ダブルオーライザーはテロが起こっているアフリカタワーを目指していた。
肉眼でもそれが確認出来る位置まで接近できたところで、警告音が鳴り響く。
前方に黒色の機体が立ち塞がっている。
「この、MSは?」
フェイス部分等が何処と無くフラッグに似ている。
が、二本角を持ち、両腕にビームサーベルを持つそれはフラッグではなかった。
一瞬で相手は間合いを詰めてきて、ビームサーベルを振るってきた。
刹那も瞬時にダブルオーライザーのGNソードUでそれを受け止める。
「退け!貴様などに構っている暇は・・・!」
仲間が来るかもしれない。
それに、嫌な胸騒ぎも止まらない。
切り払うと、距離を取る。
相手の動きを見計らっていると、機体が赤く輝き始めた。
それに刹那は瞳を見開く。
「あ、あれは・・・トランザム!?」
敵MSはトランザム状態のまま攻撃をしかけてくる。
防戦一方となってしまったダブルオーライザーのコクピット内が振動により揺れる。
「う・・・!!」
呻き声をあげる刹那の腕の傷口がひらく。
GNフィールドも用いるが、突き破られそうになる。
刹那は瞳を細め、此方もトランザムを発動した。
緊急回避をした直後、直ぐに反撃の攻撃を仕掛ける。
真正面からぶつかり合い、双方が弾き飛ばされた。
それでもすぐに体制を立て直し、再び切り結ぶ。
「戦うだけの人生か!」
恐らく相手のパイロットも同じ。
戦うだけの生き方しか知らない。
「俺もそうだ!」
『刹那、何故なの? 何故、貴方はまた戦おうとしているの?』
『それしかできないからだ』
『嘘よ!戦いの無い生き方なんて、いくらでもあるじゃない!』
思い浮かんだのは、優しいマリナ。
いつも彼女は憂いを帯びた瞳をしていた。
それは世間の情勢や、誰かの為。
『・・・無理をしてたのかしら。でも、あなたも同じに見えるわ。
無理をして、戦っている』
「だが今は!」
『ダブルオーライザーは、後退して下さい』
離れる直前、通信画面越しに見た彼女。
マリナの言葉、への想い。
夢にも見た自身の過去。そして、
『刹那。過去によって変えられるのは、今の自分の気持ちだけだ。
他は何も変わらねぇ。他人の気持ちや・・・ましてや命は・・・。
お前は変われ。変わらなかった、俺の代わりに・・・』
「そうでない自分が居る!!」
そう叫び、GNソードUで押しやる。
そこに、
『刹那!』
二機の間を大出力のビームが過ぎる。
セラヴィーの放ったビーム攻撃により、ダブルオーライザーが距離を取る。
直後、ケルディム、セラヴィー、アリオスの姿を見止められた。そして、
「・・・あれは・・・!?」
先ほど自分の名を呼んだ彼女の声。
そしてGNメガランチャーを構えている赤のガンダム。
真っ直ぐに敵MSに向けて放たれたそれだが、間一髪のところで避けられる。
そのまま去っていくMSを目で見送った後、刹那はモニターに映るガンダムを見やる。
近付いてくる赤と白を基準とした色合いのガンダム、カマエル。
通信モニターも開かれ、想っていた彼女の顔が映る。
それに刹那は瞳を細めた。
『刹那・・・!』
「・・・・・・、」
何故、お前が、
そう思ったが、そこまで言葉は出なかった。
ダブルオーライザーに寄り添うようにカマエルが腕を回して支える。
逆側にはケルディムがついて支えてくれている。
「は・・・無事だったのか・・・みんなは・・・、」
『・・・刹那?』
パイロットスーツを身に纏った彼女。
胸騒ぎは間違いではなかった。
彼女がそこに居るという事は、そんなに突き動かされる何かが起こったという事だ。
あんなにもガンダムに乗る事を拒んでいた彼女が、何故今乗っているのか。
『刹那、お前は変われ。変わらなかった、俺の代わりに・・・』
(分かっている・・・ロックオン・・・ここで俺は変わる・・・俺自身を変革させる・・・)
そんな事を考えている内に刹那は傷と疲れが伴い、意識を失った。
ガンダム各機を回収した後、スメラギは疑問を抱いていた。
「この布陣には、大きな意味が隠されてる・・・?
