カティ・マネキンの戦術に気付いたスメラギがクルーへ指示を出す。
正面突破を試み、突破口を切り開こうとする。
ケルディム、セラヴィーが敵艦を沈める中、カティから通信が響く。
『ガンダムは母艦の護衛に専念せよ』
繰り返す、ガンダムは母艦の護衛に専念せよ。
その声を聞き、はプトレマイオス2へ寄る。
「連邦軍からの通信?」とアレルヤが訝しげな声をあげる。
『やっぱり、マネキン・・・!』
『久しぶりだな、クジョウ』
カティ・マネキンとスメラギこと、リーサ・クジョウが会話を交わす。
『カティ・マネキン・・・どうして貴女が?』
『勘違いしてもらっては困る。我々は、アロウズを断罪するため、お前たちを利用したまでの事。
この戦いを終えた後、改めてお前たちの罪を問わせてもらう』
カティ、とスメラギが呟く。
会話を聞いていただが、不意にぞわりとした感覚に見舞われる。
「な、なに・・・!?」
思わず首を動かす。
酷く嫌な感覚がする。
はそう思い、瞳を伏せる。直後、
「! これは!?」
『全部隊に告ぐ!即座に回避運動をとれ!来るぞ!』
同時に刹那の言葉が通信越しに響く。
と同じ何かを刹那も感じているようだった。
「攻撃・・・来る・・・!?」
『禍々しい光が・・・!』
直後、物凄い衝撃が走った。
巨大な光線が、次々と戦艦を飲み込んでいく。
アロウズの戦艦までもが爆発する。
カタロン旗艦、輸送艦はギリギリのところで回避をする。
プトレマイオス2の真上をビームが通り、衝撃が艦にも及ぶ。
は咄嗟にGNアーチャーとアリオスを押しやっていた。
しかし、衝撃がカマエルにも及ぶ。
「きゃああっ!」
『! 馬鹿野郎、こっち来い!!』
アリオスとGNアーチャーがカマエルを引っ張る。
セラヴィーとケルディムは離れた位置に居た為に無事であった。
ビームの光線が途切れた跡は、残骸だけが残った。
『各員、被害状況を教えて』
『トレミー、右舷損傷、軽微です』
『カタロン輸送艦、1隻轟沈。MSも20機以上、大破した模様。アロウズ艦隊、撤退を開始した様です』
『・・・あれは・・・!』
スクリーンに出します。
そう言いアニューがパネルを操作する。
プトレマイオス2のブリッジのモニターに、映像が映る。
光学迷彩が解除され、傘の様な形をした巨大な構造物が現れた。
「・・・あそこにヴェーダがある・・・!」
直径15km、それくらいの大きさだった。
がそう呟いた直後、スメラギの通信が響き渡った。
『各艦に通達します。
我々、ソレスタルビーイングは、これより敵大型母艦に進攻し、そこにある量子型演算システム、ヴェーダの奪還作戦を開始します』
どうやらカタロンの輸送艦などにも通信回線を開いている様子だった。
『ここに、これまで協力していたただいた多くの方々への感謝と戦死された方々に、哀悼の意を表します』
通信が終わった後、プトレマオス2は巨大な構造物へと進路を変更する。
『ヴェーダを奪還、最悪破壊してでも敵母艦の動きを止めるのよ!』
再度ドッキングしたアーチャーアリオス、そしてケルディム、セラヴィー、カマエル、ダブルオーライザーが続く。
プトレマイオス2を追い越し、巨大な構造物である敵母艦へと向かう。
『みんな、行きましょう・・・!私たちが世界を変えた事への償いを・・・そのけじめをつけましょう・・・!
イノベイターの支配から、世界を開放し、再び世界を変えましょう・・・!』
未来のために!
