シドから渡された鍵をエレベーター内のロックを解除する。
そしてMD層という初めて聞いた場所へと下りる様に操作をする。
エレベーター内の真ん中に立ったが「それにしても、」と言う。
「ガーデンって元はシェルターだったんだね」
知ってた?とが問うとゼルとスコールは首を振る。
ガーデン生だったにも関わらず知らなかった様子の三人にリノアが「へ〜」と声を上げる。
リノアはエレベーターの壁に寄り掛かりながら前に立つを見て言う。
「何か、意外。 知らないものなんだね」
「私はガルバディアガーデンから転校してきたからねー。
ゼルとスッコーは結構長い年月を此処で過ごしたっぽいんだけどね。・・・やっぱどうでも良い事なのかな?」
がそう言い首を捻った瞬間、エレベーター内の電気が一瞬点滅した。
何だと疑問に思っていると次はエレベーター全体が大きく揺れ、動きが止まった。
電気も消え、エレベーターは真っ暗な四角い箱になる。
「び、びびびびびびったー!!」
私ど真ん中立ってたからかなりきつかったんですけど!?というの声だけが暗い中響く。
リノアの「何、何?どうなってるの!?」という焦った声も聞こえる。
―少し間が空くと、電気がまた点滅し、点いた。
だがエレベーターの動きは止まったままだった。
スコールは直ぐにボタンを押すが、反応は無かった。
それを見たゼルが「ど、どーすんだよ!」と焦った声を出す。
丁度真ん中に立っているは「うーん、」と声を上げて、顎に手を当てる。
「きっと、どっかに出られる所あるよ、ね?」
はそう言い辺りをキョロキョロと見渡す。
そんなに習いゼルは上を見上げ、リノアは壁を見やる。
床に目をやったスコールは、ある物に気付き膝を折る。
それにが身を屈めて彼の様子を伺っていると、スコールは床の蓋を開けた。
が「んしょ、」と声を上げ、身体を折って人一人出れそうな穴から顔を覗かせる。
顔を覗かせた瞬間、ツンとした臭いが鼻につく。
顔を顰めながらも周りの様子を見ると、近くに梯子があった。
は身体を起こし、スコールを見て「大丈夫、降りれるよ」と言う。
「・・・何かちょっと臭かったけどね・・・。取り合えず降りてみようよ」
スコールは頷き、一番最初に身体を滑り込ませる。
足の先でトントン、と梯子を打って平気かどうかを確認した後、スコールは降り始めた。
「長い間放置されてたんだ。何があっても驚かない事」
「へーい、レオンせんせーい」
はそう言いスコールが少し降りた後に自分も身体を滑り込ませる。
リノア、ゼルも続き梯子を降りていく先で、スコールが横にある通路を見つけて其処に飛び移る。
もそれに続こうとした時に、上からギチ、という不吉な音が聞こえてきた。
それと同時にパラパラと落ちてくる、錆付いているエレベーターの破片。
「え゛。 やばくない?」
はそう言い、急いでスコールの飛び移った所へ飛ぶ。
リノアとゼルも慌てて降りてきて、飛び移る。
リノアはが支えてゼルが来れるスペースを作る。
ゼルが飛び込んできたとほぼ同時に、ガッシャアアアン!!という轟音と共にエレベーターが落下して来た。
真後ろで物凄い勢いで、物凄い音を立てて落下したエレベーターにゼルはぎょっとした表情をし、ゆるゆると振り返る。
後ろを見ると、エレベーターの外側の壁しか見えない。
「・・・・・・危なッ」
「・・・まぁ、あれだよゼル。 スリリングだったね!!」
「スリリングすぎるだろ!!」
真剣な表情でそう言うにゼルは思わず拳を作って言う。
普通にドキドキしたわ、とは思いつつ前に居るスコールに小走りで近付く。
スコールは屈んで何かに手をかけていた。
よく見ると鉄で出来た蓋がしてある。
それの取っ手をスコールは掴み、上に引く。
―が、錆付いているせいもあるのか、中々開かない。
ゼルも手伝い、男二人でグッと取っ手を掴み引くと、バン!!という大きな音を立てて蓋は開いた。
さっきから音五月蝿いなぁ。とは思いつつそれを見る。
蓋を開けた瞬間、中からツンとした臭いが濃く漂ってきて、皆顔を顰める。
スコールは中の様子を覗き込んで確認した後、下へ下りた。
達も下へ下りて、着地をする。
くっさ。とは思いつつ辺りを見渡す。
大きなドラム缶の中に入っているような場所だった。
恐らくは何かを此処に溜めておく為の場所なのだろう。
この鼻に付く臭いからして、とは考え口を開く。
「オイル層だね・・・。うはーっ、くっさいくっさい」
「取り合えず、進むしかなさそうだな・・・。・・・魔物も住み着いてそうだぜ」
ゼルがの言葉の後に言う。
