『次の停車駅は〜ティンバー〜、ティンバー〜です。次の停車駅は〜ティンバー〜、ティンバー〜です』


何だか気の抜けるアナウンスだなー・・・とは思いながらスピーカーの付いている天上を見た。

そうしながらは溜め息を一つ零した。

結局皆眠っているだけなのだ。本当に。
もしこれが催眠ガスやら何やらなら自分だって効いて今頃はスコール達と同じように床に倒れているはずなのだ。


・・・まぁ、ゼルとセルフィはソファで寝てるけどね・・・スッコーは・・・、


スコールは、悪いが床に寝かせている。

だが、流石に床に放置は悪いのでクッションを頭の下に置いた。


さっきはビックリした、とは思い自分の両頬を押さえた。



倒れてきたスコールを真正面から抱きとめた時、の温もり、


耳元で聞こえる息遣い。


間近にある整った顔立ち。



其れを意識すると鼓動が速まるのを感じたが、今はそれ所じゃないとは首を振った。



そうしていると――――、


「・・・・・・ん、」


高い声が聞こえた。

思わずソファの方を見るとセルフィとゼルが起き上がっていた。
スコールも床に手を着いて起き上がる。


「俺達・・・、皆眠ってたのか?」

「ううん、私は起きてたよ」


がそう言うと全員の視線がに向かう。
皆の視線を受けては特に何も問題が無かった事を言うとスコール達は安堵の息を吐いた。


「でもビックリだよ。皆行き成り寝ちゃうんだもん。 あ、スッコー、ごめんね運べなくって」

「否・・・良い」


スコールはクッションをソファに放り投げ、を見た。
まだ頭が回らないのか、何処か呆けた様子だったが。


「アンタは・・・何で眠らなかったんだ?」

「さぁ?分かんない。 次は私だけ寝ちゃったりしてねー!」


そう冗談を言った後は「そういえばそろそろティンバーだってさ」と言う。
其れにセルフィが反応する。


「ええ、早〜い・・・。 ま、いっか。楽しい夢見てたしね!」

「夢?どんな夢見てたの?」


がセルフィの方を見てそう言うとセルフィはニコリと笑った。
そして夢を思い出しながら嬉しそうに言った。


「カッコイイ人が出てきたの!
 あーラグナ様かっこよかったなー」

「そうなんだー・・・カッコイイ人の夢なら私も見たかったなー!」


次は眠れたら良いな、と言うとセルフィに会話にゼルとスコールが反応する。
少し迷った後、ゼルがセルフィに声をかけた。


「俺の夢にもラグナって出てきたぜ。ガルバディアの兵士だろ?」

「ラグナとキロスとウォード・・・そして、クロス」

「え!?」「それだ!!」


スコールの呟きにが声を上げるがゼルの声で掻き消された。
セルフィも同じく「そうそう!」と言い手を上げて口を開く。


「つまり・・・皆同じ夢見てたって事?」


ラグナ、キロス、ウォード、クロス、そしてバーでの出来事、ラグナとジュリアの話・・・、

スコールは夢の内容を思い出しつつ、頭を抑えた。
そして「どういう事だ・・・」と呟く。


「きっと考えても分かんないよ〜。それより初任務、張り切って行こう!」

「(
確かに・・・)この件は保留にしよう。ガーデンに帰ってから学園長に報告する」

「・・・そういや、そろそろティンバーに着くんだったな??」


ゼルはそう言いを見るが、彼女は何かを考えている様で、何処かぼうっとしていた。
返事が無いのに疑問を感じたゼルが「?」と彼女の名を呼ぶとはゆるゆるとゼルを見た。
最初こそ瞳に元気の色が無かったが、直ぐにニコリと元気良く何時もの笑みを浮かべると「ゴメン、何?」と言った。


「否・・・そろそろ着くんだっけ、って話」

「あ、うん。アナウンスで言ってたし。 準備しなきゃね・・・って、無いか?皆寝てたもんねー」


そう言って微笑むは双剣を腰に降ろす。
其れを見ていたスコールがある事を思い出して彼女に近付く。


「・・・双剣、少し見せてくれないか?」

「え?」


スコールの突然の言葉には瞳を丸くした。
次に「別に・・・良いけど?珍しいねスッコー」と言い見せてくれた。
スコールが柄に蝶の模様がある双剣を見ているとゼルとセルフィが反応した。


「そういえばクロス様も双剣使ってたね〜」

「クロスか・・・アイツ、何か怖かったな。ラグナは何て言ってたんだっけ?ツ、ツン・・・?」

ツンデレ・・・


スコールは変な単語を覚えてしまった自分に自己嫌悪しつつ双剣の模様をまじまじと見た。


似ているのか・・・? まさか、同じもの・・・?