フェルト、アフリカタワー周辺1,000kmの風速データを表示して」
「え? 何故です?」
「急いで!」
疑問を口にしたフェルトだが、スメラギに言われて慌ててパネルに向き直った。
表示された風向きと配置状況のデータを見てスメラギは驚愕により瞳を見開いた。
「落下状況を考慮しての部隊配置・・・!や、やはり・・・!」
もう1基あるというの!?
スメラギの声がプトレマイオス2のブリッジに響き渡った。
メディカルルームにはレーゲンが刹那を治療していた。
先ほどまでも付き添っていたのだが、意外にもガンダムの下へと彼女は戻って行ってしまった。
彼女の行動に、サポートに回っていたマリーは小さく息を吐いた。
正直複雑だった。
が刹那の傍に居るとアレルヤが心を痛める。
しかし、ガンダムの傍に居るという事は整備を手伝っているという事になる。
皆を守るためとはいえ、彼女は再び戦う事を決意してしまったのだと再確認してしまう。
このままいけば良い傾向かもしれない、とスメラギは言っていたがマリーは不安で仕方が無かった。
「・・・このまま、は皆のためと言って無茶ばかりしないでしょうか・・・?」
「するだろうなー」
そりゃね。
レーゲンはそう言いながら寝台に横になった刹那のデータを見る。
彼の言葉にマリーは悲しげに瞳を細めた。
「・・・やっぱり、そうですよね・・・」
「・・・このまま無茶するを引き止めるのが、あいつの仕事なんじゃないの?」
それが出来たら、本当に良い傾向なんじゃないか。
レーゲンはそう言い瞳を細めた。
一旦戻ったマイスターたちに、もう一度出撃するようにとスメラギからの艦内放送がかかる。
も直ぐにワイヤーを使用してカマエルのコクピットにまであがる。
そんな彼女を、背後から呼ぶ声があった。
「!!」
振り返ると、そこにはアレルヤが居た。
訝しげに瞳を細めただけで、再度コクピットに入ろうとする彼女に、彼は少しだけ戸惑いを見せたが直ぐにまた口を開いた。
「約束して欲しいんだ!!」
アレルヤの声に、そのままコクピットに入ろうとしていた彼女が止まる。
「・・・絶対に、無茶だけはしないで欲しい」
それが、アレルヤにとっての最大限の譲歩だった。
には戦って欲しくない。
しかし、彼女の道を阻みたくも無い、彼女の決意も知っているから。
だからこそ、アレルヤはそう言った。
は何も言わずに、そのままコクピットへ身を滑らせた。
シートに座り、既に中に居たイエローハロを見やる。
『、』
「分かってるの」
分かってる。
そう呟き、は各部を軽くチェックした。
「光学カメラが、オービタルリング上に大型物体を捉えました!」
ブリッジでパネルを操作していたフェルトが声を張る。
それにスメラギが「やはり・・・」と言い渋い表情になる。
ブリッジに居た各々も瞳を見開く。
メディカルルームに居たレーゲンも通信越しにそれを聞き瞳を細めた。
「・・・2基あったってか・・・」
あんなのが。
そう呟くレーゲンの背後で、刹那がゆっくりと瞳を開いた。
ダブルオーとアリオスのハンガーに居たイアンと沙慈、ミレイナも端末からの通信に苦渋の表情になる。
「本気で撃つ気か・・・?」
「そんな・・・!!」
各ガンダムマイスターたちは、各々のガンダムに搭乗していた。
アフリカタワー周辺に展開する部隊に向かいガンダムが飛翔する。
『アロウズの奴ら、本性を現しやがった・・・!』
『これも、イノベイターが裏で糸を操っているというのか?』
ロックオンとティエリアの声が通信越しに響く。
その後、アフリカタワーからリアルドが脱出していく。
『カタロン部隊が脱出していく・・・、・・・!』
アレルヤがそう言った直後、脱出したカタロン仕様のリアルドが、展開していた部隊に攻撃されて撃墜された。
次々と脱出する機体を攻撃していくそれに、ロックオンが苛立ちの声をあげた。
『貴様ら・・・今頃になって!』
「! ライル!」
一気に加速し、ケルディムはアフリカタワーに向かった。
それにティエリアとアレルヤが静止の声をあげるがロックオンは止まらなかった。
はそのまま、ケルディムを追った。
「!」とティエリアの声が聞こえるが、この際は仕方ない。
ロックオンのフォローに回るべく、カマエル、アリオス、セラヴィーもケルディムに続いた。
『衛星兵器による低軌道ステーションの被害予想・・・このままじゃいけないのよ!』
「トレミーを宇宙へ上げるだと!?冗談だろ!?この状態じゃ無理だ!」
