「アジトを見つけられてぐちゃぐちゃにされちゃたの」


放送局からティンバー市街へ戻っている最中、リノアが走りながらスコール達に言う。
それにセルフィが「他の皆は?」と問うとリノアは「大丈夫」と言って微笑んでこう続けた。


「皆逃げるのは得意だから!」


其の後再度走り出すリノアに全員が続く。

スコールは腕に抱えたを抱え直してから続いた。
走りながら、彼女に負担をかけないように気を遣い、彼女の様子を見やる。


瞳を閉じているせいで、何時ものあの紅紫色の丸い瞳が瞼の裏に隠されている。

こうして自分から見ていても、笑みすら返してくれない。


スコールには、何だか其れが酷く嫌だった。







































ティンバー市街の裏通りに全員が着いた時、やっと落ち着けた。
歩を止め、少し思案顔をしたリノアが少しだけ黙った後口を開く。


「暫くティンバーを離れなくっちゃ。 ね、私を安全な場所まで連れ出して?」


リノアは笑みを浮かべてそう言いスコール達を見た。
少しだけ納得の行かない表情をしたスコールに、リノアはニコリ、と更に笑みを深くして後ろ手を組んでスコールを見た。


「これは命令で〜す!クライアントの依頼で〜す!」


命令や依頼主の決定に従う。

先程スコールはそう言った。と、リノアは思い出しながら「よろしく!」と言って笑った。
スコールはそんな彼女に「・・・了解」と短く返事をした。
彼の返事を聞いたリノアは嬉しそうに微笑み、「ありがとう! じゃ、行こっか」と言いパブへと入っていった。
其れにスコール達も続いて入ると、女性がリノアに近付いて行っているのが見えた。

女性は「リノアちゃん!」と言いリノアの前に小走りで近付いて口を開く。


「聞いたよ! あんた達のアジト大変だって話じゃないか。ほとぼり冷めるまでウチにおいでよ」

「じゃあ、お言葉に甘えて・・・」


リノアが申し訳無さそうに女性に言うと女性は「良いんだよ」と言って優しく笑みを浮かべた。
女性の後に続くリノアに、キスティスが続く。
彼女はスコール達が少し離れた位置に居る事に気付き、「スコール達も早く来なさい」と言った。

其れにセルフィとゼルは小走りで進むが、スコールは相変わらずの足取りだった。
そんなスコールにキスティスは息を吐き、彼の横を歩く。


「・・・なら大丈夫よ、きっと。取り敢えず彼女の言葉に甘えて其処でを休ませましょう?」


キスティスの言葉にスコールは頷きを一つ返して歩を進めた。


きっと・・・、か・・・。 そう期待して裏切られた後が辛いんだ・・・


スコールはそう思いながら、腕の中に居るを見やる。

彼女の寝顔は、決して穏やかとは言えない物だったが、魘されている訳でもなさそうだった。


・・・見るからに、大丈夫そうだけどな、アンタは


前は、大丈夫じゃなかった。

スコールはそう思いつつ女性に案内された家に入った。














「街に変化があったら教えたげるから、それまで此処で休んでな」

「ありがとう、首領」


リノアは女性にそう礼を言い、スコールを見やった。
否、正確にはスコールの腕の中に居るに、だ。

スコールは「ベッドの用意をさせておくよ」と言った女性を見ていたが、リノアの視線に気付いて彼女を見た。
リノアは心配そうに眉を下げ、瞳を細めて近付いて来た。


「・・・ねぇ、・・・ほんとに大丈夫?」

「・・・多分な」


スコールはそう言い瞳を閉じるに視線を向けたが、直ぐにリノアに視線を移した。
そして先程彼女が言った"首領"についてを問うた。


「・・・首領って、何だ?」

「・・・彼女は"森のキツネ"の首領よ。 この街じゃ、大抵の人がレジスタンス組織のメンバーなの。
 本当に活動している組織は私たちくらいだけどね・・・。ちょっとだけお世話になろうよ」