オイル層に居る敵、なので大体炎魔法に弱い敵が多いだろう。
はそう思いつつ、「取り合えず進もうか」と言い奥に続いている道を辿って進んでみる。
奥へ行くと、下に降りる梯子があった。
思い切りオイルを溜めておく場所の梯子を降りて、錆付いたドアをスコールとゼルが蹴って開ける。
何てワイルドな!!と思ったがMD層なんて別にこれ以降訪れたりする事もないだろうと思いも邪魔なものは遠慮無く扱って進んだ。
蹴破ったドアというか、もう穴と化した所を潜って室内に入ると、大きなバルブがあった。
真っ先にゼルがバルブに飛びついて回そうとするが、バルブはギチギチと嫌な音を立てるだけで中々回らない。
それに腕を組んで見ていたスコールが仕方無さそうに近付く。
「オイオイ何か監督みたいだったよスッコー」
駄目だろ、そこでのバットの振りはー!こうー! みたいなー!!
・・・と、が言うがスコールはゼルと二人でバルブを何とか少し動かす事に集中した。
「・・・中々回らないな」
無視ですか、そうですか。
というか中々バルブは回らないらしい。
は「じゃあ私も、」と言い男二人で少しずつ動かしているバルブの端を握る。
「んんんんんん!!」と声を上げ、が壁に足をかけて頑張ってバルブを回そうとする。
が、中々バルブは回らなかった。
結局リノアも手を貸し、四人係りで何とかバルブを回す事に成功した。
何が起きたかなーと思いは先程自分達が来た方向へ歩を進める。
すると、閉じてあった大きな蓋が開いていて、下に続く梯子が使えるようになっていた。
無駄に高くて長い梯子を降りて、次は階段を使って、下へ下へと降りていく。
梯子ばっかだし!と思いつつも下に行くと、開けた所に出た。
真ん中に大きな柱の様なものがあり、其処にも梯子がある。
他に道は無いか、と確認するが何処にも道は無かった。
(・・・行き止まりか?)と、スコールが思っていると背後で柱に掛かっている梯子を見つけたリノアが大きく息を吐く。
「え〜っ、また梯子登るの?」
リノアの言うとおり、また梯子しかないようだ。
何でこんな梯子ばっか!!とは思いながらもホッと一息を吐く。
(シド学園長、来なくて正解でしたぜー・・・)
「これって何処に繋がってるんだ?」
そんな事を思っていると小首を傾げ、ゼルが言う。
は梯子の先を視線で辿っていき、上の方にある部屋を見やる。
丁度全員が梯子の先を目で辿っていたようで、四人の視線は上にある部屋に向いていた。
「・・・あそこじゃない?(多分)」
「スコール、どうする?」
が言った後にリノアが梯子を見た後にスコールに言う。
そんなリノアの言葉にスコールはうんざりした表情をし、重く息を吐いた。
「(・・・また俺が決めるのか?)・・・皆で行くしかないだろ。 他にどうしろって言うんだ?」
「でもこの梯子、大丈夫かな?他のよりも錆が凄い気が・・・」
「・・・・・・。 もういい、分かった。俺が行って様子を見てくる。他の三人はここで待機していてくれ」
超渋々。といった感じでスコールが梯子に手をかける。
そんなスコールをは慌てて止めた。
「ま、待ってスッコー!危ないよ!」
「進む以外無いだろ?」
「此処は重さで考えようよ、スッコーより軽い私たち三人が行った方が良いんじゃないかな?」
が小首を傾げてそう言うとスコールは梯子から手を離し、考える。
(他の奴に頼むか・・・)
一理ある。 そう思いスコールは取り合えずゼルの場合は、と考える。
ゼルは自分よりは軽いだろうが、梯子が崩れた時の事を考えると冷静に対処出来るようにはとても見えない。
(・・・パスだ。リノアは・・・問題外だな)
何よりクライアントだ。危険に曝す事は出来ない。
そう思いスコールはを見やる。
スコールの視線に気付いたは腕を組み、梯子に近付いていく。
「結構錆びてるね・・・。どんくらいまで重みに耐えられるか分かんないけど、私が行ってみようか?」
「(なら、身のこなしも軽いし、冷静に対処出来る。だが・・・、)・・・危険だ。やっぱり俺が行く」
スコールはそう言いを押しのけ、梯子に手をかけて上って行く。
はそんなスコールを心配げな瞳で見、「気をつけてよー?」と言い梯子から離れる。
段々上に上って行くスコールを見、大丈夫かな?とが正にそう思った瞬間、ギギギギギ、と嫌な音が響く。
え゛。と、が思い目を凝らしてみると、梯子が段々斜めっていっていた。
梯子を固定している所が耐えられなくなったのか、バキ!という音を立てて壊れる。
梯子はそのまま重力に従い、倒れていく―!
