蟹ッ! あ、否、蜘蛛ッ! なんなのよあれ!!!」


走りながらそう言うにスコールは珍しく焦った様子で「良いから走れ・・・!」と言った。
自己修復機能が付いているのか、あのX-ATM092は回復してまた追って来ているのだ。
自己修復機能が付いているのなら、相手にしていても唯の時間ロスだ。

全員そう理解し、追って来るX-ATM092から逃げる為に必死に走っていた。


1900時まで、あと15分。


少し経って、漸くドール市街まで戻ってきた所で、は「あ!」と短く声を上げて海岸とは違う方向へ走って行った。
前方を走っているゼルとセルフィは気付かなかったのか、走っていってしまった。

は犬を発見し、その犬を奥へ追いやって逃がしてやる。
そして自分も逃げようとゼル達の通った道へ進もうとした時、背後にX-ATM092が迫ってきた。

は驚きつつも、慌てて逃げる。
が、背後から銃撃の音が聞こえ、思わず身体を硬くする―。


ヤバイッ!


其の時、


!!」


グン、と強く腕を引かれた。

え、と思っていると先程まで自分が居た場所は弾丸が走り、前にあった家の硝子を無残に砕いた。
思わず其れを唖然として見ていると「何をしている、走れ!」と間近で叫ばれはまた腕を強く引かれた。


「スッコー!」


前に見える背中は、彼のものだった。

待っててくれたの? と、思いつつ前方の道順はスコールに任せ、未だ此方を追って来るX-ATM092にサンダーを唱えた。
サンダーは命中したが、自己修復機能のせいで直ぐに修復され、X-ATM092は追い続けて来る。

街中を走っていると、背後からガシャン!と大きな音が聞こえた。

思わず視線を向けると、大きなアームに踏みつけられた車が見るも無残な状態になっていた―・・・。


もしかしたら、自分も・・・、


そう思ったとたん、背を冷たい汗が流れた。

それはスコールも同じだったのか、握られた手首に力が込められた。
はスコールを少しでも安心させる為、腕を少しだけ捻り、きゅ、とかれの手首に指を絡めた。


「C班、撤収・・・!!」

「了解!」


横にあるバーからSeeD候補生のC班が出てきて慌てて逃げていく。
当然だ、何せ背後から巨大な兵器が迫ってきているのだから―。


あとちょっとで海岸―、と言う所で背後から迫るX-ATM092が、街中の建物にぶつかる事を煩わしく感じたのか、思い切り横に飛んで建物を壊し、物凄い勢いで迫ってきた。


「ちょ・・・! 最後にそれは無いでしょ!!?」


は思わずそう叫び、スコールと共にドール市街入り口の門を潜る。


此の儘階段を下りたんじゃ、この蜘蛛に踏まれるって!


がそう思い背後を振り返ったその瞬間、X-ATM092が飛んで突っ込んでくる体制を取っている事に気付いた。


!! スッコー!


は思い切りスコールの背を押し、突き飛ばした。


突然の事に驚いたスコールだが、直ぐに受身を取って体制を立て直す。
そして直ぐに自分の背を押した人物を探した―。


砂埃が舞う中、X-ATM092が階段の上に姿を現す。



その階段を下り切る場所に、は倒れていた。



X-ATM092が、起き上がる為、地に手を付いているに狙いを定めたのが分かった―。

スコールはすぐさま走り寄り、立ち上がりかけているの手を思い切り強く引っ張り、抱きかかえた。
片足を前に出し、方向を転換させて開いている船の入り口に向けて走る。

船の横では、セルフィが心配そうに此方を見てきていて、その横ではゼルが「急げ!!」と叫ぶ。

走るスコールの背に、照準を合わせるX-ATM092。
それに気付いたセルフィが「やばいよ!」と声を上げる。


スコールはを強く抱き、一気に地を蹴って船へと飛び込んだ。

腕の中の彼女に少しでも衝撃が行かないように、強く抱きこみながらスコールは船の床へ転がった。

セルフィもゼルもすぐさま乗り込み、ハッチを閉じる。

X-ATM092が銃口をこちらに向け、発砲しようとしたその時、

X-ATM092の銃撃音とは違う音が響いた。

キスティスが船に取り付けられていた機関銃でX-ATM092を撃ったのだ。

怯んだX-ATM092に銃撃を続けるキスティスは「出して!」と叫ぶ。
船は海岸を離れ、海へと移動する。




少し離れた時、X-ATM092は銃撃に耐え切れず大破した―。










































































「スコール!!大丈夫だったか!?」


床に座り込んだままのスコールと、彼の腕の中でぐったりした様子のにゼルが心配の色を瞳に滲ませて言う。
スコールは短く「あぁ・・・」と答え、顔を顰めているにケアルをかけた。

淡い光が舞う中、甲板からキスティスが下りてきて心配そうに見やる。


「・・・ん、」


が幾分ましになった表情をし、ぱっちりと大きな瞳を開いた。

そしてスコールを視界に止めると、何処か安心した様に息を吐いて、微笑んだ。


「良かったぁー・・・・・・、スッコー、無事?」

「・・・アンタ、自分の心配しろよ・・・」

「・・・ん、でも大分楽になったよ? スッコー、ありがとう」


ニコリ、と笑って言う彼女にスコールはなんともいえない表情を浮かべた―。
それにが瞳を丸くすると、スコールはの視界を自分の手で覆った。


「わ! な、何?スッコー?」

「・・・少し休め」

「・・・・・・」


は身体を硬くしていたが、直ぐに口の端を吊り上げスコールに思い切り寄りかかった。
それにスコールは「おい」と言うがは「スッコーが休めって言いましたーあんな硬い椅子じゃ眠れませんがな!」等とよくわからない言葉を言って来た。
スコールは溜め息を一つ落として「せめて俺を椅子に座らせろ」と言った。


「・・・・・・うぃッス」


まさか本当に寄りかかって寝るのを許可されるとは、とは思いながら立った後、椅子へ座ったスコールの横に腰を下ろした。

スコールの肩に頭を預け、はゆっくりと瞳を閉じた―。


ほんとは、何処ででも寝れるんだけどね、


スッコーが甘えさせてくれるんだから、好意に甘えておこう。

はそう思い、深い眠りへと落ちていった―。


あ、でも後でちゃんと起こしてよね!




実地試験終了。ちょっと絡ませてみました(たはは)

ちなみに此処のムービーのキスティ好きです!かかかかっこいいいいいい!