『3つの陣営が、国連管理下で軍事同盟を発表しました。これにより、史上最大規模の国連軍が誕生することになります』


そこでテレビを切り、ロックオンが小さく息を吐いた。


「ようやく計画の第一段階をクリアしたってところか」


トリニティの行動が引き金になっているのが解せないがな。
そう続けてロックオンは言った。


「それにしては不可解だ」

「何がだ?」

「各国の軍事基地は、トリニティによって甚大な被害を受けている。そんな状況で軍を統合させても、結果など出るはずがない。
 世論の反感を、失望を買うだけだ」

「何か裏がある・・・」


ティエリアの言葉に刹那はそう言った。
それに座っていたも頷いた。


「正直、僕は不安に思う」


ティエリアがそう言う。


「ヴェーダの情報に明示されていなかったトリニティの存在、そのヴェーダがデータの改竄を受けたという事実が・・・。
 どうしようもなく、僕を不安にさせる」


ヴェーダが第一と考えていたティエリア。
そのヴェーダが何者かに改竄され、掌握されようとしている。
ティエリアが不安に思い、心揺れる事も仕方のない事だった。


「僕…か」


ロックオンがぽつりと呟いた。
不安ゆえに一人称が俺から僕に代わっているのだろうか。
そんなティエリアにロックオンが視線を向ける。
その時、各々の端末に着信が入った。

