「そうッスか、刹那たちは戦う方を選んだんッスか」


ブリッジで、ラッセから話を聞いたリヒテンダールが笑顔でそう言った。
伝えた本人は「覚悟を決めておけよ」といい不敵に笑う。
そんな彼にリヒテンダールは肩を竦めてみせた。


「おっかねぇの」

「でも、やるしかないのよね」


クリスティナはそう言った。
彼女の口の端は、少しあがっている。
そのまま視線を動かしたクリスティナは、フェルトの姿を目に留める。


「何してんのフェルト?」


何かをしているフェルトの手元を覗き込むように移動する。
「手紙を、」と答えるフェルトに「手紙?」とクリスティナが返す。


「うん。天国にいるパパとママ、それから、ロックオンに」

「フェルトの両親は・・・?」


クリスティナがそう呟く。
その後にリヒテンダールが複雑そうな表情で口を開く。


「縁起悪いな、遺書なんて」

「違うの!」


が、フェルトは声を張ってリヒテンダールを否定した。
彼女の若草色の瞳には、強い決意が見て取れた。


「私は、生き残るから。当分、会えないから・・・ごめんなさいって」


フェルトの言葉にクリスティナは優しく微笑み、そっかと言った。
ラッセも笑みを浮かべ、「その意気だ」と言う。


「ロックオンと、約束したから」


生き残ると。
フェルトはそう言って柔らかく微笑んだ。


「守れよ、その約束」


ラッセの言葉の後に、クリスティナが「あーあ」と言って両手を伸ばす。
「私も出そうかな手紙」と言う彼女の言葉に、真っ先にリヒテンダールが反応した。


「誰にです?」

「コロニーにいるママよ」


育ての親だけどね。
そう言いながらクリスティナは言葉を続けた。


「良い思い出なんて何も無いわ。逃げるように家を出て、ヴェーダに選ばれて・・・」

「居るだけ良いさ」

「ホントホント」


ラッセとリヒテンダールがそう言う。
そんな彼らを見て、クリスティナは「そう言うリヒティは?」と返す。


「両親は軌道エレベーターの技術者だったんですよね。 ガキのころの太陽光発電紛争で、あっさりっスよ」


「みんな色々あるんだ」とフェルトが呟く。
そんなフェルトに笑みを向け、リヒテンダールは口を開く。


「色々あるからみんな、ソレスタルビーイングに参加したんッスよ」

「そういや、こんな風にお互いの事話すの、初めてだな」

「それは守秘義務があったから・・・」


・・・でも今さらよね。
そう言うクリスティナにリヒテンダールも「そうッスね」と返す。

柔らかい雰囲気に包まれたブリッジで、フェルトは「ふふ、」と笑みを零した。










ミカエルの整備をしていると、名前を呼ばれた。
振り返ると、ナドレの整備をしていたらしいティエリアがこちらに飛んできていた。

ティエリアは真紅の瞳を真っ直ぐにに向ける。


「体は大丈夫なのか」

「・・・うん、痛み止めがあるからね」


メットを被っていないの髪留めの蝶々が、きらりと光る。
それをちらりと見つつ、ティエリアは「そうか」と返す。


「無茶はするな」

「・・・ちょっとくらいは、許してね?」


困ったように笑うに、ティエリアは瞳を細めた。
心配されている事は分かっていた。
はティエリアの肩を軽く叩いてミカエルを軽く蹴って飛ぶ。

コクピットも整備されたミカエルは外見は完璧だった。
整備をしたが、どうしても脚部のバランスを整える事は難しかった。
これはもう実戦で慣れるしかない。

離れるを、ティエリアが呼ぶ。


「・・・頼む、生き残ってくれ」

「・・・りょーかい」


