赤い機体と、刹那は交戦をしていた。
「リボンズ・アルマーク!」
((感謝してほしいな。君がその力を手に入れたのは、僕のおかげなんだよ?))
頭に声が響く。
これは、あの赤い機体に乗っている全ての支配者、リボンズ・アルマークのものだった。
「俺を救い、俺を導き・・・そして今また、俺の前で神を気取るつもりか!?」
『否、神そのものだよ』
通信でリボンズの声が響く。
砲撃を避けながら、ダブルオーライザーは接近する。
「そこまで人類を支配したいのか!?」
『そうしなければ、人類は戦いをやめられず滅びてしまう。救世主なんだよ僕は』
「共に歩む気はないと・・・解り合う気はないのか!」
『人間が自分たちの都合で動物たちを管理しているのと一緒さ』
それに、とリボンズが続ける。
『純粋種となった君に打ち勝てば、僕の有用性は不動のものとなる』
「そのエゴが世界を歪ませる・・・貴様が行った再生を、この俺が破壊する!」
GNソードUをライフルモードに切り替えリボンズの機体へ向ける。
「いい覚悟だ」と言いリボンズも機体を動かす。
「ダブルオーライザー!刹那・F・セイエイ!」
『リボーンズキャノン、リボンズ・アルマーク!』
「出る!」
『行く!』
お互いの機体がぶつかり合う。
衝撃波が起こる中、ダブルオーライザーとリボーンズキャノンは交戦を始めた。
プトレマイオス2のブリッジでは、フェルトたちが忙しなく動いていた。
「ヴェーダからの通信です!」
フェルトの言葉にスメラギが「ヴェーダから!?」と驚きの声をあげる。
それに答えた後、フェルトは言葉を続けた。
「バックアップから外れている新型機が、ダブルオーライザーと交戦していると」
「新型機ですって!?」
スメラギは少し思案した後に、直ぐに顔をあげる。
「刹那を援護しましょう」と言う彼女にラッセは「おうさ」と返事を返す。
スメラギはスイッチを押し、イアンへ通信を入れる。
「イアン、砲撃の準備を」
『了解した』
「アリオスは出撃を」
『行きます・・・!』
アリオスへ通信をし、アレルヤの返事を聞く。
そしてケルディムへ通信を入れ、ロックオンへ状況の説明を行った。
リボーンズキャノンからの砲撃を避け、ダブルオーライザーは防御体制をとる。
刹那がモニターへ目をやると、トランザムチャージ率が未だに66%だった。
直後、警告音が響き回避行動を取る。
レグナントと同じワイヤーが伸ばされて来ていた。
ビーム攻撃を避け、間合いを一気に詰めた。
「ここは・・・俺の距離だ!」
ライザーソードを突き出すが、ビームサーベルで受け止められ、薙ぎ払われる。
敵母艦ソレスタルビーイングへ叩きつけられたダブルオーライザーのコクピット内で刹那は呻き声をあげる。
直後、上空にあるリボーンズキャノンが変形した。
胸部が開き、腕も変わり、背から頭が出てくる。
「あ、あれは・・・!」
それはゆっくりと振り返り、その姿を露にした。
明らかなそれの形に、「ガンダム!?」と刹那が声をあげる。
リボーンズガンダム。
両腕の擬似太陽炉が一気に輝きを増す。
『ツインドライブシステムが、自分だけのものと思っては困るな』
動き出したダブルオーライザーにリボーンズガンダムが迫る。
『そうとも、この機体こそ人類を導く・・・ガンダムだ!』
ビームサーベルとGNソードUがぶつかり合う。
押されたダブルオーライザーが後退し、距離を取る。
それに追撃するように、また変形してリボーンズキャノンが砲撃を放つ。
遅い。
そう言い放たれたビームが、ダブルオーライザーの右足を抉った。