一番最初に開いたがそれを読み上げる。


「スメラギさんからの暗号通信だ・・・マイスターは機体とともにプトレマイオスへ帰還せよ、って」

「オッケー、作戦会議だ。宇宙に戻るぞ」


そう言い端末をしまったロックオンに全員が頷く。
動き出した彼らだが、が刹那を引き止めた。


「あ、あの、さっきはごめんね」


取り乱しちゃって、
そう言うに刹那は「いや、」と言って首を振った。


「アレルヤと、何かあったのか」

「・・・別にアレルヤと何かあった訳じゃないの」


代わり、とは言っていた。
その言葉が刹那にはどうも引っかかっていた。


「・・・いつかは、離れなくちゃいけない。それだけ」


だから、ずっとアレルヤは私を守る事は出来ない。
そう言いは苦笑した。


「何故離れる事を前提に考える?」

「決定しているからだよ」


それだけ。
そう言い、はドアを開けて、ロックオンとティエリアの間を通り抜けていった。
彼女の背を見送った後、ロックオンが振り返る。


「いいのか、刹那」

「・・・俺はあいつの背を守ると決めた」


それだけだ。
そう言い刹那も二人の間を通る。
ティエリアがそこで口を開いた。


「アレルヤ・ハプティズムはどうするんだ」

「それはあの二人の問題だ」


ただ彼女を支えるだけ。
刹那はそれだけを胸に、エクシアへと向かった。











アフリカ大陸の北西部にあるトリニティ基地内で、彼らは苛立っていた。
急に上からの命令が途絶えたのだ。


「今まで散々働かせといて、いきなり連絡なしってどういう事!?」

「俺に聞くなよネーナ、難しい事考えんの苦手なんだからよ」

「ミハ兄はそういうタイプだよね」

「馬鹿にすんなよ!」

『バーカ!バーカ!』

「てめぇ、ハロ!刻まれてぇのか!?」


そんな声が聞こえ、ヨハンは歩く足を速めた。


「ミハエル、ハロはトリニティに欠かせない戦力だぞ」


そう言うと、ミハエルが目を丸くして、肩を竦ませた。


「あ、兄貴!?冗談だって、冗談!」


そんなミハエルを横目で見、ヨハンは端末を片手に前へ進む。
そのまま妹と弟の二人を見ながら、口を開く。


「ラグナからミッションプランが届いた。内容はいつもと同じ。作戦は三日後に決行される」


ミハエルが歓喜の声をあげ、「待ってました!」と言う。
その瞬間、綺麗なソプラノボイスが広い基地内に響いた。


「ようやく見つけましてよ」


そこに現れたのは、王留美と紅龍だった。
ネーナは思わず一歩退きながら「何で!?」と声を上げる。


「どうやってセキュリティを!?」

「いいじゃねぇか。どっちにしても此処を見られたからにゃ、ただで帰すわけにはいかねぇ!」


そう言いナイフを取り出すミハエルを、ヨハンが諌めた。


「待てミハエル。
 そこにいるご婦人、ヴェーダの資料の中で見た記憶がある」

「記憶に留めていて下さっていて光栄ですわ。私の名前は王留美。ソレスタルビーイングのエージェントをしております。
 こちらはパートナーである紅龍です」


王留美の紹介に伴い、紅龍が頭を下げる。
そんな彼を見てネーナは金の瞳を楽しげに細めた。


「ちょっといい男じゃん」

「そうか?」


ネーナの一言に、不満げにミハエルが返す。


「この場所に来た事で、あなた方の能力の高さは分かりました。
 それで、わたしたちに何かご用ですか?」

「ただご挨拶に伺ったまでです」


王留美はそう言い、口元に笑みを浮かべた。


「チーム・トリニティも私たちと同じソレスタルビーイング。
 エージェントである私たちが、あなた方をサポートするのは至極当然の事」

「何言ってやがる!?」

「あたしらそっちのガンダムの攻撃を受けたんだよ!?」

「その事については聞き及んでおります。
 ですが、私はあちら側の人間という訳ではありません」

「つまり、中立の立場であると?」


ヨハンの問いに王留美はゆっくりと首を振り、「いいえ」と言った。


「私は、イオリア・シュヘンベルグが提唱する理念に従う者。
 それ以上でもそれ以下でもありません」


王留美の一言にヨハンは瞳を細めた。
そして暫く二人で探り合いをするように見詰めあった後、ヨハンが目元を細めた。


「なるほど、そういう事ですか」


ヨハンに王留美は「ええ」と返した。
彼らのやり取りにミハエルとネーナは小首を傾げるばかり。


「分かりました。王留美、必要に迫られた時、あなたの援助を期待させて頂く」

「よしなに」

「この場所を彼らに?」

「伝えないことをお約束いたしますわ」


では。と、去ろうとする彼女を、ヨハンが引き止めた。
「王留美、ひとつだけ」と言う彼を王留美は振り返る。


・ルーシェについてだが・・・、」

「・・・? あの娘に、ついて?」


王留美は瞳を丸くし、ヨハンを見上げた。
ヨハンは片手に握ったままの端末を、ぎゅ、と強く握った。










どうやらGNアームズがロールアウトしたらしい。
新兵器の投入の為に、イアンとラッセが受け取りに向かったらしい。
残りのクルーは、宇宙へ戻ったガンダム四機の回収作業に回っていた。

たちは其々の手段を使って宇宙へ上がっていた。

ティエリアと刹那と別れ、はロックオンと二人で軌道エレベーターを使用して宇宙へ上がっていた。
以前アレルヤと使用したが、今回はロックオンと一緒だ。
そう思いながら、は座席に腰を下ろした。

そんなを見、ロックオンは少しだけ笑った。


「な、なに?」

「いや、が元気になって良かったなって」


ふふ、と笑みを零しながら言うロックオンは、本当に安堵した様子だった。
なんだか気恥ずかしくなって、は少しだけ視線を彷徨わせた。
正面に座ったロックオンは、そんなを見て柔らかい笑みを浮かべた。

そして、グローブを外した手での頭を撫でた。


「お前は一人じゃないんだ」


だから、もっと俺やみんなを頼れよ?
そう言ってロックオンは微笑んだ。


「・・・うん、私はもう一人じゃないんだよね」


ロックオンは頷いてくれた。
は嬉しそうににっこりと笑った。


「私、みんなと一緒に居るのが好き。
 前の世界に居たみんなも大好きだけど、ソレスタルビーイングのみんなも、他に出会ったみんなも・・・」

「そっか」


ロックオンはそれだけ言って、優しい笑みをずっと浮かべていた。


「アレルヤは心からを想ってるだろうさ」


もっと自分に自身を持てよ。
はその言葉に、ちょっとだけ頷いた。

宇宙へ上がった後、其々のガンダムに乗ってプトレマイオスへ向かった。
途中でエクシアとヴァーチェとも合流し、順々に着艦作業に入る。
最初にヴァーチェが入り、次にデュナメスがそれに習う。
ミカエルを動かし、はゆっくりと瞳を閉じた。

