「も来るのか!?」
何故だか酷く驚いた表情のソーマ。
頷いたに彼女は慌てた様子を少し見せる。
「ど、どこに?」
「ソーマ、護衛」
「私の隣で、ガンダムパイロットと話すのを見るのか・・・!?」
なんだかソーマ嫌そう。
そう思いながらは彼女を見詰める。
「嫌なら、私、別の場所で待機できるよ?」
「嫌では無いんだが・・・」
もし、被験体E57と接触した際にまた記憶の混合を起こして混乱してしまったら。
それがソーマに気懸かりだった。
それに、此処で変に過去の記憶を思い出して、また上層部に捕らわれてしまう事は嫌だった。
ソーマはレイという男からについての情報を聞いていた。
『・ルーシェについてだが』
辺りに誰も居ない事を確認しながら、レイはソーマに近付いて声をかけた。
『・・・4年前の戦いで、彼女は現在のアロウズの上層部に位置する人間に捕らわれた』
『・・・やはり、4年前から・・・』
『もう一人とは違い、は特別だったから実戦投入されている』
エクステンデッド。
超兵とは違い、精神操作を主に操作されているは、その技術を今でも使われている。
小声で、重要機密をレイはソーマに教えてくれた。
精神操作、記憶操作をされている。
だからは4年前の記憶が無い。
薬の投与は?と聞くソーマにレイは青空色の瞳を少しだけ細めた。
ブーステンデッドと呼ばれる薬物投与が主な実験もあった。
レイはそう言い言葉を続けた。
『未だあまり深くは調査が出来ていないが、も薬を服用している。それに含まれている可能性も、行動後に投与されている可能性もある』
『・・・なら、は・・・!』
『生体CPU扱いの彼女だが、白兵戦でもMS戦においても優秀だ。易々と捨て置かれる事は無いだろう』
寧ろ、重宝される。
レイはそう言い、ソーマから離れた。
そんな彼を思わず呼びとめ、ソーマは彼の腕を掴んだ。
『・・・お前はの何だ・・・?』
何故そんなにも彼女に構う?
そう問うソーマに、レイは微かに目元を柔らかくした。
『俺の友が、彼女を大切に想っていた。今は俺が代わりに、彼女を守ってやらねばならない』
優しい声色で言うレイに、ソーマは微かだが瞳を丸くした。
『・・・の、記憶は・・・?』
『今はまだ戻らない方が良いな』
上層部にまた捕らわれて、記憶改造、薬物投与がまた繰り返されるだろうな。
しれっと言ってのけたレイに、ソーマは思わず顔色を青くした。
そんな事を思い出しながら、ソーマはを見ていた。
「兎に角」と言い彼女を見る。
「話をする際は、は別の場所で待機だ」
「・・・うん、分かった」
頷いたは、表情こそ無かったが、雰囲気は柔らかいものだった。
ソーマはそんなの手を取って、微笑んでみせた。
「には私が居る。お前を守ってやるから」
「・・・ん、守る」
守る、そう呟きは言葉を繰り返した。
翌日、ソーマはアンドレイとを連れて無人島の収監所へ赴いていた。
4年前に戦ったソレスタルビーイングの羽付きのパイロット。
ミン中尉を、超兵機関を襲撃し、同胞を殺した相手が、収監されている場所。
E57こと、アレルヤ・ハプティズムの独房に入る際、ソーマはを外で待たせた。
眠っている様子のアレルヤに、ソーマは声をかけた。
「起きろ!被験体E57!」
よく通るソーマの声が、静かな独房内に響いた。
アレルヤは呻き声を上げ、ゆっくりと瞳を開いた。
「この男ですか、4年間この収監所に拘束されているガンダムのパイロットというのは」
アンドレイが確認するようにソーマに言う。
それに頷いたソーマを視界に入れたのか、アレルヤは金と銀の瞳を大きく見開き、慌てた様子を見せた。
猿轡のせいで言葉を発せない彼は、何かを必死に訴えようとしているようだった。
それを外すようにソーマは指示をしながら、改めてアレルヤを見やる。
(私の脳量子波の干渉を受けていない・・・報告には、頭部に受けた傷が原因とあったが・・・)
まさか、の干渉では無いだろうな。
そう思っていると、猿轡が外されたアレルヤが言葉を発した。
真っ直ぐにソーマを見詰めながら、「マリー・・・!」とどこか嬉しそうに言った。
