バラムに戻ろうにもどうやって戻れば良いか、考えながらスコールは車を走らせていた。
助手席のゼルは隈なく辺りに役立ちそうな物が無いかと探していた。
そんな中、砂漠の真ん中にぽつんとある駅を見つけた。

駅と言っても、ガルバディアの軍事貨物駅なのだが。

ゼルは直ぐにスコールに其れを伝え、其処に彼らは車で向かった。


「あの列車を使ってみるか」


駅に着いて車から降りたスコールが止まっている貨物列車を見て言う。
乗れる位置を探しつつ、辺りにガルバディア兵が居ないかと警戒しながら進む。

列車と列車の繋ぎ目から乗れる所を見つけ、は「あそこ、いんじゃない?」とスコールに問う。
スコールも頷き、中からガルバディア兵が出て行ったのを確認してから其処に乗りあがる。
そしてそのまま先頭まで行き、スコールが列車を動かす為に機械を操作する。

少し経って、列車はガタン、と車輪を動かし、線路の繋ぎ目に合わせてガタンゴトンと音を立てて進みだした。


「こら〜! 貴様ら、何をする!」


そんな声が聞こえてきたので何事かと思い達は振り返る。
後ろから、動く列車を追って走ってくるガルバディア兵が居たのだ。
「うおお、」とゼルは感嘆の声を上げ、必死に走って追いかけてくるガルバディア兵を見やる。


「スコール! 追いかけてくるよ!」

・・・・・・・・・・・・

・・・放置で決定なのね


リノアが言うが、スコールは無言。
それにがそう言い肩を竦める。


「ま、待て〜!」


ガルバディア兵はそう言って必死に走るが、スピードを徐々に上げている列車に追いつけずに段々離れていく。
だが、行き成り「ぬおおおおおおおおおお!」と叫び一気にスピードアップして近付いて来た。


ガルバディア魂を見せてやる!

「お、こいつ結構頑張るじゃねぇか」


ゼルが面白そうに見ながらそう言う。
は「そーだねー」と言い何処までガルバディア兵が頑張るのかを見ている。

結構頑張って走っていたがべしゃん、と転んだ。



「あああああぁぁぁぁ・・・・・・」



悲鳴が遠ざかっていく・・・。

まぁ、うん、頑張ったよ、君は。と、が心の中で思っていると横に居るリノアが「緊急事態なの、許してください!」と言い遠ざかっていくガルバディア兵を見ていた。
リノアは優しいんだなぁ、とは思いつつも、やはり同時に(
・・・やっぱ、ちょっと同情するかも)とも思った。


「て、言うか。スッコー容赦無いでしょ!スピード上げたでしょ!」


普通にしてても追いつけなかったのに!と思いがスコールの横に行くと彼は腕を組んで無言を決め込んだ。

そうですか、だんまりですか。と思いつつは後ろを振り返ってみた。

遠ざかっていくガルバディアの大地。
別れたセルフィ達の無事を祈りながら、は列車の手摺りを握った。



やる時はやる彼女達だ、セルフィだけじゃなくてもアーヴァインとキスティスがついているんだし、大丈夫。

他人の心配をしつつも、自分の心配もしなければ。

自分達に与えられた役割はガーデンに危険を知らせて皆を避難させる事。

そう、急がなければいけない。


はそう思い大きく息を吸い込んで、前を見据えた。



































































列車を途中で下りて、レンタカーを使用して、また列車に乗って。
出来るだけ早く早く、と移動して達はバラムガーデンへ帰って来た。

ガーデンの敷地内に真っ先に足を踏み入れたゼルが、何時も通りのガーデンの建物を見て安堵の息を吐く。
そして「やったぜ!無事だぜ!」と言い握り拳を作る。
リノアも頷いてホッと息を吐き、に「無事みたいだよ、良かったね〜!」と言う。


「うん。 ・・・でも、これからミサイルが来るって場合もあるからね、はんちょー!」

「(
セルフィ達、上手くやってくれたんだな。 否・・・の言う通りミサイルはこれからかも)早くシド学園長に知らせよう」


スコールはそう言い足早にガーデンの中へと入っていく。
それに達も続くのだが、何時もと違う雰囲気には小首を傾げる。

何だか、騒がしい。


「・・・ねぇスッコー、何か騒がしくない?」


が疑問を口にした其の時、「急げ急げ!」という声が聞こえた。
其方の方向を見やるとガーデン教師が手を振って生徒達に何やら指示を出していた。
それを見てスコールは(避難、始まっているのか?)と思いその教師に近付く。

教師に取り合えず現状を聞こうとしたのだが、教師は次に予想外の事を言い放った。


「シド学園長を見つけ出せ!見つけたらバトルで始末しても構わん!行けーッ!シド学園長を捕まえろーーッ!」

学園長を!?


教師の言葉に達は驚愕により瞳を大きく見開く。

教師の指示に従ってバタバタとガーデン内を走り回る生徒を横目で見つつ、は取り合えず教師に近付く。
あの、と言おうとして口を開きかけたに気付いたガーデン教師が「ん?」と言いを上から下まで見た後、目を細めて問いかけてきた。


「マスター派か?学園長派か?」

「え・・・?」


マスター派? 学園長派?