攻撃を避け、交錯した瞬間、右肩の先端が破壊され、刹那が呻いた瞬間、後方からまたビーム攻撃が起こる。
舌打ちをし、避けるが更にまた前方からもビーム攻撃が迫る。
それも右肩を被弾し、体勢を崩す。
「な、何!?」
脇から現れたのは、ガデッサとガラッゾだった。
ヒリングとリヴァイヴの乗る機体が、ダブルオーライザーに迫る。
『援護しますよ、リボンズ・アルマーク』
『ふっ、余計な事を』
『ヴェーダのバックアップがなくたって!』
リボンズガンダムの攻撃を避けるダブルオーライザーにガラッゾが一気に間合いを詰めてきた。
「人間なんかに!」と言い両腕のビームサーベルを振りかざす。
ダブルオーライザーは避けるが、そこへガデッサがビーム攻撃を仕掛ける。
それを避けた先で、再度迫って来ていたガラッゾの体当たりを受け、なんとか防ぐ。
それを薙いだところでまたガデッサの攻撃が迫る。
二機の連携、そしてリボンズの攻撃に為す術も無く防戦一方となるダブルオーライザー。
ガデッサのGNメガランチャーのビームが、ダブルオーライザーに迫る。
避けられない。
刹那がそう思った直後、眼前にGNビットが現れ、攻撃を防ぐ。
その隙に上昇し、体勢を立て直す。
後方からケルディムと、飛行形態となったアリオスが現れた。
『刹那!』
ロックオンの声が響く。
刹那も反応し、ロックオンとアレルヤの名を呼ぶ。
敵の攻撃を避けつつ、アリオスはガラッゾに向かう。
通信越しに、ハレルヤの楽しげな笑い声が響く。
『超兵復活と行こうぜぇ!・・・戦うさ。僕たちの行動に未来がかかっている!』
ハレルヤとアレルヤ。
二人の声を聞いた刹那は、思わずアリオスの動きを追う。
アリオスはガラッゾとすれ違う瞬間に変形し、ビームサーベルを振るう。
ガラッゾの左腕を切り落とし、そのまま高速に飛翔する。
『俺とアレルヤと・・・てめぇが勝てる訳ねぇんだよ!』
『私の力・・・今こそ使う時だから!』
「・・・も乗っているのか・・・!?」
刹那がそう声を思わず漏らす。
ケルディムは機体状況がアルケーと交戦した後のままであった。
損傷状況は大きいものだが、ガデッサと銃を撃ち合う。
ビーム攻撃に狙撃で対抗し、威力を相殺させる。
『システムの助けがなきゃあ、イノベイターもその程度かよ!』
既に損傷が大きいケルディムのコクピット内はスパークを起こしていた。
ロックオンは気にしないまま、戦いに集中をする。
アリオスのコクピット内で、アレルヤの膝の上に居る。
彼女の握る操縦桿の上から、ハレルヤが手を重ねる。
ハハハッ!と笑い声をあげ、彼はGNツインビームライフルで迫ったガラッゾを殴る。
体勢を崩したガラッゾに、もう片方のGNツインビームライフルを振るう。
苛立った様子のヒリングが、攻撃を繰り出すが、咄嗟にアレルヤが避ける。
そしてが一気に機体を動かし、ガラッゾの背後へ回りこむ。
よぉし!と声をあげたハレルヤが、アリオスを素早く移動させる。
ガラッゾの脱出用のユニットをもぎ取り、突き飛ばす。
体勢を崩したガラッゾへ、加速もつけ、変形をした状態でGNビームシールドで挟み込む。
抵抗するようにビームサーベルをGNビームシールドに突き立てるが、逃れる事は出来なかった。
「ヴェーダに依存しっぱなしで・・・俺たちに勝てるわけねぇだろぉ!!」
勢いのままにガラッゾを真っ二つにする。
スパークが起こる中、脱出手段も無いヒリングは恐怖から表情を引きつらせる。
『た、助けて!リボンズ!』
直後、アリオスは離脱し、ガラッゾは爆発した。
