うわああああ!


鍔迫り合いをしていたキュリオスとソーマのGN−X。
だが、頭痛で苦しむアレルヤは、別のGN−Xを迎撃する事は出来なかった。
背後からビームライフルを撃たれ、キュリオスがバランスを崩す。

そこに、ソーマのGN−Xがビームサーベルを振りかざす。


((落ちろ!ガンダムッ!))


アレルヤは、「く、」と苦しげに声を漏らし、レバーを強く握った。
キュリオスのGNドライブが輝きを増した。
一気に加速したキュリオスが、ソーマの攻撃をかわした。

驚いた様子のソーマは同様の色を露にしていた。


「トランザム・・・!」


赤く輝くキュリオス。
トランザムシステムを起動させたので、通常の3倍もの威力を発揮する事が出来る。
スピードも増すので、攻撃を難なくかわす事が出来た。


「ず、頭痛が!」


そこで気付いた。
頭痛が消えている。
アレルヤが銀の瞳を丸くしていると、頭に声が響いた。


((脳量子波は俺が遮断してやったぜ))

「ハレルヤ・・・!うん!」

((ぶっ殺せよ!アレルヤぁっ!))


アレルヤの頭痛はハレルヤが遮断してくれたようだった。
頭痛も無くなり、いつもの調子を取り戻したアレルヤは、そのままGN−Xへ攻撃を繰り出した。



敵の攻撃をGNフィールドで防いでいたが、ティエリアは限界を感じていた。
悔しげに「トランザム・・・!」と言うとヴァーチェの体が赤色に輝く。

GNバズーカ、バーストモードで宇宙を彷徨う岩石ごとGN−Xを破壊する。


「粒子残量が・・・ぐっ!」


GNバズーカはエネルギーを大幅に使う。
ヴァーチェの粒子残量も無くなってきていた。

再度別部隊からの攻撃を受けるヴァーチェを救ったのは、GNアーマーを装備したデュナメスだった。

2連装のビーム砲撃を放ちながら、それはヴァーチェの真横を通っていく。


ロックオン・ストラトス!?


何故彼が此処に、
思わずティエリアはそう声をあげた。

GN−Xの攻撃をGNフィールドで防ぎつつ、ロックオンは反撃をする。


『悪いが今は狙い撃てないんでね・・・圧倒させてもらうぜ!』

『コウゲキカイシ!コウゲキカイシ!』



放たれたGNミサイルにより、GN−Xが数機撃墜、破損状態になる。
撤退をするGN−Xを追う事はせず、ロックオンはビーム砲の砲身を折りたたみ、機体を動かす。


『このまま対艦攻撃に移行する』

「ロックオン!そんな体で・・・!」

『気遣い感謝するよ。だがな・・・今は戦う!』


ティエリアの言葉にロックオンはそう返し、機体を加速させた。

全ての会話を聞いていたは、空色の瞳を細めながら眼前の敵を撃破した。


「・・・アレルヤ、ティエリア、私がロックオンの援護に回るから」

『な・・・』

!?』



私はまだトランザムを使ってないから。
そう言ったは、ロックオンと通信を繋げた。


『アレルヤの援護に回らなくてもいいのかい?』

「アレルヤは、一人じゃないから」


アレルヤにはハレルヤも居る。
だから、

そう言い、はGN−Xたちの間を通り抜けてデュナメスの方へ飛んだ。


キュリオスもトランザムの限界時間が来ていた。
ソーマたちは撤退をしていった。


「キュリオス、ヴァーチェ、トランザム終了。粒子の再チャージまで、機体性能が低下」

「ロックオンとは?」

「敵モビルスーツ部隊を突破、対艦攻撃に突入しました・・・!」

急いで、刹那・・・!彼を助けて・・・!


スメラギはそう思いながら、瞳をそっと伏せた。










はGN−Xを迎撃しながら真っ直ぐにロックオンの後を追っていた。
トランザムはまだ使えない。
いざという時に、彼を助ける為に使わなければ。

そう思いながら艦隊を狙うロックオンを援護する。


『一気に本丸を狙い撃つ!』


ロックオンが一隻を沈める。
続いて別の艦隊を狙う。
三隻ある内の二隻をもう既に沈めた。

あと一隻。


『これで終わりだ!』

! ロックオン!


