逃げたで倒せたなら倒せたでいい。
そう思い倒れているリルムに駆け寄って抱き上げた。

外傷を確認すると、火傷が多数。
はケアルをかけてロック達の方に戻ろうとしたその時、

炎の壁からフレイムイーターが躍り出てきた。


「!! コイツ、まだ生きてたのか!」

!!」


ティナが心配そうにフレイムイーター越しにを見る。
はティナの声に答える事が出来なかった。

何せフレイムイーターがファイラを放ってきたのだ。


(リルムを抱えているのに、冗談じゃない!)


は咄嗟に手を翳して叫んだ。


「サンダラ!!」


炎と雷がぶつかり合って、爆発が起こった。
は短い悲鳴を上げて、吹き飛んだ。
腕の中に居たリルムも当然吹き飛んで、別の位置に倒れた。


「・・・く、」


は慌てて起き上がろうとしたが、酷い眩暈に襲われ、床に手を付くだけで終わった。

如何やら煙を吸いすぎたらしい、上手く呼吸が出来ない。

ゲホゲホ、と咳を繰り返すに狙いを定めたのか、フレイムイーターが再度魔法を放とうとする。
が、ティナが咄嗟にブリザラを放ちフレイムイーターの注意を逸らした。
その隙にロックはに駆け寄り、彼女を守る様に前に立った。


!大丈夫か!」

「・・・っ、あぁ。大事無い」


そう返して自分にケアルをかけているを見てロックは安堵の息を吐いた。

以前飛空挺が墜落した時に感じた恐怖が脳裏を過ぎったが、彼女に大した外傷が無い事に心底ほっとしたからだ。

ロックはティナとストラゴスが今度こそフレイムイーターにトドメを刺したのを見てナイフを仕舞い、を抱き上げた。
最初こそは瞳を丸くしたが自分が歩けない状態では無い事を理解し、大人しくロックの胸に頭を預け、大人しく腕の中に納まっていた。


「こりゃさっさと退散した方がいいな!」

「どうもお前が言うと盗み関係に聞こえるな」

「だから俺は泥棒じゃないってば!」



ロックはそう言い歩き出そうとした瞬間、家が大きく揺れた。
ティナは振動に耐えられず、思わずしゃがみ込む。


「崩れるわ!」

「リルム・・・!!」


ストラゴスは倒れているリルムを急いで抱き上げて守る様に腕の中に収めた。
天上からパラパラと木屑が落ちてきていて流石に全員が「もう駄目」と思った其の時、

真横の壁が崩れた。 其処からシャドウがインターセプターと共に入ってきた。


「脱出するぞ!急げ!」


シャドウにそう言われ、ロックは頷いて崩れそうな穴を潜って外へと出る。
其れにティナとストラゴスが続く。

シャドウも出ようとしたがバルーンが数体迫ってくるのを見て、懐から煙球を取り出して投げた。
床に着いた途端、部屋中が人為的な煙に包まれてバルーン達の動きが止まったのを確認した後、シャドウもインターセプターと共に外へ躍り出た。




最初書いてたのは余りにもフレイムイーター・瞬★殺だったのでちょっとだけ長くしました(そしてナチュラルにイチャつく奴等←)