アレルヤに会える。

そう思うと、なんだか怖いような嬉しいような、複雑な心境になった。


「・・・アレルヤ・・・、」


思わずそう呟いた。
はゆっくりと瞳を開けて、着艦の為にミカエルを仰向けにさせ、コンテナに向かう。


『ミカエル、着艦しました』

『コンテナ、回転。エクシアの着艦作業に入ります』



フェルトとクリスティナの声を聞きながらはきちんと収容された事を確認してコクピットを開く。
とりあえず、ブリッジへ、とが考えてコクピットから出る。

そこで、思わず瞳を丸くした。

ティエリアかロックオンが居るであろうと思っていたそこに居たのは、


「・・・アレルヤ」

「おかえり、


嬉しそうに銀の瞳を細め、アレルヤはそう言った。
降り立ったを真っ直ぐに見下ろし、彼は「大丈夫だった?」と言った。


「地上で、体調が悪かったって聞いて・・・」

「体調・・・」


あの事かな、とは思いながらアレルヤを見上げた。


「・・・もう、大丈夫」

「本当に? ・・・、お願いだから無理はあまりしないでくれ・・・」

「アレル、」


そこまで言ったところで、はアレルヤに抱き締められた。
優しい抱擁ではなく、それはどこか荒々しいものだった。


「・・・アレルヤ、心配かけて、ごめんね」

「本当だよ・・・」


気が気じゃなかった。
アレルヤはそう言い、の肩口に顔を埋めた。

本当にこの腕が求めているのは、マリー。

私じゃない。

そう思いながらも、は縋るようにアレルヤの背に腕を回した。


「・・・アレルヤ・・・」


ぎゅ、と身を寄せて彼に抱きつく。
は瞳を強く閉じながら彼に縋るように抱きついた後、そっと離れた。


「・・・ごめんね、」

「もう、あまり心配かけさせないでくれ」


瞳を細めて言うアレルヤに、は小さく笑った。





名を呼ばれ、はその方向を向く。
コンテナの入り口に、刹那が立っていた。


「・・・刹那、」

「ブリッジへ行こう」


入り口で立ったまま言う刹那。
はそれに小さく頷いて、アレルヤを見上げた。


「とりあえず、報告に行かないと」

「・・・うん」


刹那を一瞥した後、アレルヤは再度を見て頷いた。

ブリッジに三人で行く途中、ロックオンとティエリアとも合流した。
マイスターたち全員がブリッジに入る。

ロックオンが足を着いて「状況は?」と問うた。


「今のところ、変化はないわ」

「トリニティも沈黙してる」


スメラギとアレルヤがそれに答えた。
トリニティの沈黙。
その一言にが表情を曇らせる。


「・・・ヨハン・・・」


ぽつりとが呟いた。
自分を求めていたのに、拒んでしまった。
そう思うの呟きを耳にしたアレルヤが彼女を見やった。


・・・・・・


彼女を見下ろすアレルヤの頭の中で、ハレルヤの声が響く。


((やっぱり気に入らねぇな。あの色黒野郎))

・・・そうだね


そんな中、ティエリアが一歩前へ進み出た。


「命令違反を犯した罰を・・・」


規律に厳しい彼らしい一言だった。
ティエリアの一言には思わず顔を上げてスメラギを見た。

スメラギはティエリアの方を見ずに口元に笑みを浮かべた。


「そんなのいつしたっけ?」

「しかし・・・!」

「そういう事だ」


言い淀むティエリアの肩に手を置いて、ロックオンが言う。
微笑んで言うロックオンにつられるように、ティエリアも口元に笑みを浮かべた。

微笑んだティエリアを見た事がある刹那と、ロックオンは少しだけ笑った。
そんな彼らを見たアレルヤが、視線を少し彷徨わせた後、気まずげに口を開いた。


「・・・何かあった?」

「さあな」


ロックオンはそう言い肩を竦めてみせるだけだった。
刹那も無言を貫いていたので、アレルヤは困ったようにティエリアを見た。
が、ティエリアは一つ咳払いをして、「別に」と言って視線を逸らすだけだった。
アレルヤはを見下ろした。