「・・・漸く出会えた。やっぱり生きていたんだね、マリー」
「マリー?」
訝しげに瞳を細めたソーマ。
そんな彼女を、アレルヤはマリーと呼んだ。
「僕だよ、ホームでずっと君と話していた!アレルヤだ!」
4年間、ずっと拘束されていたというのに声を張るアレルヤ。
自分をマリーだと言い張るアレルヤに苛立ちを感じ、ソーマも声を張った。
「私は、マリーなどという名前ではない!」
「・・・否、君はマリーなんだ!」
プトレマイオス2は、ラグランジュ1の資源衛星群に停滞していた。
基地にあった機体を受け取り、プトレマイオス2に収容した。
MSハンガーに並ぶのは、セラヴィーとケルディムだ。
狙撃型のガンダム、ケルディムのコクピットにはロックオンが座っていた。
上から彼を見下ろしながら、ティエリアが「モビルスーツの戦闘経験は?」と問うた。
「ある訳無いだろ?作業用のワークローダーに乗った位だ」
「まったくの素人を連れてきたのか・・・刹那め」
「だからさ、やる事いっぱいあるだろ?」
ロックオンはそう言い、わざとらしく肩を竦めてみせた。
そのまま茶化すように片目を閉じて言う。
「よろしく頼むよ、可愛い教官殿」
「茶化さないで欲しい!」
苛立ちを露にするティエリア。
そんな二人のやり取りを、フェルトはモニター越しに見ていた。
(ライル・・・ディランディ・・・)
フェルトはぼんやりとニールの弟であるライルを見ていた。
「ミレイナ、アリオスとケルディム、カマエルの収容は?」
別の部屋ではラッセがミレイナにそう問うていた。
それに彼女は元気よく「終わってるです!」と言い笑顔を見せる。
「・・・スメラギさんは何してる?」
気になっていたのか、ラッセがそう問う。
答えたのは、ミレイナの父の方だった。
「部屋に閉じこもったままだ。ソレスタルビーイングに戻った訳じゃないと言い張ってな」
そう言いイアンは悲しげに瞳を細めた。
刹那は格納庫に収容された新たなガンダム、アリオスとカマエルを見てきた。
移動用のレバーを使用しながら、沙慈の居る独房を目指していた。
そんな中、橙を基準とした機体。
そして、真紅を基準とした、カマエルについて考える。
以前が乗っていたミカエルは、赤を基準としていた。
だが、今回のカマエルはもっと深い真紅。
真っ赤に燃え盛るものを連想させる。
刹那はそう思いながら、通路を進む。
ふと、考える。
は今何をしているのだろうか。
探しているらしいが、どうも足取りが掴めないらしい。
大怪我でもして、どこかで未だに眠っているのか。
それとも、もう戦いたくないのか。
彼女は戦いを恐れていると自分に話した事があった。
『・・・戦う事しか、ずっと知らなかったから。私は、戦いの為に作られたから、戦う事しかできないの』
は肩に額をあて、顔を俯かせていた。。
『・・・刹那は怒るかもしれないけどね、私ほんとは怖くて仕方が無いの』
『・・・ならば何故ガンダムに乗る』
『気付いたら乗ってた。王留美に乗るように言われたから』
でも、と続ける。
『ガンダムで、戦争を根絶、したい。私はみんなの手伝いがしたい』
『手伝い?』
『うん、だって、戦う事でしか、私、役に立てないから』
だから。
そう言うに、思わず黙る。
『・・・お前はガンダムになれない者なのか?』
『・・・でも、戦争を根絶するみんなを、ちゃんと手伝いたい』
怖いけれど、頑張りたい。
じゃないと、此処に居る意味が無くなってしまうから。
彼女はそう続けた。
恐れを抱きながらも、戦争を根絶する姿勢を外さない。
そして、仲間を守る為に戦う勇気を持っている。
『お前の気持ちは分かった』
『・・・怖がってるなんて情けないって?』
「違う」と言い切って、真っ直ぐに彼女を見詰める。
『お前は、ガンダムだ。・・・戦争を根絶する・・・。俺がガンダムと共に成す』
『・・・私も、手伝う』
『ああ、お前の力も必要だ』
しかし、彼女は目を逸らした。
そのまま真っ直ぐを向いて宇宙空間を見詰める。
『・・・やっぱり、戦いが怖いのは、』
駄目なんじゃないかな。
そう呟く彼女に直ぐに「何故だ」と言う。
何が駄目なのか、分からなかったから。
