テラスから飛び降りた後、ガルバディア兵をぶっ飛ばしたスコールと。
それはもうある意味爽快な、と思いつつは走るスコールの後を追う。
止められている車に二人で飛び乗りスコールがアクセルを思い切り踏む。
鍵を付けたままとは無用心な。とは言おうとしたがバック直後ののスピードアップの衝撃に振り落とされないように車にしがみついた。
(今喋ったら絶対舌噛むって)と思いつつこのまま門に突っ込む様子なのでは衝撃に備える為に運転席の方へと身を寄せる。
ガシャアアァァン!!という大きな音を立てて凱旋門に車がぶつかる。
とスコールは直ぐに車から飛び降りて鉄格子の間を潜って門の中へと入る。
パレード車の上に乗り、魔女とサイファーの前へとスコールは出、武器を構えた。
其れを見てサイファーは笑みを浮かべた後、魔女を守る様に彼女の前へと身体を動かす。
そして此方に剣先を向け、こう言った。
「そういう事になった、よろしくな」
「魔女のペットになったのか?」
「魔女の騎士と言ってくれないか? これが俺の夢だった」
「夢? それって何時ぞやのロ〜〜マンティックなってヤツ?」
あまりそうは見えないんだけど、と視線で訴えながらが言うとサイファーは嬉々とした様子で「そうだ!」と言う。
そしてその表情のままガンブレードを宙で振り、剣先をスコールに向けた。
「は引っ込んでな・・・・・・勝負だ、スコール!」
サイファーはそう言うと真っ直ぐにスコールへと切りかかった。
スコールは其れをガンブレードで受け止める。
もスコールを援護しようと思ったが最早二人だけの勝負になってしまっている。
寧ろこの二人の勝負なのだ、邪魔は出来ないだろう。
となれば自分がすべき事は見守る事、それか、
「・・・任務遂行、ってヤツでしょ」
はそう呟き奥に居る魔女を見据えた。
位置的には一番遠くに居る魔女、二人の間ではスコールとサイファーが激闘を交わしている。
取り合えず魔女に動きが無い事に安堵し、は双剣の柄を強く握る。
そうしていると、ふと魔女がを見やって視線が交わる。
はティンバー放送局や、先程の事を思い出し警戒したが、魔女は唯をじっと見ているだけだった。
何?とが思うと同時にズシャという何かが床に倒れた音がした。
其方を伺えば、サイファーが倒れていた。
スコールは倒れたサイファーを一瞥し、「腕が落ちたな、サイファー」と呟き魔女を見やる。
サイファーの後ろに立っていた魔女は「SeeDだな、」と呟くとゆっくりと此方へ進み出てきた。
「・・・腐った庭に蒔かれた種か・・・」
魔女はそう言い手を振りかざす。
すると其処から真っ直ぐに魔力の塊が振り下ろされる。
はスコールの前に出、予め準備していた魔法を放った。
の放ったリフレクにより魔女の放った魔法は弾け飛んだ―。
どうしようか、と考える二人の背後から足音がし、二人の両側で止まった。
其処にはリノアとアーヴァインが己の武器を構えていた。
「リノア・・・!」
「一緒なら戦えるから!だから来たの! 私も戦うから・・・!」
真っ直ぐに魔女を見据えてブラスターエッジが装着された腕を上げて魔女に狙いを定める。
そんなリノアを見、は微かに笑みを浮かべ、「でも無理は駄目なんだかんね!」と言い双剣を再度構えた。
「あのままじゃカッコ悪すぎだからな」
アーヴァインは自分を見ているスコールにそう言い銃を構える。
狙いは真っ直ぐに魔女を捕らえており、その手ももう震えてはいなかった。
一気に床を蹴ったは魔女へと素早く近付き、剣を振るう。
だが魔女は素早く身をかわした。
は双剣の片方づつで斬りかかり追撃を緩めないが、魔女は全て難なく避けた。
其処にリノアがブラスターエッジを放つ。
綺麗な弧を描いて魔女の肩部分にその刃は命中し、また弧を描いてリノアの腕へと戻って行った。
だがそれでも魔女は隙を出すどころか、寧ろ反撃をしてきた。
放たれたサンダガをバックステップで避けて下がると入れ違いになるようにスコールがガンブレードを構えて魔女に斬りかかる。
後ろに下がったは魔法を使ってスコールをサポートしようと思い、意識を集中させる。
リノアとアーヴァインがスコールをサポートする中、はスコールにシェルとリフレクをかけた。
物理と魔法の防御力を上げる魔法だ。はそれをリノアとアーヴァインにもかけて自分にもそれを放つ。
―その時、
「小癪なSeeDめ!」
と、魔女が叫んだと同時に物凄い強大な魔力を感じた。
あまりの力に風も無いのに髪が舞う。
まずい!と全員が思ったが、時、既に遅し。
魔女が手を振り下ろすと同時に全員の身体に強大な魔力を含んだ雷が落ちた。
「きゃああああ!!」
「うわあああ!」
「っつ・・・!」
まともに魔女のサンダガを喰らってしまい倒れこむリノア。
アーヴァインは痛む身体を叱咤し、素早くリノアに近付く。
だが、それでも立っていられずに彼女を守る様に、リノアの前で膝を折った。
は感電のせいでピリピリする身体を叱咤し、ガンブレードを床に刺して其れを支えにして何とか立っているスコールに近付こうとする。
(リフレクとシェル・・・かけといて良かった・・・!)
かけて無かったら今頃全員死んでいただろう。
かけてもこれほどのダメージを受けたが、無いよりはずっと良かった。
そんな事を頭の隅で思いながら何とかスコールに近付いて彼の傷を癒そうとしていると、魔女の周りが魔力の光で輝く。
光は魔女の身体に巻きつくように舞い、ゆっくりと上げられる手に行き着く。
魔女の頭上に上げた手の内で光は一層強く輝き、数本の刃へと具現した。
無表情の魔女が、何の躊躇も無く手を振り下ろすと、刃は真っ直ぐに飛んできた―。
其の内の一本が、ガンブレードを支えに何とか立っていたスコールに襲い掛かり、無常にも刃は彼に突き刺さった。
ドス。という嫌な音が響いた直後、は自分の身体の痛みなど忘れた様に走り出していた。
突き刺された反動と、重力に従い落ちようとしているスコールの背後に回りこみ、彼を抱きとめる。
ひやり、とした。
氷の様な刃はスコールを貫いていたのだ。
そして、苦しげな表情のスコール。
はひやり、とした。
「スコー・・・!!」
びゅ!!という風を切る音と共に此方に飛んできた追撃の刃に、は咄嗟に手を翳してリフレクを放つ。
―が、パリン、という弾ける音と共にリフレクは破れ、刃は翳した彼女の掌に深く食い込んだ―。
貫通した刃がスコールの顔の前まで行きそうになった時、は唇を噛み、もう片方の手を差し出した。
ぶすり、という嫌な音を聞いた直後、二人の身体は反動と重力に従い高いパレード車から落ちていった。
意識が完全に落ちる時、また温もりに抱かれている事を感じながらスコールは意識を暗い底へと沈めた―。
やっとDisc1終了・・・まで、42話・・・?
・・・・・・話数かかりすぎじゃね?(汗)
キリが良いので短めですが切ります、次はラグナ編。