「・・・なんていうか、色々・・・?」

「・・・後でちゃんと聞くからね」

「なんで私?」


えっ、と思いが思わず瞳を丸くした。
そんな彼女をじっと見ていた刹那が、目元を柔らかくした。


「元気になったようだな」

「・・・うん」


刹那にはそう言ってはにかんだ。
それにまたアレルヤは何か言いたげにしたが、彼が口を開くことはなかった。

そこで、クリスティナが声を上げた。


「スメラギさん!トリニティが動き出したようです!」


クリスティナの言葉に、全員が表情を強張らせた。
ロックオンが「何だって!?」と言い瞳を厳しくする。

対照的に、落ち着いた様子でスメラギがフェルトに声をかけた。


「フェルト、彼らの攻撃目標は?」

「進攻ルート上にある軍事基地は、人革連、広州軍管区・・・」


フェルトの言葉を聞きつつ、は端末を取り出す。
ヨハンから渡されたそれには、常に連絡が入っていたのに今回はそれが無かった。
瞳を細め、はそれを強く握り締めた。


「トリニティの奴ら・・・また無意味な殺戮を繰り返すつもりか・・・!」


今までの事から見て、今回もそうするに違いない。
そう思いロックオンがそう口にする。


「・・・ヨハン・・・貴方の出した答えはそれなの・・・?」

「・・・、」


が呟くと、隣に立つアレルヤが彼女を気遣わしげに見る。
顔を上げた彼女はきゅ、と唇を真一文字に結んだ。


「でも、きっと彼は分かってくれた。人と触れ合う事の暖かさを知った彼なら・・・」

「人と、触れ合う・・・?」


の言葉に反応したのはクリスティナだった。
続いてリヒテンダールが「どういう事ッスか!?」とどこか慌てた様子で言う。

全員の視線が集まった事では「へっ?」と短く声を上げて辺りを見渡した。


「・・・な、なんで私を見るの?」

「そんなドッキリ言うからッスよ!」

「そうよ!で、何よ、ヨハンって人と何したのよ!?」


どうなの!?とクリスティナが凄む。
思わず背を反らせたにリヒテンダールも「どうなんッスか!?」と追撃をかけてくる。


「べ、別に何も・・・?買い物とか一緒にしたくらい・・・」

「買い物ぉ!?」

「それってデートじゃないの!!」



デート・・・?
と、思わずアレルヤも呟く。
細められた銀の瞳に気付く事は無く、は小首を傾げた。


「あれは息抜きで行っただけだよ」

「息抜きでどうしてデートなのよ!」

「だから!デートじゃないってば!」


何言ってるの!
両手で拳を握って振る彼女に、アレルヤは瞳を細めた。
緩やかに細められたそれに、ロックオンが気付いて「良かったな」と言い笑った。


から見て、そういう対象じゃないみたいだぜ」

「そうですね・・・」

((中々油断はできねぇけどな))

「・・・だね」


肩を竦めて見せた後に、アレルヤはの肩に腕を回した。
肩に乗せられた彼の手に、は瞳を丸くする。


「アレルヤ?」

「兎に角、僕たちは袂を分かったんだ。僕たちはこれからを考えるべきなんじゃないかな」


ね、と言ってくるアレルヤには思わず頷いた。
そんな二人の様子にスメラギやロックオン、クリスティナ、リヒテンダールも、笑みを零した。


「ヤキモチッスか」

「いいなぁ」


リヒテンダールとクリスティナが其々に呟く。
フェルトも目元を和らげ、穏やかな表情をしていた。

アレルヤとを、刹那たちもじっと見詰めていた。
無人島での一件ではまるでアレルヤがを想っていないような事を彼女は言っていたが、今の二人の様子を見ているとそれも嘘に思えてくる。
刹那は深紅色の瞳を細めてをじっと見た。

―その時、


!!


が空色の瞳を大きく見開いて体を硬くした。
唐突な彼女の変化にアレルヤがすぐに気付き、「?」と声をかける。

一変した彼女の様子に全員が注目をする中、は震える両手で頭を押さえた。


「な、何・・・? この頭痛・・・!」

((お前の相手は、この私だ!!))

・・・!!


頭にソーマの声が響いた。

物凄く痛い、頭が、痛い!

ふらついたをアレルヤが支える。
はそのまま、両手で顔を覆った。


「・・・こ、れは・・・、」


閉じた瞼の裏に、何かが映る。

この映像は何?