にこり、と微笑んで言ったはそのまま格納庫を後にした。

休憩室に入ると、アレルヤが居た。
の姿を目に留めると、彼は目元を和らげた。


、ミカエルはどうだった?」

「脚部が微妙かな。でも、なんとか平気そうだった」


そっか、とアレルヤは言っての隣に立った。
彼を見上げると、視線が合う。


「決して無茶だけはしないで・・・」


アレルヤ?と、彼を見上げる。
彼は不安げに銀色の瞳を細めての肩に腕を回した。
とん、とアレルヤの胸元に頭を預ける。


「なんだか不安なんだ」

「不安?」

「君が、どこかに行ってしまいそうで・・・」


隣から、いなくなってしまいそうで、
アレルヤはそう言った。
は彼を安心させるように微笑むと、肩を掴む彼の手に自分の手を重ねた。


「・・・大丈夫、私は死なない」

「・・・、」

「生き残る」


は空色の瞳を真っ直ぐにアレルヤに向けた。
そのまま両手を伸ばし、アレルヤの前髪をそのまま後ろへ流す。
金と銀の瞳が、真っ直ぐにを見詰めた。


「私も生き残るから、アレルヤとハレルヤも生き残って」

「・・・、」


約束、ね。
そう言っては微笑んだ。

そんなの肩に回された手に力が込められた。
そのまま強く引かれ、顎をすくわれる。

―そのまま、


「・・・んっ」


キスをされた。
瞳を瞬かせていた
至近距離で、ゆっくりと閉じられた銀と金の瞳。
彼らに従うように、もゆっくりと空色の瞳を伏せた。
頭に添えていた手を、そのまま彼の首に回す。

彼の口付けを、正面から受け止めた。

ゆっくりと唇が離される。
間近にあるそれが、動く。


「死ぬ事は許さねぇ」

「・・・ハレルヤ、」


許さねぇ。
再度そう言い、ハレルヤはの体を強く抱き締めた。


「・・・ハレルヤ、私、分かってるから・・・」


自分がマリーの代わりという事も。
それでも、アレルヤも、ハレルヤも、大好きな気持ちは誤魔化せない。

は微笑んで見せた。


「ハレルヤも、アレルヤも、私が守るから・・・」


貴方たちを支えたい。

はそう言い彼を抱きしめた。


その後にティエリアが来た。
ナドレの整備は終わったらしい。
「ナドレの整備は?」とアレルヤが問う。


「終了した」

「しかし、トライアルシステムも無く、粒子貯蔵量の少ないナドレでは・・・」


不安げに言うアレルヤの言葉を遮り、ティエリアは「それでもやるさ」と言った。


「私は、ロックオンの仇を討たなければならない」


緋色の瞳を鋭くさせるティエリアを見ながら、アレルヤは銀の瞳を細めた。


「あまり熱くならない方が良い」

「そうはいかない・・・!」


アレルヤの言葉にそう返しながら、ティエリアは緋色の瞳を更に鋭くさせた。
自分を守ってくれ、人間にしてくれたロックオン。
そんなロックオンを消した敵軍。
どうしてもティエリアの心は落ち着かず、不安と怒りでいっぱいだった。

は小さく息を吐いて、空色の瞳を細めた。









格納庫に納められているデュナメスの前に、刹那は立っていた。
小脇には、オレンジハロを抱えていた。
そこにフェルトが無重力の中を移動してやってきた。
「刹那?」と彼を呼んだフェルト。
どうした、と刹那が返すと、フェルトは両手で大事そうに持っていたそれを見せた。


「手紙、書いたの・・・ロックオンに」


封筒にはロックオンの名が書かれている。
それを手に持ったまま、フェルトはデュナメスのコクピットへ体を入れる。
パイロットシートに手紙をつけた彼女は、少しの間瞳を閉じて彼へ祈りを捧げる。