敵機体接近に気付いたが慌てて声をかけるが、遅かった。
横からビーム攻撃がGNアーマーのビーム砲の砲身を貫いた。
連続して起こるビーム攻撃は後はが防いだが、完璧に不意をつかれた。

残り一隻となった戦艦から砲射撃が繰り出され、GNアーマーが狙われる。
ロックオンはGNアーマーを放棄し、デュナメスで離脱をする。
GNアーマーは破壊され、デュナメスは難を逃れた。

安堵の息を吐きつっつ、は向かってきた機体へGNランチャーの照準を合わせる。


攻撃をしかけてきたのは、スローネツヴァイだった。


『あれはスローネ・・・!アリー・アル・サーシェスか!!』


スローネツヴァイは回避行動をし、デュナメスのGNスナイパーライフルを避ける。
思い通りに狙撃が出来ず、ロックオンは舌打ちをする。


『利き目のせいで!』

「ロックオン!無理しないで!」


岩石を回り、そのままのスピードで突っ込んできたスローネツヴァイ。
大型のGNバスターソードを振るったスローネツヴァイの前に、ミカエルで割り込む。
ビームサーベルで受け止めつつ、ロックオンの様子を伺う。


『またお嬢ちゃんか!』


この前の借り、返させて貰うぜ!
響いた男の声に、は奥歯を噛んだ。

押されるミカエルを援護したのは、デュナメスだった。
GNアーマーのせいでデュナメスは粒子残量が少ないはず。
デュナメスはビームサーベルを振るい、スローネツヴァイに斬りかかった。


『KPSAのサーシェスだな!?』

『ヘッ、クルジスのガキに聞いたか?』

『アイルランドで自爆テロを指示したのはお前か!!何故あんな事を!?』

『俺は傭兵だぜ?』



怒りを露にするロックオンがサーシェスと通信で会話をする。
『それにな!』と言うとサーシェスはツヴァイの大型バスターソードを振って距離を取った。
再度また、デュナメスに斬りかかる。


『AEUの軌道エレベーター建設に、中東が反発するのは当たり前じゃねぇかっ!』

『関係ない人間まで巻き込んで!』

『テメェだって同類じゃねぇか、紛争根絶を掲げるテロリストさんよォ!!』

『・・・咎は受けるさ・・・、お前を倒した後でなァ!!



そこでデュナメスの腰の部分からGNミサイルが発射される。
スローネツヴァイはそれを後ろに飛んで避ける。
GNミサイルは後ろにあった岩石に当たり、スローネツヴァイはそのまま飛んで逃げる。
逃がすか、とロックオンはスローネツヴァイを追う。

は直ぐにミカエルでデュナメスを追った。

逃げるスローネツヴァイに、デュナメスはGNスナイパーライフルを撃ち続ける。
駄目だ、完全に怒りに持っていかれている。
はそう思いながら、デュナメスの粒子残量に気を配った。
ミカエルでもGNビームライフルを構え、スローネツヴァイを狙うが、よくても掠るだけだった。


『絶対に許さねぇ!』


GNスナイパーライフルを持っていない方の手でビームサーベルを振るう。
射撃をしつつも正確に斬りかかるロックオンの攻撃を、スローネツヴァイは受け止める。



『テメェは・・・戦いを生み出す権化だ!』

『喚いてろ!同じ穴の狢がァ!!』

『テメェと一緒にすんじゃねェ!!』



GNスナイパーライフルを捨て、その手でビームサーベルを抜いて素早く振るう。
咄嗟にスローネツヴァイは避けたが、右手を斬り落とした。


『俺はこの世界を・・・!!』

『『テッキセッキン!テッキセッキン!』』



ロックオンがそこまで言いかけ、スローネツヴァイに追い討ちをかけようとした時、ハロたちの声が響いた。
それはも同じで、デュナメスに続こうとしていたミカエルを反転させた。

後方から、GN−Xが一機物凄い速さで突っ込んできていた。


『邪魔すんじゃねェ!』


脚部にあるGNミサイルを放ち、GN−Xを攻撃する。
GN−Xは両腕を前に出し、防御の体制をとったが、ミサイルにより腕が吹き飛ぶ。
機体も損傷をしているのに、GN−Xの勢いは止まらなかった。

まずい!

直感的にはそう思い、ミカエルを動かした。
デュナメスの射撃を避けたGN−Xが特攻をしてくる。
それはデュナメスの右側に、運悪くも。

直ぐにロックオンの援護に回っていたがデュナメスの右側から前に出て、GNビームライフルを放つ。


! しまった、!!

「くっ・・・!!」


GNランチャーを撃つ時間も、ビームサーベルを構える時間も無い。
咄嗟にはミカエルでデュナメスを押しやった。
ロックオンの焦りの声が響いた直後、GN−Xがミカエルに突撃した。
右の部分に思い切りぶつけられ、ミカエルの右腕が衝撃で吹き飛んだ。

機体も損傷し、コクピットを衝撃が襲う。


あああああああああっ!!

