木星探査船の破片の撤去作業を行った後、プトレマイオスに各ガンダムは収容された。
その中には、ダブルオーライザーを助けた機体もあった。
ラファエルから降りてきた人物に、全員が瞳を丸くする。
メットを取って、紫色の髪が舞う。
久しぶりに会った仲間に、ロックオンが声をあげる。
「ティエリア!」
「どうして」
彼は嘗ての戦いでその身を失ったはずだった。
弾みのある声で問うたアレルヤに、ティエリアが返す。
「イノベイドである僕は、意識データを生体端末に移す事が出来る。しかし、再会を喜んでいる暇は無いようだ」
ティエリアはそう言うと、真紅の瞳を細めて座っている刹那を見た。
「刹那、」と鋭い声で彼を呼ぶ。
「何故ELSを攻撃しなかった」
えるす?
その場にレーゲンと共に来ていたマリーが疑問の声をあげる。
「連邦政府が異性体を今、ELSと呼称している・・・刹那、ELSを攻撃しなかった理由を言え」
「・・・分からない・・・」
「では。君は?」
ハルートの攻撃はアレルヤしか行っていなかった。
ティエリアに問われたは空色を丸くし、ゆるゆると首を振った。
「やはり、イノベイターとしての直感がそうさせたようだな」
ティエリアの言葉に、刹那が顔をあげる。
イノベイターとしての直感?
がそう思い小首を傾げていると、ティエリアが振り返る。
「君もイノベイターと成り得る因子を持っているという事だろう。覚醒しつつあるのかもしれないな」
「私も・・・刹那と同じ・・・?」
頷いた後、ティエリアはみんなを見渡す。
「ヴェーダの情報を駆使しても、ELSの行動目的を図れずにいる。
だが、君たちは彼らから何かを感じ、無意識に反応した。つまり、ELSには意思があるという事だ」
ELSについて分かっている事は意思がある事。
そして脳量子波に惹かれるという事。
木星電波の変質の中に僅かにだが脳量子波も感知されている。
ブリッジに移動し、スメラギやラッセたちも交えて話をする事になった。
「異性体・・・ELSの来訪・・・」
「これがイオリアの爺さんが言ってた"来るべき対話"ってやつなのか?」
「計画にあった"対話"は人類が外宇宙に進出してからの事だったんだよ」
ラッセの問いに答えたのはレーゲンだった。
操舵席に座っているアニューも瞳を伏せる。
「数世紀先の計画、だったのよ・・・」
「それがよもや、今起ころうとは・・・」
ティエリアの言葉にアレルヤが「そんな、」と声を漏らす。
「人類側の準備はほとんど出来ていないというのに・・・」
「現実に起こっちまったんだ。戦うしか無ぇだろ」
「俺もロックオンの意見に賛成だ。現にこっちも被害を受けている」
ロックオンとラッセの戦う姿勢に、マリーが慌てて声をあげた。
「その考えは迂闊すぎます!ELSが私たちの事を分かっていないから起きた事かもしれません!」
マリーはそう言い縋るようにレーゲンを見た。
レーゲン、ジュビア、アニュー、ティエリアといったイノベイドたちは何かを考えるように口を閉ざしていた。
彼らと同じように、刹那とも口を噤んでいる。
そんな二人を見て、フェルトが近付く。
「刹那とは、どう思う?」
急に声をかけられた二人は瞳を大きくする。
肩を揺らした二人に、フェルトは再度問いかける。
「二人は、どう思う・・・?」
それに全員が注目をする。
視線を受けたは空色を震わせ、震える息を吐いた。
刹那も視線を下げわからない、と呟いた。
「・・・本当に分からないんだ・・・」
重たい沈黙がブリッジを包む。
は眉を下げ、すみません、と呟く。
分からない。
どうしたらいいのかも分からないし、感じている事も分からない。
それに、どう言葉に表して良いのかも分からない。
はそう思い、頭を下げて逃げるようにブリッジから出てった。
そんな彼女を案じてか、刹那も出て行く。
二人を見送っていたアレルヤは、眉を下げる。
「・・・彼らは、何かを感じている」
「分かっているわ・・・」
ティエリアの言葉にスメラギが返す。
ELSに意思があることを感じている。
も刹那ほどではないが、色々な事を感じたであろう。
「・・・ヴェーダの情報にあった、ダブルオークアンタとザドキエルの状況は?」
「基地でイアンたちが調整中よ」
「彼らの望んだその機体が、切り札になるかもしれない」