「・・・刹那は、手紙を送りたい人は居る?」


唐突にそう問われた刹那は、少しだけ間をおいてから「居ないな」と返した。


「・・・そう、寂しいね」

「寂しいのはあいつだ」


ぽつりと刹那が呟くと、フェルトは短く「え」と声を上げる。
だから、と言い刹那はオレンジハロから手を放した。


「ハロ、傍に居てやってくれ。ロックオン・ストラトスの傍に」


オレンジハロはそのまま無重力の中をふわりと飛び、デュナメスのコクピットへ向かう。
『ロックオン、ロックオン、』と彼の名を呼びながら、いつもの台座へ身を置く。


「居てあげて、ハロ」

『リョウカイ!リョウカイ!』

「ありがとう」


フェルトはそう言い、柔らかく微笑んだ。
直後、警報が響いた。
クリスティナの声が、艦内に響く。


『Eセンサーに反応、敵部隊を捕捉しました!』

「行くぞ、フェルト」


直ぐに移動した刹那を追いながら、フェルトは強く頷いた。


『相対速度0235!戦闘可能宙域まで・・・!』


たちも、直ぐに移動を開始していた。
廊下の移動用レバーを使用しているアレルヤがの手を引きながら、彼女を見やる。


、お願いだから無茶は・・・」

「はいはい!分かってます!」

「・・・・・・」


何か言いたげにアレルヤは銀の瞳を細め、の手を握る力を強めた。
反対側の壁のレバーを使用しているティエリアは、そんな二人を見て小さく息を吐いた。


スメラギもブリッジへ入り、「敵部隊の総数は?」と言いながら所定の位置に着く。


「じゅ、13機です!でもその中にすごく大きいものが居ます!」


クリスティナの焦りが含まれた声に、スメラギが瞳を細めた。
訝しげに「大きいもの?」と問う。
クリスティナはパネルを操作しながら「モニターに出します!」と言う。
モニターに映像が出た時に、丁度フェルトがブリッジに入ってきた。


「遅れました!」


あっ、と短く声をあげ、フェルトはモニターに映る金色の巨大なそれを見詰めた。
眉を潜め、リヒテンダールが「戦闘艦ですか?」と言うがスメラギは首を振った。


「違うわ・・・あれは、擬似太陽炉を搭載したモビルアーマー!」

「か、確認出来る限りでは7基の擬似太陽炉を搭載しています!」


クリスティナがそう声を上げるとリヒテンダールが「ええ!?」と驚きの声をあげる。
スメラギは瞳を細めながら、敵の動きを見る。


「! 粒子ビームが来ます!」

「あの距離から!?」


スメラギが驚きの声を上げた直後、金色の巨大MAから粒子ビームが放たれた。
リヒテンダールが「この!」と言い回避行動をとる。
が、避けきれずにプトレマイオスの左舷後方に命中する。


「第1粒子出力部に被弾!」

「粒子供給をすべて第2出力部に回して!」


スメラギがフェルトに指示を飛ばす。
直ぐに「了解!」と返してフェルトがパネルを操作する。


「第2波来ます!」

「リヒティ!」

「やりますよ!」


スメラギが指示を出す前にリヒテンダールがまた回避行動をとる。
左側へ動き、回避行動をとったが、今度は右舷のコンテナに掠めた。

ブリッジにまで衝撃が伝わり、艦全体が揺れる。


うわあああぁっ!

きゃああああ!


ブリッジ内に悲鳴が響く。
スメラギは歯を食いしばって耐え、顔を上げる。


「強襲用コンテナ出撃!」


目標、敵モビルアーマー!
そうスメラギが声を張って言うと、艦の上部からエクシアを搭載した、強襲用コンテナが出撃した。


「リヒティ、トレミーを近くの衛星の影に」


「了解ッス!」と言いリヒテンダールがすぐにプトレマイオスを移動させる。


「キュリオス、ミカエル、ナドレはコンテナから直接出撃、トレミーの防御を!」

『『『了解!!』』』


アレルヤ、、ティエリアが返事をした後、すぐにガンダムを出撃させた。

このまま行けば強襲用コンテナとエクシアはあの巨大な金のMA。
キュリオス、ヴァーチェ、ミカエルは其々にトレミーを防衛しつつGN−X部隊を撃破していかなければならないだろう。


・・・! この、感じ!」


出撃をした瞬間、はある感覚を覚えた。
覚えがある感覚、これは、


「・・・ソーマ、貴女が私に呼びかけているの・・・?」

((―――この感覚、か!))

「・・・彼は、絶対にやらせないから」


はそう強く言い、ミカエルを一番前に出した。
そこで、ソーマの気配が揺れた気がした。


((お前なのか・・・奴を守っているのは・・・!))


私の脳量子波を遮断した原因は!
ソーマはそう言った。
はそこで瞳を丸くする。

脳量子波の遮断?

頭痛によりアレルヤが苦しむ事はなくなるという事かな。

はそう思いながらある可能性を考えた。


「・・・そっか、ハレルヤかな」

((兎に角、お前を・・・私は・・・!!))


プトレマイオスの上方からソーマたちが乗っているであろうGN−Xが迫る。
正面からはそれを迎撃しようとしたが、

1機のGN−Xが、動きを止めた。

動きを止めたそれにソーマが気付き「どうした!?」と声をかける。
が、目に留まったそれに彼女は大きく金の瞳を見開いた。

キュリオスのGNシールドニードルによりアステロイドごとGN−Xが切り裂かれた。
通信と頭に響いた声は楽しげに笑うハレルヤのもの。
爆発したGN−Xの爆煙の中から現れたキュリオスに、ソーマのGN−Xがビームサーベルを抜く。


((この機体は・・・!))