スメラギがそう高らかに宣言する。
想いはみんな同じのはずだ。
は真っ直ぐに前を見据え、ただ突き進んだ。
プトレマイオス2がGNフィールドを展開する。
直後、敵母艦の岩の間から砲撃が開始される。
GNフィールドで防ぎながらプトレマイオス2は直進する。
『ラストミッション、スタート!』
ヴェーダを奪還する。
そして、イノベイターから世界を開放し、再び世界へ変革を促す。
そのためのラストミッションが、今開始された。
『本艦は、侵入ルートを探査しつつ前進。ガンダム各機は、砲台をたたいて進攻ルートを確保』
『『『了解』』』
「りょーかい!」
アレルヤ、刹那、ティエリア、が声をあげる。
ロックオンも「了解!」と言った後にケルディムを動かす。
『進攻ルートを切り開く!トランザム!』
トランザム状態となったケルディムがGNスナイパーライフルで攻撃をする。
セラヴィーもGNキャノンを発射し、共に砲台を破壊していく。
アーチャーアリオスとダブルオーライザーも砲台を破壊しつつ移動をする。
カマエルはGNビームライフルで確実に砲台を攻撃していっていた。
敵母艦の周りにある輪を通り、巨大な砲台がチャージを開始し始めた。
『大型砲塔がこちらを捉えました!』
『アニュー!』
『はい!!』
先ほど発射された巨大なビームが再度発射された。
アニューが咄嗟に舵をきったお陰で、プトレマイオス2には当たらずにすんだ。
『くそっ!キリがねぇ!』
弾幕が張られ、GNビットで防ぎつつ攻撃をする。
しかし、GNビットは破壊され、攻撃がケルディムにまで及ぶ。
そこへ「ロックオン!」と彼の名を呼び、セラヴィーが前へ躍り出た。
GNフィールドを展開したセラヴィーが、ケルディムの盾になる。
『ティエリア!』
『この程度で!』
GNフィールドを解いて、フルバーストで攻撃をする。
アーチャーアリオスとダブルオーライザーは共に進撃をしていた。
ミサイルを発射し、射撃の雨を降らせる。
プトレマイオスを守るために、砲台を次々と破壊していく。
離れてGNメガランチャーのチャージを開始していたカマエルは、新たな熱源に反応をする。
『ゾウエンセッキン!ゾウエンセッキン!!』
「!?」
警告音が響く。
直後、新たなMS部隊が現れた。
『新たなMS部隊が来たです!』
『まだ新型が!?』
『しかも大量に!』
『あの形状・・・まさか!』
プトレマイオス2のブリッジから焦る声が聞こえる。
は瞳を見開き、ターゲットを宇宙を埋め尽くすほどの数で現れた敵MS、ガガへ向ける。
下半身はブースターとなっている形状のそれは、次々と機体を赤く染めた。
『トランザムだと!?』
『この数は!?・・・刹那!』
『迎撃する!』
ティエリアの驚く声、そしてアレルヤと刹那の声が響く。
ケルディムはプトレマイオス2の護衛に動き、共にミサイルを発射する。
『敵MS、真っすぐこちらに向かってくるです!』
『やはり特攻兵器!右舷に砲撃を集中して!』
討ちもらされた1機がプトレマイオス2のGNフィールドに突進する。
後続部隊も次々に突撃し、フィールドとぶつかり合い、爆発をする。
GNフィールドを張っていても多くの爆発の影響で、プトレマイオス2にダメージが及ぶ。
「・・・このおおおおぉぉ!!」
GNメガランチャーを発射し、プトレマイオス2へ向かうガガ部隊を破壊する。
別のガンダムもガガを各個撃破するが間に合うものではなかった。
その時、プトレマイオス2のコンテナが開かれた。
『こうなったら今出るしかないさ。トレミーの防衛行動に入る!』
Oガンダムが出撃し、ビームライフルでガガを迎え撃つ。
イアンとリンダの乗っている輸送艦にも攻撃が及びそうになったが、カタロンの輸送艦が盾となる。
無残に散ったカタロンの輸送艦に、彼らが思わず目をそむける。
セラヴィーがブルバーストを放ち、ガガ部隊を一掃する。
アーチャーアリオス、ケルディムも迎撃をするが、プトレマイオス2の両側から攻撃が及ぶ。
「・・・フェルト、侵入ポイントは!?」
「まだです!」
フェルトが焦りの声をあげる。
補助席に座り、頭の後ろで腕を組んでいたジュビアが小さく息を吐く。
「しょーがねぇな。レーゲンの為だ。俺もちょっくら手伝ってやるよ」
そう言い彼は金の瞳を輝かせ、体を移動させた。
フェルトの横まで移動し、パネルを操作する。
直後、連邦輸送艦とカタロンの輸送艦が援護攻撃を開始した。
『何をしているクジョウ!早く任務を遂行しろ!』