!!


GN−Xはそのまま大破した。
物凄い衝撃が機体を襲った。
コクピットの壁に体を打ちながらも、はなんとか意識を保つ。

その時、


『右側が見えてねぇじゃねぇか!』


スローネツヴァイからファングが放たれた。
GNビームピストルで迫るファングを数基を撃破するが、ロックオンは苦々しげに眉を潜めた。
オレンジハロが焦った様に『ロックオン!ロックオン!』と声を上げる。
アラームと同時にファングが迫ってくる事は分かっていたが、


『・・・見えねぇ!!』


デュナメスの頭部にファングが突き刺さった。
ロックオンの死角から放たれるファングが、更に両足にも突き刺さった。

そのまま、ファングは爆発した。


ぐわああああああ!!!

「・・・ろ、ロックオン!!」


物凄い爆発の後、煙が舞う。
デュナメスはそのまま脚部を失い、爆風に飲まれた。


『ソンショウジンダイ!ソンショウジンダイ!ソンショウジンダイ!』

「ロックオン・・・!」

『セントウフノウ!セントウフノウ!セントウフノウ!』


きっとロックオンも負傷しているだろう。
オレンジハロの言葉を聞きながらもはそう考えた。

先ずは負傷しているロックオンとデュナメスの安全確保。
は強くそう思い、痛む体を叱咤してレバーを握った。


『仕留め損なったか・・・しぶてぇ野郎だな』


そう思うだろ、お嬢ちゃん。
サーシェスはそう言い、と対峙した。

片腕だけでビームサーベルを構え、は奥歯を強く噛んだ。


「・・・しぶとい方が、私は嬉しい」

『強気だな・・・鳴かせがいがあるぜ!』


スローネツヴァイがGNバスターソードを振るった。
此処は一気に勝負をつけるしかない、と思いは声を張った。


トランザム!!


ミカエルの機体が赤く輝き、スローネツヴァイの攻撃を避ける。
そのままスピードを活かし、ビームサーベルで斬りかかる。


『チッ・・・!またそのシステムか・・・!いいもん持ってるじゃねぇか!』

「うるさい!お前は・・・このまま私が倒してやる!」


GNバスターソードとGNビームサーベルが数度ぶつかり合う。
スローネツヴァイは大きくそれを振って距離を取った。
そのままファングを放ってきたので、も応戦をする。

GNランチャーを構え、照準を合わせる前に撃った。

途中でイエローハロも修正に入ってくれた様で、ファングは破壊出来た。
が、一体幾つあるのか。
爆発させる事も出来る様なので、破壊しておくに限る。
はそう思いながらそのままGNランチャーでスローネツヴァイを狙う。


『へぇ、あの機体のを貰ったって訳か』

「これは私がヨハンの想いと共に戦う証!彼の弟の機体、破壊させて貰う!!」


ぬかせ!
そう言い、サーシェスはGNハンドガンを放ってきた。
ミカエルで其れを避ける
彼女の手は、小刻みに震えていた。


・・・な、に・・・視界がぼやける・・・


こんな時に、
そう思いながらは接近してきたスローネツヴァイのGNバスターソードを受け止める。
一度弾いた後、MA型に変形し、背後にあった岩石を蹴った。

グリフォン2GNビームブレイドを展開するミカエルを、スローネツヴァイは迎え撃とうとする。

粒子残量も少ない。
トランザムにも限界時間があり、使用後は機体の性能が落ちる。
だから、


はああああああっ!!


ミカエルをそのまま突撃させ、スローネツヴァイのバランスを崩した。
グリフォン2GNビームブレイドは使わずに、体当たりをしたそれにサーシェスが不意をつかれる。
はそのまま至近距離でGNランチャーを放つ。


これでぇ!!

チィ!ファング!!