「! スッコー!!」
がす叫ぶと同時に、バリィィン!という硝子が割れる高い音が響いた。
大分上の方に居たスコールは、目的地だった部屋に硝子を割って入ったようだった。
硝子が割れた窓らしき所の枠に倒れた梯子がガンガンとぶつかり、其処で止まる。
「・・・・・・スッコー・・・?」
落ちてこないから、あの室内に居るだろう。
スコールの事だから、きっと無事だろう。
そう分かっているのに、彼の実力や冷静さを知っているのに、
(・・・スッコー・・・!)
酷く、胸がざわついた。
スコールが心配で仕方が無い、彼は無事だろうか?
はそう思い、焦りの色を瞳に浮かべ、思わず一歩足を踏み出す。
―其の時、
床が揺れた、と思った直後に回りにあった床が段々収納され始めた。
勿論、柵はあったのだが其の奥の床が行き成り消えてゆく事に驚いたは一歩後退する。
収納されていく床を見た後にハッとして上を見やる。
恐らくこれはスコールが上の機械で操作したのだ。だから、
彼は、無事。
そう理解した途端、は安心して大きく息を吐き出した。
丁度其の時、梯子が少しだけ揺れた。
上を見てみると、スコールがゆっくりと、慎重に斜めになった梯子を使って下りてきているのが見えた。
は梯子の直ぐ傍まで駆け寄り、下りてくるスコールを待った。
完全に目の前に下りてきたスコールに、は一歩近付き「スッコー!」と言い彼の様子を見る。
何処も怪我をしていない様子に、は「良かった・・・」と言い安堵の表情を浮かべた。
素直に、心からの感情を露にしているにスコールは小首を傾げる。
それと同時に、自分も安心をする。
(あんたに行かせてたら、と思うと・・・ゾッとするな・・・)
自分と違い、怪我もしていたかもしれない。
スコールはそう思い、を見やる。
「・・・大丈夫だった?」
「・・・あぁ」
「・・・うん、ほんと良かった!」
にこりと嬉しそうには微笑んだ。
そんなの隣に来たリノアは「心配したぞ〜」と言い彼を見やる。
「でも、スコールもちょっとドキドキだったんじゃないの?」
(・・・確かに、危険だった。 でも、不思議と余り・・・、)
其処まで考え、スコールはミサイルの事を思い出して雑念を払うように首を振って口を開く。
「・・・別に」
取り合えずリノアにそう答える。
スコールのお決まりの台詞にゼルとリノア、は苦笑をしたり、溜め息を吐いたりと其々の反応をする。
「そんな事より先を急ごう。何時ミサイルが飛んでくるか分からないんだ」
「あ、うん。そうだね!」
スッコーの事考えてたら忘れちゃってたや。
はそう付け足して言い、一人で進んで行く。
そして柵の傍にある梯子に行く為に、通る為に柵のロックを解除して横にずらす。
そんなの行動を止まって見ていたスコールを、ゼルが小突く。
「・・・おい、何固まってるんだ?」
「・・・・・・別に」
「・・・そうかよ、」
まぁ、何か予想つくけどな・・・。と、ゼルは思い先に進む。
リノアも意味ありげな笑みを浮かべ、「良かったねスコール」と言って進んで行ってしまった。
残されたスコールは大きく溜め息を吐き、ポツリと呟く。
「どうしてアンタはそういう言い方を・・・・・・、」
「おーい、スッコー? 降りないのー?」
にそう呼ばれ、スコールは自分を待っているを見やる。
見ると、ゼルとリノアは先に降りているようだった。
スコールは短く息を吐き、足を動かした。
脈ありですよ、
の中ではスコール>>>略>>>ミサイルですから(爆)