「カティ・・・!」
モニターに映った旧友の姿に、スメラギが瞳を細める。
カタロン輸送艦のブリッジで、カティ・マネキンが次の指示を出そうとしたところに、フレイが声をあげる。
「右舷後方、敵機です!」
「!」
連邦輸送艦に、ガガ部隊が迫る。
それに気づいたレイが急いでGN−XVを動かす。
『! フレイ・・・!』
それよりも先に、輸送艦の近くにいたパトリック・コーラサワーのGN−XVが動く。
『てめぇら!俺の大佐に!』
先頭のガガをGNランスで突き刺す。
『手を出すなぁぁ!!!』
撃破し、次の相手を倒そうとするが、後続してきたガガがパトリックのGN−XVを捉える。
それをモニターで見ていたカティは焦りの声をあげる。
「パトリック!?」
『・・・大好きです、カティ』
次々とGN−XVに取り付いたガガが、一斉に自爆した。
輸送艦の背後で物凄い爆発が起こり、何もなくなる。
「パトリックー!!」
思わず立ち上がり、カティが声を張った。
5年前から隣に立っていた男が、今目の前で散った。
そんな彼女の姿を見ていたフレイは唇を噛み、オペレーターとしての努めを果たす。
「・・・敵部隊、ソレスタルビーイング母艦に特攻を続けています!」
ふらり、といった様子で艦長席に腰を下ろしたカティは、拳を強く握り締めた。
プトレマイオス2のブリッジでは、ジュビアがフェルトの肩を軽く叩いた。
そしてすぐに離れていく。
直後、モニターの反応を見て彼女は声を張る。
「! 発見しました!艦船用ドックの入り口です!」
「トランザムで一気に加速!突入するわよ!」
プトレマイオス2がトランザムを発動する。
ガガ部隊を振り切り直進したところで、トランザムが終了された。
GNドライヴなしでは、長時間のトランザムは出来ない。
「GNフィールドを艦首に集中展開!」
思い切り敵母艦の艦船用のドッグへ直進する。
アニューが「行きますよ!」と声を張る。
耐ショック体勢をミレイナ、フェルト、スメラギがとる。
ジュビアは真っ直ぐに前を見据えたまま、補助席に腰をおろしていた。
そのままプトレマイオス2は隔壁を破り、ドックの中へと突っ込んだ。
物凄い衝撃がおこるなか、無理矢理着艦をした。
艦首から突っ込んだ為、背後からガガ部隊が迫る。
それを撃墜し、アレルヤは機体を動かした。
『アーチャーアリオス、トレミーを防衛する!』
『Oガンダムも続く!』
はレーゲンとアレルヤ、ソーマがプトレマイオス2の防衛に移った事を確認した。
そしてケルディム、セラヴィー、ダブルオーライザーが散開し、敵母艦に侵入していく事も。
『敵母艦の構造をスキャンして、ヴェーダ捜索に入ります!』
『大量のオートマトンが来たです!』
MSもです!
ミレイナが焦りの声をあげる。
それにスメラギがすぐに指示を飛ばす。
『全隔壁を閉鎖して!レーゲン、イアン、応戦を!』
!と名を呼ばれた彼女も移動をする。
カマエルをMA型にし、岩壁を走る。
セラヴィーに続き、サポートに移る。
ダブルオーライザーは岩の表面のハッチにビームを打ち込み、道を開く。
そこから侵入しようとした直後、巨大なビームが放たれた。
それを避けた瞬間、目の前に巨大MA、レグナントが迫った。
「・・・あの機体は!」
曲がるビームを避け、ダブルオーライザーは敵機体を改めて見る。
彼女が乗った機体。
それを理解した直後、オーライザーのコクピット内で沙慈は呼びかけた。
「ルイス!!」
ケルディムもハッチを破り、内部へ侵入していた。
しかし、前方に赤い機体があるのを確認し、動きを止める。
改めて見ると、アルケーガンダム。
スローネツヴァイの後継機であるそれに、ロックオンは瞳を細めた。
「あの機体は・・・兄さんの!」
直後、アルケーがファングを放つ。
「ハロ!ライフルビット!」
『リョウカイ!リョウカイ!』
腰の増設パーツがライフルビットになり、展開される。
ファングと真っ向からぶつかり合い、相殺された。
プトレマオス2の背後に回り、ドック入り口の守備にはアリオスとGNアーチャーがいた。
GNビームライフルを放ちながら、ガガ部隊を迎撃する。
Oガンダムも並び、攻撃を放つ。
「ソーマ、残存粒子に気を配れよ」
『・・・お前こそ!』
GNアーチャーに迫ったガガを、Oガンダムが撃墜する。
プトレマイオス2のブリッジでは、スメラギが手に銃を持っていた。
「オートマトンが隔壁を突破!侵入されたです!」
「ヴェーダを発見しました!」
マイスターに転送します!
