熱さで目が冷めた―。
外も慌しい。何があった?!
はそう思いベットから飛び起きた。
部屋の外へ出ると一面が炎の海だった―。 熱気が襲ってくる。
「・・・うっ・・・・・・」
素早くゴーグルとマントを付けるとは室内のティナを起こそうとした、其の時。
「!!」
「! ロック!」
ロックが走ってきた。
「やられた!帝国だ!」
「城に火を放ったのか・・・?何て事を・・・」
「ティナは?」
「中に居る、恐らく起きてるは・・・ずっ・・・・・・!!」
ロックを見ようとした瞬間彼の後ろに見える影に思わず言葉を詰まらせる。
そんなにロックは「どうした?」と言うがはロックのバンダナを掴んでぐい、と自分の方へ引き寄せると彼の耳元で口早にこう言った。
「気付かれた、ティナを頼む・・・!」
「えっ?あ、おい!!」
はロックに其れだけを言うと走って行った―・・・。
何事かとロックが振り返った瞬間、
「狙撃の女が居たぞー!ホラッホラッ!やっぱり隠してたじゃないですかー!」
最後に高笑いをしながらケフカがの逃げた方向へ跳ねながら向かっていった。
其れを見、ロックはしまったと思ったが直ぐに部屋の中を見る。
するとティナが出てきていた。
「・・・は・・・?」
「くっ・・・大丈夫、このフィガロ城にはとっておきの兵器があるんだ!」
ロックはティナにそう言い再び部屋に入り階段を登った―。
「待て!」
「待てと言われて・・・・・・」
は追ってくる帝国兵に走りながら組み立てた大型のバズーカ型の銃を向けて一気に発砲した。
喰らった帝国兵達は一気に吹っ飛ぶ。
「待つと言う奴が居ると思うか・・・!」
「大人しくしろ!」
「寄るな下衆が!」
「ぐっは・・・!」
近づいてきた兵には回し蹴りをお見舞いしては走った。
辺りを見渡していると違う煉にエドガーの姿があった。
其処にはケフカも居る―。
「決心はついたかね?」
「そろそろいいか・・・?」
エドガーはちらりと下を見つつそう呟き壁を乗り越えて飛び降りた。
「ハッ!」
そして下に居たチョコボに乗り込む。
其れを見てケフカが高笑いをする。
「おやおやぁー!王様は一人でお逃げになるようですよ!こりゃあユカイユカイ!ヒッヒッヒ!」
「五月蝿いケフカ」
離れの煉から発砲をするとケフカは「あっぶない!」と言い其れを避けた。
そしてを見ると口元を更に緩めた。
「お前も置いて行かれたんだよ?さぁ、こっちへ来い!」
「誰が行くか。貴様等帝国の手にこの力が回るのなら私は自ら命を絶つ!」
はそう言い近くの手すりの上に乗り立った。
だがケフカは動じず唯其れをじっと見ていた。
「死ねるんですか?貴女が」
「死ねる。 ・・・・・・だが、」
はちらりと下を見て言う。
「今は、死ぬ気は無いな」
そう言いは手すりから飛び降りた。
其れにはの周りに居た帝国兵も焦って慌てて手すりに近づき下を覗き込む。
「!」
「っつ――!」
ボスッ、という音を立ててはロックの腕の中へ落ちた。
ロックはを抱えつつバランスを持ち直してチョコボの手綱を振った。
ロックがを上手くキャッチした事に前でチョコボに乗っているエドガーとティナは安心した様にほっと一息吐いた。
「いいぞ!沈めろ!」
「ひゃっほーー!」
エドガーが笑顔でそう言うとロックが嬉しそうに叫ぶ。
何が起こるのかとは興味深そうにフィガロ城を見ていた。
次々と建物の中に入り扉をがっちりと閉めるフィガロの兵士たち。
残された帝国兵は頭に疑問符を飛ばしながらおろおろとしている。
「さあ!黄金の大海原にダイブするフィガロの勇姿!とくと見せてやるわ!!」
最後に大臣らしき男がそう叫んで扉の中に入って行った。
落ちない様にロックにしがみ付きながらその様子を見ていたらフィガロ城がズズ、という音を立てて段々と砂の地面に埋まっていく。
あの大きな城全てが地中深くへ潜っていった―。 すごいな、フィガロの技術は・・・。
何も無くなった砂漠の地の上に居たのは放り出された帝国兵達。
仰向けに倒れてパチパチと瞬きを繰り返したケフカは飛び起きて此方を指差してくる。
「行け!!殺せ!!」
相当ご立腹の様だ。命令したケフカに従って魔導アーマーに乗った帝国兵が追いかけてくる。
速いな・・・。
「止まって叩きのめした方が奴にも精神的ダメージを与えられるのではないか?」
「・・・さり気怒ってるのか?」
「フィガロの素晴らしき技術が見れた事は良いのだがな、いい加減奴の子供じみた行動は嫌気がさす」
はそう言いロックの手から手綱を取ってチョコボを止まらせた。
