好きな人の傍に居たい。

そう思う事は、罪ですか?





















































ッ!」


風神の召還した風のG.F.パンデモニウムの暴風を正面から喰らい、吹き飛ばされたをスコールが受け止めた。
二人してホテルの床に打ち付けられながらも、次の衝撃に備えて身を固くする。

ダメージを喰らっているのは風神も同じで、の召還したシヴァの冷気が直撃し、彼女も床に倒れていた。


間近で行われているG.F.同士の激しい争いに気付いた雷神が、ゼルを押し退けて倒れている風神に駆け寄る。
その隙にゼルはキスティスに駆け寄り、未だにしゃがみ込んでいる彼女にケアルラをかける。

雷神は倒れている風神を抱き起こし、回復魔法をかけてやる。


「風神!しっかりするもんよ!!」

「・・・、我、敗北・・・」

「いんや、引き分けだもんよ」


雷神は風神を支えながら、同じように回復魔法をかけあっているスコールとを見る。
彼らは立ち上がり、雷神達に近付く。

ガンブレードを手に持ちつつも、構えはせずにスコールは口を開いた。


「・・・お前達、魔女に命令されてるのか?」

「否!」

「魔女なんて関係無いもんよ! 俺らの考えでやってるもんよ!」


スコールの言葉に即答した二人。
雷神の言葉に、「どんな考えなんだよ・・・それ」と、スコールは少々呆れ気味に言う。


「俺たちゃサイファー派だもんよ!」


真剣な様子でそう言う雷神と、それを見詰める風神。
嘘の無い様子の二人に「・・・それは構わない」と言い、スコールは続ける。


「でも、もう手を引けよ。これはガーデン内の喧嘩とは違う」

「・・・引けないもんよ・・・」

「・・・・・・否」


拒否の意思を露にし、少しだけ俯く二人。
雷神は俯きがちなまま、口を開く。


「サイファー、手先は沢山居るけど、仲間は俺達だけだもんよ・・・・・・。
 ガルバディア兵たちゃ、魔女が恐いからサイファーに従ってるだけだかんな。
 俺達居なくなったらサイファー、仲間居ないもんよ・・・・・・」

「仲間だったら・・・、サイファーにバカな事、やめさせろよ!」


ゼルが腕を振ってそう言うが、彼の言葉に顔を上げた風神が「全部肯定!」と半ば叫ぶ様に言った。


「俺たちゃそんなケチくさい仲間じゃないもんよ!
 そんなペラペラな仲間じゃないからサイファーの事全部認めるもんよ!」


何処までもサイファーに着いていく。
彼が正しいと思ってしている事なら、手伝う。

根本的な気持ちは同じだが、立場の違いは如何にもならない。

それを理解しているスコールはと、「気持ちは・・・分かった」と言う。


「ガーデンに戻る気はないんだな?」


そうはっきりと問うと、二人は頷いた。
そんな二人を真っ直ぐに見詰め、スコールは「・・・手加減はしないからな」と、言う。
そう言うと、スコールは踵を返し、ホテルから出て行ってしまった。
スコールに続き、ゼル、キスティスも出て行くが、だけは残っていた。


「・・・・・・好きな人の傍に居て、その人の為になる事、したいだけなんだよね、」

「・・・そうだもんよ」

「・・・同じなのにね、私たち。好きだから想って、傍に居たくて、役に立ちたくて。
 でも、どうしようもない事もあって、 ・・・難しいよね」

「・・・なりに、アイツの傍に居ればいいもんよ。
 俺らは俺らなりにサイファーと居るもんよ」


雷神の言葉には頷き、彼ら二人を見詰める。
そんなの視線に耐え切れなくなったのか、雷神がそっぽを向いて言う。


「・・・もう話したくないもんよ! 何か辛いもんよ!」

「泣言禁止!」

「あでっ!」


風神に蹴りを入れられた雷神。
蹲った雷神に目もくれず、風神はを見る。


「・・・バラム、解放了承」

「うん、ありがとう・・・」

「次、容赦・・・無」


は風神の言葉に頷き、ホテルの入り口へと向かう。


外へ出ると、キスティスが腕を組んで、「残念だわ・・・」と呟いていた。
それにスコールが口を開く。


「誰が敵で誰が味方になるかなんて流れの中でどうにでもなってしまう。
 俺達はそう言われて育ってきたんだ。 だから・・・、別に特別な事じゃない。
 (
特別な事じゃない・・・ほんとか? だったらこの気持ち・・・何だ?)」

スコールはそう言いながらも、そう考える。
一人悩んでいる様子のスコールに気付いたが彼に近付き、ジャケットをくい、と引っ張る。

それにスコールは視線だけをに向ける。


「特別な事、だよ。個人的には・・・」


人間なんだもん、仕方ないよ。

はそう言うとスコールを横切って、前へ立った。


大丈夫、大丈夫


そう、自分に言い聞かせながらは手と手を合わせた。


・・・ガルバディアガーデンの皆とは違う、風神も雷神も唯、道が違っただけ。
 ・・・・・・それでも、やっぱ堪える、なぁ・・・、



私だったら、

ふと、そう思っては視線を下ろす。
そうしたら、スコールから預かった指輪が首筋で輝いているのが視界に入り、それに触れてみる。


・・・私だったら、どうするんだろう?


スコールがもしサイファーの立場だったら。
諭す?間違ってるって引っ叩く? ううん、きっと違う。
恐らく自分は彼らと同じ道を歩むだろう。


・・・ずっと傍に居られる道を選ぶんだろうなー、


傍に居たいから、居る。
傍に居ろと言われたのも理由に入るが、何より好きな人の傍に居たい。

でも、


好きな人の傍に居たいと願う事は、罪になるの?


よく、分からない。



ぎこちない空気を纏いながら、達はバラムガーデンへ戻った。




もやもや