取り敢えず一人電波塔の中に入っていった問題児を追うことになり達も電波塔に入る。

中に入った途端、目に入るのは大きなリフト。


「・・・上に行ったのか?」

「B班班長〜!」


スコールは前にあるリフトを見てそう呟き其れに近付く。
セルフィは辺りを見渡しながらサイファーを呼ぶ。だが、返事は無かった。

リフトを調べているスコールには近付き、「どう?」と声をかける。


「このリフトで上に行けそうだ・・・」

「じゃあ行ってみようか。何か誰かさんもうこの階には居ないっぽいしね!

・・・しねだけ力を込めるな・・・


スコールは溜め息混じりににそう言い全員にリフトに乗るように言った。
リフトに乗った途端、セルフィが嬉しそうに声を上げる。


「あたし、こういうリフト好きなんだ〜」

「はしゃいで落ちたりすんなよ!」

「落っちないもーん!」


明らかにはしゃいでいる様子のセルフィにゼルがそう釘を差す。
セルフィはニコニコと笑ったままそう返した。



―上へ上へと上っていくリフトは空が見える開けた所で止まった。
先ずが下りて三人を待たせたまま音を立てない様に前へ進む。

何やらカタカタと機会を操作してる音が聞こえる。

そう思いつつ辺りも見渡した。
―上を向いた途端、閉じた大きなアンテナがあっては思わずぎょっとした。


まさか此処って・・・屋上?


そう思いながら辺りを再度見渡す。

―その瞬間、床が大きく揺れた。


!!


あまりの揺れには驚いて辺りの物にしがみ付いた。
何だ何だと思っていると、辺りが一気にライトアップされた、かと思うと、

頭上がらバタバタ、という何かが広がる音がした。

頭上を見上げてみると―、全開に開いたアンテナがあった―。

アンテナの先から、溜まっていた電気が一気に放出された。

は其れに驚き、口をあんぐりと開いたままにしてしまった。

が、直ぐにハッとし、先程から何やら操作をしていた男に素早く近付き、双剣を構える。


「何してんの!?」


そう言うと、の後ろに出てきたスコール達も並んで構える。
男(赤い服を着ているから上級の兵だろう)はの声に反応して振り返る。


「何だぁー?貴様こそこんな所まで来て何をしている!」


と、最初こそ強気だったが直ぐにハッとし「お、おい!」と焦りの声を上げた。


「下に居た兵はどうなっとるんだ!? ウェッジ!こんなガキ共早く片付けろ!」


手を振りかざしてそう言うが、此処に居るガルバディア兵はこの男一人。
男は焦った様に辺りを見渡し、部下の姿が無い事に気付き「ウ、ウェッジ・・・?」と情け無い声を出す。

直後、絶望の色を表情に浮かべ、情け無い足取りで真横に歩き出す。


「わ、私はもうこの電波塔には用が無いから・・・。
 か、か、帰るぞ! 退けっ退けっ!」


そう言い何かを抱えて逃げようとする男だったが―、

ガキィン!という金属音と共に、男の腕の中にあった機械が吹き飛んで鉄板の床に音を立てて落ちた。
唖然とする男の前に立ち、己の武器であるガンブレードを男に突きつけるサイファー。