『だって、ガンダムに乗ってるのに、怖くてコクピットで震えるなんて・・・』
『戦いを恐れる事は、別におかしくはない』
誰だって、戦いに対して恐怖を抱く。
『・・・そっか。・・・刹那、私は戦うよ』
『・・・そうか』
『戦う、それが私の価値だから』
『・・・奴にとっては、それだけでは無いだろうがな』
アレルヤにとっては、きっと。
思わずそう呟くと、は小首を傾げたが、首を振って誤魔化す。
『戦え、お前の想いのままに』
記憶の中の彼女は、微笑んでいた。
今も彼女は、微笑んでいるのだろうか。
願わくば、そうであるように。
刹那はそう思いながら独房へ身を入れた。
沙慈が居る独房に、刹那は入り、彼に声をかけた。
トリニティの事を問うた沙慈に、刹那は答える。
「確かに記録にある通り、スローネと俺たちは、別の立場で武力介入を行っていた」
「仲間じゃないと?」
沙慈の言葉に刹那は頷いた。
何かを考えるように、視線を落とす。
そんな彼の視線の先には、首から提げたペアリングが目に入った。
「それでも、君たちも同じようにガンダムで人を殺し、僕と同じ境遇の人を作ったんだ」
君たちは憎まれて当たり前の事をしたんだ。
そう言う沙慈に刹那は表情を変えずに「分かっている」と答えた。
「・・・世界は平和だったのに、当たり前の日々が続く筈だったのに!」
沙慈は瞳を鋭くさせ、刹那を見た。
「そんな僕の平和を壊したのは君たちだ!」
「自分だけ平和なら、それでいいのか?」
思わず、刹那が言い返す。
彼の言葉に沙慈は「違う!」と言い首を振った。
「そうじゃない・・・!でも、誰だって不幸になりたくないさ・・・!」
声を震わせた沙慈。
沈黙が流れる中、ドアが開いた。
「新型の3機の収容が完了した。後、良いお知らせが入ってきたぜ」
ふふ、と笑みを零して独房に入ってきたのは、レーゲンだった。
収容施設の一室で、ソーマは端末を使用してセルゲイに連絡を入れていた。
『中尉、アロウズへの転属後、何か変わったことはあったかね?』
「特には何も。通常より訓練の量が多い程度で」
何も変わった事は無い。
そう答えるソーマに安心したようにセルゲイは微笑んだ。
そうか、と言う彼に、つられるようにソーマも笑顔になる。
「・・・大佐、超人機関関係の資料の中にマリーという名前はありませんでしたか?」
『マリー? いいや、知らんな。押収した資料のすべてに目を通したはずだが・・・』
「そうですか」
何故だか気になって思わずセルゲイに聞いていた。
が、彼は知らないと言った。
やはり彼の言っていた事は間違いなのだろうか、とソーマが考えた時、ノックの音が響いた。
「任務がありますので」
そう言うとセルゲイは『ああ』と言った。
気をつけてな。と言ってセルゲイは微笑んでくれた。
ソーマも笑顔で礼を述べ、通話を終了させた。
その後に、表情を引き締め、「入れ」と言う。
「中尉、本隊が到着しました」
入ってきた人物はアンドレイだった。
ソーマが空に目を向けると、空母やMSが見れた。
「よし、連絡が入り次第、全員配置に就かせろ」
「ルーシェ少尉も、MSに乗るそうですが・・・」
「何?」
上層部からの指示のようだった。
ソーマは少しだけ瞳を細めたが、其方の方が下手したらも安全かもしれないと考えた。
空母のブリッジでは、カティが指揮を執っていた。
「ミッションプランに従って警備態勢を敷く。先行隊であるピーリス中尉に連絡を」
そう言った後に、収監所を見やる。
瞳を細め、カティは考えた。
(羽付きのパイロット、あそこに収監されていたのか・・・。 上層部に引き渡した後、何の情報も下りてこなかったが・・・)
機体ごと確保されたガンダムのパイロット。
4年も前から収監されていたのに、情報は何も流れてこなかった。
(アロウズはこれを知っていた)
となると、上層部が関連しているのか。
そう思いながら、カティは小さく息を吐いた。
今になっての情報流出は、恐らくソレスタルビーイングをおびき出すもの。
(マリー・・・何故名前を変えて・・・それにあの言動、やはり違う人格を・・・?)
