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レイナと老人が何やら話している間、スコールは呆けながら歩いていた。
街の様子を見てくる、と言った建前だ。一応街中の様子にも気を配りつつもぼう、として歩いていた。

老人の話にレイナが付き合っている中、「ちょいと、」と声をかけられた。

何だと思い声のした方を見ると一人の若い男がスコールを見ていた。
手招きされてスコールはレイナと老人に視線を向ける。
歩くペースも遅いし、話に夢中そうなのでスコールは男に近付いた。


「何だ?」

「まぁまぁ、そんな警戒しないでお兄さん。 良い物があるんだ」














































釣り好きの老人の後に着いて行った先は先程のお騒がせな少年の居る場所だった。

正確には、後ろにある店に用があるようだが。

少年が此方に気付いて「あっ!」と声を上げて近付いてくる。
それに店の老人も目を丸くして近付いて来た。


「ありゃあ?おやっさん! 滅多にこっちにゃ来ないのに・・・、どうかしましたか?」


店の老人の言葉に釣り好き老人は「ちょっと、な」と言いスコールとレイナを見る。


「わしの親しい友と弟子を紹介しよう。こっちが昔からの職人仲間で今じゃショップか廃屋か判別不能の店の主」


釣り好き老人はそう言った後、小声で「これな」と言って先程子供が割った硝子がある店を指す。
次に少年を見て、


「あっちが生粋のF.H.育ちの子供で今じゃ立派なF.H.随一のとらぶるめーかー」


と、説明をする。

おーい、どんな説明よー。と、レイナが思っていると店の老人と少年が不服そうな表情をする。
そして二人で「そゆ事言うなら・・・」「そんな事言うなら・・・」と言いお互いでアイコンタクトを取って口を開く。


「いぢわるで、性格ひねてて、足臭い・・・」

「おやっさんはF.H.史上最高の道楽者で・・・、」

「五月蝿い黙れ黙れつーの黙れ」


少年と店の老人に言われ釣り好きの老人は両手を振って二人を黙らせる。
二人は悪戯が成功したように笑って言う。
少年が「今回はおいらの勝ちだねー」と言って嬉しそうに笑ってまた釣具を弄りに走っていった。

店の老人がスコールとレイナを見て口を開く。


「おやっさんは昔エスタの腕利きの職人でな、百汽長って言われてた」

「「百汽長?」」


声を揃えて問い返すスコールとレイナに店の老人は「あぁ」と頷いて言葉を続ける。


「一筋縄ではいかない百人もの職人を束ねてたのよ。
 かく言うわしもその職人の一人なのよ。・・・何だぁ? そんな事も知らんのか!
 そもそも、この"F.H."という名の由来は、おやっさんがエスタを出る時に言った言葉、
 エスタにそれが求められんのなら"創ればいい"それなら俺達の得意とするとこだ。
 イメージは"漁師"・・・"地平線"・・・即ち"フィッシャーマンズ・ホライズン"だ!
 ・・・・・・から、来とるんだぞ。 ねえ、おやっさん?」

「お主は人は良いんだが・・・相変わらず無駄に多弁じゃの」

「ほっほっほっ、まだまだ現役ですから」

「・・・見ての通り、一筋縄でないのだけは事実じゃ」


話を振られた釣り好き老人は呆れた様に店の老人にそう言った後、スコールとレイナに向き直る。
スコールは「そうか・・・」と返した後、疑問に思った事を口にする。


「何故"地平線"に"漁師"なんだ?」

「あ、私も思ってた!」

!・・・・・・


教えて?と、レイナが釣り好き老人に目を向けたら彼は酷く驚いた動作をした。
それにレイナとスコール、そして店の老人までもが小首を傾げる。


「・・・? 何か意味があるんだろ?」

「いや・・・だ~れも突っ込まなかったなぁ~と。
 てっきり・・・『何だあ! そりゃ!!』と突っ込まれるもんかなぁ~と思って・・・」


スコールの問いに釣り好き老人はそう返しつつ頭を掻く。
これは、と思いレイナが「まさか、」と口を開く。


「突っ込みが入る前提で言ったら、其の侭事が進んでしまって言うに言えなかった・・・トカ?」

「はあ。いや・・・かっこはええと思うんぢゃよ」


釣り好き老人は茶目っ気溢れる笑みを見せながらそう言う。

つまりはそういう事ですか。


「・・・いやいや。多くの職人達・・・、同じ百汽長の駅長だってその言葉に乗ったんですよ?」

「いや、それは分かってるんだけどね」

「まあ・・・良いじゃないか。結果が出たんだ。それで充分だろ?」


スコールが何処か呆れた様子で腕を組んで言うと釣り好き老人は「そうなのよそれが救いなのね」と言って誤魔化した。
が、店の老人は「・・・いいのかなあ」と呟く。


「考え過ぎて兵器作ったろ?『考える』だけがすべてではないのよ?」

「そうだな」

「(
上手く纏めた感あるけど)確かに」


スコールとレイナが苦笑しながら釣り好き老人に同意すると彼は嬉しそうに笑いながら「おお!」と声を上げた。


「若いのにようわかっとる! さすが我が弟子達!

((
・・・いつ弟子に?))