スコールがそう思いを見やるとバッチリと目が合った。
は小首を傾げ「ん?」と言いスコールを見る。


「どしたの?スッコー? あ、あげないからね!

別にいらない。 ・・・アンタ、出身は何処だ・・・?」

「・・・・・・スッコー、こういう言葉知ってる?
女の子は秘密が多い方が美しいんだよ!!」


どうやら教える気が無いようだ、とスコールは思い、言いたくないなら別に良いと言ったがは首を振った。

何故か彼女は、嬉しそうな様子だった。

其れにスコールが小首を傾げているとは「ううん、」と首を振った。


「言いたく無い訳じゃないの。 ド田舎だよ? ウィンヒルっていう村なんだー」


田舎だけど凄く良い所だよ。とはニコリと微笑んで言った。






少し経って、スコール達がティンバーへ行く為に軽く準備やチェックをしているのをは、ぼう、としながら見ていた。


クロス・・・、お兄ちゃんか・・・


きっと先程スコールが双剣を見て来たのはクロスの持っていた双剣と似ていると思ったからだろう。


似てるんじゃないよ、コレ、本物だよ。


は心の中でそう思い双剣にそっと触れる。

兄が旅立つ時、自分に渡したものだった。




『ごめんな?こんな物しかなくって』


兄はそう言い頭をくしゃ、と撫でてきた。


『これを俺だと思って、待ってて・・・・・・な?』


頷きを返すと、兄は微笑んでくれた。


そして――――――




連絡が、途切れた・・・


そう思いは無意識の内に双剣を、ぎゅ、と握っていた。
唯真っ直ぐに前を向いて、唇を噛んだ。












































キキー、とブレーキ音を響かせて列車が止まる。
ドアが開いたのを見て、を先頭に四人は列車を下りた。

列車を下りた先にある階段の下に下りると、青いバンダナを巻いて黄色の上着を着た男が近付いて来た。
男は笑みを向けてきて口を開いた。


「いやー、ティンバーの森も変わったッスよねー!」


男の言葉に達はピクリ、と反応した。


合言葉だ。


はそれを直ぐに理解しニコリ、と笑みを男に向けて「まだフクロウは居ますよ?」と言った。
其の笑顔に少しだけ男は見惚れていたが直ぐにハッとして表情を硬くした。


「ようこそティンバーへ・・・ッス。 着いて来て下さいッス」


男にそう言われ達は彼の後を着いて行く事になった。
男の後を着いて行って辿り着いた場所は、線路の最後尾だった。

向かってくる短い列車を見、線路の先の方に立った男が手を振って「オーライオーライ」と合図を送る。
危ないんじゃないのかな。とが思った其の時、



あわわわ!!危ないッスーーーー!



後10cmくらいで男とぶつかりそうになった時、キキー!!という甲高いブレーキ音を立てて列車は急停車した。
男は悲鳴を上げながら思い切り背中から地面に倒れこむ。

やっぱり危なかった!は思い倒れた男に近付いて彼を覗き込む。
男はどうやら背を強く打った様で表情を歪めていた。
大丈夫ですか?とが聞こうとした時、列車から他の男が下りてきた。
服は青。下に黒の半ズボンを履いている。


「何してんだよ! あれほど列車の前に出るなって・・・!!何時も何時も、何回言えば・・・・・・あっ!」


駆け寄ってきながらそう言う男はの姿を視界に入れると短く声を上げて立ち止まってしまった。

多分SeeDの訪問を理解したのだろう、男の表情は段々と嬉々と硬さが混じった表情になった。

そんな男にはニコリ、と笑みを向ける。
其れに男が瞳を丸くした後、は倒れている男にやっと「大丈夫ですか?」と聞いた。
すると倒れていた男は直ぐにガバリと起き上がり「だ、だだだ大丈夫ッス!」と言った。
そんな男を青い服の男が彼の服を掴んで引き寄せて何かを耳打ちした。

恐らく、SeeDかどうかを再確認しているのだろう。
それは直ぐに終わり男は「ようこそ」と言った後に此方へ、と言い列車へと歩き出した。
其れにスコールを先頭にゼル、セルフィ、と入って行く。
が最後に入った途端にドアが音を立てて閉まったのを見て彼女は「あ。」と短く声を上げた。


未だ轢かれかけた男が乗っていない気が・・・。


と、思っていたら動き出す列車。

オイオイオイオイイイノデスカイ!?と思っていたら窓から必死に走って追いかけてくる男が見えた。
「置いてっちゃ嫌ッスーーーーー!」と叫びながら追いかけてくる男を見ては溜め息を一つ零した。


何か・・・賑やかな組織・・・!




嬉しい理由→スッコーが私に興味持ってくれてる!
まるで新しい出来事に挑戦した子供に喜びを覚える母親が如く(え)