ティエリアの言葉にスメラギが瞳を見開く。
まさか、ELSと、
そう呟くスメラギに、ティエリアは淡々とした様子で返す。
「貴女だって、考えていたはずだ」
ELSとの対話を。
対話の為の機体であるダブルオークアンタと、それをサポートできるザドキエルのアブソラクション。
危険は伴うが、それが切り札になる可能性が高い。
しかし、
「刹那とに・・・頼りすぎよ・・・」
彼らだって、人間なんだから。
そう呟きスメラギは瞳を伏せた。
ブリッジから逃げるように出たは通路を当ても無く移動していた。
そんな彼女の後を続きながら刹那は声をかけた。
「・・・、」
「・・・前に、レーゲンに言われたの」
君も、いつか覚醒するって。
そう呟いたは立ち止まる。
「・・・自分の事、分からない事だらけだね」
一緒だね。
そう言い彼女は、悲しげに微笑んだ。
刹那は瞳を細め、彼女を見つめた。
「・・・刹那、私たちはきっと一緒だよね」
そう言いは刹那の目の前に立った。
真っ直ぐに見据えてくる彼女に、刹那は少したじろぐ。
「分かり合えると、思う?」
「・・・分からない。しかし、やってみる価値はある」
刹那の言葉には頷いた。
そのまま彼の手を取り、自分の手で包み込む。
「来るべき対話・・・準備が出来ている人類は、貴方と私だけ、かな」
「・・・は良いのか」
「良いも何も、私はみんなを守りたい。刹那を支えるって決めたんだから」
ね?
そう言いはにっこりと明るく微笑んでみせた。
きっとスメラギもティエリアも考えているはず。
そう思いながらは刹那の手を包み込んだ。
「貴方独りに全部を抱え込ませない。私が居る事、忘れないでね」
優しい彼女。
太陽の様な笑みに、いつだって惹かれて来た。
刹那は眩しそうに瞳を細めながら、彼女に微笑んだ。
各々、自由に過ごす中レーゲンはクラウドに向かっていた。
その道中に会ったマリーと話しながら移動をする。
「レーゲン、貴方はどう思っているの?」
「来るべき対話は、さっきも言った通り数世紀先の話だった。準備が出来てる人類なんて正直一人も居ない」
けど、やるしかないんだよ。
そう言いレーゲンは口の端をつりあげた。
「俺たちもやれる事はやる。カレルたちの手も借りてこっちはこっちで新型の調整中だ」
「・・・貴方も、出撃するの?」
「そうだな・・・引きこもっててELS引き付けてばっかでも邪魔だしな」
なんてな。
そう言い悪戯っぽく笑うレーゲン。
レーゲン!と彼の名を思わず強く呼ぶ。
「そう怒るなら、お前も自分の事そう思うのは止めろ」
レーゲンの言葉にマリーは金の瞳を大きくする。
「・・・でも、私も役に立ちたい。この艦の人たちに迷惑をかける訳にもいかないから!」
「その気持ち、ちゃんとスメラギにも伝えろよ」
レーゲンはそう言いマリーの頭を撫ぜた。
突然の彼の行動に、金の瞳を丸くする。
「超兵同士のコンビネーションとなるかな」
「・・・え?」
「はきっと次はハルートには乗らないさ。代わりに乗ってやんな」
レーゲンはそう言い連結路の前で立ち止まった。
振り返り、不安げな表情のマリーを見つめる。
なんだ?と優しく問いかけると、彼女はおずおずといった様子でレーゲンの白衣を摘んだ。
「・・・もう、行ってしまうの?」
「ジュビアも待ってるし、他三人のお守でレイも参ってそうだしな・・・」
俺も戻って調整とか手伝わないと。
そう言い頭をかいたレーゲンにマリーは小さく息を吐く。
「・・・あの、私もそっちに行っちゃ駄目かしら?」
「え?何も無いぞ?」
「い、いいから・・・!」
面白いものなど何も無いというのに。
レーゲンは小首を傾げながら、いいけど、と返す。
するとまるで花が綻んだように、嬉しそうにマリーが微笑んだ。
この笑顔が見れるならいっか。
そう思いながらレーゲンは端末でスメラギに連絡しながらマリーと一緒にクラウドへ向かった。
アレルヤはハルートの様子をチェックしていた。
そんな彼の背後から、と刹那が近付く。
「アレルヤ、」
「・・・、刹那も・・・もう大丈夫かい?」
優しく微笑むアレルヤが二人を迎える。
取り乱してごめんなさい、と言うにアレルヤは「構わないさ」と返す。
「刹那、ダブルオーはカレルが急ピッチで修復中だよ」
「ああ・・・」
「・・・君も、あまり無理はしないようにね」
心配だよ。
