身体中が酷く痛む。


けれども私を呼び続ける温かい声―――、


これは――・・・・・・、





















































思い出が、走馬灯の様に蘇っていく―。





























だ、言えるか?』

『・・・・・・?』


金の髪の少女の細い両肩を掴んで、、と繰り返す男性が居た。
彼の後ろには、何処か不安そうな女性。

少女は唯瞳を丸くしているだけで、何も応えなかった。

そんな少女に女性は涙を流し、少女を横から優しく抱き締めた。


『・・・・・・・・・!何て事・・・!こんな事って・・・!』

『・・・・・・?』


少女は小首を傾げ、自分を抱き締めて涙を流している女性を見詰めた。


―ないてる、


少女はそう理解し、女子の頭を様々な装置が取り付けられた重たいバンクルが巻かれた手を上げ、ゆるゆると撫でた。
其れに女子は瞳を大きく開いて少女の正面へと顔を移動させる。


・・・あなた・・・、』

『なでなで、 かなしいことも、こうするととんでっちゃうから、』


ね、なかないで?


頭を少し傾げて、ニコリと微笑んで言う少女に、女性は大粒の涙を更に零して抱きついた―――。

















































温かい腕、





少女は後ろから父に身体を包まれる様に支えて貰いながら、ライフルを持っていた。


『・・・重たいね、銃って・・・』

『ああ。重い。 決して軽いとは思えない物だな』

『・・・お父さんは、力があるのに?』


少女がそう聞くと、男性は困った様な笑みを浮かべ、少女の頭を撫でた。


『銃だけじゃない、剣も槍も、全てそうさ。 何せ武器とは、魔物だけでは無く人の命まで奪うものだ。
 人の命を奪う・・・そんな物を軽々しく扱う事なんて、出来ないんだよ、父さんは』


男性の言葉を聞いた少女は『でも、』と言い言葉を濁した。
何か言いたげな少女に男性は『ん?放してごらん?』と言い優しく頭を撫でた。


『・・・・・・私は、お父さんもお母さんも、友達も、王様も、皆守る為に武器は有る物だと思うの』

『素敵な考えだね、。 しかしね、其れは皆同じなんだよ。守る為に相手の命を奪うのだから』

『・・・・・・難しいね、』

『あぁ、難しいね』

































































ふわり、と温かい羽が少女を包み込んだ。


『我の所に居て良いのですか?』

『・・・構わないんだ』


少女は頭上にある丸い頭を見上げた。
その瞳には、寂しさの色があった。

羽で優しく少女を包みながら、彼人は口を開く。


『年頃の同じ者と遊びたいでしょう?』

『私には、お前が居るから良い・・・・・・』


少女はそう言い治療された彼人の羽を見やる。

未だ、飛べそうも無い羽―。

其れを見て少女は表情を歪め、彼人に抱きついた。


『私の友達・・・お前だけで十分だ』

『・・・欲の無い人だ・・・』





























































『ケツァクウァトル、私は決めたよ』


夜空を見上げながら呟く。


『・・・お前を自由にしたい―。 やっぱり、私はお前を閉じ込めて居たくないんだ』

『我はに生きていて欲しい』


成長した少女は其の言葉を聞き、嬉しそうに微笑み、『ありがとう』と言う。
だが、そう言っただけで決心は揺るがないらしい。

彼人は少女に問いかける。


『生きたくないのですか?』

『分からない。正直言って・・・。 唯、お前を自由にしたい事と、帝国に利用される位なら・・・と考えた』


『私は厄介者だからな』と言う少女に彼人は『それは違う』と応えた。


『厄介者は、我だ。
 街や村を、燃やしたのはでは無い、我のせいだ』

『・・・・・・私達は、厄介者同士だな』


そう言い微笑んだ少女の瞳は、台詞とは合わず、嬉々としたものだった―。































































は真っ暗な空間の中に居た。


一人だけポツン、と立ち尽くしていた―。


前後左右、闇、闇、闇。


闇があるのか、自分が瞳を閉じているのか開けているのかも分からない。


どちらでも良い。そう思い瞳を閉じる。



唯、聞こえるのは脳内に響く声だけ―。



、覚えていますか?』


―ああ、覚えている、


『貴女はあの後、我を分離させる為他の幻獣を探し始めた』


―ああ、そうだな。


『氷付けの幻獣の情報を入手し、ナルシェへ向かい、彼等と出会った』


―ああ・・・そうだな。


、貴女は今は生きたいと感じている、そうでしょう?』


―・・・・・・ああ、そうだ・・・。


、それは決して悪いことでは無いのです、そんなに悲しそうにしないで下さい、』


―・・・お前を解放出来ない、私は其れが嫌だ。


『私は貴女の中に居たい、ですが、厄介をかけますね、でも、貴女に生きて欲しい』


―私達は、酷く、わがままだな・・・。


『友達とは、似るものでしょう』


―・・・そう、だな。


『・・・足掻いてみせませんか?もう少し・・・、』


―暗闇から出ない手もあるぞ。



クッ、と自嘲的な笑みを浮かべる。



―冗談だ、


『・・・分かっています。貴女はケフカを許せない様ですから・・・、』


―ああ。 まあ、一時の別れだな、此処とは。


『・・・、』


―分かっているんだ、私は・・・。










だから、









「今は何も言わないで・・・」









はそう呟き、ゆっくりと瞳を開いた―――。



光が、差し込んできた。




目覚めます、次