声を殺して泣いていたら、何時も不器用だけれども優しい手が撫でてくれた。


毎晩毎晩、夜が来て、眠る度に見た悪夢。


自然と流れてくる涙を止める術を其の頃は全然知らなくって、


一緒に居るシャドウやインターセプターに気付かれない様に、何時もコッソリ、一人で泣いていた。


でも、何時も気付かれて、励まされた。




何時も無言だったけど、撫でる手は酷く優しかった――。











































ドン、と背を押されたは力無く地へと倒れこんだ。

力の余り入らない身体を叱咤してなんとか上体だけを起こすと、目の前にとんでもない光景が入って来た。


「三闘神の像・・・!!」

「そうですよ」


瞳を大きく見開いているをケフカは引き摺り像の真ん中へと移動させた。

「此処ら辺でいいか」と呟いているケフカには隠していた小銃を向ける。

だが直ぐにケフカに腕を捻られて再度地へ沈んでしまった。


「っ痛ッ・・・!」

「無駄な抵抗はお止めなさい。
 ・・・さて、そろそろ始めて頂きましょうかね」


ケフカがそう言い離れていく。

途端、身体を何か見えない力で押さえつけられている感覚に陥った。


「な・・・!?」

「魔法をかけさせて頂きましたよ。動かれると面倒ですのでね」


は何とか腕を上げようとするが、酷く身体が痛む。
其れに表情を苦痛の色に染めると、ケフカの声が響いた―。


「さぁ!神獣の力を解放しなさい!!」

「しん・・・・・・じゅう・・・!?」


が腕に力を入れ、何とか上体だけを起こしてケフカを睨みつけると、ケフカは「おや」と言い瞳を細めた。


「ケツァクウァトルですよ。しりませんか?その幻獣の言い伝えを。
 創造神とも呼ばれている幻獣の内の一つで太陽と風の神とも伝えられている物ですよ」

「・・・っだから・・・何だ・・・!」

「そんな唯でさえ凄い幻獣が、魔力を持っていた人間と融合した。
 其処で生まれるのが莫大な力、正に神の獣と名乗るに相応しい物でしょう!?」

「――え?」


はケフカの一言に瞳を大きく見開いた。


「ま、待て! っつ・・・! お前は今・・・なんて・・・!!」

「記憶に無いのも仕方ない事ですよねぇ」


ケフカはそう言い口の端を吊り上げた。


「幼い頃、バンクルだかブレスレットを着けていたでしょう?肌身離さず」

「・・・・・・え?」

「其れは魔力抑制装置ですよ。
 ・・・まぁ、最後ですし全てを教えてあげましょう」


ケフカはそう言い、一度言葉を切ってから続けた。


「幼少の頃、お前は帝国の人間だったのですよ」

!?

「そう、父がね。 まぁ娘を実験に使われて耐えられなくなったのか。妻子を連れて今は滅びたあの国家へと逃げたんですよ。
 丁度良く、ね・・・」

「丁度・・・?」

「そうですよ。 貴方は帝国に居た記憶なんて無いと思っているでしょうが、無くて当然ですよ。
 記憶も弄らせて頂いてましたから、まぁ唯の餓鬼にやった記憶改変ですから余り効果はありませんでしたがね」


精々親を覚えて無かった位でしょうかね。

ケフカはそう言いを見詰め、こう言った。


「其の後、幻獣の中でも高位にあたるケツァクウァトルを其処の国家が匿っていると来たものだ。
 しかも魔導と魔導は惹かれ合うもの。人為的に入れられた魔力も、幻獣は惹かれ、貴女と幻獣ケツァクウァトルは大変仲睦まじくなった」

「・・・・・・やめろ・・・」

「此処で、この二体を合わせたらどうなるか。という話が上がりましてね。
 ・・・当然、此処は乗りましたよ?ねぇ、ガストラ皇帝」


ケフカがそう言いガストラを見るとガストラは満足そうに笑みを浮かべた。


「ファファ。当然じゃ。 魔導と魔導の合体。其れ即ち強大な力の完成を意味するからのぅ!」

「そうですよねー! そして、我が物にしようとしたんですよ。 まー、合体してくれたのは良かったんですよー。
 ですがねぇーどっか行っちゃいましてねー?」

「・・・やめろ・・・・・・!」


は耐えられなくなって動かない身体を懸命に動かして、耳を覆った。
其の指先は、カタカタと震えている。


「ま、見つけられて良かったですよ。 其の力は今や三闘神の封印を解くのにだって必要ですしね。
 どの道役に立ってくれて、ありがたい事ですねぇ」

「嫌っ・・・!」



聞きたくない聞きたくない!!


はそう心の中で叫び耳を塞いだ儘地へ身体を倒した。





そうだった、やっぱり、そうだった!!




自分が居るからいけなかった!!




自分が居るから、国は攻められ、皆殺された!!




自分を助けようとしたから、シャドウも、今実際危なかった!!




自分が居るから、自分が居るから!!!




嫌だ嫌だ嫌だ!!




イラナイイラナイイラナイ!!!








「ッ――――私なんて・・・・・・!!」











消えちゃえばいいのに・・・!!






そう呟いて瞳を伏せた時―、




膨大な力が膨れ上がり、辺りに魔導の風を起こした―。




新事実