そう言うアレルヤに、刹那は深紅色の瞳を向けた。
少し驚いたような表情が、どこか幼さを感じさせ、アレルヤが笑む。
「僕たちは、家族なんだから」
「・・・家族」
「そうだね、私もアレルヤも、刹那もみんな家族」
だって此処は、ホームだもんね。
そう言って微笑むとアレルヤに、刹那も表情を柔らかくさせた。
は改めてアレルヤに向き直り、さっきはごめん、と言う。
「私、完全に足手まといになっちゃった」
「そんな事は無いけれど・・・何を感じたんだい?」
「上手く言葉に出せないけど・・・なんていうか、刺さるっていうか・・・なんか、」
「・・・頭に響くんだろ」
そう言い、頭を撫ぜられた。
え、と思い顔をあげると、そこにあったのはハレルヤの顔だった。
「僅かだが俺も感知した」
「ハレルヤ・・・」
「キャパオーバーにならないようにしろよ」
ありゃ、ちと異常だ。
そう言うハレルヤに刹那との表情が鋭くなる。
―直後、
キイイイイィィィィン!!!!!!!!!!!!!
頭に響くような、刺すような痛みが起こる。
突然の事に刹那、、ハレルヤは各々声をあげた。
「何だ!?」
「これはあの時の!」
「―――来る!!」
それはマリーもティエリアも同じで、各々が各場所で反応をしていた。
マリーはソーマとなり瞳を鋭くさせ辺りを見渡す。
「何!?」
「この感覚は!」
レーゲンとジュビアも表情を歪める。
プトレマイオス2のブリッジで操舵席に腰を下ろしていたアニューも頭を抑えて蹲った。
「どうした、アニュー!?」
「・・・ラ、ライル・・・!」
傍に居たロックオンが彼女の肩に手を置く。
直後、異変を察知したフェルトが声をあげた。
「木星に重力震!」
「リングが崩壊して、次々と吸い込まれていきます!」
モニターに木星の映像が映し出される。
そこには、巨大な穴があいた木星と、そこに吸い寄せられる隕石が映し出された。
そして、その穴から、次々と様々な形のELSが出てきた。
格納庫でそれを見ていた刹那、の瞳は金色に輝いていた。
ハレルヤが表情を歪める中、の手を引いて、刹那の背をたたく。
目指すは、ブリッジ。
ブリッジにいち早く駆け込んだ刹那が口早に問う。
「ELSの地球圏到達までの時間を出してくれ!」
早く!!!
捲くし立てるように言う刹那に、フェルトが直ぐに手を動かす。
「地球圏到達まで・・・95日!!」
「たった三ヶ月・・・これが来るべき対話に与えられた時間なの・・・!?」
フェルトの声を聞いたスメラギが声を震わせる。
ブリッジを沈黙が包む。
そんな中、がアレルヤの手を強く握る。
「行きましょう・・・!」
そう言うに、刹那も頷く。
彼女の言葉にラッセも「そうだな」と言いスメラギも表情を引き締めた。
「ああ、此処でこうしていても始まらない」
そう言い刹那は空いているの手を握り締めた。
『木星、大赤斑の異常と共に出現した、謎の異性体、通称ELSは太陽系の中心部へと移動していますが、地球圏の到達ルートに乗る可能性はほぼありません』
テレビ報道を流しながら、レーゲンはクラウドのブリッジでプトレマイオス2との通信をオンにしたままにしていた。
『憶測やデマなどに惑わされず、市民の皆さんは、節度ある行動をお願いします』
別番組では万一地球圏到達までの時間も計っている。
マスコミの動き方にもよるな、とレーゲンが思ったところでキャスターがある人物を紹介する。
『平和の歌姫、ミーア・キャンベルさんが起こし下さっています』
「・・・あいつ、」
テレビに映ったミーアに、オルガが声を漏らす。
プトレマイオス2でも突如現れた平和の歌姫に各々が注目をしていた。
『皆様、どうか落ち着いて私の声を聞いて下さい。先も話を聞いた通り、憶測やデマに惑わされないで』
胸の前で手を合わせ、彼女は海色の瞳を真っ直ぐに向けてくる。
彼女の表情に一切の迷いや恐怖は感じられなかった。
『皆様の不満や不安も、十分に私も理解出来ます・・・ですが、これだけは忘れないで下さい。
貴方は一人じゃありません。私も居ますし、貴方の周りにはたくさんの人々が居ます。
今、出来る事をしていきましょう。今、出来る事。それはお互いの手を取る事です
こんな時だからこそ、いがみ合わず、私たちは分かりあい、支えあっていくべきなのです』
画面の中の歌姫は明るく微笑んだ。
