(もしかしたら、次こそ可能かもしれない)
歩きながらはそう思い心の中の友に呼びかけていた。
(次に行く場所は幻獣の聖地と呼ばれる場所だそうだ、其処ならば、私達の求めていた情報が手に入るかもしれない・・・!)
いよいよ・・・、いよいよなんだ。
はそう思いゆっくりと瞳を伏せて、またゆっくりと開いた。
西の山へは難無く辿り着けた。
辺りを確認していると、山の中へと続いている洞窟が見つかったので其処から中へ入る事にした。
「・・・それにしても、魔力を微量だが奥から感じるな」
「? そっか?」
先に中に入ったがそう言うが、ロックは首を傾げるだけだった。
は「・・・まぁ、私は魔力に敏感だから」とだけ言って足場を確認してから歩を進めた。
「何だか結構お宝が眠ってそうな場所だな」
人の入った痕跡が全然無いのを見てロックがそう言う。
はそんなロックを横目で見て「やはり根はそういうものなんじゃないか、」と小声で言う。
が、彼には聞こえていたらしく「だからっ!」という否定の声が戻ってくる。
そんなロックには笑みを返して「冗談だ」と言った。
「・・・まあ、思っている事だがな」
「其れは冗談って言わないんだ・・・!」
「ふふっ、そうだな」
そんな会話をしつつ進む二人を見て呆けていたストラゴスをティナが覗き込む。
「どうしたの?」
「・・・あの二人は、お熱い仲なんじゃろうか?」
「・・・私には、そう見えるんだけれども・・・」
言葉を濁すティナにストラゴスが小首を傾げる。
ティナは苦笑して前を歩くの背を見た。
(お互い、一歩引いてしまっている様に見えるのよね。
・・・私は"愛"というものは何だか分からないけれど、二人を見ていたら何時か分かる日が来るのかしら・・・?)
ティナはそう思いつつ、二人の後を追う為に歩を進めた。
少し奥に入った所で、何やら開けた所に出た。
何かがあるのか、と思い辺りを見渡していたらはある物を見つけ、歩み寄った。
「・・・これは・・・? ・・・っつ!?」
「!?」
急に苦痛に顔を歪め、その場に崩れ落ちたにロックが慌てて駆け寄り彼女を支える。
どうしたんだと彼女に問うとはゆっくりと深呼吸を繰り返した後「幻獣が・・・」と呟いた。
「私の中の、コイツが・・・っ、 騒いでる・・・!」
「ケツァクウァトルが・・・?」
ロックが心配そうにを見やる。
はゆっくりと顔を上げて、「・・・この像は、」と言い目前の三体の輝きを放つ像を見上げる。
ストラゴスもその像を見上げ、瞳を見開いた。
「こっ、これは・・・! 三闘紳の像!」
「三闘神?」
ティナが首を傾げてストラゴスを見る。
石像に視線を移したロックが「これは・・・」と言い言葉を続ける。
「石像の表面に細かい文字が彫られているな・・・。
で、じいさん。 三闘神って言うのは何のことだい?」
ロックが其れをストラゴスに問うが、その問いは彼の腕の中に居るが答えた。
「三闘神とは、遥か昔この世界に魔法という力を生み出した伝説の神の事だ・・・」
そう言いつつ「もう落ち着いた、すまなかったな」と言いはロックから離れた。
ロックはまだ心配そうにを見ていたが取り敢えず大丈夫そうだったので会話を戻す。
「それって、魔法の神様みたいなものか?」
「まぁ、そんな感じだろう・・・。 にしても、凄い魔力だな・・・」
「えぇ、私も思っていたわ」
の言葉に同意する様にティナが頷く。
ストラゴスは三闘神から視線を外さずに、口を開く。
「三闘神は魔法の神。 と言う事は、幻獣の作り主とも言える訳じゃ。
幻獣達は、三闘神の像を聖地に祭ったと言う伝説がある。きっと、此処が其の場所なのじゃ」
「・・・間違い無いだろうな」
先程自分の中で大きく反応した幻獣を思い、が同意する。
其の後に何かを考えていたロックはに視線を向けて疑問を口にした。
「所で、其の三闘神とやらは、幻獣を生んだ後どうなったんだ?」
「戦いに疲れた三闘神は己の身体を石化させて永遠の眠りについたらしい。
・・・其の場所が、封魔壁の奥であるという伝説で聞いたな」
「封魔壁が幻獣界との接点であるのも、三闘神の魔力による物なのかしら?」
「な〜るほどね」
納得した様子でロックがそう言い三闘神の像を見上げる。
「幻獣達が像の魔力に引き寄せられたのなら・・・・・・」
其処まで言いティナは奥に進める道を探す為、辺りを見渡した。
そして其れを発見し、その一点を見たまま続きの言葉を発した。
「あの奥に・・・?」
「そうだな・・・。行ってみよう」
ロックが頷いて歩を進めた。
其れに皆続くが、だけが三闘神に近付き、綴られている文字を見た。
魔導の始まり・・・
天から降り発てし三人の神
互いを恐れて戦いを始めん
戦いに巻き込まれし者は幻獣へと其の姿を変え
神の僕となりて永き時を戦う
争いを呼ぶ、己の強大な力の愚かさに気づきし神は
互いの力を中和させる事により自らを封印せん
そして最後の力で幻獣に心を与え自らを石に変化せしむ
神が幻獣に残した最後の言葉
「我らを永久に封印せよ」
永き眠りについた神を崇め
其の力が再び用いられぬことを願いて此の像を作らん
かつて神が天より降りたてし
地に奉りて、後世への警告となす
「・・・警告・・・、」
瞬き一つせずに全ての像に綴られている文を読み終えたはゆっくりと立ち上がった。
そしてロック達の後を追おうと歩を進めたその時―、
ひゅるるるるるる――どしん!
「!?」
行き成り背後から何かが落下した音が響いたので慌てて振り返る。
が、視界に入ったのは砂埃。
砂埃が舞うせいで何が落ちてきたのかがさっぱり分からずには「何だ・・・?」と眉を潜めて呟いて背から銃を降ろした。
恐らくこの音を聞きつけたのだろう、少し前に行っていたロック達が「何だ!?」と言いながら戻ってきた。
聞きたいのはこっちだ。
銃口を砂埃の中心に見えてきた影に向ける。
意識を集中させて、警戒をしていたの耳に、何処か聞き覚えのある不快な声が聞こえてきた。
アレッ?ストラゴスが無視されてるぞ!(酷ぇ)
次回・すん ばらし〜のアイツ(出た)