『けど、多くの人命が!』
スメラギとイアンは通信越しに口論をしていた、
このままでは、アフリカタワーはメメントモリに狙い撃たれる。
そうされると、付近にある街に居る住人も、人質も、カタロン部隊もクーデター派の人間も全て消滅してしまう。
沙慈がイアンの背を見ている時、入り口のドアが開いた。
入ってきたのは、レーゲンと刹那だった。
「刹那・・・!」と沙慈が驚きの声をあげる。
「ダブルオーを出す」
『何言ってるのそんな体で!』
「衛星兵器を止められるのはダブルオーライザーだけだ」
あんたも分かってるはずだ。
そう言う刹那に、通信越しのスメラギは瞳を細めた。
トランザムライザー。
ダブルオーライザーが成せる強大な一振りならば、衛星兵器メメントモリを破壊出来るだろう。
「ミッションプランを頼む」
一方的にそう言い刹那は通信を切った。
メットを被ってダブルオーへ向かう刹那に、イアンが声をかけた。
「オーライザーにパイロットが必要だぞ」
「その点は問題無しなんだな、これが」
肩を竦めて見せるレーゲンに、イアンが訝しげに瞳を細める。
「まさか、お前さんが?」と問う彼にレーゲンはゆるゆると首を振った。
「オーライザーに乗れ」
刹那に言われたのは、沙慈だった。
突然振られた言葉に戸惑いの色を見せる沙慈に、刹那は言葉を続ける。
「6万もの人命がかかっている。これは、守る為の戦いだ」
「守る為の・・・」
6万人の人命。
守る為の戦い。
「成功の確率は低いだろう」
刹那はそう言い、改めて沙慈を見やる。
「だが、始める前から諦めたくない・・・!」
そう言い刹那はダブルオーに乗り込んだ。
彼の背を見ていた沙慈は、拳を握り、再度呟く。
「守る為の戦い・・・」
その瞳は、決意を新たにしたものだった。
それを見たレーゲンは笑みを零し、彼にある物を手渡した。
「これ、着ていけよ」
「・・・これは」
差し出されたパイロットスーツを受け取る沙慈。
そんな彼の肩を軽く叩き、レーゲンはハンガーから出て行った。
イアンは沙慈に向き直り、真剣な瞳を向ける。
「頼むぞ、命を守れ・・・!」
「・・・はい!」
プトレマイオス2は光学迷彩を展開したまま、上昇した。
ブリッジでは忙しなく各々が手を動かしている。
「カタパルトで2次加速をかけるわ」
いいわね?
そう問うスメラギに刹那と沙慈が「了解」と返す。
「相手は機械だ・・・人じゃないんだ・・・!」
守る為に戦うんだ、僕も・・・!
そう思いながら沙慈もレバーを握る。
「あれだけ戦闘に怯えていたも、戦うって決めたんだ・・・!
僕だって、出来ることを・・・」
『トレミー、第1、第3ハッチオープン』
そこでフェルトの声が響く。
目の前のハッチが開き、沙慈に緊張が走る。
『射出タイミングを両機に譲渡します』
『刹那・F・セイエイ、出る!』
通信越しに声が響く。
それにつられるように、沙慈も口を開いた。
「沙慈・クロスロード、発進します!」
垂直状態になっているプトレマイオス2からダブルオーとオーライザーが発進された。
突如体にかかるGに沙慈は苦渋の表情を浮かべる。
『ドッキングする!』
『オーライザー、ドッキングモード!オーライザー、ドッキングモード!』
赤ハロと沙慈の行動により、オーライザーがダブルオーにドッキングする。
ダブルオーライザーとなったそれは更に上昇し、宇宙を目指した。
「圧縮粒子を完全開放する!」
両肩のバインダーを前方へ向けつつ、刹那は沙慈に指示を出していた。
「ライザーシステムを作動させろ!」
通信越しに沙慈の戸惑いを含んだ「わ、分かった」という声が響く。
チャージ画面が出た直後、警告音が鳴り響いた。
『敵!?』
沙慈が驚愕の声をあげる。
前方から白い機体、エンプラスが迫っていた。
ビーム攻撃は避けたが、アームが伸びてきてダブルオーライザーを捕らえた。
直後、電流が走る。
「ぐあああああああ!!」
突如体を襲った痛みに刹那が悲鳴をあげる。
それは沙慈も同じようで、通信越しに彼の悲鳴が聞こえる。
痛む傷を抑えつつ、刹那は「沙慈!!」と声を張った。
『ぐ・・・システム・・・!』
そうしている間にも、エンプラスのビーム砲が展開される。
そのまま距離を詰めるそれが、間近に迫った直後、チャージが完了した。
「トランザムライザー!!」
ダブルオーライザーがトランザム状態となった直後、エンプラスがビーム攻撃を放つ。
が、ダブルオーライザーのライザーソードがそれを殺した。