物凄い爆発が響いた。
片腕、そして片足、胴体部分の付近でファングが爆発した。
物凄い衝撃が機体全体を襲い、コクピットの上部が軽く爆発もした。

スローネツヴァイは、どうなった、

それも確認できずに、はそのまま意識を失った。










荒い呼吸を繰り返しながら、ロックオンは照準機をコクピットから外した。
そのままハッチを開き、ゆっくりと外へ出る。
その際に、ハッチの上部の台座に移動したオレンジハロに声をかける。


「ハロ、デュナメスをトレミーに戻せ・・・」


そんな彼を視線で追いながら、オレンジハロは瞳の部分を点滅させながら彼の名を呼ぶ。


『ロックオン、ロックオン』

「命令だ・・・」

『ロックオン!ロックオン!』


自分の名を呼び続けるオレンジハロを、バックパックの噴射機を展開しながら、ロックオンは振り返った。
ロックオンが振り返ると、オレンジハロはぴたりと動くのを止めた。

じ、とロックオンを見詰めるオレンジハロ。

ロックオンは少しだけ微笑むと、そっと片手を伸ばした。


「心配すんな、生きて帰るさ」


そう言いオレンジハロを優しく撫でた。
数回そうした後、ゆっくりと手が離れる。


『ロックオン!ロックオン!』


ロックオンはそのまま噴射機を使い、宇宙へ出て行った。


『ロックオン!ロックオン!』


自分を呼び続けるオレンジハロ。
ソレスタルビーイングに入ってから、ずっと自分の隣に居て、戦場でもサポートをしてくれた相棒。


『ロックオン!ロックオン!』


デュナメスにある台座にいるオレンジハロを見詰めたまま、ロックオンは口を開いた。


「太陽炉を、頼むぜ。・・・あばよ、相棒」


そう言い、デュナメスに背を向けた。
顔を上げたロックオンの目の前にあったものは、GNアームズのビームキャノン。
それに照準機を接続させ、ロックオンは構えた。

先ほどの攻撃でやられたのか、身体中が痛い。
下手をしたら肋骨が折れているかもしれない。

しかし、ロックオンは真っ直ぐに照準機を構えた。

荒い呼吸を繰り返しながら捕らえたそれは、擬似太陽炉の光を放つスローネツヴァイ。
は一体どうなっただろうか。
損傷しているスローネツヴァイを見る限り、戦闘はしたのだろうが。

無事でいてくれると良い。

そう思いながらスローネツヴァイに照準を合わせる。


「・・・何やってんだろうな、俺は・・・」


復讐に駆られて、憎しみに任せて戦って、今この様だった。

きっと自分を心配してくれたマイスターたちやトレミーのクルーは悲しむかもしれない。
下手をしたら、自分と一緒に居たや、変わっていっているティエリアは、傷付くかもしれない。


「・・・けどな・・・こいつをやらなきゃ・・・仇を取らなきゃ・・・」


はぁ、と大きく息を吐く。

手が震える。

傷が痛む。


「俺は前に進めねぇ・・・世界とも向き合えねぇ・・・!」


刹那も、ティエリアも、アレルヤも、も、
みんな其々意思を持って戦っている。
きちんと彼らは、世界と向き合い、前に進もうとしているのに。


「だからさぁ、」


スローネツヴァイが反応を見つけたのか、真っ直ぐに此方へ向かってくる。

ぴたり、と照準が合った瞬間、


狙い撃つぜえええぇぇぇ!!!!!


GNビームキャノンから、真っ直ぐビームが発射された。
それは相手のビーム攻撃をも飲み込み、スローネツヴァイに命中した。
下半身を攻撃されながらも、スローネツヴァイがGNハンドガンを放った。

