はキッと眼前に居るケフカとガストラを睨み上げた。
「貴様等ッ・・・!!」
「ッ・・・止せ!!」
思わず魔法を放ちそうになったの腕を力無い手が掴んだ。
は泣きそうな表情で彼を振り返り、「でもっ・・・シャドウ!!」と地に倒れている彼の名を呼んだ。
そんな二人を見て、ケフカが可笑しそうに笑い声を上げる。
「馬鹿な男ですねぇ!! 下手に動かなければそんな怪我を負わずに済んだかもしれませんのにィ!!」
「黙れケフカ!! ・・・・・・ッシャドウ!」
はケフカにそう一喝をすると彼の傷口に手を当てた。
途端、淡い光が彼の傷口を包み、傷を癒していく―。
「今・・・・・・今治すから・・・!」
「止せ・・・俺は良いからお前は・・・・・・!」
「シャドウ置いて逃げる事なんて出来ない!!」
は震える声でそう叫び、ケアルラをかけ続けた―。
そんな二人の周りはというと、禍々しい壁、恐ろしい模様の様にも見える裂け目、
空には轟く雷鳴―。
何故、こんな世界の終わりの様な場所に居るのか、
何故、シャドウはこんなに怪我をしているのか、
全ては先程、起こった事―――。
ケフカに連れて行かれたは、封魔壁へ連れて行かれた。
其処でガストラ皇帝、そしてシャドウと再会をした。
は直ぐさまシャドウに駆け寄ろうとしたが、後ろに居たケフカに思い切り髪を引っ張られた。
「ぁうっ!」
「勝手な行動は謹んで下さい」
「っつ・・・! 離せ!」
はそう言いケフカを睨み上げ、後ろで拘束されている手で、拳を作り強く握った。
―其の時、封魔壁の中から恐ろしく強大な魔力を感じ、はビクリと肩を跳ねさせた。
嬉々としてガストラと共に進むケフカの隙を見てはシャドウに出来るだけ近付く。
「シャドウ・・・!如何して此処に・・・!」
「お前こそ」
はシャドウにサマサの村でケフカがした事を話し、自分が何故此処に居るのかを説明した。
するとシャドウは「・・・そうか」と呟きこっそりと前を歩くケフカとガストラに気付かれない様にナイフで後ろ手を拘束しているロープに傷を入れた。
あからさまに切ったらばれるしな、とは思いシャドウに小声で礼を述べた。
――其の時、
ガグン、と地面が揺れた気がした。
よろけたを素早くシャドウが支え、辺りの様子を見渡す。
も当然そうしていたが、直ぐにある考えが浮かびハッとした表情を浮かべた。
「まさか・・・・・・魔大陸・・・!?」
そう言いシャドウの腕の中から前方を確認すると、向かい合っている三闘神の像が見えては息を呑んだ。
石化せし三人が向かい合い力を中和させる事で自らを封じたと言われいる、あの像・・・。
三体の石像の視線が逸らされた時にバランスは崩れその力は世界を滅ぼすと聞いた事があった。
(其れが幻獣界の奥にあったなんて・・・・・・!)
がそう思っているとケフカが「正解!大正解ですよっ!」と明るい声を上げた。
「これぞ正に魔大陸!見なさい!この素晴らしい世界を!!」
「・・・! これは・・・!」
は目を瞠った。
足元の地面の色は枯れた地の色―。
正に緑も何も無く、枯れた大地の様だった。
そんな地面のあちらこちらには裂け目が出来ていて、今もピシピシと音を立てている。
一気に変わった回りの景色に唖然としていたら、背後の壁がガラガラと音を立てて崩れ落ちた。
驚いて振り返ると、落ちた壁から、空が見えた。
しかし見えたのは青空では無く、真っ黒な雷雲。
そして次に視界に入ったのは、遥か下の方にある大地―。
「・・・魔大陸が・・・浮上したのか・・・?」
レイナがそう呟いた時、背後で嫌な音が響いた。
―そう、 人を、傷つけた音―。
「!!!」
「愚かですねぇ」
ニタリ、と歪な笑みを浮かべるケフカ。
振り返ったに凭れ掛かる様に倒れて来たのは―、
「ッ!! シャドウ!!」
は慌てて前に出て正面から抱えた。
が、彼の重みに耐え切れず思わず膝を着く。
―背に回した手に、何か生暖かい物を感じ、レイナはキッとケフカとガストラを睨み上げた。
「貴様等ッ・・・!!」
―そして、冒頭に至るのだ。
「シャドウ!気をしっかり持て!! シャドウ!!」
は彼の名を呼びながら必死にケアルラをかけ続ける。
どうして・・・、とが思っていると先程のケフカの言葉がの頭に浮かんだ。
「下手に動かなければ」と、確かにケフカは言った。
何故彼が動いたか、それは恐らく―――、
「・・・っ、馬鹿・・・!」
自分を助ける為―。
以前とは違い、生に執着している自分を、助けてくれようとしたから―・・・!
は零れ落ちそうになった涙が零れない様に天を仰いだ。
(どうしてみんな・・・・・・、)
私のせいで傷付くんだろうか―、
がそう思っていると背後からケフカが近付き、の腕を掴み立たせた。
痛みに顔を歪めるに、ケフカは「どうせ治すだけ無駄ですよ。此処は魔物も居るんですから」と言いを引っ張って歩き出した。
「は、放せ!ケフカ! ・・・・・・っ、シャドウ!!」
は遠ざかる彼人を想い、叫ぶことしか出来なかった―。