「へへへ、この金ピカの像は俺様の物だ〜。 これでジークフリードの兄貴に顔向け出来るよ〜ん!」

「・・・なっ・・・!」


土煙の中から聞こえてくる嫌に聞き覚えのある声にの身体が固まった。


タコだ、絶対タコだ。


土煙が晴れた後紫色の物体が視界に入りは思い切り嫌そうに表情を歪めた。
戻ってきたロック達も微妙そうな顔をしている。 まぁ、当然か・・・。

紫タコは三闘神の像にゆるゆると近付きじっくりと其れを鑑賞していた。


「お〜、光ってる光ってる、 すん ばらしい〜!」

何がすん ばらしいんだ・・・!


すんとばらしい〜の間は何なんだ

そう思いつつも苦々しげにそう言葉を吐き出しては引き金を迷い無く引いた。

―が、忌々しい事に紫タコは其れを重さ6tと書かれた錘で防御した。


・・・何処かで見た覚えがある錘だな・・・

「てめえオルトロス! 二度ならず三度までも!」


目を細めるの横で短剣を取り出してロックが怒りを含んだ口調で言う。

二度・・・三度。 その言葉を聞いての脳裏にレテ川とオペラ会場での出来事が過ぎり、慌てて首を振って雑念を飛ばした。


「また出ちゃった、しつこい? ごめんね?ごめんね?
 でもこれがホントの三度目の正直 だよ〜ん!」


紫タコ・・・もといオルトロスは嫌な笑みを浮かべてピョンピョンと飛び跳ねて接近してきた。不快な事極まりない。

と、が思っていたらあの6tの錘を此方にブン投げられたので皆で飛んで避けた。


「軽く投げたがあれは本当に6tもするのだろうか?」

「さぁな。どうせ似非だろう?」


が呟くと同じ方向に飛んだロックが肩を竦めて言う。
は短く「そうか」とだけ返し大砲を組み立てる為にパーツを取り出した。


「組み立て終わるまで頼む」

「分かった!」


ロックは軽くそう返事をし、此方に近付いてこようとしていたオルトスに向かってブーメランを投げた。
刃の付いたブーメランは見事オルトロスに命中し、持ち主の下へ綺麗な弧を描いて戻ってきた。

怯んだオルトロスの隙を見逃さず、ティナがファイラの魔法を放つ。


「あっちっちー! ゆでだこ?ゆでだこ?」



うざ。



・・・、口に出ておるゾイ

「そうか。それは失敬・・・否、しなくても良いか。あれがうざいからいけないんだ


心の中で思った事が如何やら口に出ていたらしい。
が、はさして気にも留めずに「よいしょ、」と短く言葉を発して大砲を組み立て上げた。

其れを珍しそうにストラゴスが見ている。


「大きい銃じゃのう・・・」

「あぁ、組み立てが面倒だが威力は大きいぞ。 ・・・まぁ見てろ」


はそう言い大砲を支える為の岩を探し、其処に大砲を乗せて狙いを定めた。

目標はティナの魔法とロックのブーメランに翻弄されている、紫タコ。

狙いを定めた儘、奴に隙が出来るのを伺う。


「・・・ロック、ティナ!」


がそう声を張るとロックとティナはバックステップを踏みオルトスから離れる。
攻撃を喰らって怯んでいるオルトスに向かって、は容赦なく大砲の引き金を引いた。

ズガン!という大きな音を立てて発射された弾はオルトスに綺麗に命中し奴を吹き飛ばした。

「よし」と呟きガション、と弾の入れ替えをしたにストラゴスが感嘆の息を吐く。


「おまえさん、若いのに良い腕しとるのう!」

「伊達に土壇場踏んでないんでな・・・」

「今度一緒に狩りでも行かんかい?」


ストラゴスの言葉を聞いてそういえば彼は猟師だったか、と思いは口の端を吊り上げた。
そして短く「考えておく」と返答をしタコの次の動きを待った。

―其の時、


「!! きゃっ!」

「! ティナ! ・・・うおっ!?」


長いタコ足が伸びて来てティナとロックを吹き飛ばした。
は軽く舌打ちをし、大砲を岩場に置いて小銃を構えた。

吹き飛ばされたティナとロックの様子を横目で見るが、如何やら打ち所が悪かったらしい。
二人共腰を降ろして頭等を押さえたまま動かない。


「・・・ストラゴス、あのタコは一体どうやったら楽に狩れる?」

「わしは猟師じゃゾイ。漁は出来んゾイ」

「似た様なものだ」


はそう言い小銃で伸びてこようとしていたタコの足を打ち落とし、横に迫っていたもう一つのタコ足は蹴り落とした。
其の後ストラゴスが青魔法を放つ。

オルトスに隙が出来たのを見逃さず、もサンダラをオルトスに放ち、近くに居るティナに駆け寄った。


「ティナ、大丈夫か」

「・・・えぇ、でも打ち所が悪かったみたい・・・」

「今楽にさせる・・・。 ケアルラ」


手を翳してそう唱えると優しい緑の光がティナを包む。
直後にティナは「ありがとう」と言い立ち上がりストラゴスの援護に向かった。

次には頭を押さえてしゃがみ込んでいるロックに近付いた。


「酷い吹き飛ばされ様だったな・・・」

「っくそ・・・頭が揺れる・・・あのタコ野郎・・・!」

「お前は一層毛嫌いしているな、あのタコを」


はそう言いつつも手を翳してロックにケアルラをかける。
緑の光の中でロックは苦々しげに「オペラ会場でもやってくれたしな・・・!」と吐き出した。

其の言葉には小首を傾げた。

ロックが此処まで怒る様な行為をあの馬鹿タコがしたのだろうか?
否、舞台に落下して来る前に何かあったのかもしれない。 はそう思い前戦の状況を確認する為に視線を其方に向けた、


―其の時、


「おっじいちゃーーーん!!」


何かが上から降ってきてタコを踏み潰した。




ロックがタコを嫌っているのはオペラの時を狙ったからです、