展開されたGNフィールドを突き破り、エンプラスをライザーソードで貫いた。
一直線に粒子の光が伸びる。
巨大すぎるビームサーベルとなったそれは、メメントモリの真横まで伸びた。
「うおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!」
軌道を変える為に、ダブルオーライザーを全力で動かす。
振り下ろされたトランザムライザーの攻撃はメメントモリに直撃した。
が、上部から中央付近までを抉った程度で、ビームの刃が消失した。
『や、やった!』
沙慈の歓喜の声が響く。
が、刹那は「駄目だ!」と反して焦りの声をあげた。
メメントモリの爆発は広がっていくが、砲身の先に光は集結していっていた。
「や・・・やめろ・・・!」
集結したエネルギーは、莫大な力を一気に放出した。
「やめろおおおおおおおおおおぉぉぉ!!!!!」
刹那の叫びも虚しく、衛星兵器は発射された。
「・・・刹那!?」
眼前に迫っていた正規軍の機体をGNソードで切り倒した直後、は体を震わせた。
今の感覚は一体、と彼女が思っている間に、新たな感覚が彼女を襲う。
「・・・そんな!!」
『どうしたんだい、!』
通信越しにアレルヤの声が響く。
カマエルを狙うGN−XVをアリオスがビームサーベルで切り倒す。
宙を見つめるは、苦渋の表情を浮かべ、レバーを強く握った。
衛星兵器は発射された。
低軌道ステーションの下方の外壁を貫いたメメントモリの攻撃の衝撃が響き渡る。
軌道エレベーターを支える構造物も次々と崩れ始めた。
緊急事態により、アンダーピラーがオートパージを開始する。
軌道エレベーターの外壁を形成していたピラーが次々にパージされて、無数の破片となって降り注ぐ。
市民が脱出しているリニアトレインも、崩壊に巻き込まれていった。
『レーザーがピラーに着弾!ピラーの外装部が、オートパージされています!』
通信越しにフェルトの緊迫した声が響く。
『成層圏より上の破片は、断熱圧縮による空気加熱で燃え尽きるけど・・・それより下の部分は、地上に落ちる・・・!』
スメラギの言葉が全員の心に重くのしかかった。
なんとしても被害を防がなければ。
はそう思い、カマエルを動かす。
それに続くように、アリオスも動き出した。
『!一体どうし・・・、』
アレルヤがそこまで言ったところで、地上へピラーの破片が降り注ぎ始めた。
ロックオンの「何だ、」という声が響く。
『軌道エレベーターが崩壊していく・・・!?』
ティエリアの焦りの声が響いた。
周辺の正規軍も、カタロン部隊も唖然としている様子だった。
そうしていると、モニターにスメラギの映像が表示された。
『現空域にいる全機体に有視界通信でデータを転送します。
データにある空域に進入してくるピラーの破片を破壊して下さい。その下は、人口密集区域です』
送られてきたデータに、は息を飲んだ。
軌道エレベーターの真下には街がある。
今も人々が居る場所にピラーの破片なんかが落ちてしまったら・・・!
『このままでは、何千万という人々の命が消えてしまう・・・だからお願い、みんなを助けて!』
飛行形態に変形したアリオスが動く。
カマエルで腕を伸ばし、アリオスを掴み、共に移動をする。
ケルディムとセラヴィーも共に指定ポイントへ向かう。
スメラギの声はここに居る全てのMSに届いたはずだ。
彼らが動くまで待ってはいられなかった。
『圧縮粒子、開放!』
セラヴィーがGNバズーカを放って地上へ降り注ぐピラーの破片を一気に破壊する。
それでも落ちてくるそれを、ケルディムがGNハンドガンで撃ち落とす。
『ハロ!』
『GNビットテンカイ!GNビットテンカイ!』
GNビットのビーム攻撃も用いてピラー破片を撃ち落す。
アリオスもMS型となりGNツインビームライフルを撃つ。
「・・・ハロ!」
『GNメガランチャー、ハッシャヨウイネ!ハッシャヨウイネ!』
イエローハロにGNメガランチャーは任せ、はファングを放つ。
「破壊しなさい・・・ファング!!」
ファングを放ち、脳量子波で操作をしながら高エネルギーGNビームライフルを一緒に撃つ。
『GNメガランチャー、ハッシャネ!』
「OKハロ!」
GNビームライフルをしまい、GNメガランチャーで一気にピラー破片を破壊する。
なんとか都市郡への落下は防いでいるが、ピラーの破片は無尽蔵のように降り続く。
軌道エレベーターの崩壊は続いている。
『数が多すぎる!』
しまった!
