「ブラボー フィガロ!」
結局あの後魔導アーマーを無事倒し、再度チョコボに乗って見せ付ける様にケフカの真横を走り抜けて行く―。
ちなみには相変わらずロックとの二人乗りだ。
「ヒーーー!!! くっそー!この借りは必ず返しますよ!!」
後ろの方で段々小さくなっていく声が聞こえる・・・。
「負け犬の遠吠えだな」
「・・・」
ボソリと呟いたにロックは苦笑した。
暫く其の侭チョコボに乗ったまま砂漠を走り抜けていく。
チョコボに乗っているお陰で足腰は疲れないし走っているお陰で涼しい風が吹き抜けていく。
「こりゃあいいや!」
「あぁ・・・涼しくて気持ち良いな」
「俺が邪魔じゃないかい?」
「大丈夫、ありがとう」
恐らく風の当たり具合を言ってだろう。気遣ってくれたロックに礼を言うとはティナを見た。
―元気が無い。
「あの人たち、悪い人なの? 私・・・怖い・・・・・・」
「ティナ・・・そうだな、追われてばかりだからな・・・。 でも、大丈夫だ。私達が居る」
がそう言うとティナは少しだが安心の色を見せた。
其れにもほっとする。
少しの間の後、エドガーが口を開いた。
「ティナに会って欲しい人がいる・・・」
瞳は真剣で、ティナを真っ直ぐに見詰めている。
ロックもエドガーと同じようにティナを見、口を開いた。
「俺達は地下組織リターナーのメンバーだ」
来ると思ったが、やはりリターナーの話か・・・。
は心の中で溜め息を吐いた。
「その指導者バナンに会ってくれないか?今度の戦争は【魔導】の力が鍵になっている・・・」
「魔導・・・」
ティナがまた不安気に瞳を揺らして呟く。
「ティナには魔導の力がある。その力は幻獣と反応し合った・・・。何か関係が・・・――」
「私は何も知らないわ!この力も気が付いた時には自然と使える様に・・・――!!」
「しかし生まれ付き魔導の力を持った人間など居ない!」
声を張り上げたエドガーにティナの肩がビクリと跳ねた。
其れと同時にティナの手綱を握る力が弱まり、其れに気付いたチョコボが「クェ」と短く鳴きながらゆっくりと速度を落とし、止まった。
其れに気付いたロックとエドガーもチョコボを止め、ティナに近づく。
エドガーは罰が悪そうな顔をして「すまない・・・」と謝った。
はロックに短く「降りる」と言ってチョコボから降りて二人に近づいた。
「エドガー・・・ティナは記憶を無くしている。無理強いはしないで頂きたい」
「分かっている・・・分かっていたが・・・・・・すまない・・・」
「・・・エドガーの気持ちも分かる。遣る瀬無いよな・・・フィガロが燃やされた半分の原因は私にあるかもしれない・・・すまない・・・」
「君が謝る事では無いさ」
エドガーはにそう言いティナを見る。
「帝国がティナの力とその秘密を狙って追って来るだろう。力が帝国の手に渡ったら世界はお終いだ。
ティナも自分の持っている力の正体を知りたいだろう?」
エドガーがそう言うとティナは少しの間の後、頷いた。
「ならば、バナンに会い真実を見極めて欲しい・・・」
「俺からも頼む」
ロックも声を発し、ティナを見た。
そして次にを見る。
「も、リターナーでバナンに会って話しをして貰いたい」
「・・・お前等は私が何故帝国に狙われ、リターナーから必死に声をかけられているか知っているか?」
が静かにそう尋ねるとロックとエドガーは首を振った。
は「そうか・・・」とだけ言うとティナに近づき、チョコボに手をかけてティナの後ろに乗った。
「私はティナと乗る」
「・・・・・・」
「ティナ、いいんだ。迷える内は沢山迷う。それでいいんだ」
「でも、私・・・・・・」
「リターナーへ行きたくない、ってワケでは無さそうだが?
素直に、自分の考えた通りに行動すればいいんだ」
はティナにそう言い少しだけ笑った。
「よし!南に向かおう!サウスフィガロへと続く洞窟があるはずだ」
気を取り直すように明るめの声色でエドガーがそう言い手綱を振った。
暫く走った後、山沿いに進んでいると洞窟があった。
近づくと見張りをしていたフィガロの兵が敬礼をする。
「エドガー様どちらに?」
「洞窟を抜け東のサウスフィガロの町を目指す。その後、北のリターナーの本部へ赴く。フィガロ城へ戻ってこのことを伝えて欲しい」
「ハッ!お気をつけて!」
兵は敬礼を再度した後チョコボに乗って走っていった。
エドガーはそんな彼を見送った後「では、行くか」と言い洞窟の入り口へと歩いていった。