「残念だったな」と言い口の端を吊り上げるサイファーに、は「やっと居たよ、」と呟く。


「あ・・・ああ・・・あぁぁ―――! なんて事をするんだぁ――!!」

「黙れ!」


サイファーがそう言い剣を振りかぶる。
男は其れを避けて、戦闘体制を取った。


「覚悟しろ!このガキ共め!!」


そう男が言った途端、「ビッグス少佐殿〜!」という声が近付いて来た。
見ると、一人の下級兵が其処に居た。

ビッグスと呼ばれた男は「ウェッジ!」と声を上げる。


「アンテナの調査は完了されたですか? ・・・・って、おおっ!こんな所に敵が!!」

「こらウェッジ!何処へ行っていた! お前、今月の給料は無し!」

「ひええ、来なければ良かった・・・!」


等と少々哀れになる会話をした後、ガルバディア兵のビッグスとウェッジは此方に武器を構えてきた。
が先に攻撃をしかけようか、と考えた其の時、


「・・・・・・!! な、何!?」


背後に何かの気配を感じ、は思わず身体ごと振り返った。

其処に居たのは―、大きな羽を背に持ち、大きい手に鋭い爪を持った魔物が居た。
電波塔に住み着いていた魔物・エルヴィオレである。

エルヴィオレは大きな羽で突風を巻き起こした。

其れに達は耐えたが、ビッグスとウェッジは「うわあああぁぁぁ」と悲鳴を上げて吹き飛んでいった。


「何だ? コイツは・・・」

「さぁ・・・。 ま、取り敢えず倒すしか無いでしょー!」


はゼルにそう返しつつ、何か良い魔法持って無いかなーと思いエルヴィオレにドローをかける。
すると、


!!

「どうした?」


ドローをした途端身体を震わせたにスコールが反応する。
は自分を何処か心配気な瞳で見てくるスコールにピースを送る。


「何かアイツG.F.持ってたっぽい!何かが入ってきた・・・!」

「・・・そうか・・・。 !」


スコールがそう返した途端、二人の間に閃光が走った。
二人は条件反射でバックステップを踏む―。すると、先程まで二人が居た場所に雷が落ちた。
敵の魔法、サンダーである。


「・・・魔法使っちゃうのね」

「・・・その様だな」


がほう、っと息を吐き先程自分の中に入ってきたG.F.について考える。

何かに使えないか、

―取り敢えず、宙に浮いている敵を如何にかしなければ始まらない。はそう思い前で応戦をしているゼルとセルフィ、サイファーを見やる。
は、うん、と少しだけ唸った後「スッコー」と声をかけた。


「何だ」

「・・・あいつ、魔法使ってて厄介だし、取り敢えず降ろさないと駄目だよね?」

「・・・何か打開策があるのか?」


ガンブレードを構えたまま、言ってくるスコールには笑みを送った。
「イフリートとシヴァじゃサイファー達の邪魔になっちゃいそうだからね」とは言い瞳をゆっくりと伏せた。


「・・・きっと、この子なら大丈夫・・・」


成功したら、よろしくね。

最後にそう付け足し、は意識を集中させた。
スコールは頷きを一つ返し、自分も技に集中できる様に深呼吸を繰り返した。


「さって!早速出番よ!! セイレーン!!」


双剣をクロスさせて一気に前へ突き出し、はそう声を張った。
後ろでがG.F.を発動させた事に気付いたサイファー達は各々バックステップを踏み、邪魔にならない様にする。


ざ、と足元に水―、否、海が広まった。

其れにが驚いていると、一つだけ現れた岩場の上に美しい女性、セイレーンが現れた。

セイレーンは美しい音色をハープで奏で、閉じていた美しい瞳をゆっくりと開き、アルヴィオレを真っ直ぐに見詰めた。

直後―、音波がエルヴィオレを襲った。


余りの衝撃には驚いて「わわわ!」と声を上げてしまう。
が、直撃を食らったエルヴィオレは当然、それ以上な訳で、ゆるゆると降下して来た。

其処をサイファーが嬉々とした表情で掛かろうとするが、そんな彼の真横を、素早く横切る影―。


スコールは剣を一気に振りかざし、また横に薙ぎ払い、斬り上げ、繰り返す。

連続して斬られたエルヴィオレはぐらり、と体制を崩した。

その隙をスコールは見逃さず、少しだけ離れて体制を立て直す。

力を込め、腰を下ろした体制の儘、一気に近付いて飛ぶ。

下から勢い良く剣を振り上げ、深く斬り込む―。


連続剣の後にラフディバイドを食らったエルヴィオレは力なく鉄板の床に大きな身体を横たえた。

そしてキラキラと、光の粒になって消滅した―。


スコールに止めを刺されてしまったサイファーは舌打ちを一つし、苛々した様子で自分の武器、ガンブレードを肩に当てた。
そんなサイファーにセルフィが小走りに近付き「B班班長?」と声をかける。
しかし、聞こえていない様子にサイファー。そんな彼にセルフィはもう一度強い口調で「B班班長!」と声をかけるとようやく振り向いた。

