「そういえば来年であいつらもSeeD除隊か」


何気なく言ったラグナの言葉に、側近の三人が反応する。
ウォードは「今更か、」とでも言いたげに肩を竦め、キロスは興味有りげにラグナを見た。


「何だ?彼をエスタに勧誘でもするのか?」

「おお、それもいいな」


キロスの言葉に満更でも無さそうにラグナが言う。
そんな彼らにクロスは息を吐く。


「ま、がエスタに滞在するようになれば必然的にスコールもついて来るでしょうね」

「あいつ、ぞっこんだもんな」


誰に似たんだか・・・。
と呟くラグナに三人の視線が集中する。
不穏な視線を感じ取ったラグナは少しだけたじろいで、「オホン!」と咳払いをひとつした。


「ところでクロス君!」

「あ、話逸らした」

「大事な話!! ・・・そろそろあいつらも20歳だ。話をするべきなんじゃないか?」


ラグナの真剣な瞳に、クロスも笑みを消す。
クロスは「そうですね」と言い、腕を組んで彼を見る。


「二人には話しておかなきゃいけないことが結構ありますからね」

「いや、大分だろ」

「大差無いですよ」


手をひらひらと振って言うクロスに、ウォードとキロスが肩を竦める。


「・・・でも、近々話すつもりですよ」


もうちょっと、あいつに余裕が出来れば、ね。


そう言い、クロスは若草色の瞳を細めた。















「スコール、お迎えって誰だっけ?」


椅子に座り、小首を傾げて問うにスコールは「セルフィだ」と返す。
「セフィかー」と言い、足を揺らす


「セフィってアービンと今ちょっともめてるんだよね?」

・・・そうだったっけ?

「・・・その顔は忘れてる顔でございますね?」


んもー。
そう言いは頬杖をついてスコールを見る。


「ちょーっとアービンがやっちゃったみたいでさ」

「やっちゃった?何を?」

「他の女の子とデートだって」


の一言にスコールは思わず額を押さえた。
あまりの馬鹿らしい理由に溜め息を零すスコールにが苦笑する。


「アービンもセフィが大好きなんだからそんなややこしい事しなくてもいいのにねー」

「あいつは馬鹿だからな」


二年前の戦い以降、アーヴァインはSeeDになる為にバラムガーデンへ来た。
そのままSeeDになれた彼はずっと想っていたセルフィを変わらず見ていたが、
最近は何故かアーヴァインはセルフィ以外の女の子と一緒に居たりもしている。
その点はスコールも少し気にしていた所だった。


「けど、考え無しじゃないだろ」


アーヴァインの事だからな。
そう言うスコールに、は笑みを向ける。


「やっぱアービンの事よく理解してるよね、男の子同士だから?」

「男の子、って歳でも無いだろ」


スコールの言葉には「そうでした」と言って笑う。


「来年で二十歳でスコールも私もSeeD除隊だもんね」

「そう言うと、早い気がするな」


頷いてはSeeD試験の事を思い出す。
ドールでの実地試験は、忘れられない記憶だった。

ヘッジヴァイパーが出てきたりガルバディア軍の兵器に追いかけられたりもした。
下手したら怪我でもすまなかったであろう事態だった。


サイファーのせいだもんね


持ち場を勝手に離れちゃうから。
そんな事を思いながらは前に居るスコールを見る。
あの頃とは違い少し伸びた髪、大人びた顔がそこにあった。
スコールもかっこよくなったよなぁ、と思いながら彼を見詰める。


「・・・何まじまじと見てるんだ」

「いんや、スコールもっとイケメンになったなぁって」

「・・・・・・(
アンタは美人になったな)」


そう思いながらスコールは改めてを見やる。
肩まで伸びた銀の髪に、綺麗な紅紫の瞳。
きゅ、と締まった体つきは良いものだった。


「セフィとアービン、両想いだと思うんだけどな」


そう零すにまたその話か、とスコールは思った。
どうするんだろ、と呟くの頭をスコールが撫でた。


「アーヴァインも色々考えがあるんだろ」

「男の子特有の悩みってやつ?」

「・・・・・・多分な」


心地良さそうにスコールに身を任せながら、が「でも」と言う。


「セフィだって女の子特有の悩みを持ってると思うんですよねー」

「セルフィが?」


うん、と頷いては紅紫の瞳をスコールに向ける。


「女の子だって、色々特有の悩みがあるんだよ」


それは女の子にしか分からないけどね。
そう言って笑うにスコールは小首を傾げるだけだった。




アーセルも色々あるんです(多分)