一度フィガロに寄ってエドガー達と再会した後、もう一度コーリンゲンに達は来ていた。
がまだ少し用事があると言ったので、寄る事になったのだ。
それにセリス、エドガー、シャドウが同行する事になった。

コーリンゲンの街中に入り、は歩を進める。
その足はレイチェルの家へと向かっており、それに気付いたセリスが小走りにの隣に並ぶ。


「・・・取り合えず、情報があるかもしれないだろう?ロックが何処に居るのか、とか」


あいつは絶対こんな世の中でもトレジャーハンティングを続けるヤツだ、きっと。

そう言って苦笑するにセリスは「・・・そうね、」と言って緩く笑う。

壊れかけの橋を渡って、目的の家に行く。
そこでがノックをすると、少し間が空いてから中から老人が現れた。

老人は最初こそ小首を傾げたが、の姿を見て以前見た顔だと思い出したのか破顔した。
そんな老人にが「レイチェルさんは・・・、」と問う。
それに老人は「まだ眠ったままだよ」と言いを見る。
彼女の金色の瞳を見、何が言いたいのかを理解し、「えっ?ロックかい?」と言う。


「きっと伝説の秘宝を、捜し求めて世界を飛び回っているだろう。
 ん?だからね えっ、その秘宝の隠し場所をあんた達も追って行けば、行き着く先にロックが居るって事さ」

「伝説の秘宝か・・・」


もしかしなくとも、ロックが狙っているのは不死鳥(フェニックス)の魔石なのではないか、とは考えた。


(・・・ケツァクウァトル、フェニックスの魔石には力があるのか?)

『・・・はい、恐らく。 フェニックスは生命を司る力を持っているので可能性は高いですね』

(・・・そうか)


は脳内で体内の幻獣、ケツァクウァトルとそう会話をし、老人に礼を言い去った。
顎に手を当てて考えていると、背後からセリスに気遣わしげな声で名を呼ばれた。
それに「ん?」と言って振り返ると、セリスは心配気な視線で此方を見ていた。


「・・・貴女、大丈夫なの?」

「・・・心配、してくれているのか? ・・・大丈夫だ。ロックは居なかったが、情報なら手に入れることが出来ただろう?」


情報があったという事は、彼が生きているという事だ。
何処に居るのかなんて全然検討が着かないが、その事実だけで、酷く安堵した。

直感で彼が生きている、と思っていたがやはりこう他人に言われると酷く安心する。

はそう思いつつセリスに笑みを向ける。
そんなに、セリスは表情を歪め、少しだけ俯いての手を握った。


「・・・強い、のね、貴女は・・・」

「それは、違う」


はそう言い首を振ってセリスに笑みを向けた。


「私は、ほんとは皆が思っている程強くなんか無いんだ・・・。 自分でも分かってる、これは唯の強がりなんだって」

「それが人と言うものさ」


言葉を続けようとしたの言葉を遮り、エドガーが口を開く。
彼はを見下ろすとにこりと微笑んで次にセリスを見た。


、君はアイツが居るから頑張れるんだろう?それはセリスも同じ筈だ」

「わ、私は違うわ! 私は・・・、皆が居るから・・・、」


からかい混じりのエドガーの言葉にセリスは慌ててそう返しを見る。
彼女を見つつ「そう、貴女が居るから・・・、」と呟く。

胸の前で手を合わせ、セリスはを見やる。


「魔導研究所でも、アルブルグで再会した時も、貴女はずっと私を信じてくれた・・・、」


スパイだとケフカに言われ、皆がセリスを疑ってしまった魔導研究所での事を思い出しながらはセリスの話を聞いていた。
其の時の事を思い出し、は他の事も一緒に思い出した。



『私じゃ、いけないのよね・・・信じてもらうには、貴女じゃなきゃ、いけないのよ。 
 ・・・そう、私の入り込む隙間なんて、最初から無かった――・・・、』



セリスはそう言った後、魔法を使ってケフカ達と共に姿を消した。
その言葉を思い出し、はセリスを見やる。
すると彼女も同じ事を考えていたのか、くすりと笑っての手をまた握った。