セルフィは敬礼をしつつ「伝令です」と言い言葉を続ける。


「SeeD及びSeeD候補生は1900時に撤収。海岸に集合せよ!」

「撤収!? まだ敵は居るんだろ?」

「あたしは唯の伝令だからそ〜んな事言われたって」


セルフィの言葉に不満そうに返すサイファー。
だがセルフィに軽くそうあしらわれてしまい黙る。


「撤収は最重要命令だ。俺は船に乗り遅れたくは無い」

「私だって!」

「・・・何時集合だって?」


スコールとにそう言われサイファーは大きく息を一つ吐いた後、セルフィに向き直りそう問う。
セルフィは「だからー!」と言いまた律儀に敬礼をして先程の言葉を述べる。


「SeeD及びSeeD候補生は1900時に撤収。海岸に集合せよ!」

「1900時・・・・・・。 あと30分しかない!! 30分で海岸まで!走れ!」


サイファーは時計を確認すると焦った様子でそう言い一人だけリフトに乗って下りて行ってしまった。
そんなサイファーにセルフィは「一人だけずるい〜!」と言う。
ゼルは呆れの色を瞳に滲ませ、「あいつ、俺達をナンだと思ってるんだ・・・!」と言う。

スコールは「直接聞けよ」とゼルに言い歩を進めて戻ってきたリフトに乗る。
其れに達も続いて乗り、下降した。


下の階に下りても、サイファーは既に居なかった。
其れにまたゼルが苛立つのを、が鎮めた。


「まぁまぁ!良いじゃん?あんなん放って置いてー」

「ケドよォ・・・、 ・・・うお!?

「・・・ん?」


外に出て、を振り返ったゼルがギョっとした顔をしている。
其れに後ろに居た達は小首を傾げる。
ゼルは「や、やべ!!」と悲鳴交じりの声をあげ、近くに居たセルフィを抱えて横に飛んだ。
ゼルの視線を追っていたスコールも表情に焦りの色を浮かべ、を抱えて横へ飛ぶ。


直後、


ガッシャアアアン!

と、大きな音を立てて大きな機械が落下して来た。
―否、下りてきた。

其れは此方に真っ直ぐ向き直った。

大きな機体を、四本の足のようなアームが支えている。
手前に伸びているアームは、腕の様だった。


スコールに抱きかかえられたままのは瞬きを数回繰り返し、「え、」と短く声を上げた。


「な、何これ!!」

「分からない・・・、おい、ライブラを持ってるか?」

「あ、ライブラね、その手があったわ」


スコールに降ろしてもらったは以前そこら辺の敵からドローした魔法、ライブラを唱えた。
の脳内に、敵のデータが流れ込んでくる―。


「名前は、X-ATM092
 ガルバディア軍無人機動攻撃兵器。通称は"ブラック・ウィドウ"
 対人戦闘用の兵器であり、一旦発見した敵は・・・、倒すまで・・・追いかけてくる・・・」


ブラック・ウィドウって事は、あれ、蜘蛛ですかい。
何処からどう見ても、蟹です。とは思いながらスコールを横目で見る。


「・・・どうしよっか、スッコー?」

「・・・時間が無い、手短に済ませる」

「おっけ!機械だから雷に弱い筈! スッコー、よろしくね!」


はそう言い双剣を構え、スコールの詠唱の邪魔をさせない為に彼の前へ出た。
横に来たゼルとセルフィは、直ぐにX-ATM092へ攻撃を開始していた。


 セルフィ、危ない!」


は咄嗟にそう叫び、セルフィに体当たりをする様に突っ込んだ。
当然、二人は倒れたが、敵の銃撃をまともに食らうよりは良かった。

二人は直ぐ起き上がり、セルフィは「、ありがと〜!」と言いヌンチャクを振るった。
其れはX-ATM092のアームに命中し、カン!と金属音を立てた。


「やっぱ効かないね・・・」


がそう呟いた其の時、急に空に暗雲が立ち込めた―。

蛇の頭を持ち、美しく大きな翼を広げながら、雲の隙間からG.F.、ケツァクウァトルが現れた。

ケツァクウァトルは頭の先で放電を繰り返した後、巨大な落雷をX-ATM092に落とした。

直に其れを食らい放電を繰り返す其れに、達はすぐさま背を向けて走り出した―。


1900時まで、あと20分。




蟹に見える蜘蛛は最初無茶苦茶ビビッた
トラウマだはははは!!(((;;;゜д゜;;;)))ガクブル