キュリオスのGNシールドニードルをビームサーベルで防ぎながらソーマが「貴様か!」と叫ぶ。


『悪いなアレルヤ、俺はまだ・・・死にたくないんでねぇ!』


勢いのままにGNシールドニードルを薙いでGN−Xのビームサーベルを弾く。
そのまま再度攻撃を繰り出すが、ソーマがすぐさまビームライフルを手に持ち応戦をする。


((披験体E57!))

『はいなー』



軽い声色で返事をしたハレルヤがGNシールドニードルで動きを止めているソーマのGN−Xにビームサブマシンガンを向ける。
ソーマの息を飲む感覚が伝わってくる。
は自分にも迫ったGN−Xを撃破した後、そちらへ飛ぶ。

他のGN−Xがキュリオスに体当たりをしたからだ。

ハレルヤは楽しげにまた笑い声をあげ、GN−Xに向かう。
が、体勢を立て直したGN−X部隊がビームライフルを一斉に射撃してくる。
「ハレルヤ!」と声をあげ、はGNランチャーを放つ。

それを回避して隙が出来たGN−Xに、ビームサーベルで斬りかかる。


「こっ、のおおおおおおお!!!!」


構えられたビームライフルを開いている手で掴み、そのままビームサーベルを振るった。
勢いのままGN−Xを破壊したミカエルに、今度は別のGN−Xが斬りかかってくる。
咄嗟にビームサーベルで受け止める。


((!何故そんな奴を庇う!))

「・・・ソーマ!」

((その男がお前を縛っているというのに!))


何度も斬りかかってくるソーマを、なんとか受け止める。
後退してそれを避けるが、上手く機体のバランスが取れない。


「・・・くそっ、脚部のバランスが・・・!」

『オラオラァ!!』


微かな隙を狙ってきたGN−XをキュリオスがGNシールドニードルで吹き飛ばす。
「ハレルヤ!」とが彼の名を呼ぶと叱咤の声が飛んできた。


『ぼさっとしてんじゃねぇぞ!』

「・・・はい!」


ぐ、とレバーを強く握りなおした。

不思議な感覚だった。
ハレルヤと一緒に戦っているせいか、恐怖心が薄れていく。
やっぱり彼が好きなんだ、大切なんだと再確認をした。

モニター通信に映ったハレルヤが、軽く肩を上げた。


『ンな顔すんなっつの。行くぜ!』


口の端を上げたハレルヤに頷き、はミカエルを動かした。





強襲用コンテナが、真っ直ぐに金色の巨大MAに向かう。


「射程内に入った!攻撃を開始する!」


前にある金色の巨大MAに向け、GNミサイルを一斉に発射する。
真っ直ぐに金色の巨大MAに向かっていったが、それはGNフィールドによって防がれた。
それにラッセと刹那は思わず瞳を大きく見開いた。


「GNフィールド!?どうやってあんな出力を!?」


ならこいつでどうだ!
とラッセは高出力のビームも発射した。
が、それもGNフィールドに弾かれ、拡散した。

金色の巨大MAの前にある砲門が開く。

またビーム砲撃が来る!

刹那はそう思い、直感的に構えを取ったが、狙いは此方ではなかった。


「トレミーか!」


刹那が叫んだ瞬間、敵の攻撃が放たれた。



それは敵味方関係無く、真っ直ぐに伸びていく。



GN−Xを撃破したキュリオス。
突然の光と熱源を感じ、ハレルヤは「何だ」と声を上げる。
直後、物凄い衝撃がキュリオスを襲った。

巨大な衛星が爆風に押され、キュリオスの背からぶつかる。
衛星が砕けて、そのままキュリオスにビームの攻撃が見舞われる。

も眼前で戦っていたGN−Xが光線に飲み込まれるのを見ていた。
砕けた衛星にぶつかり、押しやられつつも、キュリオスを案じていた。


「っく・・・!ハレルヤ・・・ハレルヤ!!


はそう叫びながらも、ビームに焼かれるミカエルを後退させようとしていた。
が、間に合わずに脚部をもがれた。


きゃあああああああ!!