私は皆さんを想っています。
そう言いミーアは頭を下げた。
「彼女の言葉は混乱を収める力にもなるな。この後街中できっとコンサートでもするぞ」
『・・・本当に人々を想っているのね』
「ああ。平和の歌姫だからな」
モニターに映ったスメラギにレーゲンが返す。
艦長席に座ったレーゲンが腰をあげる。
プトレマイオス2はトランザムを使って高速移動をしている。
クラウドも、積んである擬似太陽炉を4機全部使用してトランザムで進んでいる。
「我々はサポートを行う。が、機体が未だ完成もしてない・・・」
『分かっているわ。今回はガンダムで対応します』
すまない。
と言うレーゲンの後ろのCIC席に気だるげに座っていたシャニがモニターの変化を見て声をあげる。
「火星の近くで地球連邦が始めたってさー」
「間に合うと良いが・・・」
レーゲンはそう言い瞳を細めた。
プトレマイオス2では各々が各機体に乗り込んでいた。
ハルートに向かっていたアレルヤは、パイロットスーツに着替えたマリーに気付く。
彼女の横に立って「いいのかい」と問う。
彼女は金の瞳で真っ直ぐにアレルヤを見据える。
「構わない。私も、私の為に戦う」
マリーとソーマの意志を感じ、アレルヤは頷いた。
ロックオンとティエリアも各ガンダムに乗り込む中、は刹那の横を通り過ぎた。
ダブルオーのコクピットに居た刹那は顔を出してを見やる。
彼女が向かった先は、オーライザー。
「・・・!」
「言ったでしょ!刹那一人に抱えさせないって!」
そう言いはイエローハロを手放す。
お留守番ね、と言い格納庫に置き去りにされたイエローハロは瞳を点滅させた。
オーライザーならハロのサポートが無くても一人で十分だった。
出撃準備をする中、スメラギとアレルヤからの通信が入る。
『、いい?決して無茶はしない事』
「分かってますって」
『君一人の体じゃないんだよ、、無茶はしないで・・・』
「・・・うん、りょーかいです、アレルヤ」
は微笑んで両者に片手をあげてみせた。
ハッチが開き、各々のガンダムが出撃していく。
ハルートにはソーマが搭乗した。
出撃前に彼女と話をし、戦う意思もお互いに確認をしたから、きっと大丈夫。
私は、刹那と一緒にELSと対話をする。
「・・・ごめんね、ちょっと無理しちゃう」
そう言い腹部に手を当てた。
本来ならあまりGをかけてはいけない。
いくら特別なパイロットスーツを身に纏っているといっても、何が起きるか分からないのだから。
「きっと強い子になるね、彼と同じで」
そんな事を言いながらはハッチが開く様子を見ていた。
『射出タイミングを譲渡します・・・、気をつけて』
「りょーかい!・ルーシェ、オーライザー、行ってきます!!」
そう言い出撃をする。
直ぐにダブルオーに近付き、ドッキングセンサーを起動させる。
「刹那!ドッキングする!」
『ああ』
オーライザーをドッキングモードにし、ダブルオーライザーとなる。
操縦は刹那に任せて、はモニターに目を凝らした。
既に連邦はELSと交戦を開始している。
間に合えばいいけれど。
そう思いながらは瞳を鋭くさせる。
そろそろ交戦宙域に到着する。
『連邦の艦隊は・・・!?』
既に姿の無いそれにロックオンが声をあげる。
目を凝らして見ると、ELSの大群が集まり、大きな円を作っていた。
サブモニターに表示されたそれは、ELSの輪の中に連邦軍の新型MA、ガデラーザがある事を示していた。
『! これは・・・!』
刹那の戸惑いの声が響く。
は直ぐにガデラーザのパイロットとコンタクトを試みる。
『奴等は一体何を・・・!?』
『考えるのは後だ!』
『来るぞ!』
アレルヤ、ロックオン、ティエリアの声の後に円から抜け出たELSが迫る。
ハルートが先行してELSをひきつけ、各個撃破していく。
サバーニャもミサイルを一斉に放ちながら、ラファエルと共にビーム攻撃をしかける。
そんな中、ダブルオーライザーはELSの集まっている円へ向かっていた。
突き刺すような痛みが頭にくる。
何かがぐわぐわと響いているような、煩わしさも感じる。
は顔を顰めながら、何とかガデラーザのパイロットとコンタクトをとろうとする。
「私の声が聞こえる!?」
((う・・・・・・、))
『俺の声が聞こえるか!?逃げろ!』
逃げるんだ!!