アレルヤはそう思いながら、独房の中で瞳を伏せた。
「王留美からの暗号通信です人革領、反政府勢力収監施設で・・・!!」
フェルトが暗号通信を読み上げる途中に驚きで目を丸くする。
その後、嬉しそうに声を張った。
「アレルヤ・ハプティズムを発見!?」
フェルトの言葉にブリッジに居た全員が驚愕の表情を見せる。
「知ってるです!その人、マイスターさんです!」
「そうか、連邦に捕まってたのか、通りで行方が分からない訳だぜ!」
フェルト、全員集めてくれ、ブリーフィングだ!
ラッセは嬉しそうにそう言った。
レーゲンも途中からフェルトの手伝いで皆にそれを知らせた。
刹那に其れを知らせた瞬間、彼は深紅色の瞳を驚きで見開いた。
「アレルヤが・・・!」
すぐに独房を出て行った刹那。
おっと、と言い彼を避けたレーゲンは、にこりと笑って沙慈を見下ろした。
「ちょっと忙しくなる。此処で赤ハロと待っててな」
そう言い、レーゲンも独房を後にした。
「アレルヤが見つかったって本当なの!?」
全員が集まったブリーフィングルームに、慌てた様子のスメラギが入ってきた。
どうやら知らせたのはレーゲンのようで、スメラギの後に彼も続いて入ってきた。
「ああ、王留美からの確定情報だ」
「これから救出作戦を始める」
ラッセとイアンに言われ、スメラギは眉を顰めた。
「救出って、どうやって?」
「あんたに考えて欲しい」
え、とスメラギは身を竦ませた。
だが、刹那はそのままスメラギに言葉を続ける。
「スメラギ・李・ノリエガ、俺たちに戦術予報をくれ」
「そんな・・・!」
「彼が戻れば、ガンダム4機での作戦行動が可能になります。
アレルヤも、の居場所を知っているかもしれません」
「それでも心許無いが」
ティエリアの言葉に茶化すように言うロックオン。
思わずそんな彼を睨むティエリアに、「おっと」と言い肩を竦ませていた。
ラッセはスメラギに近付き、彼女を真っ直ぐに見下ろした。
「手を貸してくれ、アレルヤを助け出す為に」
黙るスメラギに、ソレスタルビーイングの制服を手にしたフェルトが近付く。
「スメラギさん、これを」と言いそれを勧めるが、スメラギは「やめてよ!」と言い視線をそらした。
「そうやって、期待、押し付けないで!
