「ケフカッ・・・・・・!」
立ち上がり銃を取り出してケフカに向けて構える。
だかケフカは臆した様子を見せる事無く、ニタリと嫌な笑みを浮かべた。
「防御魔法は間に合わなかった様ですねぇ」
「黙れ! ・・・貴様、何をしに来た!お前は捕らわれているんじゃなかったのか!」
それに、何故同じ帝国軍であるレオ将軍やセリスまで・・・!
はそう言おうとしたが、後ろから腕を引かれ、後退させられた為に開かれた口から言葉が発せられる事は無かった。
何だと思っていたら先程まで自分の立っていた位置に魔導レーザーが当たったのを見ては口を噤んだ。
そして自分を助けてくれた人物を振り返る。
「ケフカ!何をする!」
其処に居たのはレオだった。
彼は怪我をしていたがまだ軽傷な方らしかった。
他の皆も吹き飛ばされたせいで上手く身動きが取れないだけの様だった。
は其れに安堵の息を吐くとレオと共にケフカを睨み上げた。
「ヒヒヒ…皇帝の命令です。幻獣達を魔石化して持って来いとね。 見よ!幻獣を魔石化させる秘儀を!!」
ケフカはそう叫ぶと、倒れているユラに光を放った。
光は弧を描いてユラに辺り、彼を眩い光で包んだ。 直後、
キイイィィン!!!
耳を劈く様な音が響き、ケフカの手に何かが吸い寄せられる様に飛んで行った―、
魔石だ。
その光景に全員が目を瞠った。
ケフカは手にした魔石を満足そうに眺めた後、近くに居る他の幻獣にも同じように光を放った。
其処に居た幻獣も、ユラと同じように魔石化されてケフカの手の内に導かれる様に入って行った。
其れを手にした途端、ケフカは口の端を吊り上げ、嫌な高笑いを村に響かせた。
其れに恐怖を感じたのか、他の幻獣達は逃げ出し始めた。
だがケフカは其れを逃がさず、幻獣達を次々と魔石へ変えて行った。
見ていられなくなったは、己の内の魔力を解放して走り出した。
「ケフカアァァ!!」
「強くなった魔導アーマーを舐めてはいけませんよ!」
「サンダラ!!」
の放った魔法と魔導アーマーから放たれた魔法がぶつかり合い、衝撃波が起こる。
其れに耐えられなかったの華奢な身体は吹き飛び、地へ倒れた。
「!!」
レオが駆け寄りを助け起こす。
其の間にもケフカは逃げ惑う幻獣に光を放ち、次々に彼等を魔石へと変えて行っていた―。
その光景を見てはギリ、と奥歯を噛み締めた。
(幻獣が・・・・・・!)
魔石を沢山手に持ったケフカは最初こそ嬉しそうにしていたが段々飽きてきたのか「つまらん!」と叫び魔導アーマーへ視線を移した。
「面白くないからこんな村なんて焼き払っちゃいな!」
ケフカがそう言った途端に魔導アーマーが無差別にレーザーを放つ。
其れは木や家、草花を容赦無く焼き払った。
―あの時みたいに―
「っつ!!!」
目の前の光景で、あの時、自分の国が滅んだ時を思い出す。
は瞳を大きく見開いて、ぶるりと大きく身体を震わせた。
そんなに一度視線を向けた後、レオが「ケフカ!!止めるんだ!!」と叫ぶ。
だがケフカは聞く耳持たず、だ。
は首をブンブンと振って「違う、あの時とは違う!」と叫び立ち上がった。
そしてケフカへ銃口を向けた。
「・・・これ以上、やらせない・・・!」
「ケフカ!お前の行いもう許すわけには行かぬ!」
とレオが並んで立ち、ケフカに向けて其々の武器を構える。
そんな二人を見、ケフカは歪んだ笑みを浮かべて此方に魔法を放ってきた。
「させない! シェル!」
レオにシェルの魔法をかけてはケフカへと突っ込んでいった彼を見た。
レオは魔法を剣で薙ぎ払いケフカにその剣を振り下ろした。
だがケフカも剣を出して其れを受け止める。
は銃を再度構え、真っ直ぐにケフカを狙い、引き金を引いた。
弾は見事にケフカに当たり、その痛みでケフカが怯んだ所をレオが真上から剣を振りかざした。
ケフカは傷を押さえ、地に倒れた。
―が、ケフカの身体が色を失い、消えた。
は眉を潜め、辺りを警戒しつつ見渡した。
「流石は、レオ・・・そして、お嬢さん・・・私をこの様な目に遭わすとはな・・・・・・」
「何処だケフカ・・・・・・姿を見せろ!!」
「ガストラ皇帝・・・おいでください・・・・・・ムニャムニャ」
レオがそう声を張り上げた後にケフカの声が聞こえた瞬間、目の前に人影が現れた。
最初こそ警戒していたレオだが、直ぐに警戒態勢を解いてしまった。
其処に現れたのは、ガストラ皇帝だったからだ。
レオは皇帝に跪き、彼を見上げた。
「レオよ・・・」
「皇帝!」
は眉を潜め、ゆっくりと彼等に近付いた。
勿論、警戒態勢は解かずに、
「レオ。お前まで騙してすまなかったな・・・これも、魔石を手に入れる為。 儂の真意、分かってくれるであろうな?」
「皇帝・・・が、しかし・・・・・・」
レオが言葉を発しようとするが皇帝が一睨みをきかせて彼を黙らせてしまった。
は瞳を細め、「所詮、」とポツリと呟いた。
所詮、この様な外道が居る限り、平和は訪れないんだ―、
この様な奴が居る限り、人と幻獣は分かり合えないんだ・・・!!