フェルトがそう言いヴェーダの位置データを各マイスターへ転送する。
それを受け取ったティエリアは「よくやったフェルト!」と言いセラヴィーを動かす。
共に進行していたカマエルも、一緒に進む。
しかし、二機の背後にガデッサとガラッゾが突如現れた。
((真打登場ってとこね))
((これ以上はやらせん))
『邪魔をするな!』
ティエリアが声をあげ、迎撃をする。
カマエルもMA型となり、敵機体へ突撃する。
直後、ガデッサ、ガラッゾの機体が赤く染まる。
『トランザムだと・・・!?』
ティエリアも対抗するように、セラヴィーをトランザムさせた。
GNキャノンを放つが、散開した二機が避ける。
((遅い!!))
ガラッゾに右腕、ガデッサに左腕を切断され、セラヴィーは爆発を起こす。
ティエリアの悲鳴を耳にしたは慌ててカマエルを動かす。
母艦の表面に落下したセラヴィーの真上を通り、グリフォン2GNビームブレイドを展開する。
ティエリアは未だに無事だ。
今は兎に角この二機の注意を自分にひきつけなければ。
はそう思い、ガデッサに攻撃をしかけた。
それを避けたガデッサはビームサーベルを振るってくる。
「・・・そっちこそ、遅いのよ!」
自力で避け、攻撃をハロに任せる。
GNバルカンを放ち、威嚇射撃を行い距離を取る。
「カマエルにとって、戦いやすい地形だもの」
やってみせる。
はそう言いMA状態のままガラッゾにGNメガランチャーを放った。
『コウホウチュウイネ!コウホウチュウイネ!』
イエローハロの声に反応し、ジャンプしてガデッサの砲撃を避ける。
そのままガデッサに向けて攻撃を放とうとするが、トランザムによって加速した機体が急速接近してくる。
((以前の借り、返させてもらう!))
「!!」
素早いチャージにより、間近で砲撃を放たれる。
避けようとしたが、避けきれずに右腕を破壊された。
「きゃあああああああああ!」
衝撃により、機体が大きく揺れる。
GNブレイドを開いた手で引き抜き、ガデッサに向けて投げる。
それはガデッサの肩に命中し、小さな爆発を起こした。
((こいつ!))
((やってくれちゃって!!))
ガラッゾが迫る。
GNソードを抜いて攻撃をしようとするが、それより先にガラッゾがビームサーベルを振るう。
右側を盾にする形にすると、思い切り肩口を切られる。
両腕を持っていかれたらおわりだ。
はそう思いバーニアを吹かせて勢いを生かせて蹴りを居れる。
そのまま接近し、GNソードを振るう。
「このおおおおおおぉぉぉ!!」
((させるか!!))
背後からビームライフルを撃たれ、カマエルの背に直撃する。
体勢を崩したカマエルに、ガラッゾがビームサーベルを振るう。
突然の事により動ききれずに左足が切り落とされた。
怯まずにそのままGNメガランチャーを放つ。
「私は・・・!諦めない!」
『アキラメナイネ、アキラメナイネ!』
イエローハロに回避行動の支持を出し、は攻撃に専念をする。
「トランザム!」
カマエルの機体が赤く輝く。
トランザム状態のまま、GNソードを持ってガラッゾと切り結ぶ。
背後からはガデッサが狙っているが、それも予測の内。
「来るな!!ファング!!」
カマエルの背からファングが放たれ、ガデッサに襲い掛かる。
攻撃を繰り出そうとした直後、ガガ部隊が迫る。
こんなところにまで、とが思った直後、ガラッゾがカマエルを押しやる。
直後、ビームサーベルが振るわれる。
胴体を狙われたそれを下がる事で避けようとするが、頭部が切り飛ばされた。
爆発が起こり、衝撃が響く。
メインカメラを失った事により、コクピット内のモニターが砂嵐に染まる。
このままじゃやられる。
そう思ったは咄嗟の判断でコクピットハッチを開いた。
『、』
「こうなったら自分の目を頼るしかないじゃない!」
そう言い目の前に迫るガラッゾを殴る。
そして、GNメガランチャーで迫るガガを攻撃する。
が、爆発の中から1機、ガガが特攻してきた。
『、!』
「!!」
間に合わない!
そう直感した直後、ガガがカマエルに組み付いた。
((終わりね、アンタ!))
目の前のガガの光が増す。
自爆しようとした瞬間、咄嗟には瞳を強く伏せた。
「・・・レルヤ・・・!」
小さくそう呟いた直後、閃光に包まれた。
ぴーんち!