アレルヤの声が響く。
アリオスの横を破片が落ち、都市郡へ落ちていく。
それに気付いたがファングを向かわせようとするが、あるものに気付きそれを止めた。
振り向きざまにGNツインビームライフルを放つが、その攻撃が届く前にピラー破片は破壊された。
「あれは・・・!」と言うアレルヤの戸惑いの声が響く。
いつの間にか発進されていたのか、GNアーチャーが両手にGNビームライフルを持ちながら現れた。
『マリー!』
アレルヤの声にの心が痛む。
赤色のパイロットスーツを身に纏った彼女が、口を開く。
『これは戦いじゃないわ!命を守る為の!』
マリーはそう言い、アレルヤと連携を取りながらピラー破片を破壊していく。
は瞳を細めながらも、今はピラー破片の破壊に集中する事にした。
『くそっ!このままじゃ!』
GNミサイルを一斉に発射するが、ピラー破片が都市郡へ落ちる。
しまった!と言い慌てて迎撃しようとするが、横からの攻撃がビルへ当たりそうだったピラー破片を破壊した。
地上部隊に展開したティエレンやリアルドが迎撃をしていたからだ。
『あれは・・・カタロン!?』
カタロンの部隊がピラー破片の迎撃を開始した。
しかし、降り続けるピラー破片の直撃を受けてしまい大破してしまう機体もあった。
それを見てロックオンが「くそったれが・・・!」と呟く。
ティエリアが撃ちもらしたピラー破片を、クーデター派の機体が撃ち落す。
更に一斉射撃も加えられ、ピラー破片が破壊されていく。
『何だ? ・・・正規軍まで・・・!』
アレルヤがそう言う。
カタロン、クーデター派、そして正規軍。
スメラギの声が届いたのか、そこにあった全てのMSがピラー破片の迎撃を開始していた。
プトレマイオス2も光学迷彩を解いて迎撃攻撃を開始する。
『都市部への直撃は、何とか避けれられそうです!』
通信越しにミレイナの声が響く。
それにスメラギが安堵の息を吐いた。
『こんな状況で、すべたがひとつに纏まっていく・・・』
『皮肉なもんだな』
だが、悪くない!
アニューとラッセの会話を耳にした直後、は接近する機影がある事に気付く。
あの部隊は・・・、
『左舷よりMS部隊が接近!アロウズです!』
『この時を狙っていたのか!?』
フェルトとラッセの焦りの声が響く。
ミレイナも「アーデさんたちに撤退を!」と言うが、それをスメラギが静止した。
『このまま続行よ!』
『いいんですか!?』
『指揮官が彼女なら、きっと・・・!』
指揮官、
はそう思いながら、向かってくるアロウズのMS部隊を見た。
アヘッドスマルトロンがケルディムを素通りし、カマエルの横に並んでピラー破片を迎撃する。
パイロットの脳量子波に対応可能なように改修した機体に今乗っているのは、
「・・・ルイス・・・!」
((・・・・・・!))
頭にルイスの戸惑いの声が響く。
同時に、彼女の感情が伝わる。
目の前に家族の仇であるガンダムが居るのに、命令に従わなければならない歯がゆさ。
しかし、敵意を向けているのはカマエル以外のようだった。
今は、連携までしてカマエルとピラー破片を破壊している。
「・・・どうして、私には敵意を向けないの・・・?」
((はこそ、なんでガンダムなんかにっ・・・!!))
私を助けてくれたのに!
そう言いルイスはピラー破片を更に破壊した。
((分かってる・・・は戦わされているんだ・・・!))
「・・・私が、戦わされて、る・・・?」
((ソレスタルビーイングがを傷付けた・・・!4年前だって、は恋人も失って、心も失って!))
「!!!」
全部全部全部!奴らのせい!
ルイスはそう強く思いながら奥歯を噛み締める。
ピラー破片の破壊が終ったら、ソレスタルビーングを!
そして、を取り戻す!
そう決意し、ルイスはアヘッドスマルトロンを動かした。
ルイスも微妙に複雑。