リノアの言葉に全員が頷き、其々壁に寄りかかったり外の様子を見たりとする。

少し経った頃、「ん、」というか細い声が静かな室内に響いた。
ベッドの準備は未だかと思っていたスコールが、其の声に反応して自分の腕の中の少女を見やる。

ふるり、と瞼を震わせた後、其の瞼が上へと上がった。

其れと同時に紅紫色の瞳が姿を現し、数回瞬きをした後にスコールを捉えた。


「・・・ん、 ・・・スッコー・・・?」

「気が付いたか」


スコールがそう言いの身体を少しだけ起こしてやると彼女は「ん・・・」と言い目を擦った。
が、直ぐ後にある事に気付き、ハッとして顔をそらした。

そんなの行動にスコールは小首を傾げる。


「? どうした?」

「ス、ス、スッコー!ご迷惑をお掛けしましたがもうダイジョブですんで降ろしてお下さいな!?」

「言葉可笑しいぞ、アンタ」

「良いから良いから!」


どうやら抱きかかえられている事が恥ずかしかったらしいは、頬を微かに朱に染めつつ床の上へと足を下ろした。
其の後に瞬きを繰り返し、深呼吸をして落ち着いた後、再度スコールを見て「ゴメンね」と言った。

そんなにリノアとセルフィが近付いて来た。


〜!良かった!」

「もう起きて大丈夫なの?」


リノアとセルフィに心配そうな顔で言われ、はニコリと笑って「うん!」と答えた。


「いやいや、何か心配かけちゃったみたいで・・・。ゴメンネ?」

「ううん、大丈夫なら良いの!」


リノアの言葉を聞いた後、はまた笑みを浮かべたが、辺りの見慣れない景色に気付き瞳を丸くした。
きょとん、とした様子で辺りを見渡した後、は前に居るセルフィとリノアに「此処、何処?」と問うた。


「"森のキツネ"っていうレジスタンスの首領の家よ。私たちのアジト、ぐちゃぐちゃにされちゃったから匿ってもらってるの」

「アジトが・・・。 あっ!"森のフクロウ"の皆は?」

「大丈夫よ。 逃げるのは得意だもん、皆!」


リノアはそう言い、笑う。
其れにつられる様にも笑みを浮かべ、「そっか」と言った。

其の後スコール達から放送局から此処までの過程を聞いたは「ふんふん。」と言い顎に手を当てて頷いた。
其の話を聞いた後、セルフィが口を開く。


「それにしても、わっかんないな〜・・・。サイファー、何しに来たの?」

「・・・私たち、"森のフクロウ"の為に来てくれたんだと思う。私、色々相談してたから。
 だから、あいつの事あんまり悪く言わないでね?」


罰の悪そうな表情でリノアがそう言った直後、玄関のドアが慌しく叩かれた。
其れにスコール達は直ぐに其方を向き、無意識のうちに各々が武器に手をかける。


「この家の者は居ないのかっ!?」


恐らくガルバディア兵が来たのだろう。
と、が思っていると森のキツネの首領の女性が前へ出て大声で返す。


「何だい、五月蝿いね!うちには小さい子が居るんだ!乱暴な真似は止しとくれ!」


其の直ぐ後に、階段から素早く下りてきた少女が「二階へ・・・早く!」と言いスコール達を手招きした。
キスティスとゼルが直ぐに上がって行き、セルフィとリノアも続く。が、彼女達の足はぴたりと止まった。
リノアが少々不安気な表情で、恐らく首領の娘であろう少女を見やる。


「おばさん大丈夫なの?」

「大丈夫よ、きっと。 母さんは昔・・・、兵士を腕と料理と美貌で倒したという三つの伝説が残っているから」

「最後のビボ〜って所は何かいかにも伝説っぽーい」

「というか私は料理の部分が気になるんだけどねー・・・」


何だろう、毒殺?

等とが思っていると後ろから来たスコールに背を押された。
彼の方を見ると目で「早く行け」と訴えられ、は慌てて階段を上がった。




仲良しフラグ(おい)