『月間暗黒政治経済』
ガルバディア共和国の事実上の独裁者、ビンザー・デリング大統領!
何故現在まで君臨し続けられたのか!?その謎を暴く!
デリング大統領は若くして第二次魔女戦争終結後に大統領に就任。
早急に国民の支持を得る為の手段としてティンバー制圧を計画し、実行に移した。
たった一人の腹黒い男のデビューを華々しく飾る・・・、それだけの為に、我が国ティンバーはその血を流し、肉を斬り刻まれたのだ。
彼、ビンザー・デリングの独裁者への道は此処から始まる。
反政府的な者の収容を目的としデリングシティ南方の砂漠地帯に"D地区収容所"を建設。
その建設には国税を湯水の様に使用。当時、国民支持率が半分以下に下がるが収容所連行を合言葉に直ぐに元通りに。
入ると二度と出られないと言われた収容所は、ティンバーだけでは無く、ガルバディア本国でも反政府的な行動をした者は即行、収容。
更に反逆を企てた本人のみならず、家族も連行される為、反政府の活動は一族の死も覚悟しなくてはならなかった。
この頃よりデリング大統領の側近は全てYESマンで構成されるようになりデリングの独裁者ぶりに更に拍車をかける事になる。
ガルバディア軍ミサイル基地は情報遮断を行ったエスタを除き、世界唯一の長距離ミサイルを保持している。
実戦で使用された事は無いが長距離ミサイルの存在は各国にとって脅威となっている。
電波が使用不可能状態でも確実に目標を捕捉する機能を備えたミサイルだと言われているが実体は不明。
大統領がこのミサイルのスイッチを押す時は・・・来るのか・・・・・・其の時・・・・・・我々ティ・・・・・・ ・・・ ・・・
最後の方は印刷が掠れていて読めなかった。
模型のある部屋のホワイトボードに貼られた雑誌の切り抜きを読んだ後、は、ほうっ、と溜め息を一つ零した。
後ろを振り返ると、皆準備が完了したようだった。
はスコール達に近付き、声をかける。
「準備終わった?」
「OK〜」
「俺も」
「・・・あぁ」
各々が完了の返事を返してきたのでは頷きを返し、「よし!」と言い拳を握った。
準備が出来たらワッツに話しかける様に、とリノアに言われていたので達は彼の所へ向かった。
ワッツに報告に行くと「そろそろ列車が動くからもう少し待って欲しいッス」と彼は言い時計をちらり、と見た。
大統領を乗せた列車が通る時間やら色々あるからなーとは思い隣に立っているスコールを見上げた。
視線に気付き此方を見てきたスコールの表情は微かな緊張があった。
「スッコー、緊張してる?」
「・・・さぁな。良く分からない。・・・でも、考えると緊張しそうだ」
「・・・スッコー、回答のレパートリーが少ないぜよ」
スコールの言葉にはそう言いくすり、と笑った。
そんなにスコールは小首を傾げた。彼には笑ったまま、「ドールでも同じような回答だったよ」と言い視線を前へ移した。
其れとほぼ同時に列車が揺れ、外の景色が動く。
―どうやら、動き出したようだ。
「・・・動き出したっぽいねー。じゃ!頑張ろうか!」
オー!という感じで拳を掲げるにセルフィが乗って「オー!」と言い同じ動作をする。
ゼルは少しだけ乗り遅れたが拳を握り、前へ突き出してやる気を表した。
ワッツに言われセルフィとゼルがリノアの居る所に行く為、歩を進める。
も其れに続こうかと思ったが後ろから「アンタは・・・」と声が聞こえて来たので足を止めて振り返る。
其処には言葉を濁らせているスコールが居た。
「(・・・言うか言わないか迷ってるね?スッコー、)何?どしたのスッコー?」
「・・・・・・・。(アンタは、)・・・緊張、してるのか?」
「私?」
スコールに真っ直ぐ見詰められ、そう言われたは「んー」と言い指を顎に触れさせて考える。
スッコーと居ると色々な意味で緊張するよ。
胸の辺りが暖かくなったり、急に冷えたりするからね。
此処に来るまでの列車内でもそうだった。
否、それより前。就任パーティ後の廊下での・・・。
(やっぱ私って、スッコーと居ると何時も変に緊張しちゃうなぁ・・・)
そう思いスコールを見やる。
(・・・グダグダ思考になるし、変にパニクるし・・・。世間ではこれを甘い恋とでも言うんでしょうかねぃ?スッコー?)
でも、それって私達には許されないよね。
はそう思い少しだけ伏せがちだった瞳を開き、笑顔でスコールを見た。
(だって、失うから、絶対)
「・・・?」
「ごめんねーちょっと考えたりした。緊張ね、うん。私は何時も緊張してるよ?」
「・・・そうは見え無いが」
「っていうか列車の上でしょ?きっと向かい風ボーンだし足場も悪いしね!ドッキドキする」
は大袈裟な程に動作をつけてそう言い「そろそろ行かなくちゃね」と付け足してゼルとセルフィの後を追った。
残されたスコールも歩を進め、を追う。
(・・・緊張、か・・・・・・)
自分のこの中途半端みたいな複雑な心境は、緊張なのだろうか。
スコールはそう思い達と合流し、リノアの待つ列車の上を目指した。
列車の上に行くと、「こっちよ、スコール!」とリノアが声をかけてきた。
リノアの傍へ駆け寄ると、前方に大統領が乗っている列車が見えた。
「もう直ぐ護衛列車に追いつくから乗り移ろっか?