それは真っ直ぐにGNビームキャノンの砲身を貫き、爆発させた。

同時にスローネツヴァイ、GNビームキャノンが大爆発を起こした。

爆風に飛ばされ、ロックオンもGN粒子が舞う中、宇宙空間へ投げ出される。


「・・・父さん・・・母さん・・・エイミー・・・」


痛む体、霞む意識の中で彼が想ったものは、家族だった。

GN粒子が舞う。
それはいつしかの雪の日のクリスマスパーティの様子を思い出す。

たくさんのご馳走があって、父が笑っていて、母が追加の料理を持ってきて、
弟の隣で、妹のエイミーが嬉しそうに笑い合っていた。


「・・・分かってるさ・・・こんな事をしても、変えられないかもしれないって・・・」


次に思い出した事は、公園で起こったテロ事件の直後。
自分は離れていたから大丈夫だったが、公園に居た家族は、

父さんと母さんとエイミーは、

そこまで思い、ロックオンは苦しげに息を吐いた。


「元には戻らないって・・・」


今は綺麗になった慰霊碑のある場所。
綺麗になっても、決して元通りになるものなんて、ない。


「それでも、これからは、明日は・・・・・・ライルの生きる未来を・・・、」


そこで一筋の光が視界の端に入る。
ロックオンは視線だけを其方に向け、それが何かを理解すると、力なく微笑んだ。

真っ直ぐに、エクシアが此方に向かってきている。


「・・・刹那、答えは・・・出たのかよ・・・」


エクシアは、ロックオンに気付いたのか加速をして近付いてくる。
ロックオンはそんなエクシアの様子に気付き、微笑んだ。

自分の為に真っ直ぐ向かってきてくれている。
自分を助ける為に。

やっぱり俺は、心配かけてばっかだった。

そう思いながらロックオンは遠くにある地球を見詰めた。


「よう・・・お前ら、満足か・・・?こんな世界で・・・」


スパークを起こし、限界がきていたGNアームズのビームキャノンが各部爆発を起こす。
更にエクシアが急ぐが、ロックオンはそのまま左手を伸ばした。

真っ直ぐに地球へ伸ばされたそれは、人差し指と親指を伸ばし、銃の形となった。

そのままロックオンは瞳を細め、


「俺は・・・嫌だね・・・、」


最期にそう呟いた。



ドォン!



と、大きな爆発を目の前で見ていた。
見ている事しか出来なかった。
トランザムを終えた後のエクシアの機動性では、間に合わなかった、

間に合わなかった、

目の前で大切な仲間を亡くし、エクシアのコクピットの中で刹那は悲しみのままに彼の名を叫んだ。


ロックオーーーーーーーーーン!!!!!!










一方プトレマイオスでは、各機体の無事を確認していた、


「キュリオス、ヴァーチェ、共に健在!」


パネルを操作して言うクリスティナに、スメラギは頷く。
そこで、モニターに暗号通信が表示され、再度其方を見たクリスティナが読み上げる。


「ミカエルも、無事みたいです!!」

「・・・!デュナメスも確認!トレミーへの帰還ルートに入りました・・・!」


フェルトも安堵の表情を浮かべて声を上げる。
マイスターも各ガンダムも全機無事なようだった。
ブリッジに居た全員が安堵の息を吐いた。


「全員無事ッスね!」

「うん!良かった!」


リヒテンダールとクリスティナがそう歓喜の声を上げる。
その時、通信が入った。


『ロックオン!ロックオン!』


突然のデュナメスからの通信に、ブリッジのクルーそして通信が繋がっているアレルヤとティエリアも瞳を丸くする。
そのまま、オレンジハロのロックオン、という声が響き続ける。
異常を感じたフェルトが、不安げな表情で口を開く。


「どうしたの、ハロ!?」

『ロックオン!ロックオン!』


フェルトの問いかけにも答えずに、オレンジハロはロックオンを呼び続ける。
全員の表情が不安な色に染まっていく。


『ロックオン!ロックオン!』


そこで、スメラギが「まさか・・・!」と呟いて表情をサッと青くした。
ただロックオンを呼び続けるオレンジハロ。
その声は、プトレマイオスの艦内全てと、キュリオス、ヴァーチェ、エクシア、ミカエルにも響いた。


『ロックオン!ロックオン!』


廊下で思わず、イアンとドクターモレノが立ち尽くす。


『ロックオン!ロックオン!』


キュリオスの中で、アレルヤが驚愕に開かれた瞳を震わせる。


「・・・そんな・・・」


『ロックオン!ロックオン!』


ヴァーチェの中では、ティエリアが肩を震わせ、唇を噛み締めた。
堪えきれずに、顔を上に上げ、声を震わせた。


「・・・嘘だっ・・・!」


『ロックオン!ロックオン!』


リヒテンダールは無言のまま唇を噛み締め、クリスティナはただ唖然と、瞳を震わせていた。


『ロックオン!ロックオン!』


肩を震わせ、嗚咽を漏らすフェルト。
メットの中を、大粒の涙が舞った。


『ロックオン!ロックオン!』


スメラギも唇を噛み締め、やりきれない想いをどうする事も出来ずに、力なく首を振る事しか出来なかった。


『ロックオン!ロックオン!』


イエローハロの操作により、プトレマイオスへの帰還ルートに入っているミカエルのコクピットでは、がうっすらと瞳を開けた。
そのまま空色の瞳を揺らし、きつく、瞼を閉じた。


『ロックオン!ロックオン!』


最期にロックオンが使っていた照準機をエクシアの手に乗せ、コクピットの中で刹那は肩を震わせていた。


「ロックオン・・・ストラトス・・・!」


刹那の脳裏に、微笑んでいた、時には呆れ、叱りもし、怒ってもいたロックオンが巡る。
目の前で、彼は居なくなった。

その事実に、刹那は深い悲しみを覚え、慟哭した。


「うう・・・うわああああああぁぁぁぁぁぁっ!!!!!!




テレビ前でこっちが倒れたくなったシーン。