聞きなれない単語にが訳が分からず黙っていると、苛立った様子でガーデン教師は「どうした!!」と言ってくる。


「マスター派か学園長派かと質問している!」

「・・・意味が、分かりません」

「マスターのノーグ様に忠誠を誓うか!?」


本当に全く意味が分かりません。ノーグって誰ですかい。と、が思っていると横に立ったスコールが「何が起こってるんですか?」と教師に問う。
だが、其れにも教師は答えず、また苛立った様子を見せる。


「質問しているのはこっちだ! 生徒は何も考えずに戦えば良い!」


教師の言葉に達の後ろで様子を伺っていたゼルがムッと眉を潜める。
教師の言い方に、とスコールも眉を寄せる。

そんな三人のSeeDの態度に教師は更に苛立った様子を見せる。


「ん?何だその反抗的な顔は!さてはお前学園長派だな!」


教師はそう言うとピピーッと首から提げていた笛を吹いて鳴らした。
それとほぼ同時に真横から訓練施設でよく見る魔物が飛び出してきて達の前に立ち塞がった。

急な事態に驚きつつも、魔物が出てきたので取り合えず武器を構える。

ガーデン教師は「ノーグ様こそが、ガーデンの支配者なのだ!」と言い捨てると走り去って行った。

取り合えず、と思いは双剣をグラッドに向けつつ「スッコー、」と呼びかける。


「何か、面倒な事になりそうだね」

「全くだ」


スコールはそう言うとガンブレードを横に薙いで、グラットを一体倒す。
残りの一体もが双剣で斬り付けて素早く倒した。

二人が武器を仕舞いつつ、後ろに居たリノアとゼルに近付く。


「取り合えず、マスター派だとか学園長派だとか言ってるけど無視ね、無視!
 私たちは兎に角早く学園長に会ってミサイルの事を知らせるべし!!」

「でも、シドさん何処に居るんだろう?」

「・・・探すしかないってか?」


そうなるだろうな。とゼルの言葉にスコールはそう返し、カードリーダーを通り、ホールへと進む。
取り合えず、学園長室へ行こうか。と、思っていると見知った姿が視界に入ってきた。
は直ぐに「あ!」と声を上げて彼らに近付く。


「風神、雷神!」


がそう言い風紀委員の二人に近付くと、雷神が片手を上げて「おう! 帰ってきたか!」と言う。
スコール達も風神と雷神に近付き、口を開く。


「どうなってんだ、これ」

「最初はSeeD狩りとか言ってたもんよ!今はガーデンが学園長派とマスター派に分かれて戦ってるもんよ!」

「原因不明困惑」


スコールの問いに雷神がそう言った後に風神が眉を潜めてそう言う。

雷神の口から飛び出したSeeD狩りという単語に達はぎょっとする。
何でSeeDを養成するガーデンでSeeD狩りなんていう事が起こっているんだ、と。


「風紀委員としちゃ泣きたくなるぜよ。今までの苦労が無駄無駄だかんな!」

「SeeD狩りって何だよ!?」

「・・・シド学園長、無事なのか?」


ゼルの後にスコールがそう問う。
が、風神は首を振り、雷神はお手上げとでも言うように両手を上げる。


「俺たちゃ何も知らねえもんよ」

「俺達シド学園長に報告する事があるんだ」

「此処が危ないの。ミサイルが飛んでくるかもしれないから・・・!」


スコールの後に言ったの言葉に先程とは逆の反応を見せる雷神。
「そりゃ大変だ!!」と目を大きくして慌てた様子で隣に立つ風神を見やる。
そして自分を見上げてきた風神に「さっさと逃げ出すもんよ!」と力強く言う(
おい風紀委員
それに風神は赤い瞳を細め、容赦なく雷神に蹴りを入れた。


「お、おう! 一人で逃げちゃ卑怯だもんよ!」


いてて、と言って蹴られた所を摩りながら雷神は風神を見る。
そんな雷神を見ながらは(
痛そうだもんよ)と、思い風神の細い足を見やる。

巨体な雷神が、一瞬浮いた気が・・・。

と、考えたが今はそんな事を考えている暇ではない事を思い出しは前を見やる。


「皆に知らせるかんな! 戦ってる場合じゃないもんよ!」

「俺達はシド学園長を捜す」

「注意! 各施設、戦闘激化」

「おお、凄いもんよ!マスター派のSeeD狩りにも気を付けるもんよ!」


風神と雷神はそう言い皆にミサイルの事を知らせる為に走り出そうとする。
そんな二人には「あ、待って!」と言い一歩近付く。


「気をつけてね、いざこざに巻き込まれないように!」

「感謝」


に少しだけ笑みを浮かべて言う風神。
そんな様子を見ていたリノアが先程から気になっていた事を口にする。


「ね、あなた達は・・・、」

「シド学園長派か?マスター派か?」

「俺たちゃどっちでもないもんよ!俺たちゃサイファー派だもんよ!」


胸を張ってそう言い、雷神は走っていく。
風神もそれに頷きを返して彼の後を追って走っていく。

そんな二人の後姿を見つつ、は、サイファー派か・・・。と考える。


じゃあ私はスッコー派かな!!

馬鹿な事言ってないで学園長を探すぞ


スコールはそう言い二人が去って行った方とは逆の方向へと走る。
それを、つれなさ過ぎる!!と言いつつが追い、そんな彼女の後をリノアとゼルが追う。


・・・・・・サイファー、魔女派だぞ。・・・お前達、良いのか?


スコールは先程の雷神の言葉を思い出して、そう思う。
が、自分には今は関係ない事だと思い、取り合えず片っ端の施設から学園長を探す事にした。

これだけ総出で探しているんだ、何処かの施設で身を隠しているに違いない。

そう考え、スコールは取り合えず保健室へと向かった。




ガルバディア魂を見せてやる!!←大好きだお前

ミサイル基地潜入側も書こうかなって思ったんですが、が居ないのでなしで。