ジュビアは舌打ちをする。
ルットーレが撃墜された。
所詮は・ルーシェもリボンズの玩具にすぎなかった。
切り結んでいたGNアーチャーの腕を切り落とし、蹴りをいれる。
吹き飛んだそれに追撃をかけようとするガラッゾの前に、GNソルジャーが割り込んできた。


レーゲン!?

「・・・いけない・・・ジュビア、俺の声を聞いてくれ!」


勢いのままビームサーベルを振るったガラッゾのそれを、GNソルジャーは受け止める。
庇うように背を向けるGNソルジャーに、ソーマは金の瞳を白黒させる。
空いている腕でガラッゾに掴みかかり、押し合う。
レーゲンはコクピットを開いたまま、直接叫ぶ。


「ジュビア!!」

『・・・何で・・・何でなんだよ、レーゲン!!』


どうして!?俺から離れる!?
そうジュビアは吼える。
レーゲンは瞳を細め、震える手を叱咤し、操縦桿を力尽くで押す。
少しでも気を抜いたら、また彼に体の自由を奪われかねない。
ビームサーベル同士が激しくぶつかり合い、火花が散る。
援護に動こうとするソーマを、レーゲンは「来るな!」と言い止める。


『何でお前は・・・そうやって俺を置いていくんだ!俺たちは、二人で一つなのに!!』

「ジュビア!俺の話を・・・うあっ!!!


思い切り押し切られ、ビームサーベルが弾かれる。
振り下ろされるガラッゾのビームサーベルに、咄嗟にもうひとつのビームサーベルを出し受け止める。
しかし、無理な体勢で受け止めた為に押され気味となる。


レーゲン!

「駄目だ!ソーマ!君は離れるんだ!!」


レーゲンの声にソーマはGNアーチャーを思わず止める。
しかし、押し切られたGNソルジャーは後方へ体勢を崩したまま吹き飛んだ。
レーゲン!とソーマが叫び機体を動かした。


『俺は!ずっとお前の為に戦ったのに!!』


ずっとずっと!探してたのに!
悲痛な叫びが響く。
レーゲンは瞳を細め、「ジュビア、」と彼の名を呼ぶ。

ガラッゾの攻撃は続き、ビームサーベルがGNソルジャーの右腕を破壊する。
衝撃からレーゲンが奥歯を噛み締めるが、瞳は真っ直ぐに眼前のガラッゾに向けられていた。

記憶の無い自分。
あまり自分では気にしていなかったが、レーゲンはずっと自分を探していたという。
1年半ほど前にソレスタルビーイングに加入する前の自分は、何も知らなかった。
それなのに、


『レーゲン!!』


俺は、ずっと彼を独りにしたままで、





『――また、どっか行くのか?』

『・・・そうだな、今回は結構長くなるかも』

『・・・嫌だぜ、俺。レーゲンとんな長く離れるの』

『何かあったら、脳量子波で伝えてくれよ。俺たちは繋がっているんだから』


大丈夫、大丈夫だから。





『レーゲン!』と通信の声が響く。
それに反応してハッと瞳を見開いた直後、レーゲンは機体を動かした。
しかし、遅かったようで右足がビームサーベルに切り落とされた。


『何で戻ってこない!?何で俺から離れようとするんだ!?』

「・・・ジュビア・・・!」


なんで、と言いジュビアは我武者羅にビームサーベルを振るう。
こんなに彼を苦しめているのは自分なんだ、どうしたら彼を苦しみから救い出せるか。

そう考えていたら、またビームサーベルを振るわれる。
防御手段が無いので避けようとしたレーゲンだが、GNアーチャーが割り込み、それを防いだ。
「ソーマ!」とレーゲンが静止の声をかけるが、彼女は一歩も引かなかった。
そのままガラッゾと激しい切りあいをする。


貴様には、レーゲンは渡さない!

テメェかああぁぁ!!レーゲンを返さない奴はぁぁ!!!


突如、ガラッゾの攻撃の激しさが増した。
ビームサーベル同士がぶつかり合い、火花が散る。
激しい攻防を繰り返す二機に、レーゲンが瞳を細める。

どうしてこうなったのか。

ただ自分は、ジュビアと話をしたかっただけなのに、分かり合おうと、しただけだったのに。
ソーマまで巻き込んで。

レーゲンは瞳を細め、機体を動かした。


「駄目だ・・・!」


このままでは、いけない。
ただそれだけを思い、二機に近付く。

ガラッゾがGNアーチャーの右腕を切り落とす。
しかしソーマも怯まず、攻撃を仕掛け続ける。
激しい攻防が繰り返され、このままでは双方の命が危ない。

自分のせいで、

そんなの、


消えろ!女ァ!!

貴様がぁ!!


そんなの、


駄目だ!!!


咄嗟に、ガラッゾとGNアーチャーの間にGNソルジャーを割り込ませた。
脳量子波から、ジュビアとソーマの焦りの思考が流れてくる。


((((レーゲン!!))))


二人の焦り声が響いた直後、双方のビームサーベルがGNソルジャーを貫いた。




レーゲンサイド。
ぶっさされーげん←