は銃をガストラ皇帝に向けて迷い無く引き金を引いた。
レオの目の前に居たガストラ皇帝は弾が当たった瞬間先程のケフカの様に色を失い、消えた。
其れにレオが驚き目を瞠っていると、真横からケフカがレオに切りかかってきた。
呆気に取られていたレオは受身も取れずに、真横へ吹っ飛んでいった。
「お前等が倒した私・・・・・・それは私の幻影なのだよ! そして、意気地なしのガストラ皇帝も、勿論、幻影!
其れ位の違いが分からない奴が将軍だなんて、それも、何時も、何時も・・・何時も何時も、良い子ぶりやがって!!」
ケフカはそう言い倒れているレオに片足を乗せ、グリグリと傷口を抉った。
痛みに顔を歪めつつ、レオはケフカを睨み上げた。
「ケ、ケフカ・・・お前と言う奴は・・・・・・!」
「ヒッヒッヒー・・・皇帝には、レオは本心で裏切ったと、報告しておくよ!」
ケフカはそう言い歪んだ笑みを浮かべ、レオに止めを刺そうとした、――が、当然が其れをさせる筈は無く彼女が動いた。
咄嗟の事だったのでは銃も魔法も放てなかった、だから其の身一つでケフカに走りより、剣を掲げたケフカの腕にしがみ付いた。
「!! なっ、お前!」
「っ・・・させないっ・・・!!」
「っ・・・邪魔なんですよぉ!!」
「きゃあ!!」
ブン、とケフカが勢い良く腕を振るう。
の身体は呆気無く吹き飛んで行き、地面へと倒れた。
しかし、剣だけは放さなかった為、ケフカの手にあった剣も一緒に吹き飛んで行った。
ケフカはレオの事などもう眼中に無いのか、重傷の怪我に苦しむレオを放置し、倒れているに近付いた。
そしてに手を伸ばし、其の手が彼女に触れるか触れないかという其の瞬間、
キイイイイイィィィン!!!
「「!!」」
急に感じた強い魔力にケフカとは同時に身体を震わせた。
「な、なんですか? すさまじい魔力を感じますね。と、とっても激しい魔力の波動なんだな」
「・・・これは・・・、」
『封魔壁から、感じます。ほとんどの幻獣が、・・・待っていろ、と・・・今助けに行くと・・・・・・!!』
「っ、そんな!! そんなに来たら・・・!!」
が頭に響いた声に反論をして、自分の目の前で嫌に嬉しげに、怪しい笑みを浮かべているケフカを見やる。
「これは、これは。幻獣の方々ではありませんか。突然のお越しで驚きましたが歓迎致しますよ。
ぼくちんに、もっと魔石をプレゼントしてくれると言うのですから」
次々と迫ってくる幻獣に向けて腕を伸ばすケフカ。
其の手からは先程幻獣を魔石に変えた時と同じ光があふれ出す。
其れを見ては思い切りケフカに掴みかかった。
「何をするんですか!」と言って来るケフカを無視し、は幻獣達に叫んだ。
「駄目!!来てはいけない!!」
「邪魔なんですよ!!」
また振り払われ、は倒れる。
ケフカは倒れるを一瞥した後、手を掲げた。
「まずは、その邪魔っけな魔力を中和するとしましょうか。 さあ、幻獣たちよ。楽しませて下さいな」
ケフカはそう言い先程とは違う光を放った、
その瞬間、は身体がズシリと重くなったのを感じた。
「・・・・・・? これ、は・・・・・・?」
魔力の中和・・・?
先程ケフカが言った事を思いつつ、は辺りを見渡した。
すると気付けば魔導アーマーは消えていて、幻獣達も強い魔力を失ってしまった様だった。
うろたえている幻獣達にケフカは容赦無く光を放ち、魔石へと変えていく。
見ているだけしか出来ない自分の無力さに唇を噛み、思わず俯いただが―――、
『我を求めよ』
「・・・!」
次々と幻術達がケフカの手によって魔石に変えられて行く中、頭に強い音が響いた。
『―我を求めよ―』
「ぁ・・・・・・ああっ・・・・・・・!!」
は自分の身体を抱き締める様に、自身に両腕を絡ませて苦しげに息を吐いた。
―パリッ、
「その様な物では、この私を倒すことなどできませんよ!
ヒッヒッ!さあ、魔石となって、私と共に、魔導帝国「ケフカ」を造ろうではありませんか!!
おほほほ!なんと温かい手触り!満たされていくー!!」
―パリパリッ、
「―――ん?」
ケフカはある魔力に反応してゆっくりと後ろを向く。
其処には、身体から金の光を放ち、身体から電流を放つが立って居た。
魔導帝国「ケフカ」ってどうよ?(…)