其れにティナとエドガーも習い止める。
降りて各々武器を構えると相手も此方との間合いを空けて構えた。
「さて、機械には雷か・・・。ティナは使えるのか?」
「いいえ・・・私雷は・・・」
「そうか・・・」
はそう言いマシンガン型の銃を取り出して球が入っているか確認をする。
そしてティナを見、言う。
「ティナの魔法でも駄目だったら私がやるから安心しろ」
「・・・・・・え?」
「さぁ、来るぞ」
がそう言うと同時に魔導アーマーが此方に向かって来た。
機械の手に狙われたロックは軽い身のこなしで其れをひょい、と避けてその手に乗った。
と、思ったら直ぐにジャンプして魔導アーマーに乗っている帝国兵目掛けてナイフを投げた。
「くらうか!」
「チッ」
避けた帝国兵は空中に居るロックに狙いを定めるがエドガーの放った機械に矢を喰らいよろめいた。
「おーっと危ねぇ!サンキュ、エドガー!」
「いいから構えろ、また来るぞ」
二人は構えるが敵の攻撃は相当強そうだ。
は先ほど帝国兵に放ったバズーカ型の銃を片足え蹴り上げて手の上に収めると一気に引き金を引いた。
ドンという音を立てて魔導アーマーの機体に命中する。
「今だティナ!」
「えぇ! ファイア!!」
ゴウ、という音を纏う熱い炎が魔導アーマーに襲い掛かった。
よし、効いている。 そう思い再度構えようとするだが辺りは静寂に包まれていた。
敵も動きを止めて此方を凝視している。
味方であるエドガーもポカンと口を開けて此方を見ている。
「・・・・・・ん? エドガー。ちゃんと構えろ」
「そうだぞ。・・・・・・どうしたんだよ?エドガー。 突然驚いたりして?」
とロックで呆けているエドガーに声をかける。
すると動揺しまくった様子でエドガーが声を発する。
「今まままま、ののののの、み、見たよ、な、な?なっ?・・・・・・なっ?!」
「お前・・・その反応は一国の王として如何かと思うぞ・・・」
物凄く微妙な顔をしては言うがエドガーは其れ所では無い様だ。
完璧に動揺しきっている、そんな彼の視線を辿ると地を見て俯いているティナが居た。
はそういう事か、と納得し溜め息を吐く。
が、ロックは未だよく分かってない様だ。
「ああ、あの子には凄い能力があるみたいなんだ・・・」
「何が凄い能力だよ! 魔法だよ! ま ほ う ! ! 」
エドガーが手を握って拳にした状態で身体の前に出しながらそれはもう凄い顔で言った。
魔法、という言葉に帝国兵がざわめく。
それと同時に最初はきょとんとしていたロックも直ぐに瞳を大きく開いていく。
・・・・・・というか、知らなかったのか、お前・・・
「ま、ま、ま、
ま
ま
ま
ま
ま
ま
ま
ま
ま
まほう!!あれが魔法!?」
ウザイくらいに驚いたロック。
直後二人で引っ張り合ってしゃがみ込んでひそひそひそひそと何かを話している。
「お前ら・・・凄く印象悪く見えるぞ・・・・・・」
が思わず思った事を呟くとエドガーがくるりと振り返ってティナを見た。
「ティナって、いったよね・・・・・・今のって、な、何なのかなあ?」
「二回目だが・・・その反応は一国の王として如何かと思うぞ・・・」
「・・・ごめんなさい、私・・・・・・・・・」
ティナが瞳を揺らしながら俯きつつそう言うとロックがエドガーをど突き飛ばして砂に足を取られつつも走り寄って来た。
ちなみにエドガーは砂の地面と仲良しに、 ・・・・・・嗚呼、一国の王が・・・
「いいんだ、謝るのはこっちの方だ、あんなに驚いたりして・・・・・・」
「ほんと、ほんと!魔法なんて初めて見たんで、つい、驚いてしまった!」
砂の地面からがばりと立ち上がってエドガーがそう言いつつ近づいてくる。
(否、ほんとほんとってお前・・・)
が微妙な目で彼を見ていたがエドガーは直ぐに真剣な表情になるとじっとティナを見る。
「でも・・・・・・、君は一体・・・?」
エドガーの言葉にまたティナは俯く。
はエドガーを肘で小突きティナの肩に手を置いた。
「いいじゃないか、エドガー」
「そうさ、ティナは魔法が使えるが、俺達は使えない。それだけのことさ」
「そして今ティナの魔法は必要。だからいいんじゃあないのか?」
ロックとがそう言うとティナの瞳に輝きが戻ってきた。
「ありがとう!ロック、ありがとう!エドガー・・・・・・、ありがとう・・・!」
ティナはそう言いニッコリと微笑んだ。
其れに鼻の下を伸ばしたロックとエドガーにはのバズーカの銃身が命中した。
威厳が無えええええええぇぇぇぇぇぇ!!!!