物凄い衝撃がコクピットにまで響く。
!』とハレルヤの声が聞こえた気がした。

けれど、元々損傷していた方の足だったので、はぐっと耐えて気にしないようにした。

そこで、『プトレマイオスが!』というティエリアの声が響く。
思わずプトレマイオスの方を見ると、思い切り艦体を抉られていた。
息を飲んだは、空色の瞳を見開いた。


『第3、第4コンテナ、大破!右側面の被害、甚大!』

『B20から68までのシャッターを降ろして!』

『スメラギさん!メディカルルームが!』



プトレマイオスのクルーの会話には肩を震わせた。
イアンの嘆く声が聞こえる。
メディカルルームが破壊され、ドクターモレノが亡くなったのだ。

出撃前に心配をしてくれた、彼が。

は唇を噛み締めると、強くレバーを握った。


『システムに障害発生!・・・GNフィールド展開不能!!』

『強襲用コンテナへ行くわ!迎撃しないと・・・イアンに連絡を!』



どうやらスメラギが移動をして強襲用のコンテナに行くようだった。


『よくも!トランザム!』


ティエリアはトランザムをしたようだった。
そのままGN−Xを撃墜しているようだ。

もこちらに向かってきたGN−Xにビームサーベルを抜いて応戦をする。

そこでティエリアの悲鳴が響く。


ぐわあああああ!

!? どうしたの、ティエリア!」


巨大MAからの砲撃にナドレの脚部が焼かれたようだった。
ティエリアが危ない!
助けに行かなければ、と思ったが眼前のGN−Xが邪魔をする。
は舌打ちをし、開いた手でビームライフルを構えた。


『まだだ・・・まだ、死ねるか!』


ナドレにGN−Xが迫る。
は眼前の敵をビームサーベルで薙いで吹き飛ばすとGNランチャーとビームライフルを撃つ。


「ハロ!手伝って!」

『リョウカイネ、リョウカイネ!』


ビームライフルをハロに任せ、GNランチャーの狙いを定める。


『計画の為にも・・・そして・・・! ロックオンの為にもおおぉぉ!!


同時に、ビームを放った。
ナドレとミカエルの放ったビームは迫っていたGN−X2機に命中した。
GN−Xは大きく爆発をし、撃墜に成功した。

が、ナドレの頭部に敵機の放ったビームが直撃をしていた。

バチリ、とスパークを起こすナドレは無重力に流れるままだった。


『下手こきやがって、おセンチ野郎が!』


キュリオスは半壊状態だったが、戦闘を続行させていた。
ハレルヤの声を聞いた瞬間、ミカエルの機体が大きく揺れた。

背後からGN−X部隊がビームライフルを放ってきている。
ナドレを援護していたミカエルの背に、容赦なくビームの雨が降り注ぐ。

衝撃を感じ、「きゃあっ!」と思わずが悲鳴を上げる。

ハレルヤが舌打ちをし、を助けに行こうとしたが、別のGN−Xに行く手を阻まれる。
そんなキュリオスとミカエルを、デュナメスの太陽炉を搭載した強襲用コンテナが援護をする。


『お願い!当たって!』


スメラギの声と共に、砲撃がされた。

ミカエルは手に持ったままだったビームライフルを振り返りざまに撃つ。
が、そのまま横から飛んできたGN−Xに体当たりをされて一緒に吹き飛ぶ。


う、ああああああああっ!!

((!!))


どうやらこのGN−Xはソーマらしかった。
ビームサーベルを振るうと、ソーマも応戦してくる。

―その時、

1機のGN−Xがプトレマイオスに迫った。
ひゅ、とが思わず息を飲んだ。

強襲用コンテナから放たれたミサイルがGN−Xの片腕を破壊する。
が、そのまま死角にGN−Xは回り込んだ。


『死角に回り込む気ね!』

『させるか!コンテナをトレミーから切り離す!』



スメラギとイアンの声が聞こえる。
駄目だ、間に合うはずが無い!

はそう思い、思わずビームサーベルを薙いで、ソーマのGN−Xと距離を取った。
迫るソーマをビームライフルで撃って牽制をする。
が、ビームライフルを持っている腕をソーマのGN−Xが切り落とした。


『状況は!?』

『フェルト!?』



フェルトの声がした。
となると、今ブリッジに居るのはクリスティナとリヒテンダール。


「・・・トランザム!」


ミカエルの機体が真っ赤に輝く。

それとほぼ同時にプトレマイオスの正面にGN−Xが回りこんだ。
そこでビームライフルを構える。
向けられた銃口の先は、ブリッジ。


クリス!


リヒテンダールの叫びが聞こえた直後、無情にもGN−Xの手からビームが放たれた。




怒涛のラッシュ。