私の予報なんて、何も変えることは出来ない・・・みんなを危険に晒すだけよ!」
そう言いたまらなくなったのか、ブリーフィングルームを出ようと踵を返す。
そんなスメラギの背に、刹那が声をかけた。
「後悔はしない」
刹那の一言に、スメラギが思わず足を止めた。
「例えミッションに失敗しようとも、あんたのせいなんかにしない。
俺たちはどんなことをしてでも、アレルヤを、仲間を助けたいんだ!」
黙るスメラギに、刹那は言葉を続ける。
他の面々も、真っ直ぐに彼らを見やる。
「頼む、俺たちに戦術をくれ」
アレルヤを助ける為に。
そう言う刹那に、スメラギは瞳を細めた。
「・・・フェルト、後で現状の戦力と状況のデータ、教えてくれる・・・?」
「スメラギさん・・・!」
部屋を出て行ったスメラギに、フェルトは嬉しそうに表情を綻ばせた。
ラッセとイアンも向き合って笑い合った。
プトレマイオス2は、動き出した。
ブリッジで王留美から届いた詳細データをフェルトは見ていた。
「王留美から詳細データが届きました・・・凄い・・・収監されている人や場所まで・・・!」
しかしその中に、の名は無かった。
フェルトは落胆の色を見せたが、ある名前を見つけて若草色の瞳を丸くした。
「・・・この人、」
スメラギは自室でフェルトから貰った現状の戦力と状況のデータを見ていた。
「この空母の粒子ビームを抑えられれば・・・。
それにしても、ライル・ディランディのこの能力値の高さ・・・一体どういう事?」
スメラギの立てたプランにいつでも対応出来るように、ダブルオー、セラヴィー、ケルディムが発進準備をする。
フェルトの声で、艦内放送でそれを伝える。
移動用レバーを使いながら、ロックオンとティエリアは移動していた。
『各マイスターは、所定のガンダムで待機して下さい』
フェルトの声を聞いた後、ライルがメット片手に口を開く。
「ついに実戦だな」
「君に出番があるとは思えない」
キッパリと言い放ったティエリアに、ロックオンは「ハハ、」と笑ってみせた。
そして「そいつは気が楽だ」と言い、またちゃらけた様子を見せた。
『第1、第2デッキの電力供給を戦闘モードに移行するです!』
次に艦内放送で、ミレイナの声が響く。
その声は、独房内にも聞こえた。
沙慈は赤ハロを見下ろし、尋ねる。
「艦内が騒がしい様だけど、何をしようとしているの?」
『ナカマキュウシュツ!ナカマキュウシュツ!』
赤ハロに沙慈は「仲間?」と返す。
『サクセンカイシ!サクセンカイシ!』
また戦いを・・・。
沙慈はそう呟き、瞳を伏せた。
『セラヴィー、専用バズーカ装備です!』
ミレイナの艦内放送を聞きながら、刹那はダブルオーに搭乗していた。
そこでイアンからの通信が入り、モニターも映る。
『ツインドライブ、起動したは良いが安定にはほど遠い。トランザムを使用するなよ』
「了解」
刹那はそう返し、各部をチェックする。
ダブルオー、異常なし。
そう呟き、いつでも動けるようにレバーを握った。
『スメラギさんからミッションプランが届きました・・・!』
フェルトの言葉とほぼ同時に、全員にそれが知らされる。
ダブルオーのモニターに映ったそのプランを見て、刹那は微かに口の端を上げた。
他の面々も同じだったようで、声が通信越しに聞こえる。
『おいおい、何だよこのプランは』
『大胆です!』
『僅か300秒の電撃作戦か』
ラッセ、ミレイナに続きティエリアがそう言う。
ティエリアは「フ、」と笑みを零した後、言葉を続けた。
『それでこそスメラギ・李・ノリエガ』
嬉しそうな声色で言う。
そんな面々の声を聞きつつ、ロックオンもプランに目を通していた。
何かに意外に思ったのか、「あれ」と彼は声を上げる。
『俺にも役割あんのかよ。けど、そっちの方が好都合だな』
『ナンノコト?ナンノコト?』
『こっちの事だよ。サポート頼むぜ、ハロさんよ』
ロックオンはそう言いながら、オレンジハロに笑みを向けた。
『プトレマイオス、大気圏突入シークエンスに移行するです!』
『ダブルオー、セラヴィー、ケルディム、出撃準備。
0043をもって、ミッションを開始します。アリオスは射出体勢のまま待機です』
ミレイナとフェルトの艦内放送の後、ダブルオーにセラヴィーから通信が入った。
刹那、と呼ぶティエリアに視線を向ける。
どうした、と刹那が返すとティエリアが何やらデータを送ってきた。
『王留美からの報告にあった、アレルヤが収監されている場所にこんな名前が』
示された所を見てみると、刹那の目にある人物の名前が止まった。
マリナ・イスマイール。
それを見て刹那は深紅色の瞳を驚愕で見開いた。
「マリナが!? マリナ・イスマイールが、アレルヤと同じ施設に居る・・・?」
その間にもフェルトが艦内放送で大気圏に突入する事を知らせる。
GNフィールドを展開し、プトレマイオス2は地上へ向かう為に大気圏に突入した。
せっさん落ち着け。
そしてアレルヤがマリーを見つけた。