思わず同時に小首を傾げる。

ム、今日はスッコーとのシンクロ率が高いかもしれない。

と、レイナが思っていると釣り好き老人が「うん、まぁ、説教はこれで終わりじゃ」と言う。
スコールが頷き、レイナに「そろそろ戻るか」と声をかける。
それにレイナも頷き、二人で街中に戻ろうとした時に「あー」と声をかけられる。


「一つだけ伝達事項。・・・駅長には内緒な」

「やっぱし」


釣り好き老人がこっそりとそう言ってくる。
それにレイナは思わず笑ってそう言うと老人二人は店の中に入って行った。








































ガーデンへの帰り道、レイナが「なーんかさ」と言って横を歩くスコールを見上げる。


「楽しかったね!」

「・・・そうだな、中々為になる話だった」

「うん。 ・・・夕暮れになっちゃったし、それだけ夢中になれたって事だよね!」


そう言い掌を合わせて上に上げて伸びをしたレイナ。
其の時にまた前髪が揺れて、彼女の顔を隠す。

それを見ていたスコールは歩くのを止めて、レイナを見る。

スコールが止まった事に気付いたレイナも、また立ち止まる。


「? どしたの、スッコー」


ガーデンに戻る道中、結構端っこの方なので人影は無い。
静寂の中、レイナの声だけが響いてスコールは変に緊張した。

レイナは小首を傾げ、夕日のせいで銀の髪を橙色に染めながらスコールに近付いてくる。

腰を曲げて、下からスコールの顔を覗き込みながら「スッコーくーん?」と声をかける。

屈んだせいでまたレイナの前髪が落ちて彼女の顔を隠す。

何だか其れが気に入らなくて、スコールはレイナの前髪に指を通した。


「えっ?」

「・・・動くな」


突然のスコールの行動に驚いたレイナだが、彼にそう言われ取り合えず大人しくしておく。
前髪を弄られ、思わず片目を瞑る。
そうしているとスコールが「目を閉じていろ」と言い大きな掌でレイナの目を閉じさせる。

頭の中を疑問符だらけにしながらも、レイナは取り合えず言われた通り目を閉じておいた。

開けていても前髪が目に入るかもしれないから、丁度良い。

スコールはそう思いながら彼女に悟られない様に素早くポケットからあるものを取り出す。

そして口で片方のグローブを素早く外し、レイナの髪に触れる。

突然グローブとは違い温かなな物が触れた事にレイナは肩を跳ねさせそうになったが其処は耐えた。

何故グローブを外しているのか? そう思うと脳内の疑問符がまた増えた気がした。

レイナが困惑しているのを良い事に、スコールは作業を進めていった。

が、どうしても慣れない事をすると緊張してしまう。


スコールは恐る恐る、といった動作でレイナの髪に上手く其れを挿した―。


その瞬間、ぱち。とレイナが紅紫色の瞳を開く。
スコールは素早く彼女から離れ、そっぽを向く。

瞬きを数回繰り返した後、レイナは恐る恐る、といった動作で手を上げていく。
そして指先にひやり、とした物が触れた瞬間、丸かった瞳をもっと丸くしてスコールを見た。


「これ・・・!」

「・・・不要なら、捨てろ」

「要らなくない!!全然! ・・・え、でもこれ、どうして・・・?」


何時もの様に良い視界。

額に感じたひやりとした感覚。

手に当たった、感覚―。


レイナは頬を朱に染めながらスコールを見詰める。

スコールは丁度夕日の方を向いていて、顔色は赤いのか夕日の色なのかは分からなかったが、恐らく照れているのだろう。

レイナに視線を向ける事無くスコールは口を開いた。


「・・・大切な、物だったんだろ?」

「え? あ、うん・・・」

「・・・代わりになんて、ならないかもしれないが・・・・・・、」


其処まで言って、言葉が見つからずに口を噤んでしまう。

先も言ったが、こういう事は苦手なのだ。

スコールはそう思いながらも必死に言葉を捜す。

そんなスコールにレイナは柔らかい笑みを浮かべ、ゆっくりとスコールに近付く。



そして、何て言うべきか悩んでいるスコールに正面から抱きついた―。



突然のレイナの予想外の行動にスコールは思わず「な・・・!」と声を上げる。
レイナは嬉しそうに微笑み、瞳を潤ませると「スッコー、」と彼を呼ぶ。

そして彼の背に回した手にぎゅ、と力を込めて呟いた。


「ありがとう・・・」


大事に、大事にするから。

今度は壊さない様にするから。


そう言うレイナにスコールは少しだけ口の端を上げて、彼女の頭を撫でた。


ずっと自分を心配してくれているのは分かっていた。

今回、私を見回りに指名したのだって、気分転換も兼ねてってのも分かってる。

それで、髪飾りをプレゼントしてくれて、 付けて、くれて、


嬉しい・・・


嬉しそうに、幸せそうに、スコールの胸で微笑んでレイナはゆっくりと瞳を伏せた。

そして彼からゆっくりと離れてにっこりと、本当に嬉しそうに微笑んで言った。


「スッコーありがとう、・・・大好き!」


最後は、とびきりの笑顔で。

一直線の好感を向けられたスコールは思わず赤面し、顔を背けた。


「っつ・・・、さっさとガーデンに戻るぞ・・・!」

「はーい!」


レイナはニッコリと微笑んだまま、早歩きで進むスコールの後に続く。

歩く彼女の髪に留まっている蝶の飾りが、夕日に反射してきらりと光った―。




これでくっ付いてないんだからどうしてくれよう←
次はお待たせアーヴァイン。イベント挟んだ後でごめんよ!(笑)