これは、スローネツヴァイ、と、どこかの、基地?

は思わず、片手を空へ伸ばした。


((機体が私の反応速度についてくる・・・!これが、ガンダムの力!))

「・・・赤い、GN粒子・・・?」


ガンダムスローネのものじゃない?
そう思いながらは腕を動かす。

映る映像は、スローネツヴァイのGNファングを避ける真っ白な機体。
搭乗者は、ソーマ。

ガンダムと同じ、GNドライブ搭載型のあの機体は・・・?

そう思った時、は肩を跳ねさせた。


・・・うっ!

!!」


荒々しい動きでアレルヤが両肩を掴んだ時、彼女の両手が真下に下りた。
閉じられていた瞳が怖々と開かれた。

その瞳がアレルヤを捉える。


「・・・トリニティが・・・」

「え?」

「太陽炉・・・GNドライブが・・・!」


途切れ途切れにも言葉を伝えようとするにアレルヤが顔を近づける。
その時、フェルトが「スメラギさん!」と声をあげた。


「トリニティ、戦闘空域から離脱したもようです!」

「まさか、撤退?」

「何があった?」


の肩を抱いたままアレルヤが言う。
それにロックオンが続いた。

スメラギが小さく息を吐いてから、口を開いた。


「人革連側が、太陽炉搭載型モビルスーツを投入したのよ」

「太陽炉・・・」


刹那がぽつりと呟く。
の肩を抱いているアレルヤも「そんな、」と声を漏らす。


「やはり、ヴェーダから情報が・・・」

「これからは、ガンダム同士の戦いになるわ」


ガンダム、と刹那が呟いた。


「クリス、ヴェーダを経由してトリニティを退けた部隊の映像を出して」


スメラギがクリスティナに指示を出す。
その際に少し目を細めて、言葉を付け足す。


「できれば、こちら側のデータは・・・、」

「ブロックしてます。・・・フェルト、」


操作を終えたらしいクリスティナがフェルトの名を呼ぶ。
それにフェルトは頷き、口を開く。


「ダウンロード終了。映像、出ます」


ピッ。という電子音と共に眼前のモニターに映像が映し出された。
真っ白なフォルム。
X型に割れた顔のメインモニター部分。
そして、武装は長い槍、そしてビームサーベル。
頭部にはバルカンもついてるようだった。

赤いGN粒子を放つその機体は、


「やはり、擬似太陽炉搭載型・・・」


スメラギがそう言った。
ヴェーダのデータが何者かに掌握されようとしている。
それも、悪い方向で。

今回の人革連やAEU、ユニオンに手渡った擬似太陽炉搭載型の機体が理由のひとつだ。


戦いが広がっていく・・・


そう思う刹那の真横を、が通り過ぎようとした。
彼女を止めたものはアレルヤだった。
!」と名を呼び彼女の腕を掴む。

片手に端末を握り締めているは、空色の瞳を揺らし、アレルヤを振り返った。


「・・・ヨハンに話を聞いてみる!」

「だが、僕らと彼らは仲間でもなんでもないんだ!」

「私だってあいつらのやり方は嫌い!ネーナ・トリニティなんて許せない!でも!!」


でも・・・!
そう言いは唇を噛んだ。

俯いたに、アレルヤは小さく息を吐いた。


「・・・ヨハン・トリニティが心配?」


顔を上げて瞳を丸くしたに、アレルヤは小さく苦笑した。
「君は優しいから」と言い、の肩に手を置く。


「・・・でも、私たちにはやる事がある事も、分かってるの・・・」


ただ、心配で。
そう呟いたの頬を、そっとアレルヤが撫でた。


「今、お前は自分の心配だけしてろ」

「・・・え?」


急に変わった声色には瞳を丸くした。
いつの間にか変化した彼の瞳に、は肩を跳ねさせた。


「ハッ・・・!」

「俺のせいだっつー事も分かってる」


けどな、とハレルヤは続けた。


「ぐだりすぎて、戦闘中不注意で変に怪我するんじゃねぇぞ」


悩みすぎなんだよ、ばーか。
そう言ってハレルヤはの頭をぐしゃぐしゃと撫で回した。




GN−X登場!個人的好きな量産機です。