刹那の叫びも虚しく、頭の中に響いた男の悲鳴は突如途切れた。
『・・・連邦のパイロット・・・』
刹那がそう呟く。
直後、はELSのスピードが増したのを感じ、咄嗟に声をあげた。
「刹那!!」
ダブルオーライザーが咄嗟にかわす。
ガデラーザを完全に侵食したELSが、一気に迫ってくる。
このままではらちがあかない。
刹那は通信をオープンにして、声を張った。
『各機攻撃を中止!撤退しろ!!』
「・・・ライザーシステムで高濃度GN粒子の意識共有領域を作ります!」
刹那との言葉にスメラギが驚きの声をあげる。
『その機体でトランザムを!?GN粒子タンクは急場しのぎなのよ!』
スメラギは焦りの声をあげるが、レーゲンは静かにそれを見守っていた。
フェルトも若草色の瞳を細め、彼らを想う。
『行くぞ、』
「了解・・・ライザーシステム、作動!!」
ダブルオーライザーの機体が赤く輝く。
すぐにGN粒子を一気に放出し、意識共有領域を作り出す。
『ELSとの対話を試みるつもりか・・・!』
ティエリアが呟く。
は真っ直ぐにELSの動きを見ながら、刹那を支える。
『お前たちは何者だ!何を求めて此処に来た!?』
刹那が声を張る。
その間にも、ELSは真っ直ぐに此方に向かってくる。
『答えろおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!』
直後、刹那との瞳が金色に輝く。
刹那の想いが伝わってくる。
未知なる相手への恐怖、不安、危惧。
それでも、相手を知ろうとする心。
それを支えなくちゃ。
――意識共有領域の中、は刹那の手に触れた。
二人で手を伸ばして、ELSに近付こうとする。
((答えてくれ!お前たちの目的は・・・!?))
直後、
一気に莫大な量の情報が頭に流れ込んできた。
宇宙、星、炎、痛み、恐れ、不安、恐怖、絶望、喜び、
様々な情報が一瞬にして刹那との脳を刺激した。
あまりの莫大な情報量に追いつけずにと刹那は弾き飛ばされてしまった。
((うああああああああああああああ!!!))
((きゃああああああああああ!!!!!!!))
声にならない悲鳴をあげた直後、真っ直ぐに進んで来ていたELSがダブルオーライザーの頭部、脚部。
そしてオーライザーの側面に組み付いた。
トランザムも終了され、ダブルオーライザーが力なく宇宙空間を舞う。
『う・・・!ああああ!!!うああああああああああああああ!!!』
「やぁっ・・・や、い、いやああああああああああああああ!!!!!!」
頭が痛い!割れるような痛み!
鳴り止まない叫び、直接送り込まれる叫び、頭に、響いてくる!!!
コクピットの中で刹那とは頭を抱えて絶叫した。
クラウドのブリッジでレーゲンが焦りの声をあげる。
『いけない!早く切り離せ!!』
『ダブルオーライザーELSに侵食されています!!』
『至急二人を回収!ポイントY32まで後退!!』
スメラギの指示に応じてガンダムが動き出す。
3機共ダブルオーライザーの下へ向かおうとするが、ELSたちに行く手を阻まれる。
『くそっ!』
『数が多すぎる!!』
このままじゃ、とロックオンが焦りの声をあげる。
そんな中、ダブルオーライザーの粒子残量が尽きた。
荒い呼吸を繰り返し、機能を停止したダブルオーライザーの中ではなんとか意識を保っていた。
しかし、直接刺激を受けてしまった、刹那は。
は表情をゆがめ、朦朧とする意識の中でパネルを操作する。
オーライザーとダブルオーを切り離し、その際にダブルオーのコクピットロックを解除する。
「刹那は・・・まだ、生きるんだから・・・!」
はそう言いオーライザーの予備タンクの粒子解除スイッチを押す。
瞳を金色に輝かせ、思い切り操縦幹を握り締めた。
初対話。
そしてダブルオーとオーライザー。