、私確かに彼に惹かれてたわ。でもそれは過去の話。
 今の私の何よりの支えは大切な仲間達・・・、ずっと、私を信じてくれていた貴女なのよ」


セリスはそう言い自分の言葉を自分で再確認するように「そうなのよ、」と呟くとエドガーを見やる。
そして彼に向けて少々意地悪い笑みを向けた。


「自分はそれだけ口を挟んで、大切な事は言わないのね」

「それは君達が話さなければならない事だろう?」


私が加わるのは無粋という物だ。と、エドガーは言い肩を竦めた。


「今更言うか、野暮な事は沢山しているじゃないか」

「心外だな、何時私がそんな事を?」


とぼけて言うエドガーには胡散臭げな視線を向け、コホンと一度咳をしてから彼の片割れから聞いた話を思い出す。
そして腰に手を当ててエドガーを見上げながら口を開く。


「女性が居るのに口説かない。そんな失礼な事が出来ると思うかね? 礼儀だよ、れ・い・ぎ」


聞き覚えのある台詞にセリスが「あ、」と言い其の時の事を思い出しつつエドガーを見る。
そして「確か、お茶を運んできたレディに挨拶、って話よね」と呟く。

確か、サマサでがケフカに連れ去られた後合流したエドガーの言葉だ。

エドガーは笑みを顔に貼り付けたままに「それは、誰が?」と問う。
それにはあっさりと「お前の片割れだ」と答えて溜め息交じりに言う。


「寧ろ無礼だろうが。お前は礼儀という言葉を一度辞書で引け」


腰に手を当てたまま言うに、エドガーは困ったような笑みを浮かべつつ、何処か嬉しそうだった。
それにが小首を傾げ、セリスを見るが、彼女も何処か嬉しそうに微笑んでいた。

更にが首を傾げると、クスクスと笑みを零しながらセリスが口を開く。


「貴女なら、絶対そう言うと思ってたわ」


それにエドガーと、それにシャドウまでもが頷く。
はそれに「・・・何で?」と問うとセリスが「何時もの貴女を見てると分かるわ」と言う。
それに頷きながら、エドガーが口を開く。


「君が居ないと何だか調子が違ったからな。 本当に、こうして再会出来て嬉しく思うよ」

「・・・軟派礼儀云々は兎も角、私も皆に会えて嬉しく思う」


ニコリともしないでそう言っただが、エドガー達はそんな彼女に満足そうに微笑んだ。
其の後にセリスが「今更だけど、」と言う。


「その、身体とかは大丈夫なの?」

「? これと言った不自由さは何一つ無いが?」

「そう、それなら良いんだけど・・・」


会えた嬉しさから色々忘れてたから、聞いてみたの。とセリスは言う。

ケフカに連れ去られた後、助けられたが一緒に居れた時間はほんの数分。
直ぐに世界が崩壊してしまい、皆が離れ離れになったのだ。


三闘神の像の真ん中で力なく倒れていた


魔導の力を持つ者と幻獣が融合し、神獣という存在。
そんな強大な力を持つ彼女が、三闘神の力に屈していたのだ、あの時。

助け出した後、セリスを庇って落ちて行ったりもした。

今思い返すと全然大丈夫では無い彼女の出来事に、セリスは眉を寄せつつ、「・・・ほんとに大丈夫?」と問うた。
それには「心配性だな」と言って笑う。

其の後に「長話をしてしまったな」と言いは前で待っているシャドウの方に歩きつつセリス達に「行こう」と言う。
まだ聞き込みも終わっていないのだ。済ませてファルコンで待たせている皆の所に戻らなければ。
そう思いはシャドウの横を歩く。


「・・・そういえば、インターセプターは?」

「モーグリと一緒に居させている」

「あぁ・・・、何か結構仲良くなってたからな」


動物同士のじゃれあいを思い出して、が言う。
ああいうのは見ていて和むんだ、あれを癒し系、と言うのかな。

はそんな事を思いながら聞き込みに回った。




シャドウが空気?いいえ、見守っているんですよ(おい)