GNビームシールドは先端が爆発に巻き込まれ、先端を失い、ガラッゾの腕も突き刺さったままとなった。
リヴァイヴの「ヒリング!」と声をあげる声が響く。
それを聞きながら、は楽しげに笑うハレルヤの膝の上で、瞳を細めた。
「イノベイターでも、コーディネーターも、ナチュラルも、みんな結局大差無いのよね!」
システムに依存しきっていたイノベイター。
未来を望み、戦い続けるソレスタルビーイング。
強さなんて、能力やシステムで全て決まる訳では無い。
はそう思いながら、小さく息を吐いた。
直後、
「! 来る!」
リボーンズガンダムからフィンファングが放たれる。
ダブルオーライザーはそれを避けるが、数個此方にも向かってきていた。
は咄嗟にハレルヤの腕を引き、操縦桿を握り、回避行動を取った。
飛行形態に変形し、フィンファングとの距離を取り、途中でまた変形してGNビームサブマシンガンで迎え撃つ。
「・・・!」
「まだ来る・・・!」
瞳を鋭くさせる。
飛行形態となったアリオスがフィンファングからの追撃から逃れるように上昇する。
アレルヤは気遣わしげにを見やが、直後、瞳を驚愕により見開いた。
バイザー越しに見えたの瞳が、金色に輝いている。
そう思った直後、アレルヤとハレルヤはアラートに気付き、別のフィンファングが迫っている事に気付く。
咄嗟にGNビームサブマシンガンで迎え撃つが、撃墜が出来なかった。
「!!」
叫んだのはアレルヤか、ハレルヤか。
刹那の悲鳴も響いた気もする。
は背後から腕を引かれ、彼の胸に飛び込んだ。
直後、アリオスの胴体部分にフィンファングが突き刺さる。
爆発がおき、それの影響でアリオスが力なく吹き飛び、コクピットまで被害が行き届き、爆煙が舞う。
「や、野郎・・・!」
ハレルヤの苦々しげな声が響く。
穴の開いたコクピット内にまで爆発が行き届いたせいでハレルヤも頭から血を流し、身体中の痛みに表情を歪めている。
も自分の頭から血が流れている感覚や、身体中の痛みを感じる。
自身が寄りかかっている相手を、痛む体を叱咤して確認する。
「ハ、レルヤ・・・」
「・・・くそっ・・・!」
そこへ、プトレマイオス2が現れた。
リボーンズキャノンのビームが現れたプトレマイオス2へ命中する。
直ぐにスメラギの判断からか、スモークが発射されて視界が閉ざされた。
そのまま、収容の為か、プトレマイオス2が近付き、カレルがアリオスへ向かってきた。
ケルディムもワンセコンドトランザムでガデッサを撃墜したようで、其方にもカレルが向かう。
残るは刹那が戦うリボーンズガンダムのみ。
手早くアリオスはプトレマイオス2へ収容され、気を失ったアレルヤを待機していたジュビアが至極面倒そうに担いだ。
ほれ、とへ手を伸ばす彼だが、彼女はそれを拒んだ。
「・・・私より、彼を先に・・・」
「俺がレーゲンに怒られるだろうが。いいからさっさと・・・」
「刹那が、まだ戦ってる」
罅の入ったバイザー。
ジュビアの顔も、それのせいで歪んで見える。
は小さく笑みを浮かべ、壁へ寄りかかった。
「・・・想いだけでも・・・彼と戦いたいから・・・」
ジュビアは少しの間黙っていたが「そーかよ」と言い口の端を吊り上げた。
そしてアレルヤと収容されてきたロックオンを引き、無重力の中移動をする。
「お前も来いよ。せめて治療はしねぇと俺がレーゲンに怒られる」
その後は好きにしろ。
そう言い進んでいくジュビアに、は笑みを零して背を追った。
アリオスは本当にかっこいい。
まだまだは頑張ります。