二回の切り離しも含めて作戦終了まで・・・五分!此処で飛び移る時間がかかると先が辛いから頑張ろうね?スコール、、ゼル、セルフィ」
リノアはそう言い飛んで護衛車両に飛び移った。
其れにスコール、が続きゼルとセルフィも続く。
飛び移る事は難なく終わり、次は護衛車両の上を通るのだが、護衛がセンサーを出す前に全員素早く渡ったので此処も難なく終わった。
次に大統領専用列車の上を通り、最初の切り離し作業を行う場所に着いた。
「ワッツの情報によれば・・・見回りに来る護衛は二人みたい」
リノアの言葉には少ないんじゃないかな、と思い少し苦悶するが、今は作戦実行中。余計な考えは捨てる事にした。
リノアはゼルとセルフィに護衛の動きを見てもらう様に頼み、パスコードのメモを取り出した。
「分かったぜ、俺は左の青い奴を見る!」
「じゃあ・・・右の赤いの見ま〜す!」
ゼルとセルフィはそう言い離れて行く。
は其の間スコールと共にワイヤーを準備していた。
パスコード入力場所は下の方にあるのでワイヤーを使って下りて入力しなければいけないからだ。
ワイヤーを繋ぎ、しっかりと自身も其れを抑える。
其れを確認したスコールがワイヤーを掴み、下の方へ降りていく。
「パスコードは"1322"よ!」
リノアが指示を出し、スコールが其の番号を入力していく。
残りの二つも難なくこなし、スコールが上がってくる。
上がってくるスコールを待ち、はワイヤーを引く。
リノア達は既に大統領専用列車に移動していたので、スコールとも急いで其方へ移動する。
其処で待機していると、ガシャン、と音を立てて連結部分が外れた。
そしてその外れた車両と車両の横から来たダミー列車を前にしたアジト列車が走ってきて、間に割り込んだ。
綺麗に連結し、一列に並んだ列車を見、は心の内で「おおー」と感嘆の声を上げた。
「ゼルとセルフィはアジト列車の方の切り離しの手伝いをよろしくね。
スコールとは私と一緒に二回目の切り離しポイントに向かって!」
リノアがそう言い列車の上を走る。
スコールとは同時に「了解」と言い彼女の後を追った。
二回目の切り離し作業を行う連結部に着いた時、リノアが口を開く。
「此処も・・・見回りに来る護衛は二人みたい。
ゼルとセルフィはアジト列車の切り離しを手伝いに行って貰っているから・・・、今回は一人で護衛を見張っていて」
「りょうかーい!」
はそう言い途中まで準備したワイヤーをスコールに渡し、足を速めて下の様子を伺う。
確か此処ではパスコード入力はさっきと違って五個だっけ、とは思いつつ護衛の様子を確認した。
護衛が行った時はが指示を出し、スコールが上へと上がり、護衛が去ったらまた下がりパスコードを再度入力する。
その繰り返しが行われ、完了した。
リノアが「こっちよ!」と言い大統領専用列車の上へと移動する。
ワイヤーを片付けたスコールと戻ってきたは急いで其方へ移動する。
また、ガション、と音を立てて連結部位が外れる。
前にあるアジト列車も連結切り離しに成功したのか音を立てて連結部位が外れる音が聞こえた。
そして二つだけ繋がったアジト列車と大統領専用列車は護衛列車やダミー列車とは違う方向へと進んだ。
「完了・・・だね」
「あぁ・・・」
がそうポツリと呟き、スコールが返す。
取り敢えず全員アジト列車内に戻り、体制を整える。
「いよいよ・・・・・・待ちに待ったビンザーとのご対面だな・・・」
「パーフェクトだったッス!すごいッス!ヤルって感じッス!!」
神妙な顔で言うゾーンとは間逆にワッツは明るい様子でスコールに言った。
確かに無駄な事は一切せず、時間も結構余っていたかもしれない。
ミスも無かったから文字通りパーフェクトだった。
がそう思っていると全員を見渡したリノアが「じゃあ・・・」と言う。
と、ワッツは行き成り「情報収集なら任せてくれッス!」と言い部屋の外へ出てしまい、ゾーンは行き成り腹部を押さえてしゃがみ込んでしまった。
顔色は良いが、「イテテテテテ!腹が!」と言う。
明らかに仮病だろ。とは思ったがあえて言わずに苦笑してリノアを見た。
リノアは溜め息を吐くと「其処の四人!」と言い達を見た。
「準備が出来たら言ってね。準備が整い次第大統領との"話し合い"を始めます」
ゾーンコノヤロウ!的な心境になります。
リーダーが行けよ(笑)